慢性疲労症候群(CFS)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
慢性疲労症候群(まんせいひろうしょうこうぐん、CFS)は、十分な休息をとっても回復しない強い疲労感が長く続く病気です。この疲労は日常生活や仕事に大きな支障をきたします。筋痛性脳脊髄炎(ME)とも呼ばれることがあります。原因はまだはっきりとはわかっていませんが、体のエネルギー産生や免疫、神経の働きに何らかの不具合が起きていると考えられています。
重要な事実
- 日常生活に支障をきたすほどの強い疲労が6か月以上続きます
- 休息や睡眠で疲れがとれず、少しの活動で症状が悪化します(労作後倦怠感)
- 原因は一つではなく、多くの要因が関わっていると考えられています
日本では約10万人に数十人程度と推定されており、決して珍しい病気ではありません。しかし、診断が難しいため、実際の患者数はもっと多い可能性があります。
どの年齢層でも発症しますが、特に20~50代の女性に多くみられます。小児や高齢者でも起こることがあります。
症状
- 意識がもうろうとしている
- 激しい胸の痛みや息苦しさがある
- 自分を傷つけたい、または死にたいという強い気持ちがある
- ⚠急に症状が悪化し、水も飲めないほどの衰弱がある
- ⚠高熱が続くなど感染症の兆候がある
- ⚠精神的な不安や落ち込みが強く、日常生活がままならない
一般的な症状
- 十分な睡眠をとっても全く疲れがとれない強い疲労感
- 少し体を動かしたり、頭を使ったりしただけで、翌日以降にひどい倦怠感や症状の悪化が起きる(労作後倦怠感)
- 頭痛、のどの痛み、リンパ節の腫れ
- 筋肉痛や関節の痛み(ただし腫れや赤みはない)
- 集中力や記憶力の低下(「頭にもやがかかった」感じ)
- めまいや立ちくらみ(起き上がるときに特に)
- 睡眠が浅く、熟睡した感じがしない
- 光や音、においに敏感になる
子供の症状
- 学校に行けなくなるほどの強い疲労
- 遊びや運動後に極度の疲れが出る
- 集中力が続かず、学業に影響が出る
- 腹痛や吐き気などの消化器症状が出ることがある
高齢者の症状
- 年齢のせいと思われがちですが、同じように強い疲労感が続く
- 転倒のリスクが高まる筋力低下
- 持病との区別がつきにくいが、休息で改善しない疲労に注意
原因
主な原因
- 感染症(ウイルスなど)が引き金になることがある
- 免疫系の異常(免疫の働きが過剰または低下している状態)
- ホルモンバランスの乱れ
- 精神的・身体的ストレスが重なること
- 遺伝的な要因が関与している可能性も指摘されています
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急受診が必要な症状がある場合は、迷わず119番に連絡してください。
- 自分を傷つける考えが浮かんだときは、すぐに救急車を呼ぶか、お近くの精神科救急窓口に相談してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 強い疲労が6か月以上続いている
- 休息しても疲れがとれず、日常生活に支障が出ている
- 学校や仕事を休まざるを得ない日が増えている
- 疲労の原因として他の病気が心配なとき
診断
慢性疲労症候群を一度に確定できる検査はありません。医師はまず、同じような疲労を引き起こす他の病気(甲状腺の病気、貧血、睡眠時無呼吸症候群、うつ病など)を除外するために診察と検査を行います。そのうえで、症状の持続期間や特徴(特に労作後の悪化)を詳しくお聞きし、厚生労働省の診断基準などに照らして総合的に判断します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(貧血、甲状腺機能、肝臓・腎臓の働き、炎症反応など)
- 心理的な評価(うつ病や不安症の症状を調べる質問票)
- 必要に応じて睡眠の検査や心電図検査
診察で予想されること
診断までに時間がかかることがあります。他の病気をきちんと調べるため、複数回の受診が必要になる場合もあります。また、慢性疲労症候群と診断されても、まだ治療法が確立していないことがあるため、医師は症状の管理に重きを置いた支援を行います。あなたの感じている苦しさを医師に具体的に伝えることが大切です。
治療
現在、慢性疲労症候群を根本的に治す治療法は確立されていませんが、症状をやわらげ、生活の質を向上させるための方法がいくつもあります。治療は一人ひとりの症状や状態に合わせて組み立てられます。活動量の調整、睡眠の改善、痛みや不調に対する対症療法、そして心のケアが中心になります。
自宅でのセルフケア
- 「ペーシング」と呼ばれる活動管理法:調子の良い日でもやりすぎず、疲れが出る前に休憩をとる。日記をつけて自分の限界を知る
- 睡眠リズムを整える:毎日同じ時間に起き、昼寝はなるべく避ける
- ストレスをためないための工夫(趣味やリラックス法)
- 水分をしっかりとり、バランスの良い食事を心がける
- 周囲の人に自分の状態を理解してもらうために、信頼できる家族や友人に説明する
医療治療
医師が症状に応じて、睡眠の質を助ける方法や、痛みをやわらげるための治療を提案することがあります。また、思考や行動パターンを整える認知行動療法(CBT)が、不安や落ち込みの軽減に役立つことがあります。プログラムは患者さんの体力に合わせて無理のない範囲で行われます。いずれの治療も、かかりつけ医とよく相談しながら進めることが大切です。
手術が検討される場合
慢性疲労症候群そのものに手術は行われません。
この病気と共に生きる
慢性疲労症候群と共に暮らすには、自分の体調の波を知り、それに合わせて生活を組み立てることが重要です。エネルギーを電池残量のようなものと考えると、使い果たさないようにこまめに充電(休息)することが求められます。やるべきことに優先順位をつけ、助けを求めることも大切です。
生活習慣のアドバイス
- 活動のペース配分を学び、無理をしない習慣をつける
- 家事や仕事の負担を軽減する工夫(椅子に座って行う、道具を活用する)
- 同じ姿勢を続けず、短い休息を頻繁に入れる
- 信頼できる医師や相談員と定期的につながる
食事と運動
食事はエネルギーを保つ基本です。偏りなく、3食を規則正しくとることを心がけてください。ただし、激しい運動は症状を悪化させることがあるため、医師と相談しながら、ストレッチや短い散歩など、自分の体調に合った軽い運動から始めましょう。運動後に強い倦怠感がないか確認しながら、少しずつ調整します。
精神的健康と心の健康
長期間にわたる疲労と活動制限は、気持ちの落ち込みや不安を招きやすくします。「どうしてよくなれないのか」「周囲に理解されない」といった思いから、孤立感を感じる方も少なくありません。これは決してあなたのせいではありません。心の不調も病気の一部です。必要に応じて、心療内科やカウンセリングを受けることも有効な手段です。
予防
慢性疲労症候群のはっきりとした予防法はまだわかっていません。しかし、過剰なストレスを避け、感染症の後はしっかりと休養を取ることは、発症のリスクを下げるかもしれません。自分の体調の変化に早めに気づき、無理をしない生活を心がけることが大切です。
ワクチン
慢性疲労症候群そのものを予防するワクチンはありません。
検診プログラム
現時点で、この病気を早期発見するための定期的な検診はありません。気になる疲労が長引く場合は、早めに医療機関を受診することが推奨されます。
合併症
治療しない場合
- 日常生活や社会生活が大きく制限され、家に閉じこもりがちになることがあります
- うつ病や不安障害など、こころの不調を合併しやすくなります
- 睡眠リズムが乱れ、さらに疲労が慢性化する悪循環に陥ることがあります
- 仕事や学業の継続が難しくなり、経済的な問題につながることもあります
長期的な見通し
慢性疲労症候群の経過は人によって異なります。多くの方は、適切な自己管理と支援によって徐々に症状が和らぎ、生活の質を取り戻すことができます。完全に元の状態に戻ることは難しい場合もありますが、自分の体調と上手に付き合いながら、充実した日々を送っている方もたくさんいます。あせらず、一歩ずつ進んでいきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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