先天性両側精管欠損症(CBAVD)とは
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
先天性両側精管欠損症(CBAVD)は、生まれつき男性の左右の精管(精子を運ぶ管)がない病気です。そのため、精液の中に精子が含まれず、男性不妊の原因になります。
重要な事実
- 精管は、精巣で作られた精子を体の外に運ぶ細い管です。この管が両側にないことがCBAVDです。
- 心臓や呼吸器など、他の体の機能に影響が出ることがあります。
- 多くは不妊の検査で見つかります。
比較的まれな病気です。男性不妊全体の約1〜2%が、この病気によるものとされています。
生まれつきの病気なので、主に成人男性が不妊検査を受ける際に発見されます。家族に同じ病気の人がいる場合、見つかる可能性が高くなります。
症状
- この病気自体による緊急症状は通常ありません。ただし、突然の胸痛や呼吸困難が起きた場合は、ためらわずに119番に電話してください。
- ⚠高熱や痰が急に増えるなど、呼吸器感染症の症状が出た場合は、当日中に医療機関を受診しましょう。
一般的な症状
- 精液の量が少ない、または精液検査で精子がゼロである
- 多くの場合、これ以外に気になる症状はありません
- 一部の人では、軽い呼吸器症状(長引く咳や痰など)や副鼻腔炎を繰り返すことがあります
原因
主な原因
- CFTR遺伝子の変異が主な原因です。この遺伝子の変化が、胎児のときに精管が正常に作られるのを妨げます。
- 軽度の囊胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)という遺伝子の病気と関連することがあります。
リスク要因
- 両親がCFTR遺伝子変異を持っている(保因者である)場合、その変異を受け継ぐ可能性があります。
- 家族にCBAVDや囊胞性線維症の人がいる場合、リスクが高まります。
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 呼吸困難や胸痛がある場合(緊急の可能性があるため)
- 高熱が続く場合
定期受診を予約すべき場合:
- 不妊の検査や相談を希望する場合
- 精液の量が少ない、または無いことに気づいた場合
- 家族歴(囊胞性線維症やCBAVD)があり、遺伝相談を希望する場合
診断
問診(症状や家族歴の確認)、身体診察、精液検査、超音波検査、遺伝子検査などを組み合わせて総合的に診断します。
行われる可能性のある検査
- 精液検査(精子の数がゼロかどうかを調べます)
- 超音波検査(精管や精巣上体の状態を確認します)
- CFTR遺伝子の変異を調べる遺伝子検査
- 汗の中の塩分濃度を調べる検査(囊胞性線維症の合併を確認するため)
診察で予想されること
まずかかりつけ医(一般診療)で精液検査や問診を受け、必要に応じて泌尿器科や生殖医療専門医を紹介されます。診断には数週間かかることがありますが、痛みを伴う検査はほとんどありません。
治療
CBAVDそのものを治す薬や手術はありません。治療の中心は、生殖補助医療(不妊治療)によって子どもを持つ可能性を得ることと、必要に応じて呼吸器症状を管理することです。
自宅でのセルフケア
- 禁煙する(呼吸器症状の悪化を防ぐため)
- 十分な水分を摂り、バランスの良い食事を心がける
- 適度な運動と十分な睡眠をとる
- ストレスをため込まないようにする
医療治療
不妊治療では、精巣から直接精子を取り出し、体外受精(顕微授精)を行う方法があります。呼吸器症状がある場合は、痰の排出を助ける理学療法や、感染症予防のための治療などが行われます。具体的な治療法は担当医とよく相談して決めます。
手術が検討される場合
根治のための手術はありませんが、生殖医療の一環として、精子を精巣から直接取り出す手術(精巣内精子採取術)が行われることがあります。
この病気と共に生きる
CBAVDがあっても、日常生活は普通に送れます。定期健診や予防接種はきちんと受け、気になる呼吸器症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙し、受動喫煙を避ける
- 季節性インフルエンザの予防接種について医師に相談する
- ウォーキングなど、無理のない運動を続ける
- パートナーとのコミュニケーションを大切にしながら治療を進める
食事と運動
特別な食事制限はありません。栄養バランスの良い食事と、週に2〜3回の有酸素運動(ウォーキングなど)を心がけましょう。
精神的健康と心の健康
不妊や遺伝子に関する診断は、精神的に大きな負担になることがあります。落ち込みや不安が続く場合は、医師やカウンセラーに話すことも大切です。
予防
CBAVDは生まれつきの遺伝子の特徴によるため、発症そのものを予防することはできません。ただし、遺伝カウンセリングを受けることで、治療の選択肢や家族に与える影響を事前に理解できます。
ワクチン
直接の予防ワクチンはありませんが、呼吸器感染症を予防するため、季節性インフルエンザや肺炎球菌ワクチンについて医師と相談するとよいでしょう。
検診プログラム
新生児スクリーニングとは別に、CBAVDを早期に見つける一般的なスクリーニング検査はありません。ただし、家族歴がある場合は、不妊の前でも遺伝相談が可能です。
合併症
治療しない場合
- 不妊(自然妊娠がほぼ期待できない)
- 囊胞性線維症を合併している場合、呼吸器症状の管理が遅れると肺機能が低下する可能性があります
長期的な見通し
CBAVDと診断されても、不妊治療によって子どもを持つ可能性は十分にあります。また、呼吸器症状の管理も医療の進歩で良くなっています。一人で抱え込まず、専門医と相談しながら希望を持って治療を進めることができます。
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最終更新: 2026年8月14日
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