がんの放射線治療(放射線療法)
概要
放射線治療とは、強いX線などの放射線をがんの部分に当てて、がん細胞を壊す治療法です。手術や薬物療法と並ぶ、がんの三大治療の一つです。がんを治すことを目指して行われることもあれば、痛みなどの症状を和らげる目的で行われることもあります。
重要な事実
- 放射線治療には、体の外から放射線を当てる外部照射と、体内に放射性物質を置く内部照射(小線源治療)があります。
- 治療自体に痛みはなく、多くの場合は通院で受けることができますが、通う回数はがんの種類や状態によって異なります。
- 正常な細胞への影響をできるだけ少なくするために、治療前に専用のCTを撮るなどして、一人ひとりに合わせた詳しい治療計画を立てます。
日本では、がんと診断された方のおよそ半数が、治療のどこかの段階で放射線治療を受けていると言われています。厚生労働省のがん対策の指針でも、放射線治療は重要な治療法の一つとされています。
放射線治療は、がんの種類や進行度、体の状態によって適応が決まりますが、年齢を問わず、小さな子どもから高齢者まで、幅広い方が対象になり得ます。治療方針は、患者さんの希望や生活スタイルも考慮して、医療チームと相談しながら決めていきます。
症状
- 高熱(38度以上)が出た
- 息苦しさや呼吸のしにくさを感じる
- 意識がもうろうとする、または急に倒れる
- 吐いたものに血が混じる
- ⚠放射線を当てた部分の皮膚が水ぶくれになったり、ただれたりして強い痛みがある
- ⚠飲み込むことができないほどのどや口の中の痛みがある
- ⚠下痢や嘔吐が続いて、水分が取れない
一般的な症状
- 放射線を当てた部分の皮膚が赤くなったり、かゆみや乾燥が出ることがあります。
- 疲れやすさ(倦怠感)を感じることがあります。治療が進むにつれて強くなることがありますが、多くは治療後しばらくすると回復します。
- 治療する場所によっては、吐き気、食欲不振、下痢、口内炎などが出ることがあります。
子供の症状
- 子どもの場合は、成長や発達に影響が出る可能性があるため、治療後も長期的にフォローアップ(経過観察)を行います。
- 治療中は、だるさや眠気が強まることがあります。また、治療を受けることへの不安や恐怖が強いことがあるため、周りの大人の支えが大切です。
高齢者の症状
- 高齢者は、特にだるさ(疲労感)が強く出ることがあります。
- 持病(糖尿病や心臓病など)がある場合は、治療の影響が出やすかったり、使っている薬との関係に注意が必要な場合があります。治療前に医師にすべての薬を伝えてください。
原因
主な原因
- 放射線治療は、がん細胞のDNAを傷つけて増殖を止めたり、細胞を死滅させたりすることで効果を発揮します。
- 同時に、放射線を浴びた周囲の正常な細胞も一時的に傷つくことがあり、これが主な副作用の原因になります。
リスク要因
- 治療する範囲が広い
- 放射線の総量(線量)が多い
- 化学療法(抗がん剤治療)と併用している
- 皮膚や粘膜が敏感な体質、または高齢や持病がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上に挙げた緊急の症状(高熱、息苦しさなど)がある場合は、すぐに医療機関に連絡してください。
- 皮膚のただれや強い痛み、飲み込めないほどのどや口の痛みがある場合も、早めに受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 治療中に気になる症状があれば、我慢せずに医療チームに相談してください。
- 食欲が落ちた、体重が減った、つらい疲れが続くなどの変化も、伝えてください。
診断
がんの診断は、さまざまな検査で確認されます。放射線治療が必要かどうかは、がんの種類、場所、進行度、患者さんの体の状態などを総合的に判断して決まります。
行われる可能性のある検査
- CT(コンピューター断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)などの画像検査
- 病理検査(組織を採取して顕微鏡で調べる検査)
- 血液検査
- PET(陽電子放出断層撮影)検査など
診察で予想されること
診断後、放射線治療を担当する医師が治療計画を立てます。治療前には、治療用のCT撮影を行い、体の形に合わせて照射範囲や線量を精密に決めます。計画について詳しい説明を受け、同意した上で治療が始まります。治療が始まるまでに数日から数週間かかることがありますが、必要な準備です。
治療
放射線治療は、大きく分けて体の外から放射線を当てる「外部照射」と、体内に放射性物質を置く「内部照射(小線源治療)」があります。どちらの方法でも、がん細胞を壊すことを目的としています。治療は、通常は数週間かけて、週に数回行います。1回の治療自体は数分から十数分程度で、痛みはありません。
自宅でのセルフケア
- 治療した皮膚は、やわらかいタオルで押すように拭き、こすらないようにしましょう。
- 皮膚の清潔を保ちますが、刺激の少ない石けんを使ったり、ぬるま湯で静かに洗うようにしましょう。
- 処方されたクリームなどを医師の指示に従って使用しましょう。市販の薬や軟膏を自己判断で使わないでください。
- 疲れを感じたら、無理をせず十分に休息をとりましょう。
医療治療
放射線治療は、単独で行うこともあれば、手術や薬物療法(抗がん剤治療など)と組み合わせて行うこともあります。治療方法、治療の期間、回数、総線量は、がんの種類や進行度、患者さんの体調や希望に合わせて個別に決められます。治療の目的(根治を目指す、再発を防ぐ、症状を和らげる)や、起こり得る副作用について、医師が丁寧に説明します。具体的な薬剤の名前や用量は、担当医師が患者さんの状況に応じて決定します。
手術が検討される場合
手術が難しい場所にあるがんや、早期のがんでは、手術の代わりに放射線治療が選ばれることがあります。また、手術後にがんが再発するのを防ぐため、放射線治療を追加して行うこともあります。手術と放射線治療のどちらが適しているかは、医師とよく相談して決めることが大切です。
この病気と共に生きる
放射線治療中は、体を休めることがとても大切です。通院治療の場合は、治療後も普段の生活を送ることができますが、体力に合わせて無理のない範囲で過ごしましょう。仕事や家事との両立に不安があるときは、病院の医療ソーシャルワーカーや看護師に相談すれば、制度の利用などについてアドバイスをもらえます。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠と休息をとる
- 肌のトラブルがあれば、早めに医療チームに相談する
- 喫煙や過度の飲酒は治療の効果や副作用に影響する可能性があるため、医師に相談する
- 感染症予防のため、手洗いやうがいを心がける
食事と運動
食欲があるときは、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。吐き気や食欲不振がある場合は、無理をせず、食べやすいものを少しずつ食べるようにします。軽い運動(散歩など)は体力を保つのに役立ちますが、体調と相談しながら行ってください。食事について気になることがあれば、病院の管理栄養士に相談することもできます。
精神的健康と心の健康
がんの診断や治療は、心に大きな負担がかかることがあります。不安や悲しみ、怒りを感じるのは自然なことです。一人で抱え込まず、家族や友人、医療チームに気持ちを話しましょう。気分の落ち込みが続いて日常生活に支障がある場合は、早めに医師に相談してください。もし、強い絶望感や自分を傷つけたいという気持ちがある場合は、すぐに医療機関に相談してください。緊急のときは、救急車(119番)を呼んでください。あなたは一人ではありません。
予防
すべてのがんを完全に予防することはできませんが、喫煙をしない、バランスの良い食事をとる、適度な運動をする、感染症を予防するなどの生活習慣の見直しにより、がんのリスクを下げられることがあります。また、放射線治療の副作用は、一人ひとりに合わせた治療計画を丁寧に立てることで、できる限り減らすことができます。
ワクチン
一部のがんは、ウイルス感染が原因になることがあります。例えば、子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)感染が関係しているため、ワクチン接種が予防に役立つ場合があります。予防接種ががんの予防にどのように役立つかは、医師に相談してください。
検診プログラム
がんは早期発見が重要です。自治体が行うがん検診(胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんなど)を定期的に受けましょう。検診の対象年齢や間隔は自治体によって異なります。詳しくは、お住まいの地域の検診案内をご確認ください。
合併症
治療しない場合
- がんを治療しない場合、がんが大きくなって周りの臓器に広がったり、離れた場所に転移したりすることがあります。
- 進行すると、痛み、臓器の働きの低下(例えば、食べられない、息苦しいなど)、生活の質に影響する症状が現れることがあります。
長期的な見通し
放射線治療は、多くのがんに対して高い効果が期待できる治療法です。がんが治ることもありますし、痛みや出血などの症状を和らげて、その人らしい生活を長く送れるようにすることもできます。治療中の副作用の多くは、治療が終わると時間の経過とともに改善していきます。不安なことや疑問があれば、いつでも医療チームに相談してください。あなたのペースで治療に向き合っていきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
情報源とガイダンス
この記事で使用した情報源には、以下に示す参考文献が含まれます。
最終更新: 2026年10月20日
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