中心静脈カテーテル関連血流感染症(CLABSI)
概要
CLABSI(クラブシー)は、中心静脈カテーテル(ちゅうしんじょうみゃくカテーテル)という、太い血管に長い間入れておく細い管から、細菌などが血液の中に入り込んで起こる感染症です。この管は「中心ライン」とも呼ばれ、点滴や栄養の補給、抗がん剤の投与、採血などに使われます。人から人へうつる病気ではなく、入院中にこの管を使っている方に起こることが多い感染症です。
重要な事実
- 中心ラインを使っている入院中の方に起こる感染症で、多くは管を抜いたり治療したりすることで改善します。
- 発熱や悪寒(さむけ)、管の入り口の赤みや腫れが代表的なサインです。
- 医療スタッフの手指衛生や管の管理など、決められた手順を守ることで大きく減らせます。
- 自宅で中心ラインを使っている場合は、少しでもいつもと違うと感じたら早めに連絡しましょう。
中心ラインを使う入院患者さんの一部に起こります。日本でも以前は問題になっていましたが、病院での感染対策が進み、最近は減ってきています。
集中治療室(ICU)に入っている方、長期間中心ラインを使っている方、免疫の力が弱っている方(抗がん剤治療中、移植後など)、低出生体重の赤ちゃん、高齢の方、糖尿病や栄養不足のある方などに起こりやすいとされています。
症状
- 意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応が弱い
- 呼吸が苦しい、唇や顔色が青白い
- けいれん
- 血圧が大きく下がってぐったりしている(ショックの疑い)
- 高熱とともに震えが止まらない
- ⚠38℃以上の発熱、強い悪寒
- ⚠管の入り口が赤く腫れて痛む、膿が出る
- ⚠管の周りが熱をもっている、においがする
- ⚠吐き気が続いて水分がとれない
一般的な症状
- 38℃以上の発熱や悪寒(さむけ)
- 管の入り口の赤み・腫れ・痛み・膿(うみ)
- だるさ、食欲がない
- 吐き気、頭痛
- 血圧が下がる、脈が速くなる(重症のとき)
子供の症状
- 母乳やミルクを飲まない、飲み方が弱くなる
- ぐったりしている、機嫌が悪い
- 管の入り口の赤みや腫れ
高齢者の症状
- 熱がはっきり出ないことがある
- 急に元気がない、ぼんやりする、会話がかみ合わない
- 食欲が落ちる、水分をとらない
- 血圧が下がる、立ちくらみ
原因
主な原因
- 皮膚の表面にいる細菌が、管の入り口から血管の中に入り込む
- 管の接続部分(ハブ)を触るときに細菌がつく
- 管を長く留置するほど、感染の機会が増える
- 手洗いや消毒が不十分なまま管を扱う
- 汗や湿気で管の入り口のガーゼやフィルムが汚れる
リスク要因
- 集中治療室(ICU)での治療
- 管を入れている期間が長い
- 管の数が多い(複数のルーメン)
- 太ももの付け根(大腿静脈)に入れている
- 免疫の力が弱い(抗がん剤、移植後、ステロイドの長期使用など)
- 糖尿病、腎不全、栄養不足
- やけどや大きなけがをしている
- 低出生体重の赤ちゃん
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 38℃以上の発熱や強い悪寒がある
- 管の入り口が赤い・腫れている・膿が出る
- 管の周りが痛む、熱をもっている
- 血圧が下がっている気がする、ふらつく
- 自宅で中心ラインを使っていて、いつもと違うと感じる(すぐに連絡を)
定期受診を予約すべき場合:
- 管の入り口の状態が気になる
- ガーゼやフィルムがはがれかけている、濡れた
- 入浴や運動のときにどうすればよいか知りたい
- 退院後の生活で注意することを確認したい
診断
医師は、症状と中心ラインの状態を診察し、血液検査や血液培養(けつえきばいよう:血の中に細菌がいるかを調べる検査)を行って診断します。必要に応じて管の先端を調べたり、画像検査をしたりします。
行われる可能性のある検査
- 血液培養(管から採った血と、腕の血管から採った血の両方)
- 血液検査(炎症の値、白血球の数など)
- 管の入り口のぬぐい液検査
- 抜いた管の先端の培養
- 必要に応じて心エコーやCTなどの画像検査
診察で予想されること
診断のために何度か採血をすることがあります。結果が出るまでに数日かかることもありますが、その間も症状をやわらげる治療は始められます。管を抜く必要があるかどうかは、状態を見ながら医師が判断します。
治療
治療の中心は、原因の細菌をやっつけることと、感染のもとになっている管をどうするかを決めることです。多くの場合、入院して点滴の治療を受けます。
自宅でのセルフケア
- 石けんと流水でこまめに手を洗う(管に触る前は必ず)
- 管の入り口のガーゼやフィルムは、言われたとおりに交換し、自分ではがしたり触ったりしない
- シャワーや入浴のときは、管の部分を濡らさないようにする
- 発熱や痛みなど、少しでも気になることがあったら、がまんせずに伝える
- 水分と休息をとり、からだを休める
医療治療
細菌をやっつけるための抗菌薬(細菌を殺す薬)を、主に点滴で使います。どの薬をどのくらいの期間使うかは、培養の結果や症状の重さに合わせて医師が決めます。必要に応じて、水分や栄養の補給、血圧を保つための処置も行います。原因となっている管を抜くか、入れ替えるかは、感染の状態と、その管がどれだけ必要かによって判断されます。
手術が検討される場合
手術というよりは、管を抜く(抜去)または入れ替える処置が必要になることがあります。また、感染が心臓の弁や体の奥に広がった場合には、その部分の治療のために処置や手術が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
自宅で中心ラインを使っている方は、決められた手順で管を管理することが大切です。体調の変化に気づけるように、毎日、熱を測り、管の入り口の様子を見る習慣をつけましょう。
生活習慣のアドバイス
- 決められた手順と頻度で管の手入れをする
- 管に触る前は必ず手を洗う
- 清潔で乾いた服を着て、管の部分を蒸らさない
- ペットに触れたあとや土いじりのあとは手をよく洗う
- 喫煙は控えめに(傷の治りや感染に影響します)
- 睡眠と休息をしっかりとる
食事と運動
バランスのよい食事と十分な水分は、からだの抵抗力を支えます。医師や看護師に相談しながら、無理のない範囲で歩くなどの軽い運動を続けましょう。ただし、管が入っている部位に負担がかかる運動や水泳などは、担当の医療スタッフに確認してからにしてください。
精神的健康と心の健康
入院や治療が長引くと、不安や気分の落ち込みを感じることがあります。それは自然なことです。ひとりで抱え込まず、家族や医療スタッフ、心理の専門家に話してみてください。つらい気持ちが続くときは、地域の保健所やかかりつけの医療機関に相談できます。気持ちが追い詰められて自分を傷つけたいと考えたときは、すぐに医療機関や救急(119)に連絡してください。
予防
はい。CLABSIは、決められた感染対策の手順を守ることで大きく減らせることが分かっています。日本でも厚生労働省の指針や、病院ごとの感染対策チームの活動によって、対策が進められています。
ワクチン
CLABSIを直接防ぐワクチンはありません。日ごろの手指衛生と管の管理が中心になります。
検診プログラム
症状のない方に日常的に行うスクリーニング検査はありません。発熱など体調の変化があったときに、血液検査や血液培養で調べます。
合併症
治療しない場合
- 敗血症(細菌が血液の中に広がり、全身に炎症が起きる状態)
- 敗血症性ショック(血圧が保てず、臓器に十分な血液が届かない状態)
- 心内膜炎(心臓の弁や内側の感染)
- 肺や肝臓、骨など、ほかの場所への感染の広がり
- 入院が長くなる、治療が大変になる
長期的な見通し
CLABSIは重くなると危険な感染症ですが、早く見つけて治療すれば多くの方が回復します。医療チームは、感染を早く見つけ、管の必要性を毎日見直しながら、あなたにとって安全な方法を選んでいきます。気になることがあれば遠慮なく相談してください。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康に関する案内は国や地域によって異なります。このページは一般的な教育情報であり、お住まいの地域の指針、薬、診療と一致しない場合があります。心配な点はご自身の医師または医療提供者に相談し、地域の案内がある場合はそれに従ってください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
このトピックを名指しする指針はありません
このページには、このトピックそのものを名指しする健康ガイドラインや臨床の章は引用されていません。このページは一般的な教育と情報のみを目的としています。診断、治療計画、個人への医学的助言ではありません。ご自身の医師に確認し、その指示に従ってください。症状が重い、突然である、または心配な場合は速やかに受診し、緊急時は地域の緊急番号に電話してください。Ruqelo LLC は、この情報に基づく判断から生じる医学上または法律上の結果について責任を負いません。
最終更新: 2026年10月22日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.