カンジダ・アウリス(Candida auris)とは
概要
カンジダ・アウリスは、カビの一種(酵母と呼ばれる菌)です。健康な人にはめったに病気を起こしませんが、入院中の人や免疫力が落ちている人では、血液や傷口、耳などに感染することがあります。特に、多くの薬が効きにくい性質を持っているため、医療現場で注意が必要な菌として知られています。
重要な事実
- 健康な人にはほとんど感染しません。
- 主に病院や介護施設で、医療機器や人手を介して広がります。
- 多くの抗真菌薬(菌をやっつける薬)が効きにくいことがあります。
- 感染しても症状がないこともありますが、重症化すると敗血症になる可能性があります。
まだまれな感染症ですが、世界的に報告が増えており、日本でも医療機関での注意が呼びかけられています。
主に免疫力が弱っている人、人工呼吸器やカテーテルなどの医療機器を使っている人、長期間入院している人、介護施設に入所している高齢者に影響します。
症状
- 高熱が続く
- 呼吸が速い、または息苦しそう
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- 急に血圧が下がった感じ(顔色が真っ青、手足が冷たい)
- ⚠医療機関で処置を受けた後、数日以内に発熱や悪寒が出た
- ⚠傷口の赤みや腫れが広がる、痛みが強くなる
- ⚠耳の痛みや分泌物が続く
一般的な症状
- 発熱や悪寒
- 体のだるさ、疲れやすさ
- 筋肉や関節の痛み
- 感染した場所によって起こる症状(例:傷口の赤みや腫れ、耳の痛みや分泌物)
子供の症状
- 子どもでは、発熱のほかにぐずりや不機嫌、哺乳量の減少、元気のなさが見られることがあります。
高齢者の症状
- 高齢者では、急に意識がぼんやりしたり、混乱した様子が見られることがあります。また、平熱でも重症化していることがあるので注意が必要です。
原因
主な原因
- カンジダ・アウリスという真菌(カビ)が体の中に入ることによって起こります。
- 感染者の皮膚や環境、医療機器に付いた菌が手を介して広がることがあります。
リスク要因
- 長期の入院や集中治療室(ICU)での治療
- 中心静脈カテーテルや尿カテーテルなどの医療機器の使用
- 人工呼吸器の使用
- 抗生物質やステロイド薬の長期使用
- 糖尿病やがんの治療などで免疫力が低下している
- 手術の既往
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 入院中または医療処置後に発熱、悪寒、意識の変化、息苦しさがある場合
- 感染した可能性のある傷や装置があり、赤み・腫れ・痛みが悪化する場合
定期受診を予約すべき場合:
- 医療機関で「カンジダ・アウリスが検出された」と伝えられたが、症状がない場合でも、今後の経過について医師に相談しましょう。
- 免疫力が低い状態で、感染の不安がある場合は、予約診療で相談できます。
診断
医療機関で、血液、尿、傷の分泌物、耳だれなどの検体を採取し、検査室で培養(菌を増やす検査)して、菌の種類を特定します。
行われる可能性のある検査
- 血液培養(血液の中に菌がいないかを調べる)
- 傷口や分泌物の培養検査
- 菌がどの薬に効くかを調べる薬剤感受性検査
診察で予想されること
検査は主に病院で行われます。結果が出るまで数日かかることがあります。もし陽性と判明しても、必ずしも病気になるわけではなく、体に菌がいるだけの「コロニゼーション(定着)」の場合もあります。医師は、あなたの状態や検査結果をふまえて、必要な対応を説明してくれます。
治療
カンジダ・アウリス感染症の治療は、感染の場所や重症度に応じて、医療機関で抗真菌薬を使って行われます。ただし、この菌は多くの薬に耐性(効きにくい)ことがあるため、専門的な判断が必要です。薬の種類や使い方は、個々の状況で異なります。
自宅でのセルフケア
- 医療スタッフの指示に従って、手洗いや衛生管理を徹底しましょう。
- カテーテルや医療機器の扱いは医師や看護師に任せ、自分で触らないようにしましょう。
- 発熱や体調の変化があったら、すぐに医療者に相談しましょう。
医療治療
医師は、培養検査でわかった薬の効き目に基づいて、適切な抗真菌薬を選びます。重症の場合には、数種類の薬を組み合わせたり、感染源となっているカテーテルや静脈ラインを抜去する処置が行われます。治療は入院が必要になることも多く、感染症専門医の指導のもとで進められます。
手術が検討される場合
外科手術が必要になることはまれですが、感染した心臓ペースメーカーや人工関節などの医療機器がある場合は、それを取り除く処置が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
体にカンジダ・アウリスがいても症状がない場合(定着)は、通常の生活を送ってかまいません。ただし、入院や介護施設では、ほかの人への感染を防ぐための注意事項があります。医療スタッフの指示に従い、手洗いや手指消毒を心がけましょう。
生活習慣のアドバイス
- 流水と石けんで丁寧に手を洗う。
- 手指消毒をこまめに行う。
- 不必要な抗生物質を求めない。
- 免疫力を保つために十分な睡眠と休息をとる。
食事と運動
感染予防に特別な食事はありませんが、バランスのよい食事と適度な運動で体力と免疫力を維持することが大切です。糖尿病などの基礎疾患があれば、それをしっかりコントロールすることも重要です。
精神的健康と心の健康
感染力が強い菌と聞くと不安になるかもしれません。しかし、感染しても多くの人は治療で回復します。不安やストレスが強いときは、医師や看護師、家族に話し、一人で抱え込まないようにしましょう。
予防
完全に防ぐことは難しいですが、医療機関では手指衛生、手袋・ガウン・マスクなどの使用、環境の消毒、接触感染対策を徹底することが重要です。日本では厚生労働省が医療機関向けに感染対策の指針を出しています。入院中は、医療スタッフの手洗いや手指消毒を安心して確認してよいでしょう。
ワクチン
現在、カンジダ・アウリスを予防するワクチンはありません。
検診プログラム
健康な人に対する一般的なスクリーニング検査は推奨されていません。病院内で感染が広がっている場合は、接触した患者さんを対象に検査が行われることがあります。
合併症
治療しない場合
- 血流に菌が入ると、敗血症(全身に感染が広がる重い状態)になることがあります。
- 心内膜炎、髄膜炎、骨や関節の感染など、全身の臓器に感染が広がる可能性があります。
- 治療が遅れると、命に関わることがあります。
長期的な見通し
カンジダ・アウリス感染症は深刻な病気になることもありますが、早期に発見して適切な治療を受けられれば、回復する可能性は十分にあります。また、体に菌がいるだけの定着状態であれば、病気を起こさないまま経過することも多いです。医療チームとしっかり連携し、あきらめずに治療に取り組むことが大切です。
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最終更新: 2026年10月20日
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