カベルノーマ(海綿状血管腫)について知っておきたいこと
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
カベルノーマ(海綿状血管腫)は、脳や脊髄にできる、小さなブドウの房のような血管の塊です。正常な血管よりも壁が弱く、少しずつ血がにじみ出たり、出血したりすることがあります。ただし、多くの場合は症状を起こさずに経過するため、その存在に気づかずに一生を過ごす方もいます。
重要な事実
- カベルノーマは、脳や脊髄にできる血管の塊(血管奇形)です。
- 多くの場合、無症状で経過しますが、発作や頭痛、出血を起こすことがあります。
- 治療は、症状や場所、出血のリスクを考えて、医師と相談しながら決めます。
カベルノーマは脳の血管奇形の中では比較的よく見られるタイプですが、全体としてみるとまれな病気です。およそ100〜200人に1人に存在するという報告もあり、近年の画像診断の進歩によって見つかる機会が増えています。
どの年齢でも見つかりますが、20〜50歳で診断されることが多いです。男女の差はほとんどありません。家族内に見られる場合と、遺伝とは関係のない場合があります。
症状
- 突然の激しい頭痛
- 意識を失う・意識がもうろうとする
- 片側の手足のまひやしびれ
- ろれつが回らない、ことばが出ない
- 視力の急激な低下、物が二重に見える
- これらの症状がある場合は、迷わず119番に通報してください。
- ⚠初めてのけいれん発作(ひきつけ)を起こした
- ⚠いつもと違う強い頭痛が続く
- ⚠手足の動かしにくさや、しびれが続く
- ⚠めまいやふらつきで日常生活に支障が出る
一般的な症状
- 症状が出ないことも多いです。
- まれに、てんかん発作(けいれん)を起こすことがあります。
- 頭痛、めまい、吐き気、手足のしびれ、視界のくもり、言葉の出にくさなどが現れることがあります。
- 脳出血を起こすと、突然の激しい頭痛やまひなどの神経症状が出ることがあります。
子供の症状
- 小児では、発作や頭痛、手足の動きのぎこちなさで見つかることがあります。
- ことばの発達の遅れや、ていねいに診察して初めて気づくような神経症状が見られることもあります。
高齢者の症状
- 高齢者では、出血による急なまひやことばの障害が起こりやすくなるため、脳卒中と似た症状で発見されることがあります。
- ただし、カベルノーマがあるからといって必ず症状が出るわけではありません。
原因
主な原因
- 胚(はい)の時期に血管が形成される際の異常でできると考えられています。
- 特定の遺伝子の変化によって家族内でみられる場合があります(家族性カベルノーマ)。
- 原因がはっきりわからず、突然できるように見える場合もあります(孤発性)。
- まれに、頭部への放射線治療の後で新たにできることがあります。
リスク要因
- 家族にカベルノーマのある人がいる
- 頭部に対して放射線治療を受けたことがある
- 複数個のカベルノーマができる遺伝子変異を持っている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 発作(けいれん、ひきつけ)を起こした
- 突然の強い頭痛や、片側のまひ・しびれがある
- 言葉がうまく話せない、ろれつが回らない
- 視野や視力に急な変化がある
定期受診を予約すべき場合:
- 頭痛やめまいが続く
- しびれや、ふらつきなどで気になる症状がある
- 病名がはっきりしないまま、これまで診療を受けていない
診断
問診と神経学的診察に加えて、MRI(磁気共鳴画像)という検査で診断します。カベルノーマはMRIの特徴的な画像(黒く見える血管の集まりなど)で見つかることが多いです。CTなどの検査を追加することもあります。
行われる可能性のある検査
- 頭部MRI(必要に応じて脊髄のMRI)
- MRIの特殊な撮影(T2強調・SWIなど)
- 頭部CT(出血や石灰化の確認)
- ときに脳血管造影
診察で予想されること
診察室では、体を横にして、約10〜30分間あまり動かずに画像を撮ります。騒音のある検査ですが、痛みはありません。検査後、医師から結果の説明を受けて、今後の方針を一緒に決めていきます。
治療
治療は「症状がないか」「出血したことがあるか」「発作があるか」「場所が危険な場所か」などによって変わります。無症状で経過している場合は、無理に治療せず、定期的に画像診断で経過を見る「経過観察」が選ばれることが多いです。
自宅でのセルフケア
- 頭をぶつける可能性が高いスポーツ(ボクシング、ラグビーなど)を避けるよう医師と相談する
- 飲酒はほどほどにする
- 十分な睡眠をとり、疲れやストレスをためすぎない
- 便秘にならないよう、水分と食物繊維を十分にとる
- 抗凝固薬(血を固まりにくくする薬)や抗血小板薬を使っている場合、担当医にカベルノーマがあることを必ず伝える
医療治療
症状に対しては、発作を抑える薬や頭痛をやわらげる薬などが使われることがあります。ただし、薬の種類や量は、患者さんごとの状態に合わせて医師が慎重に選びます。また、出血の危険を高める薬やサプリメントを避ける必要がある場合もあるため、使っている薬はすべて医師に伝えましょう。
手術が検討される場合
出血を繰り返したり、薬で抑えられない発作がある場合、またはカベルノーマが脳の表面近くなど手術しやすい場所にある場合は、外科手術で摘出することが検討されます。手術が難しい場所(脳幹など)では、放射線照射(定位放射線治療)が選択されることもあります。治療は、メリットとリスクを医師とよく相談して決めます。
この病気と共に生きる
カベルノーマがあっても、多くの人は普通の生活を送っています。急に強い頭痛やまひが出たときにどうするかを事前に家族と共有しておくと安心です。外出時にも医療機関の連絡先を控えておくことをすすめます。
生活習慣のアドバイス
- 定期的に画像検査や診察を受け、経過の変化を記録しておく
- 頭部への衝撃を避ける(転倒や事故に注意)
- 血圧を高くしない生活態度を心がける(塩分を控える、適度な運動)
- 過度な飲酒や喫煙を避ける
食事と運動
特別な食事制限はありませんが、バランスの良い食事と、ウォーキングなどの軽い運動を習慣にすることをすすめます。血圧が高い場合は、減塩や運動で健康な範囲に保つことが大切です。激しい運動や体をぶつけるスポーツは、主治医の許可を受けてから行ってください。
精神的健康と心の健康
診断を受けると、「いつ出血するかもしれない」という不安が続くことがあります。これは自然な気持ちです。気持ちのつらさが長く続く場合は、医療者に伝えてください。心理の専門家や公的な相談窓口を利用することも助けになります。もし、「生きるのがつらい」と感じるような強いお気持ちになったときは、一人で抱えず、すぐに救急(119番)や医療機関に相談してください。
予防
現在のところ、カベルノーマ自体を予防する方法はありません。ただし、頭部への強い衝撃を避け、定期的に通院して経過を確認することで、大きな問題を防ぐことができます。
検診プログラム
家族にカベルノーマの人がいる場合、無症状でもMRIなどで検査するかどうかは、医師との相談になります。早めに心配な点を伝えてみてください。
合併症
治療しない場合
- 脳出血による麻痺やしびれ、感覚障害
- 言葉の障害や視野の異常
- 薬でコントロールできない発作が続く
- まれに、出血がたまって水頭症(脳の圧が上がる)を起こすことがある
長期的な見通し
カベルノーマは、多くが良性の経過をたどる血管の異常です。無症状のまま年を取る方も多く、出血を起こしても、時間とともに症状が落ち着くことがほとんどです。適切な定期観察と、必要なときの治療を受ければ、多くの方が普段の生活を維持できます。希望を持って、医師と一緒に歩んでいくことが大切です。
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最終更新: 2026年8月14日
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