C. difficile感染症(クロストリジオイデス・ディフィシル)とは
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
C. difficile(シー・ディフィシル)は、腸の中に住む細菌の一種です。健康な人には症状を起こしませんが、抗生物質(抗菌薬)を飲んだあとなどに、この細菌が異常に増えると、下痢や腹痛などの症状を引き起こすことがあります。この病気を「C. difficile感染症」と呼びます。
重要な事実
- 抗生物質(抗菌薬)を使った後に起こりやすい感染症です。
- 下痢が主な症状で、水のような便が続きます。
- ほとんどは治療でよくなりますが、再発することもあります。
医療機関で抗菌薬を使った人、特に高齢者や入院中の人では、珍しくありません。
免疫力が弱っている人、高齢者、長期入院中の人、抗菌薬をよく使う人に多く見られます。
症状
- 下痢がひどく、水分が取れず、めまいやふらつきがある
- 激しい腹痛が続く
- 便に大量の血が混じる
- 意識がぼんやりする
- 尿がほとんど出ない
- ⚠水のような下痢が2〜3日続く
- ⚠発熱がある
- ⚠おなかの痛みや張りが強くなる
- ⚠高齢者や小さな子どもで、食欲がない・元気がない
一般的な症状
- 水のような下痢(1日に何回も)
- 腹痛・おなかの張り
- 吐き気・食欲がない
- 便に血が混じることもある
子供の症状
- 水のような下痢
- おなかの痛み
- 機嫌が悪い
- ミルクやごはんを食べない
高齢者の症状
- 下痢が重度になりやすい
- 意識がぼんやりする(脱水による)
- 血圧が下がるなどの重い脱水症状が出やすい
- 発熱や腹痛がはっきりしないこともある
原因
主な原因
- Clostridioides difficile(C. difficile)という細菌が腸の中で増えすぎること
- 抗菌薬(抗生物質)を飲むと、腸の中の良い細菌が減り、C. difficileが増えやすくなる
リスク要因
- 最近、抗菌薬を使った
- 長期に入院している
- 高齢である
- 免疫力が低下している(病気や治療のため)
- 胃薬の一種であるプロトンポンプ阻害薬をのんでいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 水のような下痢が続く
- 下痢に加えて発熱や強い腹痛がある
- 高齢者や小さな子どもで、元気がなくぐったりしている
定期受診を予約すべき場合:
- 抗菌薬を使った後に下痢が始まった
- 下痢が治った後、また下痢が再発した
- 排便の回数や便の様子が気になる
診断
医師が症状や最近抗菌薬を使ったかどうかを確認し、便の検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 便の検査:C. difficileの毒素(体に害を及ぼす物質)を調べます
- 血液検査:炎症や脱水の程度を調べます
- 腹部の画像検査(CTなど):重症化しているか確認するために行うことがあります
診察で予想されること
診察室で症状の話を聞き、便の容器を受け取って自宅で採取し、提出することが一般的です。結果が出るまでに1〜2日かかります。
治療
治療の基本は、原因となっている抗菌薬を中止し、必要に応じてC. difficileに効果のある抗菌薬を使うことです。脱水を防ぐための水分補給も重要です。
自宅でのセルフケア
- 水分をこまめにとる(下痢で失われた水分を補う)
- 下痢止めを自己判断で使わない(症状を悪化させることがあります)
- おなかを冷やさず、安静にする
- 手洗いをしっかり行い、感染を広げない
医療治療
医師は、症状の重症度に合わせて治療を選びます。まず原因となった抗菌薬を中止し、C. difficileに対して効果がある抗菌薬を内服します。再発を繰り返す場合には、便移植(健康な人の便を腸に移植して腸内細菌のバランスを整える治療)が行われることもあります。
手術が検討される場合
まれに、腸に穴が開いたり、腸の動きが止まってしまう「中毒性巨大結腸症」という重い状態になることがあります。この場合は手術が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
治療中は、症状が落ち着くまで自宅で安静にしましょう。下痢が続く間は、トイレの近くにいる、すぐに着替えられるようにするなど、無理なく過ごせる環境を整えましょう。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠と休息をとる
- 手洗いを徹底する(石けんと流水で)
- 下痢が続くときは、刺激の少ない消化のよい食事をとる
- 症状がよくなっても、医師の指示どおりに治療を継続する
食事と運動
下痢が続いている間は、脂肪の多いものや辛いものを避け、消化のよいものを少しずつ食べましょう。ヨーグルトなどの発酵食品や水分をとることもよいとされています。無理な運動は避け、体調が戻ってから徐々に動くようにしましょう。
精神的健康と心の健康
下痢が続くことは不安やつらさを感じるものです。特に再発を繰り返すと、外出をためらったり、気分が落ち込んだりすることもあります。自分の気持ちを家族や医師に伝え、必要なサポートを受けましょう。
予防
抗菌薬を必要なときだけ適切に使うことが、最も大切な予防です。抗菌薬を自己判断で使わない、医師の指示どおりに飲むことを心がけましょう。また、手洗いや環境の清掃も予防に役立ちます。
ワクチン
現在、日本で一般的に使える予防ワクチンはありません。研究は進められています。
検診プログラム
特に定期的な検診はありません。抗菌薬使用後の下痢に早めに気づくことが大切です。
合併症
治療しない場合
- 重度の脱水(体の水分が極端に不足する)
- 腎臓の障害
- 腸に穴が開く(腸穿孔)
- 中毒性巨大結腸症
長期的な見通し
多くの場合、適切な治療で症状は改善し、回復します。再発することもありますが、その場合も再び治療することが可能です。気になる症状があれば、早めに医療機関に相談しましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月2日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.