馬尾症候群について知っておきたいこと
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
馬尾症候群とは、背骨の下部にある脊髄から出る神経の束(馬尾)が、椎間板ヘルニアや骨の変形などによって強く圧迫される病気です。この神経は、脚の感覚や運動、排尿・排便をコントロールしています。症状が進むと重い後遺症が残るため、早急な受診が必要です。
重要な事実
- 馬尾症候群は、治療が遅れると脚のまひや膀胱・直腸の障害が残る可能性があります。
- 多くの場合、緊急の手術が必要とされます。
- 腰痛のなかには、この病気が原因の場合もごくまれにありますが、見逃さないことが大切です。
一般的にはまれな病気で、腰痛を主訴に外来を受診する患者さんのごく一部(1%以下)とされています。ただし、症状がある場合には緊急対応が必要なため、油断はできません。
どの年齢でも起こり得ますが、特に40〜60歳代の働き盛りの方に多いとされています。また、腰椎に負担のかかる仕事やスポーツをしている方にも起こりやすくなります。
症状
- 突然、両脚に強いしびれや脱力が現れ、立っていられない
- おしっこや便を意図的に我慢できず、失禁してしまう
- おしりの周りの感覚がなくなる、または触られていることがわからない
- 尿が出ない、または尿意が急に我慢できなくなる
- ⚠これまでと違う激しい腰痛が続いている
- ⚠脚の痛みやしびれが数時間のうちに強くなっている
- ⚠歩くとふらつく、または上り坂や階段で脚に力が入りにくい
- ⚠会陰部(いんぶ)のしびれが続いている
一般的な症状
- 腰やおしりに強い痛みがある
- 脚の片側または両側が痛む・しびれる
- 足や足指に力が入らない
- おしり周辺(サドル部分)の感覚が鈍くなる
- 排尿や排便に違和感がある(例:尿が漏れる、便がでにくい)
- 排尿・排便するときの感覚がいつもと違う
子供の症状
- 子どもには非常にまれですが、症状が現れた場合は進行が早いことがあります。
- 転びやすくなった、歩き方が変になった、おねしょが増えたなどの変化に注意が必要です。
高齢者の症状
- 高齢者は、もともと腰痛や脚の痛みがあることが多いため、新しい症状がわかりにくい場合があります。
- 転倒をきっかけに症状が現れることもあるため、関節の痛みと間違えないことが大切です。
原因
主な原因
- 椎間板ヘルニア(椎骨の間にある軟骨が飛び出して神経を押す)
- 脊柱管狭窄症(背骨の中の神経の通り道が狭くなる状態)
- 腰椎の骨折(転倒や事故など)
- 腫瘍(脊髄の中の腫瘍が神経を圧迫する)
- 感染症(脊髄の周りで炎症が起きる)
リスク要因
- 重いものを持ち上げるなど、腰に大きな負担をかける作業
- 加齢による椎間板や骨の変化
- 関節や骨の病気(関節リウマチなど)
- 過去に腰の手術を受けたことがある
- がんの既往歴がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 排尿・排便に関する症状が突然現れた場合
- 脚の脱力が進行する場合
- おしりの周りのしびれが強い場合
- これらの症状がある場合は、ためらわずに救急車(119番)を呼ぶか、最寄りの緊急外来を受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 腰痛が数週間以上続く場合
- これまでにない腰痛で、脚へのしびれを伴う場合
診断
馬尾症候群が疑われるときは、緊急性が高いため、症状を詳しくお聞きして診察をしたうえで、画像検査(MRI)を行います。早く診断するほど、後遺症を防ぐ可能性が高まります。
行われる可能性のある検査
- 問診(いつから、どのような症状があるか)
- 神経学的診察(脚の筋力、感覚、反射のチェック)
- MRI検査(神経が圧迫されている場所を詳しく確認)
- 尿や便の機能を確認する検査(必要に応じて)
診察で予想されること
緊急医療機関では、診察からMRI検査までを迅速に行います。検査結果に基づき、治療方針(主に手術)について医師から説明があります。ご自身でも、症状がどう変化しているかをメモしておくと伝えやすくなります。
治療
馬尾症候群の治療の中心は、圧迫された神経を早く解放するための手術です。症状が出てから24〜48時間以内の治療が、回復するために重要とされています。
自宅でのセルフケア
- 手術の前後を問わず、激しい運動や重い物を持ち上げることは避けてください。
- 安静が必要な場合もありますが、医師の指示に従ってベッド上での姿勢を工夫しましょう。
- 無理に我慢せず、痛みやしびれが強くなったらすぐに医師へ伝えてください。
医療治療
手術が中心ですが、症状を和らげるために、炎症を抑える薬や痛みを和らげる薬が一時的に処方されることがあります。また、脚の筋力低下に対してはリハビリテーション(理学療法)が重要です。薬の種類や使い方については医師が状態を見て決定します。
手術が検討される場合
脚の麻痺や膀胱・直腸の障害が進行している場合、緊急手術が勧められます。早い時期に手術を行うほど、神経の機能が回復する可能性が高まります。
この病気と共に生きる
治療後の回復には時間がかかることがあります。痛みやしびれの感覚は個人差が大きく、焦らずに自分のペースで日常生活に戻ることが大切です。必要に応じて、歩行補助具やリハビリを利用しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 長時間の同じ姿勢を避け、30分に一度は立ち上がって動く
- 腰に負担がかかる前かがみの姿勢を避ける
- 体重が増えると腰に負担がかかるため、適正体重を保つ
- 禁煙する(喫煙は椎間板の老化を早めるため)
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、特に骨や筋肉に必要な栄養(カルシウムやビタミンDなど)を意識しましょう。運動は、医師や理学療法士の指導のもと、痛みを伴わない範囲で軽いウォーキングやストレッチから始めます。無理は禁物です。
精神的健康と心の健康
痛みやしびれ、排尿・排便の問題は、気分の落ち込みや不安を引き起こすことがあります。回復には時間がかかるため、自分を責めずに、できていることに目を向けましょう。もし、強い不安や絶望感でつらい場合は、ひとりで抱え込まず、精神科医療機関や各自治体の相談窓口に連絡してください。必要に応じて、心のケアの専門家(精神科医や臨床心理士)に相談することも選択肢のひとつです。
予防
馬尾症候群そのものを完全に予防することは難しいですが、腰痛を予防することは重要です。正しい姿勢や、腰に負担をかけない動作を日常生活に取り入れることで、原因となる腰椎の病気を防ぐ助けになります。
合併症
治療しない場合
- 脚の麻痺が永久に残る
- 排尿・排便が自力でできなくなる
- おしりの周囲の感覚が失われる
長期的な見通し
早期に適切な治療を受けた場合、多くの方で症状の改善が期待できます。ただし、神経の回復には数週間から数か月かかることもあります。焦らず、リハビリを続けることが結果につながります。治療を受けた後も、症状が再発することがあるため、定期的な診察を受けることが大切です。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月14日
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