水痘(みずぼうそう)の予防接種
概要
水痘(みずぼうそう)は、水痘・帯状疱疹(たいじょうほうしん)ウイルスというウイルスが原因で起こる、とてもうつりやすい感染症です。発熱とともに、赤いぶつぶつが全身に出て、やがて水ぶくれになり、最後にかさぶたになって治っていきます。水痘の予防接種(ワクチン)は、この病気にかかるのを防いだり、かかっても軽くすませたりするためのものです。日本では2014年10月から、子どもの定期接種(法律に基づいて決まった年齢で受けられる接種)に含まれています。
重要な事実
- 水痘のワクチンは、弱めたウイルスを使った「生ワクチン」で、2回接種することで高い予防効果が期待できます。
- 日本では1歳から1歳3か月ごろに1回目、1歳6か月から2歳ごろに2回目を受けるのが標準的なスケジュールです(詳しい時期はかかりつけ医にご相談ください)。
- ワクチンを受けたあとにかかってしまっても、発疹(ほっしん)が少なく、熱も軽いことが多いといわれています。
昔は子どもの多くがかかる病気で、大人になるまでにかかる人がほとんどでした。現在は定期接種が広まったことで、子どもがかかる数は大きく減っています。ただし、接種を受けていない人や1回しか受けていない人のあいだでは、今も流行することがあります。
主に子どもがかかりますが、大人でもかかります。とくに、ワクチンを受けていない人、1回しか受けていない人、免疫(体を守る力)が弱い人、妊娠中の人、生まれたばかりの赤ちゃんは注意が必要です。大人がかかると症状が重くなりやすいといわれています。
症状
- 意識がもうろうとしている、返事がおかしい、ぐったりして反応が弱い
- けいれんが起きて、数分たっても止まらない、または何度もくり返す
- 呼吸が苦しそう、息が速い、顔色が青白い
- 顔や唇、のどが急に腫れて、息を吸いにくい(アナフィラキシーの可能性)
- 接種後まもなく、じんましんが全身に出て具合が悪くなった
- ⚠高い熱が続き、水分が飲めず尿がほとんど出ない(脱水のおそれ)
- ⚠水ぶくれが膿(うみ)をもつ、赤く腫れて痛みが強くなる、広がっていく(細菌感染の可能性)
- ⚠歩きにくい、手足の動きがおかしい、強い頭痛や嘔吐(おうと)がある
- ⚠妊娠中の人、免疫が弱い人、生まれたばかりの赤ちゃんと接触した可能性がある
- ⚠ワクチン接種のあと2〜3週間以内に発疹や発熱が出た
一般的な症状
- 軽い発熱やだるさ、食欲がわかないことがある
- 赤いぶつぶつが出て、数日のうちに水ぶくれに変わる
- 水ぶくれはやがてかさぶたになって治っていく
- 強いかゆみがあり、体や顔、頭の中にも発疹が出ることがある
- 発疹は波のように何回かに分けて出てくることが多い
子供の症状
- 熱はあまり高くならないことも多く、元気なこともある
- 発疹の数が少なく、気づきにくいことがある
- かゆみで夜眠りにくくなることがある
- ワクチンを受けた子がかかった場合は、発疹がとても少なく軽いことが多い
高齢者の症状
- 高い熱が出やすく、だるさが強いことがある
- 発疹が多く、治るまでに時間がかかることがある
- 肺炎(はいえん)などの合併症(別の病気を併発すること)が起きやすくなる
- 水痘にかかったあと、ウイルスが体の中に残り、年をとってから帯状疱疹(たいじょうほうしん)として再び症状が出ることがある
原因
主な原因
- 水痘・帯状疱疹ウイルスに感染することで起こります
- せきやくしゃみのしぶきを吸い込むことでうつります(飛沫感染)
- 水ぶくれの液体に触れることでもうつります(接触感染)
- 同じ部屋にいるだけでうつることもあるほど、うつりやすいウイルスです(空気感染)
- 発疹が出る1〜2日前から、かさぶたになるまでの間に人にうつしやすい時期があります
リスク要因
- 水痘のワクチンを受けていない、または1回しか受けていない
- 保育園・幼稚園・学校など、人が多く集まる場所で過ごしている
- 家族の中に水痘にかかった人がいる
- ステロイド薬の長期使用や治療の影響などで、免疫(体を守る力)が弱い
- 妊娠中、または生まれたばかりの赤ちゃん
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 水ぶくれが膿をもつ、周りの皮膚が赤く腫れて痛む
- 水分が飲めない、尿がほとんど出ない、ぐったりしている
- けいれん、強い頭痛、何度も嘔吐する、歩きにくそう
- 高い熱が4〜5日以上続く
- 妊娠中の人や免疫が弱い人にうつした可能性がある
定期受診を予約すべき場合:
- 水痘かもしれない発疹が出たとき(登園・登校の目安を知るためにも早めに受診を)
- 予防接種の時期について相談したいとき
- 大人で水痘にかかったことがなく、接種を考えているとき
- かゆみが強く、眠れないほどつらいとき
診断
多くは、お医者さんが発疹の出方や見た目、熱の経過を確認することで診断できます。水痘は発疹の特徴がはっきりしているため、特別な検査をしなくても診断できることが多いです。ほかの病気の発疹と見分けにくいときには、検査を行うことがあります。
行われる可能性のある検査
- 問診と診察(いつから発疹が出たか、熱はあるか、周りに同じ症状の人がいるか)
- 水ぶくれの液体をとって調べる検査(ウイルスがいるかを確認する)
- 血液検査(抗体=ウイルスに対する体の防御の程度を調べる)
- 必要に応じて、ほかの発疹の病気との区別のための検査
診察で予想されること
診察は短時間で終わることが多く、痛い検査はふつう必要ありません。診断されたら、登園・登校を控える期間(すべての発疹がかさぶたになるまで)や、家庭での過ごし方について説明があります。授乳中や妊娠中の方、免疫が弱い方が家族にいる場合は、受診時に伝えておくと安心です。
治療
水痘には、症状をやわらげながら自然に治るのを待つ「対症療法(たいしょうりょうほう)」が中心になります。かゆみや熱がつらいときは、医師や薬剤師に相談して適切な対応をとります。重症化の心配がある方(大人、免疫が弱い方、妊娠中の方など)には、医師の判断でウイルスの増殖を抑える治療が検討されることがあります。
自宅でのセルフケア
- 水分をこまめにとり、消化のよいものを少しずつ食べる
- 十分に休み、体力を消耗しないようにする
- かゆみが強いときは、冷たいタオルで冷やすなどして和らげる
- 爪を短く切り、かきむしって皮膚を傷つけないようにする
- 入浴はぬるめのお湯で、やさしく洗い、こすらない
- かゆみ止めや解熱のための薬は、自己判断で選ばず、医師や薬剤師に相談する
- 発疹がすべてかさぶたになるまで、登園・登校や人との接触を控える
- 家族、とくに妊娠中の人や免疫が弱い人にはうつさないよう注意する
医療治療
治療は症状に合わせて行われます。かゆみをやわらげる薬、熱や痛みを和らげる薬などが、医師や薬剤師の判断で使われることがあります。重症化のリスクが高い方には、ウイルスの増殖を抑える飲み薬が検討されることがあります。水ぶくれに細菌が入り込んで膿んだ場合には、医師の判断で抗菌薬が使われることがあります。どの治療が必要かは、年齢や症状、基礎疾患によって変わるため、必ず医療機関で相談してください。
この病気と共に生きる
水痘にかかっている間は、自宅で安静に過ごします。発疹がすべてかさぶたになるまでは、登園・登校は控える決まりになっています(学校保健安全法に基づく出席停止の目安)。かゆみでつらい時期は、涼しく過ごし、衣服は肌にやさしいものを選ぶと楽になります。看病する家族も手洗いをこまめに行い、タオルの共用は避けましょう。
生活習慣のアドバイス
- 部屋を涼しく保ち、汗をかいたらやさしく拭き取る
- 下着や衣服は、通気性のよい綿素材などを選ぶ
- タオルや食器の共用を避け、手洗いをこまめに行う
- 看病する人も、発疹が出ていないか自分自身の体調に気を配る
- 治ったあとも、しばらくは体力が戻りにくいことがあるので無理をしない
食事と運動
食欲がないときは、おかゆやスープ、果物など、食べやすく水分の多いものを少しずつとりましょう。脱水を防ぐため、水やお茶をこまめに飲むことが大切です。運動は、熱が下がり元気になるまでは控え、治ったあとも体調を見ながら少しずつ戻していきます。
精神的健康と心の健康
かゆみで眠れないことや、外に出られず人に会えないことが、子どもにも大人にもストレスになることがあります。家族がうつしてしまったのではと心配になる方もいますが、水痘はとてもうつりやすい病気で、誰のせいでもありません。つらい気持ちが続くときは、一人で抱え込まず、かかりつけ医や自治体の保健センターなどの相談窓口を頼ってください。気持ちが追い詰められて自分や子どもを傷つけそうに感じたときは、ためらわず救急(119番)や地域の救急相談窓口につながってください。
予防
はい。水痘のワクチンを受けることで、かかるのを防いだり、かかっても軽くすませたりできます。手洗いや、タオルの共用を避けることも、感染を広げないために役立ちます。
ワクチン
水痘のワクチンは、弱めたウイルスを使う「生ワクチン」です。日本では2014年10月から、1歳から1歳3か月ごろに1回目、1歳6か月から2歳ごろに2回目を受ける定期接種になっています(対象年齢や回数は法律で定められています)。2回接種することで、より確実に免疫がつくとされています。かかったことがない大人や、接種を受けていない人も、任意で接種を検討できます(費用や助成は自治体によって異なります)。妊娠中の方や免疫が弱い方は接種できないことがあるため、必ず医師に相談してください。接種後も発疹が出ることはありますが、軽いことが多いです。
検診プログラム
水痘にかかったことがあるか、免疫があるかを知りたい場合は、抗体検査を受けられることがあります。接種を考えているときは、かかりつけ医に相談してみましょう。
合併症
治療しない場合
- 水ぶくれをかきむしることで、細菌が入って膿むことがある(とびひなど)
- 肺炎を起こすことがある(とくに大人や免疫が弱い人)
- まれに脳や神経の合併症(脳炎、小脳炎など)を起こすことがある
- 水分がとれず脱水になることがある
- 水痘にかかったあと、ウイルスが体内に残り、大人になってから帯状疱疹を発症することがある
長期的な見通し
水痘は、多くの人にとって1〜2週間ほどで自然に治る病気です。ワクチンは予防に役立ち、かかってしまっても症状を軽くしてくれます。合併症はまれですが、心配な症状があるときは早めに医療機関に相談してください。治ったあとは、日常生活に戻れるのがふつうです。
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最終更新: 2026年10月22日
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