疝痛(せんつう)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
疝痛とは、おなかの中の管が縮んで起こる、繰り返す激しい痛みのことをいいます。赤ちゃんでは、理由がよくわからないのに何時間も激しく泣き続ける「乳児疝痛(にゅうじせんつう)」として現れます。大人では、腎臓の結石や胆石などが原因で起こる、強い腹痛やわき腹の痛みを指します。
重要な事実
- 赤ちゃんの疝痛は、健康な赤ちゃんにありふれて見られ、生後4〜6か月までには自然に落ち着くことがほとんどです。
- 疝痛自体は病気ではなく、ほかの病気のサインであることはまれですが、慎重に判断するために医師の相談が大切です。
- 大人の疝痛では、結石が尿や胆汁の通り道に詰まると、強い痛みが波のようにやってきます。
赤ちゃんの疝痛はとても一般的で、生後2〜3か月の赤ちゃんの5〜6人に1人程度に見られます。大人の疝痛も、腎臓結石や胆石の経験がある人では珍しくありません。
赤ちゃんの疝痛は、生後2週間ごろから始まり、3〜4か月ごろまでに多いです。大人では、尿路結石は中高年の男性に、胆石は40代以降の女性に多く見られます。
症状
- 突然の激しい腹痛で、じっとしていられない
- 吐いたものに血が混じっている、またはコーヒーの出し殻のよう
- 便に血液が混じっている、または黒色便
- 高熱とともに意識がもうろうとする
- 赤ちゃんがぐったりして、呼びかけても反応が乏しい
- ⚠痛みが時間とともに強くなる
- ⚠吐き気を繰り返す
- ⚠36時間以上、尿が出ない
- ⚠赤ちゃんの泣きが1日中続き、授乳ができない
一般的な症状
- 痛みが波のように来て消える
- 痛みのあいだは、反対に落ち着いて気分がよくなる
- 吐き気や腹部の張りを伴う
子供の症状
- 夕方から夜にかけて、理由もなく激しく泣く
- 顔を真っ赤にして、こぶしを握りしめる
- 足を曲げ伸ばししたり、背中を反らしたりする
- 泣き声がいつもより高く、強く、耐えられないように聞こえる
高齢者の症状
- 急に始まる、背中やわき腹、下腹部の激しい痛み
- 痛みが数分から数十分続き、しばらくするとやむ
- 吐き気やおう吐、発熱を伴うことがある
- 尿がいつもより少ない、血が混じるなどの症状が現れることもある
原因
主な原因
- 赤ちゃんの疝痛:はっきりした原因はわかっていませんが、腸が未熟でガスがたまりやすい、神経の働きが未熟、親の育児ストレスが影響するなど、いくつかの説があります
- 大人の疝痛(尿路結石):尿の通り道に石が詰まり、管が収縮して痛みが起こります
- 大人の疝痛(胆石):胆のうや胆管に石ができ、胆汁の流れが妨げられて痛みが起こります
リスク要因
- 赤ちゃん:生後2〜3か月、早産、タバコの煙を吸う環境
- 大人:水分不足、塩分や動物性脂肪の多い食事、肥満、糖尿病の持病
- 家族に結石のある人がいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上にあげた緊急の症状が1つでもあるときは、ためらわずに救急車(119番)を呼んでください
- 赤ちゃんが全身のけいれんを起こしたときは、直ちに救急車を呼びます
定期受診を予約すべき場合:
- 赤ちゃんの泣きが続いて育児に自信がもてないとき
- 大人で、同じ腹痛を繰り返すとき
- 痛みが2〜3日続くとき、または日常生活に影響があるとき
診断
疝痛の診断は、症状の聞き取りとおなかの診察を中心に行います。赤ちゃんの場合、発育や体重の増加が順調であることを確認し、ほかの病気の可能性をひとつずつ除外していきます。大人の場合、痛みの場所や性質、排尿の状態などを詳しく聞きます。
行われる可能性のある検査
- 赤ちゃん:多くの場合は検査は不要ですが、尿検査や腹部のエコー検査(超音波)を行い、腸の病気や尿路感染症がないかを確認します
- 大人:血液検査・尿検査は、感染症や腎臓の機能を調べます
- 超音波検査やCT検査:結石や胆石の有無を確認します
診察で予想されること
診察では、いつからどんな痛みが続いているか、痛みを強くしたり楽にしたりする姿勢、最近の食事や水分の量などを聞かれます。赤ちゃんの場合は、実際に泣いているところをスマートフォンで録画しておくと、医師が状況を把握しやすくなります。痛みが強い場合は、診察までの間も無理をしないでください。
治療
治療は、原因と症状の重さによって選ばれます。赤ちゃんの疝痛は薬でなく、ケアと時間が基本です。大人の疝痛は、痛みを和らげるための薬や、原因となる結石を小さくする治療などを行います。どの治療も、必ず医師の指示と診断に基づいて行われます。
自宅でのセルフケア
- 赤ちゃん:夕方の泣きには、縦抱きでゆっくり揺らし、おなかを時計回りにさする、静かな音楽やホワイトノイズを聞かせるなど
- 赤ちゃん:タバコの煙を避け、部屋の温度や明るさを静かにして刺激を減らす
- 大人:痛みのときは安静にし、水分をこまめにとる。痛む部分を温めて筋肉の緊張を和らげる
医療治療
医療機関では、痛みを和らげるための薬(鎮痛薬やけいれんを抑える薬)が検討されますが、理由によっては受診時の注射や検尿が必要です。結石が大きい場合には、結石を砕く体外衝撃波治療や、内視鏡を使って結石をとる手術が検討されます。どの薬・どの治療が合うかは、医師が病状や病歴をもとに判断します。
手術が検討される場合
胆石がふさがって強い炎症や感染症が起きている場合、または結石が薬や衝撃波でうまく溶けない場合は、腹腔鏡手術などの外科的治療が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
赤ちゃんの疝痛がある時期は、心が折れそうになることもありますが、必ず終わりがきます。泣かせてしまっているという罪悪感は不要です。逆に、お母さんやお父さんが疲れてしまうと、赤ちゃんは敏感に感じ取ります。そこで、家族や地域の助けを借りて、交代で昼寝や休息をとってください。大人の場合は、結石の原因がわかれば再発を防ぐための生活指導を受けることができます。
生活習慣のアドバイス
- 赤ちゃん:毎日同じ時間に起こる泣きには、あらかじめ散歩や入浴などのペースを見直してみましょう
- 赤ちゃん:親自身の睡眠と休息を確保しましょう
- 大人:水分を1日たっぷり(飲める量は体の状態で異なります)とり、塩分や動物性脂肪を控えめに
- 大人:痛みのない時期に、軽いウォーキングなどの有酸素運動を
食事と運動
赤ちゃんの場合は、授乳のあとにげっぷをさせ、飲みすぎやガスのおこりやすい食品が影響していないかを観察します。大人では、結石の成分(カルシウム、シュウ酸、尿酸など)によって食事の工夫が異なるため、医師や管理栄養士の指導を受けてください。運動は、尿路結石の予防や胆石の症状改善に役立つことがあります。
精神的健康と心の健康
赤ちゃんが泣き続けることで、親は不安や無力感、疲れがたまり、うつ状態になることもあります。決して一人で抱え込まず、つらい気持ちを家族や友人に話してください。また、泣き叫ぶ赤ちゃんにイライラが募ることも自然な感情ですが、赤ちゃんを激しく揺さぶることは絶対にやめてください。もし自分を抑えられないと感じたときは、赤ちゃんを安全な場所に置いて、別の部屋で気持ちを落ち着けましょう。
予防
赤ちゃんの疝痛は完全には予防できませんが、授乳後はげっぷをさせる、タバコの煙を避ける、過剰な刺激を減らすなどの工夫で、症状を和らげられる可能性があります。大人の結石は、水分を十分にとり、減塩を心がけることで予防に役立つことがあります。
ワクチン
疝痛を直接予防するワクチンはありません。
検診プログラム
特に定期的な検診はありませんが、症状のあるときに早めに受診することで、原因となる病気を早期に見つけることができます。
合併症
治療しない場合
- 赤ちゃんの疝痛で体の病気が引き起こされることはほとんどありませんが、泣きが続くために親が休めず、育児ストレスやうつ状態につながることがあります
- 大人の疝痛の原因となる結石を放っておくと、感染症や腎臓の働きの低下、胆管の炎症などを引き起こす可能性があります
長期的な見通し
赤ちゃんの疝痛は、生後4〜6か月には自然によくなります。大人の疝痛も、原因となる結石が見つかれば、適切な治療で症状はコントロールできます。心配や不安があれば、早めに医療機関を頼ってください。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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