がん治療中の運動:心と体を支えるために
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
「がん治療中の運動」とは、がんの治療を受けている間や治療後に、安全な範囲で体を動かして、体力や気持ちを支える取り組みです。無理をせず、自分の体調に合わせて行うことが大切です。
重要な事実
- 運動は、疲れや筋力低下をやわらげ、気分を安定させる助けになります。
- 治療中でも、医師の許可があれば安全に運動できる人が多くいます。
- 最初は軽いストレッチや短い散歩など、ほんの少しから始められます。
がん治療中の運動は、現在では多くの医療機関で「回復を支えるケア」の一つとしてすすめられています。海外のガイドラインでも、治療中の運動の安全性と効果が示されています。
がんの種類や治療の時期を問わず、自分で体を動かすことが可能なすべての方が対象になります。ただし、治療の内容や体調によってはできない動きもあるため、必ず医療チームに確認することが必要です。
症状
- 運動中に突然の胸の痛みがある場合は、すぐに119番に電話してください。
- 強い息苦しさや、意識がもうろうとする場合は、すぐに119番に電話してください。
- 脈が極端に乱れる、または倒れるような感覚がある場合は、すぐに119番に電話してください。
- ⚠運動後に息切れや強い疲れが取れない
- ⚠めまいやふらつきが続く
- ⚠発熱、出血、ひどい痛みがある
- ⚠ふくらはぎなどに片側だけの腫れや痛みがある
一般的な症状
- がん治療にともなう疲れやすさ(がん疲労)
- 筋力や体力の低下
- 気分の落ち込みや不安感
- 睡眠の質の低下
子供の症状
- 治療中は、からだを動かすと気分がすっきりすることがあります。
- 子どもは「遊び」のなかで体を動かすことを楽しめるようにします。
- 無理に運動をさせず、その日の体調に合わせて休むことも大切です。
高齢者の症状
- 運動は転倒予防や筋力維持に役立つことがあります。
- ふらつきや痛みがあるときは、無理をしないでください。
- 座ったままできる運動など、安全で負担の少ない動きから始めます。
原因
主な原因
- がんの治療(手術、抗がん薬治療、放射線治療など)によって体に負担がかかり、疲れや筋力低下が起こることがあります。
- 治療中に安静にしすぎると、体力が落ちてさらに動きにくくなることがあります。
- 運動を取り入れることで、血流がよくなり、筋肉が保たれて、気持ちの安定につながることがあります。
リスク要因
- 治療中で体調が不安定なとき
- 骨転移や神経の症状があるとき
- 血液の値(赤血球や血小板など)が大きく低下しているとき
- 心臓や肺に病気があるとき
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 運動後に胸部の痛み、強い動悸、息切れが続く場合は、すぐに医療機関へ相談してください。
- 発熱や出血、急な痛みがある場合も、運動を中止して医師に連絡してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 運動を始める前に、担当医に「どんな運動なら安全か」を確認しましょう。
- 体調が変わったとき、運動後のだるさが長引くときは、外来で相談しましょう。
診断
これは「がん」の診断ではなく、運動を安全に行うための体の状態を確認するものです。医師や看護師、理学療法士が、あなたの体調や治療の状況を聞き取り、運動の目安を決めます。
行われる可能性のある検査
- 問診(体調や治療内容の確認)
- 血圧や心拍数の測定
- 必要に応じて心電図や血液検査
診察で予想されること
初回は、あなたの体に合わせた運動メニューを一緒に考えます。いきなり強い運動をするのではなく、短時間・低負荷から始めて、少しずつ調整していくのが基本です。
治療
運動は、がん治療そのものではなく、「治療中から治療後にかけて、心身のつらさをやわらげ、日常生活の質を保つための補助的なケア」です。治療の代わりにはなりません。
自宅でのセルフケア
- 朝起きたら、ベッドの上でゆっくり関節を動かす
- 5分だけ近所を歩くなど、短い散歩から始める
- 深呼吸や、座ったままの腕や脚の運動を取り入れる
- 体調の良い時間帯を選んで、少しだけ動く
- 水分をこまめに取り、暑い時間・寒い時間を避ける
医療治療
医療機関では、理学療法士や作業療法士による運動療法、リハビリテーション、呼吸訓練、ストレッチなどのプログラムが行われることがあります。薬を使う場合もありますが、必ず医師の判断で処方されます。
手術が検討される場合
手術前後の運動は、担当医の指示に従って行います。創部の状態や排液などによって制限があるため、自己判断で行わないでください。
この病気と共に生きる
がん治療中の毎日は、体調の波があります。運動は「やらなければならない」ものではなく、「今日の自分に合うものを少しだけ」という気持ちで続けるのがポイントです。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠をしっかりとり、体を休める日をつくる
- 疲れが強いときは運動を見合わせる
- 運動の記録をつけて、体調の変化に気づく
- 家族や友人に運動の目標を話して、励まし合う
食事と運動
栄養バランスのよい食事をとることは、運動の効果を支えます。ただし、治療中は食欲が落ちることもあるので、無理をせず、食べられるものを少しずつ。かかりつけ医や管理栄養士に相談しましょう。
精神的健康と心の健康
運動には、気分を安定させ、不安をやわらげる効果が期待できます。ただし、がんの治療中は悲しみや不安があらわれることも自然です。一人で抱え込まず、心のつらさを医療者や相談機関に話してください。精神保健福祉センターなど、公的な相談窓口もあります。
予防
運動だけでがんを完全に予防することはできません。しかし、適度な運動は、肥満を防ぎ、免疫力やホルモンバランスの改善などを通じて、特定のがんのリスクを下げる可能性があります。
ワクチン
一部のがんは、ウイルス感染が原因となることがあり、予防接種が有効な場合があります。日本では、厚生労働省が定期接種や任意接種の情報を提供しています。詳しくは医師に相談してください。
検診プログラム
日本では、厚生労働省がすすめているがん検診があります。定期的な検診は、早期発見・早期治療につながります。受診の間隔や対象年齢は自治体によって異なるため、お住まいの地域の案内を確認しましょう。
合併症
治療しない場合
- 運動をしないで安静にしすぎると、筋力や心肺機能が低下し、日常生活がつらくなることがあります。
- 体力が落ちると、治療の中断や入院の延長につながる可能性があります。
- 気分の落ち込みが続くと、生活の質や治療への意欲に影響することがあります。
長期的な見通し
運動療法は、あなたの状態に合わせて続ければ、多くの場合、体力と気持ちを支える助けになります。がん治療のゴールは人それぞれですが、無理のない運動を取り入れることで、自分らしい日常を少しずつ取り戻せる可能性があります。必ず医療チームと相談しながら進めてください。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月14日
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