頸動脈の手術(頸動脈内膜剥離術)について
概要
頸動脈(けいどうみゃく)は、首の中を通って脳に血液を送る太い血管です。動脈硬化(どうみゃくこうか)によって血管の内側にコレステロールなどがたまり、血管が細くなったり、たまった塊(プラーク)が血液に乗って脳の血管を詰まらせたりすると、脳卒中(のうそっちゅう)の原因になります。頸動脈内膜剥離術(けいどうみゃくないまくはくりじゅつ)は、首を切開して頸動脈にたまったプラークを取り除く手術です。これによって、脳卒中を予防することを目的としています。
重要な事実
- 手術中は、全身麻酔または局所麻酔で行われます。
- 血管にたまったプラークをはがして取り除きます。
- 脳卒中を予防する効果が高いとされている手術です。
頸動脈が細くなる頸動脈狭窄(けいどうみゃくきょうさく)は、加齢とともに比較的よくみられる病気です。ただし、手術が必要になる方は、脳卒中のリスクが高い方に限られます。
主に50歳以上の方で、高血圧(こうけつあつ)・脂質異常症(ししついじょうしょう)・糖尿病(とうにょうびょう)がある方、喫煙者、動脈硬化の家族歴がある方に多くみられます。
症状
- 突然、顔の片側が下がる
- 片方の腕が上がらない、力が入らない
- 言葉がしゃべれない、または相手の言うことが理解できない
- 激しい頭痛が突然起こる
- 片目の視力が急に失われる
- このような症状が急に現れたら、ためらわずに119番へ通報してください。
- ⚠一時的に数分~1時間以内で消える手足の麻痺やしびれ
- ⚠一時的に言葉がしゃべりにくい
- ⚠一時的に片目が見えにくい(一過性黒内障)
- ⚠このような症状は「一過性脳虚血発作(TIA)」の可能性があり、早めの受診が必要です。
一般的な症状
- 多くの場合、自覚症状はありません。
- 一時的に片側の手足が動かしにくい、しびれる
- 片目が見えにくくなることがある(一時的な視力障害)
- 言葉が出にくい、相手の言葉が理解しにくい
原因
主な原因
- 原因のほとんどは動脈硬化(どうみゃくこうか)です。血管の内壁にコレステロールや脂肪などのプラークという塊がたまります。
- プラークが大きくなると血流が悪くなるだけではなく、プラークがはがれて塊(血栓)ができ、脳の血管を詰まらせることがあります。
リスク要因
- 脂質異常症(コレステロール値が高い)
- 運動不足
- 家族に動脈硬化や脳卒中の人がいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記のようなTIAの症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診してください。
- 脳卒中のような症状が突然現れた場合は、119番に通報してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断で「血管が細い」「頸動脈に雑音がある」と指摘された方
- 高血圧・糖尿病・脂質異常症などがあり、動脈硬化が心配な方
診断
まず問診と聴診を行い、首の血管に雑音(血液の流れが乱れている音)がないかを確認します。その後、画像検査で頸動脈の狭窄の程度を調べます。
行われる可能性のある検査
- 頸動脈エコー(超音波検査)
- 脂質・血糖などの血液検査
- MRI(磁気共鳴画像)やCT(コンピューター断層撮影)による血管造影
診察で予想されること
検査は外来で行えるものが多く、痛みはほとんどありません。結果は数日でわかります。必要に応じて脳神経外科や血管外科の専門医を紹介されます。
治療
治療の目的は、脳卒中を予防することです。狭窄が軽い場合は、生活習慣の改善と薬で経過をみます。狭窄が強い場合やTIA・脳卒中を起こしたことがある場合は、手術(頸動脈内膜剥離術)が検討されます。
自宅でのセルフケア
- 禁煙する
- 規則正しい生活を送る
- ストレスをためない
- 処方された薬を指示どおりに飲む
- 血圧や血糖値を自分で管理する
医療治療
血圧を下げる薬、コレステロールを下げる薬、血液が固まりにくくなる薬(抗血小板薬)などが使われます。これらの薬は脳卒中予防に有効ですが、必ず医師の処方に従って服用してください。薬の種類や量は、医師があなたの状態に合わせて決定します。
手術が検討される場合
頸動脈の狭窄が70%以上の重度の場合、またはTIAや軽い脳卒中を起こしたことがある場合は、脳卒中再発のリスクを下げるために手術が勧められることがあります。ただし、年齢や全身状態を考慮して、医師が総合的に判断します。
この病気と共に生きる
手術後は、創部を清潔に保ち、医師の指示に従って安静に過ごします。退院後は無理をせず、体調に合わせて徐々に日常生活に戻っていきます。定期的な通院と画像検査が必要です。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を続ける
- バランスのよい食事を心がける
- 適度な運動(ウォーキングなど)を習慣にする
- 血圧・血糖・コレステロールをコントロールする
食事と運動
塩分を控えめにし、野菜や果物、魚を多くとるようにしましょう。脂っこい食事やお菓子は控えめにします。運動は1日30分程度のウォーキングを目安に、医師に相談しながら始めましょう。
精神的健康と心の健康
手術や脳卒中への不安を感じることは自然なことです。気持ちが落ち込んだり、眠れない日が続くときは、遠慮なく医師や看護師に相談してください。家族や友人に話すことも支えになります。
予防
動脈硬化の進行を防ぐことで、頸動脈狭窄の多くは予防できます。禁煙・健康的な食事・適度な運動・薬による管理が重要です。
検診プログラム
症状がない一般の方を対象にした頸動脈エコーのスクリーニングは、通常は推奨されていません。ただし、リスクが高い方は医師に相談し、検査の必要性を確認しましょう。
合併症
治療しない場合
- 脳卒中(のうそっちゅう)を起こすリスクが高まります。
- 脳卒中による後遺症(片麻痺や言語障害など)が残ることがあります。
- 重症の場合は命に関わることがあります。
長期的な見通し
手術を受けると、脳卒中のリスクを大きく下げることができます。手術後の経過は良好な方が多く、多くの方が元の生活に戻られています。焦らず、医師のアドバイスに従って治療を続けましょう。
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最終更新: 2026年10月20日
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