頸動脈痛(けいどうみゃくつう)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
頸動脈痛は、首の側面にある大きな血管(頸動脈)のあたりに痛みや圧痛(押さえると痛みを感じること)が起こる状態です。原因はまだよくわかっていませんが、片頭痛の一種として起こったり、血管の壁の炎症や神経の過敏性が関係するといわれています。多くの場合は命に関わるものではありませんが、似た症状の病気を見分けるために医師の診察が大切です。
重要な事実
- 痛みは首の片側に現れることが多い
- 数日から数週間続くことがあり、再発することもある
- 命に関わる病気ではないことがほとんどですが、他の病気を除外する必要がある
- 症状は安静や休息で和らぐことがある
頸動脈痛はまれな病気で、一般的な患者数は多くありません。そのため、医療機関でも診断に慣れている医師が少ないことがあります。
成人、特に30〜50歳代の方にやや多いといわれています。片頭痛のある方や、ストレスや疲れを抱えている方に起こりやすいという意見もありますが、はっきりとした傾向はわかっていません。
症状
- 突然の激しい首や頭の痛みとともに、ろれつが回らない、片側の手足が動かない、意識がもうろうとする
- 視力の急な低下や物が二重に見える
- 胸の痛みや呼吸困難を伴う
- けいれんや意識を失う
- ⚠首の痛みが数日以上続く
- ⚠痛みがだんだん強くなる
- ⚠発熱を伴う
- ⚠飲み込む・話すことがつらい
- ⚠首を動かせないほど痛む
一般的な症状
- 首の片側にズキズキする痛み
- 頸動脈の上あたりを押すと痛みが強くなる
- 痛みが耳、あご、頭の片側に広がる
- 飲み込むときや頭を回すときに痛みが増す
- 痛みは数日から数週間続くこともあり、再発することもある
原因
主な原因
- はっきりした原因はわかっていません
- 片頭痛の一種として起こるという説
- 頸動脈の壁に炎症が起きるという説
- 痛みを感じる神経が過敏になっているという説
リスク要因
- 片頭痛を持っている
- 強いストレスや慢性的な疲労
- 睡眠不足
- 首の外傷(けが)や長時間の同じ姿勢
- 天候の変化や気圧の変化
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 首の痛みに加えて、かすみ目、視力の低下、ものを噛むときの疲れ、発熱、体重減少がある場合
- 痛みが急に悪化して、日常の動作ができない場合
- 首の痛みに伴って、頭痛や目の奥の痛みが強い場合
定期受診を予約すべき場合:
- 首の痛みが数日以上続く場合
- 痛みを繰り返す場合
- 痛みが生活に支障をきたす場合
診断
診断は主に、医師による問診と触診(首を軽く押して痛みを確かめること)で行います。頸動脈痛と似た症状を起こす病気(甲状腺の病気、リンパ節の腫れ、歯やあごの病気、心臓や血管の病気など)を除外するために、いくつかの検査を組み合わせることがあります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(炎症反応や白血球の数を調べる)
- 超音波(エコー)検査(頸動脈の様子を調べる)
- CTやMRI(首や頭の画像検査)
- 必要に応じて血管の造影検査
診察で予想されること
診察は通常、問診と触診が中心で、特別な準備はほとんど必要ありません。痛みが続く場合や症状が複雑な場合は、専門医(神経内科や血管外科など)を紹介されることもあります。診断がはっきりするまで、ご自身で強い薬を使うのは避けましょう。
治療
治療は、痛みをやわらげることと、別の重大な病気を除外することに重点が置かれます。頸動脈痛そのものは自然に軽快することが多く、必要に応じて炎症を抑える薬や鎮痛薬、片頭痛に対する治療薬などが使われます。具体的な薬剤名や用量については、医師または薬剤師にご確認ください。
自宅でのセルフケア
- 首を冷やしたり温めたりして、楽な方を試す(冷やしすぎに注意)
- 安静にして、首を急に動かさない
- やわらかい食事を選び、飲み込みやすくする
- ネクタイやチョーカーなど、首を締めるものを避ける
- 十分な睡眠と休息を取る
医療治療
医師は、炎症を抑える薬や痛みを和らげる薬を処方することがあります。また、片頭痛が関係している場合は、片頭痛の治療薬や予防薬を用いることもあります。治療の選択肢や副作用については、医師が患者さんの状態に合わせて説明します。
手術が検討される場合
頸動脈痛そのものに対して手術が行われることはありません。ただし、検査の結果、別の血管の病気や腫瘍が見つかった場合は、その病気に対する治療が行われます。
この病気と共に生きる
痛みが続く間は、首に負担をかけない生活を心がけましょう。長時間のデスクワークやうつむく姿勢は避け、首を温めるなどしてリラックスしましょう。痛みが治まっても、突然強い痛みがぶり返すことがあるので、無理をしすぎないことが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠時間を十分に確保する
- ストレスをためない工夫をする(散歩、深呼吸、趣味など)
- 首や肩の緊張をほぐすストレッチをゆっくり行う
- 定期的に医師や薬剤師に相談し、不安なことを話す
食事と運動
頸動脈痛に特別な食事制限はありません。バランスの良い食事を心がけてください。痛みがある間は激しい運動は避け、痛みが治まった後から軽い運動(歩く、ストレッチなど)を始めましょう。
精神的健康と心の健康
痛みが続くと、不安や気分の落ち込みを感じることがあります。「こわい病気ではないか」「この痛みはいつまで続くのか」といった不安は自然なことです。つらい気持ちは我慢せず、医療者や家族に話してみましょう。
予防
はっきりした予防法はありません。しかし、片頭痛やストレス、疲労が誘因と考えられる場合は、それらをうまくコントロールすることで、発作を減らせる可能性があります。バランスの良い生活習慣を心がけることが大切です。
合併症
治療しない場合
- 大部分の症例は、放置しても自然に回復します
- しかし、痛みが長引くとうつ気分や生活の質の低下につながることがあります
- まれに、似た症状を起こす他の血管の病気(血管炎症候群など)を見逃す可能性があります
長期的な見通し
頸動脈痛は多くの場合、適切な診断と治療で症状が改善します。命に関わる病気ではありません。ただし、他の病気を除外することが重要です。症状の変化や気になることがあれば、遠慮なく医療機関に相談してください。
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最終更新: 2026年8月14日
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