心肺蘇生法(CPR)とは
概要
心肺蘇生法(CPR)は、心臓が止まる、または呼吸が止まった人の命を救うための緊急の手当てのことです。胸の真ん中を強く速く押して、血液を心臓から全身に送り出し、脳や臓器に酸素を届けます。
重要な事実
- CPRは救急隊が到着するまでに行うことで、生存の可能性を2〜3倍に高めます。
- 胸骨圧迫(胸を押すこと)と人工呼吸(口から空気を送ること)が基本になります。
- AED(自動体外式除細動器)という機械を使うと、心臓のリズムを整える電気ショックができる場合があります。
心停止は日本でも毎年多くの人に起こります。しかし、CPRを実際に行う場面に直面する人はまれです。だからこそ、知識と技術を身につけておくことが大切です。
心停止は子どもから高齢者まで、誰にでも起こり得ます。しかし、もっとも多いのは心臓病を持つ中高年の方です。周囲にいる人が救命のカギを握るため、すべての人にCPRの学習がすすめられています。
症状
- 呼びかけに反応せず、呼吸がないとき(またはあえぎ呼吸のとき)
- 心停止が疑われるとき
- 胸の強い痛み、息苦しさ、冷や汗などの症状をともなって意識が薄れそうなとき
- ⚠救急車が到着するまで、その場でCPRとAEDの使用を続けてください
- ⚠周りの人に119番への通報とAEDの手配を頼んでください
一般的な症状
- 突然、意識を失う
- 呼吸が止まっている、またはあえぎのような不規則な呼吸だけ
- 呼びかけや刺激に反応しない
- 脈が触れない
子供の症状
- 上の症状に加えて、けいれんやぐったりする様子が見られることがある
- 溺水や窒息など、呼吸のトラブルが原因で起こることも多い
高齢者の症状
- 胸の痛み、冷や汗、吐き気などの心筋梗塞の前ぶれがあることがある
- 意識はあるが、突然弱って倒れることもある
原因
主な原因
- 心筋梗塞や不整脈などの心臓の急なトラブル
- 溺水による窒息
- 重いケガや出血
- 薬物の過剰使用
- 煙を吸い込むことによる呼吸障害
リスク要因
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病
- 運動不足
- 過度の飲酒
- 心臓病の家族歴
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然、意識を失って倒れた人を見かけたら、すぐに119番に通報してください。
- 呼吸や反応がなければ、即座にCPRを開始してください。
- AEDが近くにあれば、指示にしたがって使ってください。
定期受診を予約すべき場合:
- 心臓に不安がある方は、定期健診やかかりつけ医の相談をすすめます。
- CPRの資格や講習会を家庭や職場で受けて、定期的に復習することをおすすめします。
診断
心停止は病気というより、緊急の状態です。診断は、その場での観察と確認によって行われます。意識があるか、呼吸があるかを素早く確かめ、異常があればCPRを開始します。
行われる可能性のある検査
- その場での意識・呼吸の確認
- 救急隊による心電図モニタリング
- 病院での血液検査や画像検査(原因の特定のため)
診察で予想されること
病院に到着後は、医師が心停止の原因を調べ、集中治療が始まります。検査や処置について、担当医が家族に説明します。
治療
CPRは心停止が起きたときの最初の処置であり、救急隊や病院に引き継ぐまでの一時的な命をつなぐ方法です。最優先は、できるだけ早く胸骨圧迫を始め、AEDを使うことです。
自宅でのセルフケア
- 地域の消防署や日本赤十字社などが開催するCPR講習会に参加して、正しい技術を学びましょう。
- AEDの使い方を事前に確認し、職場や学校などでどこに置いてあるか把握しておきましょう。
- 周囲の人と役割を分担して、119番通報、AEDの確保、CPRの交代などができるようにしておきましょう。
医療治療
病院では、心停止の原因に応じて、心臓の働きを助ける薬、呼吸を維持するための処置(人工呼吸器)、体温を管理する治療(目標温度管理)、心臓カテーテル検査などが行われます。具体的な治療法は、患者さんの状態によって医師が選択します。
手術が検討される場合
症状(原因)によっては、狭くなった血管を広げるカテーテル治療や、心臓に埋め込むペースメーカーなどの手術が検討されることがあります。ただし、これは心停止後の原因治療であり、CPRそのものに対する手術ではありません。
この病気と共に生きる
心停止から回復した後は、体の状態に合わせて日常生活を少しずつ取り戻します。リハビリテーションや定期的な通院、医師の指示を守ることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙をする
- 医師の指導に従って、適度な運動を続ける
- 十分な睡眠をとり、ストレスをためないようにする
- 飲酒は控えめにする
食事と運動
バランスのよい食事を心がけ、塩分や脂肪をとりすぎないようにしましょう。医師の許可があれば、ウォーキングなどの軽い運動をはじめるのも安心です。
精神的健康と心の健康
心停止を経験した後は、不安や恐怖、記憶の混乱などを感じることがあります。感情を無理に抑えず、家族や医療者に話すことが回復の助けになります。
予防
心停止そのものを完全に防ぐことはできませんが、心臓病のリスクを減らすことで、心停止の発生を抑えられる可能性があります。規則正しい生活、健診、持病の管理が重要です。
合併症
治療しない場合
- CPRを行わないと、血流が止まったままになるため、脳に酸素が届かず、数分で脳の障害が始まります。
- 救命されたとしても、後遺症が残る可能性が高くなります。
長期的な見通し
心停止が起きたとき、その場でCPRが行われた人は、行われなかった人に比べて生存率が大きく高まります。救急隊が到着するまでの間、誰かが胸骨圧迫を続けるだけで、命がつながる可能性があります。希望をもって、正しい行動を覚えておきましょう。
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情報源とガイダンス
このトピックは、この臨床教科書を参照しています。
最終更新: 2026年10月21日
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