在宅ケア:住み慣れた家で自分らしく暮らすために
概要
在宅ケアとは、病気やけがを抱える人に対して、医師や看護師、介護士などの専門職が自宅を訪問して、医療や日常生活の支援を行うケアです。本人が住み慣れた家で、できる限り自立した生活を続けられるようにすることを目的としています。
重要な事実
- 在宅ケアには、医師が定期的に訪問する「訪問診療」と、必要なときに訪問する「往診」があります。
- 介護保険を利用すると、訪問看護・訪問介護・訪問リハビリなどのサービスを受けることができます。
- 費用には保険が適用されますが、サービスの種類や頻度によって自己負担があります。ケアマネジャーに相談すると制度の説明が受けられます。
日本では高齢化が進み、在宅ケアを利用する方は増えています。厚生労働省の調査でも、多くの高齢者が住み慣れた家で暮らし続けることを希望しています。
主に、脳卒中や認知症、がんなどの慢性疾患を持つ高齢者とその家族です。また、障がいのある方、医療的ケアが必要な子ども、手術後の回復期にある方なども在宅ケアを利用します。
症状
- 呼吸が止まる、または非常に苦しく息をしている
- 意識がない、呼びかけに反応しない
- 胸の激しい痛みや圧迫感が5分以上続く
- 顔がゆがむ、片側の手足が動かない、言葉がしゃべりにくい
- けいれんが5分以上止まらない
- 大量の止血が難しい出血
- 頭を強く打ち、嘔吐や意識混濁がある
- ⚠39度以上の熱が高い、またはぐったりしている
- ⚠下痢や嘔吐が続いて水分が取れない
- ⚠薬を誤って大量に飲んだ、または間違った薬を飲んだ
- ⚠在宅酸素や吸引の機械トラブルで呼吸状態が悪化した
- ⚠点滴・カテーテル・人工肛門などの医療デバイスに赤み・痛み・詰まりなどの異常がある
- ⚠強い痛みが突然出た
一般的な症状
- 自宅でふらつきや転倒が増えた
- 食事や服薬を忘れる、火の消し忘れが目立つ
- 入浴や着替え、トイレに時間がかかる・介助が必要になった
- 物忘れが進行し、身の回りの管理が難しくなった
- 傷が治りにくい、床ずれ(褥瘡)ができた
- 足腰が弱って外出が減り、閉じこもりがちになった
子供の症状
- 呼吸が速い、または息苦しそう
- 顔色が青白い・唇が紫
- けいれんが短時間でも起こった
- 哺乳・授乳ができない、または水分が取れない
- 発熱が続く、元気がない
- 吸引や酸素が必要な子どもでは、機械のトラブルや痰の増加に注意
高齢者の症状
- 食欲が落ちて体重が減った
- 夜間の不眠や興奮、徘徊がみられる
- 尿漏れ・失禁が増えた
- おしっこの量が減る、口が乾くなど脱水の兆候
- 歩行状態が不安定になり、つかまり歩きになった
- 薬の飲み間違いや飲み忘れが増えた
原因
主な原因
- 脳卒中(脳梗塞・脳出血)の後遺症による半身まひや言語障がい
- 認知症(アルツハイマー型など)による生活能力の低下
- 心不全や呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患など)による頻回の症状悪化
- がんの進行に伴う痛みや倦怠感などの緩和ケアの必要性
- 高齢による虚弱(フレイル)や筋肉量の減少(サルコペニア)
- 重度の障がいや難病による医療的ケア(たん吸引、経管栄養、人工呼吸器など)
リスク要因
- 高齢になるほど要介護状態のリスクが高まる(特に85歳以上)
- 糖尿病、心臓病、脳卒中などの慢性疾患を複数持っている
- 独居または高齢者夫婦のみの世帯
- 認知症の人がいる家族(物忘れによる生活障害が顕在化する)
- 介護者の体力や時間に余裕がない(老老介護・認認介護)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 本人の状態が急に悪くなった場合、すぐにかかりつけ医または在宅ケアチームに連絡する(例:意識がぼんやりしてくる、呼吸が苦しそう、血圧が極端に高い・低い)
定期受診を予約すべき場合:
- 在宅ケアを始めたい場合、介護保険の認定を受けたい場合、かかりつけ医や地域包括支援センターに相談したい場合は、診察の予約をして相談しましょう。
診断
在宅ケアの必要性は、医学的な診断と、本人の生活機能の評価を合わせて判断します。かかりつけ医が診察し、必要に応じて訪問看護の情報や要介護認定の結果を参考にします。
行われる可能性のある検査
- 要介護認定:市区町村の窓口で申請し、認定調査を受ける
- 主治医の診断書:病気の状態と在宅医療の必要性を記載
- 日常生活動作(ADL)の評価:食事・排泄・入浴・移動などの自立度を確認
- 認知機能評価:認知症が疑われる場合の簡易検査など
- 医療的ケアの必要性評価:たん吸引、経管栄養、酸素療法などが必要か
診察で予想されること
在宅ケアを始めることが決まったら、ケアマネジャー(介護支援専門員)が中心となりケアプランを作成します。訪問医師、訪問看護師、訪問介護員、リハビリ職などがそれぞれの役割を説明してくれます。利用開始後も定期的な評価に基づいてプランを見直します。
治療
在宅ケアの治療は、病気そのものを治すことだけを目指すのではなく、本人の生活の質(QOL)を高めることを重視します。医師の指示のもと、服薬管理、症状の緩和、リハビリテーション、日常生活の支援を組み合わせて行います。
自宅でのセルフケア
- 自宅の安全対策を行う(手すりの設置、段差の解消、滑り止めマット)
- 薬はお薬手帳と仕分け容器を使って正しく管理する
- 床ずれ予防のために、体位を2時間おきに変える・皮膚を清潔に保つ
- 口腔ケアを徹底して肺炎を予防する
- 室温と湿度を適切に保つ(高齢者では18~25度程度)
- 介護者自身の休息を計画に組み込み、必要に応じて介護サービスを利用する
医療治療
在宅医療で行われる治療には、医師の訪問診療、看護師による点滴やたん吸引、胃ろうや中心静脈栄養などの管理、理学療法士や作業療法士によるリハビリテーション、薬剤師による服薬指導などがあります。痛みや呼吸困難などの症状に対しては、医師が本人の状態に合わせて緩和ケアの方法を選択します。どの治療や薬を使うかは、必ず医師や専門職の指示に従ってください。
手術が検討される場合
在宅ケアそのものに手術は必要ありません。ただし、骨折や急性の外傷、悪性腫瘍などが原因で入院して外科手術が必要になることがあります。退院後も在宅ケアを続けられるよう、退院前から医療・介護チームが調整を行います。
この病気と共に生きる
在宅ケアの生活は、本人のペースを尊重しながら、できることは本人が行い、支援が必要な部分だけサポートするのが基本です。朝の起床から夜の就寝までの流れを一定にすることで、生活リズムが整いやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 毎日同じ時間に起きて、朝の光を浴びる
- 可能な範囲で自分で体を動かす(座る・立ち上がる・歩く)
- 趣味や家族との会話を大切にする
- デイサービスや受診などを利用して外出の機会を作る
- 介護者は週に一度は自分の時間を確保する
食事と運動
食事は、栄養バランスが良く、噛みやすく飲み込みやすいものを工夫します。食欲がないときは少量を1日数回に分ける方法もあります。水分は1日1~1.5リットルを目安に、脱水にならないようこまめに摂ります。ただし心臓や腎臓の病気がある場合は、医師の指示に従ってください。運動は、転倒しないよう安全な範囲で行い、リハビリ職の指導があればそれに沿って進めます。
精神的健康と心の健康
介護する側の家族は、気づかないうちにストレスをため込み、抑うつ状態になることがあります。介護に追われて自分の健康をないがしろにしないようにしましょう。感情のコントロールができない、眠れない、死にたいと感じるようなときは、一人で悩まず、医療機関や地域の相談機関にすぐ連絡してください。あなたの安全はとても大切です。
予防
在宅ケアが必要になる状態を完全に防ぐことはできませんが、健康な状態を保つことでリスクを下げられます。運動習慣、バランスの良い食事、社会参加、慢性疾患の治療継続が重要です。また、早期に介護予防サービスを利用することで、悪化を防げます。
ワクチン
インフルエンザや肺炎球菌などのワクチンは、高齢者の重症化予防に効果があります。接種時期や対象者については、かかりつけ医に相談し、自治体の案内を確認してください。
検診プログラム
定期的な健康診断(特定健診)やがん検診、骨粗鬆症検診、歯科健診を受けることで、病気を早期に発見できます。市区町村の健診予約窓口を利用しましょう。
合併症
治療しない場合
- 転倒による骨折、長期間の寝たきりにつながる
- 床ずれ(褥瘡)の悪化、細菌感染や敗血症のリスク
- 誤嚥性肺炎の反復による呼吸不全
- 認知症の周辺症状(暴言・徘徊)が悪化する
- 介護者の疲労による体調不良・介護うつ
- 在宅療養が継続できなくなり、緊急入院や施設入所を余儀なくされる
長期的な見通し
適切な在宅ケアを受けることで、多くの方が住み慣れた家で充実した日々を過ごせます。状態は常に変化するため、その都度チームでプランを見直しながら、最期までその人らしく生きられるよう支援が行われます。決して楽ではありませんが、専門職と一緒に進められることで、希望を持って生活を続けていくことができます。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
情報源とガイダンス
この記事で使用した情報源には、以下に示す参考文献が含まれます。
最終更新: 2026年10月20日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.