コレステロールの合併症について知っておきたいこと
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
コレステロールは体に必要な脂質のひとつです。しかし、悪玉と呼ばれるLDLコレステロールが多くなりすぎると、血液中の脂質が血管の壁にたまり、血管が硬く狭くなる「動脈硬化」が進みます。動脈硬化が進むと、心臓や脳の血液の流れが悪くなり、心筋梗塞や脳卒中といった、命に関わる合併症を起こす危険が高まります。
重要な事実
- コレステロールが高い状態は、ほとんどの場合、自覚症状がありません。
- LDLコレステロール(悪玉)が多いと、動脈硬化が進み、心臓病や脳卒中のリスクが高まります。
- 生活習慣の改善と、医師の指示に基づく治療で、合併症のリスクを大きく減らすことができます。
はい、とてもよくあることです。日本では40歳以上の約3人に1人がコレステロールの値で基準を超えているといわれています。自覚がないまま進行するため、気づかないうちに動脈硬化が進んでいることも少なくありません。
男女どちらにも見られますが、閉経後の女性、家族に高コレステロールや心臓病の人がいる方、糖尿病や高血圧のある方、喫煙習慣のある方は特に注意が必要です。まれに、遺伝的な体質によって若い人や子どもにも見られます。
症状
- 胸の強い痛みや圧迫感、冷や汗、呼吸が苦しい場合は、すぐに119番(救急車)を呼んでください。
- 顔の片側が下がる、手を挙げられない、言葉がうまく話せないなど、脳卒中の症状がある場合は、すぐに119番を呼んでください。
- 急に意識を失いそうになる、普段と違う激しいめまいがある場合も、緊急の対応が必要です。
- ⚠胸の軽い痛みや息苦しさが数分続く、繰り返す場合は、今日中に受診してください。
- ⚠めまいや立ちくらみを何度も繰り返す場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
- ⚠脚の急なむくみや痛み、しびれがある場合は、早めの受診をおすすめします。
一般的な症状
- コレステロールが高いだけでは、ほとんど症状はありません。
- 動脈硬化が心臓の血管に進むと、胸の圧迫感や痛み、息苦しさが現れることがあります。
- 脳の血管に問題が起こると、めまい、片側の手足のしびれ、ろれつが回りにくいなどの症状が出ることがあります。
- 足の血管が細くなると、歩くとふくらはぎが痛み、休むと楽になることがあります。
子供の症状
- 子どもではまれですが、まぶたや皮膚に黄色いかたまり(黄色腫)ができることがあります。
- 家族性の高コレステロール血症では、思春期ごろから動脈硬化が進むことがあるため、家族歴がある場合は早めの検査がすすめられます。
高齢者の症状
- 高齢者では、疲れやすい、息切れ、だるさなどを感じる程度で気づかれにくいことがあります。
- 急に言葉が出ない、片側の手足の力が入らないなどの症状は、脳卒中の前触れである可能性があります。
- 普段の血圧や脈の不整脈にも注意しましょう。
原因
主な原因
- 飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を多く含む食品(脂身の多い肉、バター、揚げ物、洋菓子など)のとりすぎ
- 運動不足によるエネルギーのとりすぎ
- 喫煙、過度の飲酒
- 遺伝的な体質によるコレステロールの代謝異常
リスク要因
- 家族に高コレステロール血症や、心筋梗塞・脳卒中を起こした人がいる
- 40歳以上である
- 高血圧、糖尿病、肥満がある
- 喫煙習慣がある
- 閉経後の女性
- 脂っこい食事や甘い飲み物をよくとる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 胸の痛みや圧迫感、息苦しさがある
- 片側の手足のしびれ、脱力、言葉の混乱、顔のゆがみなどがある
- めまいや失神、冷や汗を伴うことがある
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断でコレステロールが高いと言われた
- 家族に心筋梗塞や脳卒中の人がいる
- 血圧や血糖が高めです、または糖尿病または高血圧治療中
- 運動不足や食生活の乱れを改善したいが、方法がわからない
診断
コレステロールの値は、血液検査で調べます。通常は、健康診断の採血で測定されます。LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪のバランスを見て、動脈硬化のリスクを評価します。
行われる可能性のある検査
- 脂質検査:LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、総コレステロールの測定
- その他の血液検査:血糖や腎機能、肝機能を調べ、動脈硬化を進める他の病気がないか確認
- 必要に応じて心電図や血管の検査:動脈硬化の進行程度を調べる
診察で予想されること
血液検査は簡単な採血で、数分で終わります。結果をもとに、医師があなたの年齢、血圧、血糖、喫煙歴、家族歴などを合わせて、将来の心筋梗塞や脳卒中の危険度を総合的に評価します。必要なら、超音波や心電図などで動脈硬化の進行を詳しく調べることもあります。
治療
治療の基本は、食事と運動などの生活習慣の改善と、必要に応じて医師が処方する薬を使うことです。目標とするコレステロール値は、あなたの持っている危険因子(年齢、高血圧、糖尿病など)によって異なるため、医師と相談して決めます。
自宅でのセルフケア
- 1日30分のウォーキングなど、無理のない範囲で定期的に体を動かす
- 野菜、果物、魚、大豆製品を多くとり、脂っこい肉や揚げ物、菓子類を控える
- 喫煙している方は、禁煙を検討する
- お酒は適量(日本酒なら1合程度、ビールなら中瓶1本程度)を守る
- ストレスをためず、睡眠をしっかりとる
医療治療
医師がリスクが高いと判断した場合、コレステロールを下げるための薬が処方されることがあります。薬には、肝臓でのコレステロールの生成を抑えるものや、腸からの吸収を抑えるものなど、いくつかの種類があります。どの薬を使うかは、あなたの状態や体質に合わせて医師が決めます。自己判断でやめたり、市販薬を併用したりせず、医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
動脈硬化が進んで心臓の血管が強く狭くなった場合、カテーテル治療やバイパス手術などの血行を再建する治療が検討されることがあります。しかし、大多数の患者さんでは、生活習慣の改善と薬による治療が第一歩です。
この病気と共に生きる
毎日の生活の中で、自分の食事と運動を少しずつ見直すことが大切です。薬を処方されている場合は、量を間違えず、飲み忘れのないようにしましょう。症状がなくても、動脈硬化は静かに進むことがあるため、定期受診と血液検査を続けることが合併症の予防につながります。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を目指す
- 節酒をする
- 規則正しい食事と適度な運動を続ける
- 適正体重を維持する
- ストレスを上手に発散する
- 定期検診と医師のフォローアップを受ける
食事と運動
食事は、揚げ物、脂の多い肉、バター、スナック菓子などを控え、青魚、大豆、野菜、きのこ、海藻、全粒穀物などを積極的に取り入れましょう。運動は、早歩きや水中歩行など、息がはずむ程度のものを1日30分、週に5日程度を目安に。初めて運動を始める場合や持病がある場合は、医師に相談してから行ってください。
精神的健康と心の健康
「コレステロールが高い」と言われると、心配になるのは自然なことです。しかし、きちんと管理すれば多くの合併症は防げます。強い不安や落ち込みが続く場合は、一人で抱え込まず、かかりつけ医や心の健康の専門家、相談機関を頼ってください。
予防
多くは、健康的な生活習慣を続けることで予防できます。ただし、遺伝的な体質が原因の場合は、子どもの頃から定期的な検査と適切な治療が必要です。まず、自分のコレステロール値を知り、リスクに合わせた対策をとることが最も大切です。
ワクチン
コレステロールを直接下げるワクチンはありません。ただし、インフルエンザや肺炎などの予防接種は、感染症による心臓や血管への負担を減らすことにつながります。かかりつけ医に相談のうえ、受けることを検討しましょう。
検診プログラム
健康診断の血液検査でコレステロールを測定できます。とくに40歳を過ぎたら、年に1回は脂質検査を受けましょう。家族に心筋梗塞や脳卒中を起こした人が多い方は、若いうちから検査を始めることをおすすめします。
合併症
治療しない場合
- 心筋梗塞(心臓の血管がつまって強い胸痛が起こる病気)
- 脳卒中(脳の血管がつまる、または破れて脳の機能が障害される病気)
- 末梢動脈疾患(足の血管が細くなり、歩くと痛む、足が冷たいなどの症状が出る)
- 大動脈瘤(大動脈の一部がこぶのように膨らんで、破れるリスクがある)
- 慢性腎臓病(腎臓の血管が傷み、腎臓の働きが低下する)
長期的な見通し
コレステロールの値を適正に保つことは、難しくありません。生活習慣の改善と、必要に応じた薬の力を借りれば、心筋梗塞や脳卒中などの合併症のリスクを大きく減らすことができます。たとえ値が高めでも、医療の支援を受けて、長く元気に暮らせる未来は十分にあります。まずは「今の自分の数値」を知り、かかりつけ医と一緒に無理のない計画を立てましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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