コレステロール値が気になるとき
概要
コレステロールは、血液の中を流れている脂質(あぶら)の一種です。細胞の膜やホルモンを作る材料になるので、体には欠かせないものです。ただ、多すぎると血管の内側に少しずつたまり、血管が硬く狭くなる「動脈硬化」を進めてしまうことがあります。血液検査で測る「コレステロール値」には、LDLコレステロール(いわゆる悪玉と呼ばれるもの)、HDLコレステロール(いわゆる善玉と呼ばれるもの)、中性脂肪、それらを合わせた総コレステロールなどがあります。
重要な事実
- コレステロールが高いだけでは、ふつう自覚症状はありません。健診などの血液検査で初めてわかることが多いです。
- LDLコレステロールは多いと血管に負担をかけ、HDLコレステロールは少ないと血管の掃除の働きが弱まります。どちらも見ながら判断します。
- 数値は食事や運動、体重、たばこ、遺伝などで変わります。1回の結果だけで決めず、くり返しの検査と体全体の状態で考えます。
はい。日本の健診でも、コレステロールや中性脂肪が高い人は少なくありません。40代以降に特に多くなりますが、若い人や子どもでも見つかることがあります。
年齢を重ねた人、家族にコレステロールが高い人がいる人、体重が増え気味の人、運動が少ない人、たばこを吸う人、糖尿病や高血圧がある人に多く見られます。男性は中年以降、女性は閉経後に上がりやすくなります。
症状
- 胸の真ん中が強く痛む、または圧迫される感じが15分以上続く
- 冷や汗、息苦しさ、吐き気をともなう胸の痛み
- 突然、体の片側が動かない・しびれる、ろれつが回らない、言葉が出ない
- 突然の激しい頭痛、意識がもうろうとする、けいれん
- ⚠胸の不快感や動悸がくり返し起きる
- ⚠少し歩くと足が痛くなり、休むと治まる(足の血管が狭くなっているサインのことがあります)
- ⚠健診結果に「非常に高い」「すぐに受診を」と書かれている
一般的な症状
- コレステロールが高いこと自体では、ふつう何の症状もありません。
- そのため、健診の血液検査で数値を見て初めて気づくことが多いです。
- 長い年月がたって血管が狭くなると、胸の痛みや息切れなど、別の病気の症状として現れることがあります。
子供の症状
- 子どもでは、遺伝的な原因で生まれつきコレステロールが高くなりやすい場合があります。
- 家族に若い頃からコレステロールが高い人や、若くして心臓病になった人がいる場合は、小児科で相談するとよいでしょう。
- 肥満がある子どもでは、生活習慣の見直しがすすめられることがあります。
高齢者の症状
- 高齢になると、持っている病気の数や飲んでいる薬が増え、数値に影響することがあります。
- やせすぎ(低栄養)や体力の低下がある場合は、数値を下げることよりも栄養を保つことが大切なことがあります。
- 持病や生活の状況をふまえて、目標の数値を一人ひとりに合わせて決めます。
原因
主な原因
- 食事で脂質(特に肉の脂身やバターなどに多い飽和脂肪酸)や糖分をとりすぎる
- 運動不足、体重の増加(特に内臓に脂肪がつくタイプ)
- 遺伝(家族性高コレステロール血症など、生まれつき値が高くなりやすい体質)
- たばこ、飲酒の量が多い
- 甲状腺の働きが低下する病気、腎臓の病気、糖尿病など
- 一部の薬の影響で数値が変わることがある(自己判断で中止せず、医師や薬剤師に相談してください)
リスク要因
- 家族にコレステロールが高い人、若くして心臓病や脳卒中を起こした人がいる
- 高血圧、糖尿病、慢性腎臓病がある
- 肥満、特に内臓脂肪が多い
- 運動不足、すわって過ごす時間が長い
- ストレスが多い、睡眠が不足しがち
- 年齢(男性は中年以降、女性は閉経後)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 胸の強い痛み、強い息苦しさ、突然の片側まひなどがあれば119番に連絡してください
- 健診結果に「要精密検査」「すぐに受診」と書かれている
- 足を動かすと痛む、傷が治りにくいなど、足の血管が気になる症状がある
定期受診を予約すべき場合:
- 健診でコレステロールや中性脂肪が高いと言われた
- 家族に高コレステロールの人や、若くして心臓病になった人がいる
- 食事や運動を見直したいが、どう変えればよいかわからない
- 体重が増えてきた、たばこをやめたい
診断
血液検査で調べます。LDL・HDLコレステロール、中性脂肪、総コレステロールを測り、年齢・血圧・喫煙・糖尿病の有無などと合わせて、血管の病気のリスクがどのくらいかを見ます。数値だけでなく、体全体の状態で判断することが大切です。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(脂質の値を測る)
- 血圧、体重、腹囲の測定
- 血糖や腎臓の働きなどをみる血液検査
- 家族歴や生活習慣についての聞き取り
- 必要に応じて心電図や超音波検査など
診察で予想されること
検査の前に飲食を控えるよう指示されることがあります(水は飲んでよいことが多いです)。結果は数日で出ることが多く、医師と一緒に目標の数値を決めます。一度の結果だけで終わらず、数か月ごとに再検査して変化を見ていきます。
治療
治療の中心は、食事・運動・禁煙といった生活習慣の見直しです。それを土台にして、血管の病気のリスクが高い人には、医師が必要と判断した場合にコレステロールを下げる飲み薬が使われることがあります。目標の値は、年齢や持病によって一人ひとり違います。
自宅でのセルフケア
- 食事を見直す:野菜・海藻・きのこ・豆類を増やし、肉の脂身や加工肉、揚げ物、バターやクリームは控えめにする
- 青魚(さば・いわし・さんまなど)や大豆製品、食物繊維をとる
- 1日20〜30分の早歩きなど、息が少しはずむ運動を無理のない範囲で続ける
- 禁煙する。周りからの煙(受動喫煙)も避ける
- お酒は量と回数を決めて、飲まない日をつくる
- 体重と腹囲をときどき記録して、変化に気づく
- 睡眠を十分にとり、ストレスをためすぎない
医療治療
生活習慣の見直しを続けても目標に届かないとき、または心臓や脳の血管の病気のリスクが高いときは、コレステロールを下げる飲み薬が使われることがあります。薬の種類や量は、年齢・持病・他の薬との組み合わせをみて医師が決めます。自己判断で飲み忘れたり中止したりせず、気になることがあれば医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
コレステロール値そのものを手術で治すことはありません。ただし、動脈硬化が進んで心臓や足の血管が狭くなった場合は、カテーテルで血管を広げる治療や、バイパス手術などが検討されることがあります。
この病気と共に生きる
数値は「今日一日」で決まるものではありません。毎日の食事と体を動かす習慣を、少しずつ続けることが一番の近道です。健診の結果は捨てずに保管し、変化を一緒に見ていきましょう。
生活習慣のアドバイス
- 朝食を抜かず、野菜から食べるなど、続けやすい工夫から始める
- 買い物のときに食品の脂質表示を見る習慣をつける
- エレベーターより階段、1駅分歩くなど、日常の中で体を動かす
- 禁煙外来など、たばこをやめるための支援を利用する
- お酒の量をあらかじめ決めておく
- 家族や友人と一緒に取り組む
食事と運動
食事は、野菜・海藻・きのこ・豆・玄米や全粒穀物などの食物繊維をしっかりとり、肉の脂身・加工肉・揚げ物・お菓子や甘い飲み物を控えめにします。青魚や大豆製品、ナッツ、オリーブ油など良質の脂質を上手にとりましょう。運動は、早歩きや軽いジョギング、水泳、自転車など、息が少しはずむ程度を1日20〜30分、週に数回から始めるとよいでしょう。持病がある人は、始める前に医師に相談してください。
精神的健康と心の健康
数値を気にしすぎると、食事が楽しめなくなったり、不安が続いたりすることがあります。数値は体からのメッセージのひとつで、あなたの価値を決めるものではありません。気持ちがつらい日が続くときは、一人で抱えず、かかりつけ医や地域の保健センター、公的な相談窓口に話してみてください。緊急の場合は119番に連絡してください。
予防
多くは、生活習慣を整えることで予防したり、改善したりできます。遺伝的な体質がある場合でも、生活習慣の見直しと定期的な検査でリスクを下げることができます。
ワクチン
コレステロール値を下げるワクチンはありません。日々の生活習慣と定期的な健診が予防の中心です。
検診プログラム
日本では、40〜74歳の人を対象にした特定健康診査(メタボ健診)で血液検査が行われます。会社の健診や自治体の健診を受ける習慣をつけ、結果を保管しておきましょう。家族にコレステロールが高い人がいる場合は、若いうちから検査を受けておくと安心です。
合併症
治療しない場合
- 動脈硬化が進み、血管が硬く狭くなる
- 心臓の血管が詰まる心筋梗塞や、狭くなって痛みが出る狭心症
- 脳の血管が詰まる脳梗塞や、破れる脳出血
- 足の血管が狭くなり、歩くと痛む・傷が治りにくくなる(末梢動脈疾患)
- 糖尿病や腎臓病がある人は、病気の進み方が早くなることがある
長期的な見通し
コレステロール値は、食事・運動・禁煙といった日々の工夫で改善が期待できます。薬が必要な場合も、きちんと続けることで血管の病気のリスクを下げられることがわかっています。あせらず、定期的に検査を受けながら、自分に合ったペースで続けていくことが大切です。
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最終更新: 2026年10月22日
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