白内障(はくないしょう)の基本知識:症状・診断・治療
概要
白内障は、目の中の水晶体(すいしょうたい)が白くにごる病気です。水晶体はカメラのレンズのような働きをしています。ここがにごると、光がうまく透過せず、視界がかすんだり、まぶしく感じたりします。進行はゆっくりで、主に加齢が原因とされています。
重要な事実
- 主な原因は加齢で、高齢者に多く見られます。
- 初期は視界のかすみやまぶしさなどの症状があります。
- 進行を完全に止める薬はありませんが、手術で視力を回復できます。
- 放置しても緊急に失明するわけではありませんが、日常生活に大きく影響します。
- 定期的な眼科検診で早期発見につなげることができます。
とても一般的な病気です。日本では80代の方のほとんどに白内障が見つかるといわれています。
高齢者に最も多く見られますが、生まれつきのもの(先天性白内障)や、糖尿病や目のけが、ステロイド薬の長期使用などによって若い人にも起こることがあります。
症状
- 突然の視力喪失
- 激しい目の痛み
- 吐き気や頭痛を伴う目の症状
- 目を閉じても感じる激しい痛み
- ⚠視野の一部が欠ける
- ⚠飛蚊症(目の前に黒い虫のようなものが見える)が急に増える
- ⚠目の前がカーテンで覆われたような暗さを感じる
- ⚠物が歪んで見える
一般的な症状
- 視界がかすむ、ぼやける
- 光がまぶしく感じる(特に太陽の光や対向車のヘッドライト)
- 夜間の見えにくさ
- 物が二重に見える
- メガネの度数が合いにくくなる
- 色がくすんで見える
原因
主な原因
- 加齢による水晶体のたんぱく質の変性(最も多い)
- 先天性(生まれつき)
- 目のけが(外傷)
- ぶどう膜炎などの目の炎症
- 糖尿病などの全身疾患の影響
リスク要因
- 紫外線を長時間浴びる
- 大量の飲酒
- ステロイド薬の長期使用
- 目の外傷や手術の既往
- 家族歴(遺伝的要因)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の視力低下
- 激しい痛みや吐き気を伴う場合
- 視野の欠けや急な飛蚊症がある場合
定期受診を予約すべき場合:
- 視界のかすみやまぶしさが続く
- メガネの度数が合わず見えにくい
- 定期的な目の健康診断で異常を指摘された
診断
眼科で行われる視力検査と、細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)という特殊な顕微鏡で水晶体を観察する検査で診断されます。必要に応じて、瞳孔を広げる目薬を使って眼底の状態も調べます。
行われる可能性のある検査
- 視力検査
- 細隙灯顕微鏡検査
- 眼圧検査(緑内障の併発をチェック)
- 散瞳による眼底検査
診察で予想されること
検診は通常、痛みを伴いません。視力検査、眼圧検査、細隙灯検査などを組み合わせて行います。散瞳薬を使う検査では、まぶしく感じる、近くが見えにくいなどの症状が数時間続くことがあります。お帰りの際にサングラスが必要な場合がありますので、運転は避けましょう。
治療
白内障の進行を根本的に止めることができる薬はありません。初期は経過観察やメガネの度数変更で対応しますが、視力低下が日常生活に支障をきたすようになったら、手術が検討されます。
自宅でのセルフケア
- サングラスや帽子で紫外線を防ぐ
- 明るい照明で読書や作業をする
- 夜間の運転は控える
- 段差やつまずきに注意し、室内の明るさを確保する
- メガネを度数に合わせて調整してもらう
医療治療
白内障の進行を抑えるための点眼薬が処方されることがありますが、確実に治すものではありません。視力を回復するには手術が必要です。手術では、濁った水晶体を超音波で砕いて取り除き、眼内レンズを挿入します。日帰り手術が可能な施設も増えています。レンズの種類や手術方法は、患者さんの生活スタイルや目の状態に合わせて医師と相談して決めます。必ず医師の説明のもとで治療方針を決めてください。
手術が検討される場合
手術のタイミングは、視力低下のために日常生活(運転、読書、仕事など)に不便を感じるようになったときが目安です。医学的に手術を急がなければならない場合は少なく、ご本人の希望を尊重して決めることができます。
この病気と共に生きる
白内障と診断されたからといって、すぐに激しい変化があるわけではありません。症状に合わせて生活環境を調整しながら、医師の指導のもとで定期的に通院しましょう。手術後は回復に時間がかかることもありますが、多くの場合は数日から数週間で通常の生活に戻れます。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を心がける
- バランスのよい食事をとる
- 糖尿病や高血圧などの持病をしっかり管理する
- 紫外線対策をする
- 眼科での定期検査を欠かさない
食事と運動
特定の食品で白内障を予防できるわけではありませんが、ビタミンCやビタミンE、ルテインなどの抗酸化成分を含む野菜や果物、魚などを多く摂ることは、目の健康全般に役立つ可能性があります。激しい運動でなくても、歩いたり体を動かしたりする習慣を大事にしましょう。
精神的健康と心の健康
視力が低下すると、趣味や外出が減り、気持ちが沈むことがあります。しかし、白内障は手術によって視力が改善する可能性が高い病気です。不安や悩みは一人で抱え込まず、家族や医師、必要に応じて心の健康の専門家にも相談してください。
予防
加齢による白内障を完全に防ぐ方法はまだありません。しかし、危険因子を減らすことで発症リスクを下げられる可能性があります。具体的には、紫外線対策、禁煙、節酒、健康的な食事、糖尿病の適切な管理などです。
ワクチン
白内障を予防するための特別なワクチンはありません。
検診プログラム
白内障を早期に見つけるためには、定期的な眼科検診が最も大切です。40歳を過ぎたら年に一度の検診をすすめます。
合併症
治療しない場合
- 視力がさらに低下し、日常生活(運転、読書、家事など)に支障が出る
- 転倒や事故のリスクが高まる
- まれに、白内障の進行によって眼圧が上がり、緑内障を併発する可能性がある
- 視力が極端に低下すると、生活の質が大きく損なわれる
長期的な見通し
白内障の手術は非常に高い成功率で、多くの人が視力の改善を実感します。手術後の生活を見据えて、目のかすみが気になり始めたら、早めに眼科を受診しましょう。視力を取り戻すことで、読書や旅行など、楽しみを続けられる可能性があります。
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情報源とガイダンス
このトピックは、この臨床教科書を参照しています。
最終更新: 2026年10月22日
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