頚肋(けいろく)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
「頚肋(けいろく)」とは、首のあたりにあらわれる、生まれつきの余分な肋骨(あばら骨)です。胎児の時期、首のあたりにも肋骨のもとができますが、通常は消えていきます。ところが、そのうちの1本が残ってしまい、頚肋として存在することがあります。多くの場合、症状はありません。
重要な事実
- 生まれつきの構造で、本人の努力で予防できるものではありません。
- 無症状のことが多く、健康診断などで偶然見つかることもあります。
- 神経や血管を圧迫すると、首・肩・腕に痛みやしびれが起こることがあります。
比較的まれな状態で、1000人に5人前後(約0.5%)と報告されています。ただし、無症状で気づかれない方も多いため、実際にはもう少し多いと考えられています。
女性にやや多く、特に20~40代で症状が出やすいといわれています。やせ型で筋肉量が少ない方にも現れやすいですが、誰にでも起こり得ます。
症状
- 突然、片方の腕や手に力が入らず動かせない場合
- 腕や手の激しい痛み・腫れがあり、指が紫色や白色に変わる場合
- 意識がもうろうとする、または呼吸が苦しい場合
- ⚠痛みやしびれが急速に強くなっている場合
- ⚠腕や手の色が変わった、または冷たくなってきた場合
- ⚠日常生活に支障があるほど症状が強い場合
一般的な症状
- 首・肩・腕の痛み
- 腕や手のしびれ、うずき感
- 手が冷たい、むくむ、だるい
- 握力が落ちる、物を落としやすい
- 腕を上げると症状が強くなる
原因
主な原因
- 頚肋は胎児期に一時的にできる肋骨が、通常の退化をせずに残ってしまうことで生じる、生まれつきの構造です。
- がんや生活習慣が原因ではありません。
リスク要因
- 女性であること
- やせ型であること
- 首や肩の筋肉が少ないこと
- 猫背など姿勢のくずれ
- 重い物を持ち上げる・腕をよく使う仕事や動作
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急に腕や手に力が入らない、麻痺がある場合
- 手が青白い、紫っぽい、冷たい、または脈が触れない場合
- 強い痛みで眠れない場合
定期受診を予約すべき場合:
- 首や肩、腕のしびれ・痛みが続く場合
- 手を上げたりしたときに症状が出る場合
- 握力が低下してきた、物を落としやすくなったと感じる場合
診断
頚肋の診断は、医師による問診と診察、そして画像検査を組み合わせて行います。特に、手や腕の症状がこの頚肋によるものかを丁寧に確認します。
行われる可能性のある検査
- 首・胸・腕のX線(レントゲン)検査
- MRI(磁気共鳴画像)検査
- CT(コンピューター断層撮影)検査
- 超音波(エコー)検査
- 神経伝導検査(神経の電気の流れを調べる検査)
診察で予想されること
外来で診察が受けられます。症状について質問を受け、腕を動かしたり、脈を触ったりする診察があります。その後、必要に応じて画像検査が行われます。検査自体は痛みを伴わないことがほとんどです。
治療
無症状な頚肋は治療の必要がありません。症状がある場合は、まず理学療法(リハビリテーション)や生活面の工夫など、からだに負担をかけない治療から始めます。それでも改善しない場合に、薬物療法や手術が検討されます。
自宅でのセルフケア
- 姿勢をまっすぐに保つ(猫背を防ぐ)
- 重い物を片手で持ち続けない
- 腕を長時間上げたり、後ろにねじったりする動作を避ける
- 首や肩を冷やさない
- ストレッチなどを習慣にし、筋肉を柔らかく保つ
医療治療
医療機関では、痛みやしびれをやわらげるための薬物療法(服用薬や外用薬、注射薬など)が行われることがあります。ただし、薬の種類や用法・用量は必ず医師が決めます。また、理学療法士による姿勢矯正や筋力強化、神経の圧迫を減らす運動療法も重要です。保存的治療で改善しない場合には、神経ブロック(局所麻酔薬などを注射して痛みを遮断する治療)も選択肢となります。
手術が検討される場合
保存的治療を続けても症状が改善せず、日常生活に支障がある場合や、腕の筋肉の萎縮・血行障害などが進んでいる場合には、圧迫している頚肋を取り除く手術が検討されることがあります。手術は専門の整形外科・脳神経外科・血管外科などで行われます。
この病気と共に生きる
日々の症状の変化を記録し、痛みやしびれが強くなる動作を避けるようにしましょう。症状がなくても、頚肋があることを理解した上で、無理のない範囲で生活を続けてください。
生活習慣のアドバイス
- パソコン作業時は、いすの高さやモニターの位置を調整して姿勢を良くする
- 重い荷物は両手で持つなど、腕への負担を分散する
- 定期的に休憩を取り、肩や首のストレッチを行う
- 禁煙や節酒など、血行に良い生活習慣を心がける
食事と運動
特別な食事制限はありません。バランスの良い食事を心がけ、血流を保つために適度な運動(ウォーキングなど)を取り入れましょう。運動の内容は主治医や理学療法士に相談すると安心です。
精神的健康と心の健康
慢性的な痛みやしびれは、気分の落ち込みや不安をまねくことがあります。症状を1人で抱え込まず、医師や看護師、理学療法士に相談してください。つらい気持ちが続く場合は、メンタルヘルスの専門家に話を聞いてもらうことも選択肢の一つです。
予防
頚肋は先天性の構造のため、予防することはできません。ただし、姿勢や生活習慣に気をつけることで、症状の出現や悪化を防ぐことは期待できます。
合併症
治療しない場合
- 神経への圧迫が続くと、感覚障害(しびれ)や筋力低下が進行することがある
- 血管への圧迫によって、血行障害(手の冷え、青白さ、むくみ)が生じることがある
- まれに、血の固まり(血栓)ができることがある
長期的な見通し
頚肋があっても、多くの方は無症状または軽い症状で日常生活を送れます。症状がある場合も、適切な治療や生活の工夫により改善が期待できます。将来に不安を感じる場合は、医師とじっくり相談しながら治療方針を決めましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月14日
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