膠原性大腸炎とリンパ球性大腸炎(顕微鏡的大腸炎)
概要
膠原性大腸炎(こうげんせいだいちょうえん)とリンパ球性大腸炎(りんぱきゅうせいだいちょうえん)は、まとめて「顕微鏡的大腸炎(けんびきょうてきだいちょうえん)」と呼ばれる仲間の病気です。大腸の内側を内視鏡(カメラ)で見ても、目立った傷や腫れはありません。しかし、粘膜をほんの少しだけ取って顕微鏡で調べると異常が見つかります。膠原性大腸炎では、粘膜の下にあるコラーゲン(線維状のたんぱく質)の層が厚くなります。リンパ球性大腸炎では、粘膜の中にリンパ球(体を守る免疫の細胞)が多く集まります。どちらも、水のような下痢が長く続くのが主な症状です。
重要な事実
- 主な症状は、何週間も続く水のような下痢と、急に便意をもよおしておなかが痛くなることです。
- 内視鏡では見た目が正常なため、診断には組織を少し取って顕微鏡で調べる「生検(せいけん)」が欠かせません。
- 多くの場合、治療と生活の調整で症状は落ち着きます。命に関わる重い病気になることはまれです。
まれな病気ですが、近年は報告が増えています。長く続く下痢で大腸内視鏡を受けた人のうち、数%程度に見つかるといわれています。
症状
- 意識がもうろうとしている、返事がおかしい
- けいれんが起きた
- ひどい脱水(口がカラカラ、尿がほとんど出ない、皮膚をつまむと戻りにくい)
- 大量の血便や、黒くてタールのような便が続く
- 耐えられないほどの激しいおなかの痛み、おなかが板のように硬い
- ⚠38度以上の熱が出た
- ⚠便に血が混じる
- ⚠1日に8回以上の下痢が続く
- ⚠水分を口から取れない、飲むと吐いてしまう
- ⚠尿の量が目に見えて減った、立ちくらみがする
- ⚠どんどん体重が減っている
一般的な症状
- 水のような下痢が何週間も続く(血が混じることはあまりありません)
- おなかの痛みや、けいれんのような痛み
- 急に便意が来てがまんできず、トイレに間に合わないことがある
- おなかが張る、ガスが増える
- 吐き気がする、食欲がわかない
- 体重が減る
- 疲れやすい、だるい
- 水分が足りずに脱水になることがある
子供の症状
- 子どもではとてもまれです
- 長く続く下痢、おなかの痛み
- 食欲が落ちて体重が増えない、成長曲線から外れる
- 学校を休みがちになる
- 子どもの場合は小児科の医師に相談してください
高齢者の症状
- 脱水や電解質(血液中のナトリウムやカリウムなどのミネラル)のバランスの乱れが起きやすい
- 腎臓の働きが悪くなることがある
- トイレが近くなることで転倒の危険が増す
- 複数の薬を飲んでいる場合は、薬が関係していることもあるため医師・薬剤師に相談する
- 食事量が落ちて栄養が不足しやすい
原因
主な原因
- はっきりした原因はまだ分かっていません。
- 腸の粘膜で免疫(体を守る仕組み)の反応が過剰になり、炎症が続くと考えられています。
- 腸内の細菌のバランスの変化が関係するといわれています。
- 一部の薬が引き金になることがあるといわれています。飲んでいる薬は自己判断でやめず、医師や薬剤師に相談してください。
- 腸の感染症のあとに始まることもあります。
リスク要因
- 女性、特に40歳以上
- 関節リウマチ、甲状腺の病気、セリアック病などの自己免疫の病気がある
- 一部の薬を長く飲んでいる
- 家族に同じ病気の人がいる
- ストレスが多い、腸の感染症にかかったあと
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 血便がある、便が黒い
- 高い熱が出た
- 水分が取れず、尿がほとんど出ない
- 1日に何度も下痢をして、ふらつく
- 急に体重が減っている
定期受診を予約すべき場合:
- 3〜4週間以上、原因の分からない下痢が続く
- 下痢と便秘を繰り返す
- トイレに間に合わず困ることがある
- 市販の下痢止めを使っても良くならない
- おなかの張りや痛みが続く
診断
まず問診と便の検査で、感染症などほかの原因がないかを確かめます。そのうえで大腸内視鏡を行い、粘膜を少しだけ取って顕微鏡で調べます。内視鏡の見た目は正常でも、この顕微鏡の検査で異常が見つかれば診断がつきます。
行われる可能性のある検査
- 問診(下痢の回数、続いている期間、便の様子、飲んでいる薬、食事)
- 血液検査(貧血、炎症、栄養状態、電解質を調べる)
- 便の検査(細菌や寄生虫などの感染症を除外する、炎症の目安を調べる)
- 大腸内視鏡と生検(組織を少し取って顕微鏡で調べる)
- 必要に応じて、セリアック病などほかの病気の検査
- 腹部の画像検査(超音波やCT)
診察で予想されること
診断がつくまでに時間がかかることがあります。内視鏡で異常が見つからないと、何度か検査を重ねることもあります。いつ、何回、どんな便が出たか、何を食べたかを記録して持っていくと役立ちます。
治療
治療の目標は、下痢や腹痛を和らげて、ふだんの生活を送れるようにすることです。症状の重さに合わせて、生活の工夫と薬を組み合わせます。原因になっている薬があれば、医師と相談して見直すこともあります。
自宅でのセルフケア
- 水分と電解質(スポーツドリンクや経口補水液など)をこまめに補う
- 食事と症状を記録して、調子が悪くなる食べ物を見つける
- カフェイン、アルコール、脂っこいもの、香辛料の強いもの、人工甘味料を一時的に控えてみる
- 乳製品で調子が悪くなる人は、試しに控えてみる
- 禁煙する
- 睡眠を十分にとり、ストレスをためない工夫をする
- 市販の下痢止めを自己判断で長く使わない。使う前に医師や薬剤師に相談する
- 受診のときは、飲んでいる薬のリストを持っていく
医療治療
医師は症状の重さに応じて、腸の炎症をしずめる薬、下痢を抑える薬、胆汁(たんじゅう:消化を助ける液)の吸収を助ける薬、免疫の働きを調整する薬などを組み合わせて使います。薬の種類や量は人によって違うため、ここでは具体的な薬の名前はお伝えしません。必ず医師の指示に従い、自己判断で量を変えたりやめたりしないでください。症状が落ち着いたら、少しずつ薬を減らしていくこともあります。
手術が検討される場合
手術が必要になることはほとんどありません。腸に穴があくなど、まれな合併症が起きたときだけ検討されます。
この病気と共に生きる
症状が良いときと悪いときを繰り返すことがあります。調子のいい日に無理をしすぎず、出かける前にトイレの場所を確認しておく、予定に余裕を持つなどの工夫が役立ちます。仕事や学校、旅行のときは、あらかじめ周りの人に伝えておくと安心です。
生活習慣のアドバイス
- 症状日記をつける
- 食事は一度にたくさん食べず、少量ずつ回数を分ける
- 外出時は着替えなど必要なものを準備しておく
- 禁煙する
- 睡眠をしっかりとる
- 散歩や呼吸法など、自分に合ったストレス解消法を見つける
食事と運動
決まった食事療法があるわけではありませんが、症状の出方には個人差があります。食物繊維の多い食事が良い人もいれば、控えたほうが楽な人もいます。試しながら自分に合うものを見つけ、必要なら管理栄養士に相談してください。運動は、無理のない散歩や軽い体操から始めましょう。脱水を防ぐため、水分を持って出かけてください。
精神的健康と心の健康
長く続く下痢は、外出を控えたり、人に言いにくかったりして、気持ちの負担になりがちです。眠れない、気分が落ち込む、不安が強いといった状態が続くときは、がまんせずに医師や看護師、心理の専門家に話してください。つらい気持ちが強いときは、地域の相談窓口やいのちの電話などの相談サービスを利用してください。一人で抱え込まないことが大切です。
予防
確実に防ぐ方法はまだ分かっていません。ただし、禁煙、飲んでいる薬の見直し(自己判断でやめずに医師・薬剤師に相談)、症状と食事の記録は、症状を軽くする助けになることがあります。
検診プログラム
一般の人を対象にした決まった検査はありません。長く続く下痢があるときは、早めに受診して検査を受けることが大切です。また、お住まいの自治体のがん検診の案内に従って、大腸がん検診を受けておくと安心です。
合併症
治療しない場合
- 脱水(体の水分が足りなくなること)
- 電解質のバランスの乱れ(血液中のミネラルの異常)
- 腎臓の働きの低下
- 体重減少と栄養不足
- 疲れやすさ、睡眠の乱れ
- 仕事や学校、外出など生活の質の低下
- まれですが、腸に穴があくなどの合併症
長期的な見通し
多くの人は、治療と生活の工夫で症状が落ち着きます。良くなったり悪くなったりを繰り返すこともありますが、命に関わることはまれで、大腸がんのリスクが高くなるとはいわれていません。あせらず、主治医と一緒に自分に合った付き合い方を見つけていきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康に関する案内は国や地域によって異なります。このページは一般的な教育情報であり、お住まいの地域の指針、薬、診療と一致しない場合があります。心配な点はご自身の医師または医療提供者に相談し、地域の案内がある場合はそれに従ってください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
このトピックを名指しする指針はありません
このページには、このトピックそのものを名指しする健康ガイドラインや臨床の章は引用されていません。このページは一般的な教育と情報のみを目的としています。診断、治療計画、個人への医学的助言ではありません。ご自身の医師に確認し、その指示に従ってください。症状が重い、突然である、または心配な場合は速やかに受診し、緊急時は地域の緊急番号に電話してください。Ruqelo LLC は、この情報に基づく判断から生じる医学上または法律上の結果について責任を負いません。
最終更新: 2026年10月22日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.