胆管炎(たんかんえん)
概要
胆管炎は、肝臓で作られた「胆汁(たんじゅう)」という消化液が通る管(胆管・たんかん)に炎症が起きる病気です。多くは、胆管が石や腫瘍などで詰まって胆汁の流れが悪くなり、そこに腸の細菌が入り込んで感染することで起こります。英語では「コランジャイティス」と呼ばれます。放っておくと感染が全身に広がることがあるため、早めの受診と治療が大切です。
重要な事実
- 胆管が詰まって胆汁の流れが悪くなり、そこに細菌が感染して起こることが多いです。
- 「発熱」「右上腹部の痛み」「黄疸(皮膚や白目が黄色くなること)」の3つがそろうと、胆管炎が疑われます。
- 治療の柱は、感染を抑えることと、胆汁の流れをよくすることです。多くは入院して治療します。
胆管炎は比較的よく見られる病気で、胆石(胆のうや胆管にできる石)のある人や高齢者に多くみられます。日本では、胆管の石が原因になることが多いとされています。
胆石を指摘されたことがある人、胆管や胆のうの手術を受けたことがある人、高齢者、糖尿病や免疫力が低下する病気のある人に多く起こります。子どもではまれですが、胆道閉鎖症(たんどうへいさしょう)の手術を受けた子や、生まれつき胆管の形に特徴がある子に起こることがあります。
症状
- 意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応が悪い
- 顔色が青白く、冷汗が出ている、手足が冷たい
- ぐったりして立てない、血圧が下がっているように見える
- 呼吸が苦しい、脈がとても速い
- 高熱と黄疸があり、震えが止まらない
- ⚠38℃以上の発熱がある
- ⚠皮膚や白目が黄色くなってきた
- ⚠右上腹部の痛みが続いている
- ⚠嘔吐が続いて水分がとれない
- ⚠尿の色が濃い(お茶のような色)
一般的な症状
- 発熱(38℃以上になることが多い)と寒気・ふるえ
- みぞおちの右側(右上腹部)の痛み
- 皮膚や白目が黄色くなる黄疸(おうだん)
- 吐き気や嘔吐(おうと)
- 尿の色が濃くなる(お茶のような色)、便の色が白っぽくなる
- だるさ、食欲がない、元気が出ない
子供の症状
- ことばで症状を伝えられないことが多いため、様子の変化に気づくことが大切です。
- 発熱が続く、吐いてしまう、おなかを痛がる
- ぐったりして元気がない、機嫌が悪い、泣き方がいつもと違う
- 母乳やミルクの飲みが悪い、水分をとらない、おしっこの量が減る
- 皮膚や白目が黄色っぽく見える、尿の色が濃い、便の色が白っぽい
高齢者の症状
- 高齢者では熱が出ない、痛みを感じにくいことがあり、症状がはっきりしないことがあります。
- 意識がぼんやりする、話がかみ合わない、日中の眠気が強い
- なんとなく元気がない、食欲がない、動きたがらない
- 血圧が下がる、脈が速くなるなど、一見別の病気のような現れ方をすることがあります。
- 重症化しやすいので、いつもと違う様子があれば早めに相談してください。
原因
主な原因
- 胆管結石(胆管に石がつまること)— 日本では多い原因です。
- 腫瘍などで胆管が狭くなったり詰まったりする(胆管がん、すい臓の病気など)
- 手術や処置のあとに胆管が狭くなる
- 内視鏡を使った処置のあとに細菌が入り込む
- 生まれつき胆管の形に特徴がある、胆道閉鎖症の手術を受けた、など
リスク要因
- 胆石を指摘されたことがある、胆のうの手術を受けたことがある
- 高齢であること
- 糖尿病や、免疫の働きが低下する病気・治療がある
- 胆管や胆のうの手術・内視鏡処置の経験がある
- 肥満、急な体重減少、脂っこい食事の多い生活
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 発熱と右上腹部の痛み、黄疸のいずれかが重なるとき
- 嘔吐が続いて水分がとれないとき
- 意識がぼんやりする、ぐったりしているとき(救急へ連絡してください)
定期受診を予約すべき場合:
- 胆石を指摘されたことがあり、食後に右上腹部が重い・痛いと感じる
- 黄疸が一度出て、自然に消えた
- 尿の色が濃い状態が続いている
- 胆管の手術や処置を受けたあとで、体調の変化が気になる
診断
問診と診察のあと、血液検査と画像検査を組み合わせて判断します。症状の組み合わせ(発熱・右上腹部の痛み・黄疸)と検査の結果から、胆管炎かどうか、そして重症度をみていきます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査:炎症の値(CRPなど)、肝臓や胆管の働きを示す数値、黄疸の値、白血球の数などを調べます。
- 血液培養:血液の中に細菌がいるかどうかを調べます。
- 腹部エコー(超音波)検査:胆管が太くなっていないか、石があるかを見ます。
- 腹部CT検査やMRI検査:胆管が詰まっている場所や原因を詳しく調べます。
- 内視鏡を使った検査(ERCPなど):治療をかねて行われることがあります。
診察で予想されること
検査の多くは体への負担が少なく、短時間で終わります。画像検査の前に食事を控えるよう指示されることがあります。入院が必要と判断されることもありますが、それは感染をしっかり抑えるためのものです。
治療
胆管炎の治療は「感染を抑えること」と「胆汁の流れをよくすること」の2つが柱です。多くは入院して、点滴をしながら治療を進めます。原因になっている詰まりを取り除くことで、症状は大きく改善します。
自宅でのセルフケア
- 退院後は、医師に指示された薬を決められた期間きちんと使う(途中でやめない)
- 飲酒は控えめにする
- 脂っこい食事は控えめにし、バランスのよい食事を心がける
- 水分をこまめにとる
- 発熱、痛み、黄疸などが再び出ていないか、体調の変化に気を配る
- 通院の予定を守り、再発がないか確認してもらう
医療治療
まず点滴で水分と栄養を補い、体の状態を整えます。感染に対しては、医師の判断で細菌を抑える薬(抗菌薬)が使われます。胆汁の流れが悪いときは、内視鏡を使って管を入れ、詰まりを取り除いたり胆汁を体外や腸に逃がしたりする処置(ドレナージ)を行います。体の外から管を入れて胆汁を出す方法や、手術が選ばれることもあります。具体的な薬の名前や量はここではお伝えしません。医師や薬剤師の説明に従ってください。
手術が検討される場合
原因によっては手術が検討されます。胆のうの石が原因であれば、炎症が落ち着いたあとに胆のうを摘出する手術が提案されることがあります。腫瘍などが原因の場合は、専門の医療機関で詳しい検査と治療の相談が行われます。
この病気と共に生きる
治療が終わったあとも、しばらくは通院して経過を見ることが大切です。食事や飲酒の習慣を少し見直すことで、再発のリスクを下げられることがあります。体調の記録をつけておくと、受診のときに役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい食事と睡眠を心がける
- 脂っこい食事や揚げ物を毎日のようにとる習慣は控えめにする
- 急なダイエットや極端な食事制限を避ける
- 適度な運動を続け、体重を大きく増減させない
- 喫煙がある場合は、禁煙について医療機関に相談する
- 発熱や黄疸などのサインを覚えておき、早めに受診する
食事と運動
特別な食事療法があるわけではありませんが、脂っこい食事を控えめにして、野菜やたんぱく質をバランスよくとる食事が勧められます。水分をしっかりとること、無理のない範囲で散歩などの運動を続けることも体調管理に役立ちます。食事や運動の内容は、自分の体調や持病に合わせてかかりつけ医に相談してください。
精神的健康と心の健康
急な入院や痛み、繰り返す発熱があると、不安や疲れを感じるのは自然なことです。症状が良くなったり悪くなったりすると、気持ちも揺れやすくなります。ひとりで抱え込まず、家族や友人、医療スタッフに話してみてください。つらさが強いときや眠れない日が続くときは、かかりつけ医や地域の相談窓口に相談することが大切です。気持ちが追いつめられていると感じたら、ためらわずに医療機関や相談窓口に連絡してください。
予防
胆管炎をすべて防ぐことはできませんが、原因として多い胆石を予防する生活は役に立つと考えられています。また、胆石や胆管の病気を指摘されたときは、自己判断で様子を見ずに医療機関で相談することが大切です。
検診プログラム
胆石や胆管の病気を指摘されたことがある人、胆管の手術や処置を受けたことがある人は、症状がなくても定期的な通院と検査を続けることが勧められます。健診で肝臓や胆道の数値に異常を指摘された場合も、早めに医療機関で相談してください。
合併症
治療しない場合
- 敗血症(はいけつしょう):感染が血液を通じて全身に広がる状態
- ショック:血圧が下がり、体の臓器に十分な血液が届かなくなる状態
- 肝臓に膿がたまる(肝膿瘍・かんのうよう)
- 腎臓や肺など、複数の臓器の働きが低下する
- 胆管が狭くなり、胆汁の流れが悪い状態が続く
- 治っても再び胆管炎を起こすことがある
長期的な見通し
胆管炎は、早めに治療を受ければ多くの人が改善します。入院が必要になることもありますが、それは感染をしっかり抑えるためのものです。原因を取り除き、通院を続けることで再発を防げることも多くあります。不安なことは、遠慮せずに医療スタッフに聞いてください。
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最終更新: 2026年10月22日
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