セリアック病のよくある症状
概要
セリアック病は、小麦・大麦・ライ麦などに含まれるグルテン(たんぱく質の一種)を食べたときに、からだの免疫が過剰に反応し、小腸の粘膜が傷つく病気です。小腸は栄養を吸収するところなので、傷つくと栄養不足やさまざまな症状が起こることがあります。人によって症状は大きく違います。
重要な事実
- 症状は人によってさまざまで、おなかの症状が目立たない人もいる
- 下痢や便秘、疲れやすさ、貧血、体重減少などがよく見られる
- 治療の中心はグルテンを避ける食事で、医師や管理栄養士のサポートが大切
日本では比較的まれですが、欧米ではよく見られます。軽い症状や症状のない人もいて、見逃されていることもあります。
子どもから高齢者まで、どの年齢でも起こります。家族にセリアック病の人がいる人、1型糖尿病や甲状腺の自己免疫疾患(自分の免疫がからだの一部を攻撃してしまう病気)がある人に多く見られます。
症状
- 意識がもうろうとしている、けいれんしている(すぐに119番通報)
- ひどい脱水のサイン:尿がほとんど出ない、口が渇いてぐったりする、涙が出ない(すぐに119番通報)
- 息が苦しい、顔やのどが腫れる(アレルギー反応の可能性。すぐに119番通報)
- ⚠強い腹痛が続く
- ⚠何度も吐いて水分がとれない
- ⚠血便や黒い便がある
- ⚠急に体重が減り、立てないほどの疲れがある
- ⚠高熱とおなかの痛みが一緒にある
一般的な症状
- 下痢や軟便が続く
- おなかの張り、ガス、腹痛
- 疲れやすい、だるい
- 体重が減る(食べているのに減ることもある)
- 貧血(息切れ、めまい、顔色が悪い)
- 口内炎が繰り返す
- 皮膚のかゆみや湿疹
- 骨が弱くなる、骨折しやすい
- 気分の落ち込み、集中しにくい
- 月経不順や不妊のことがある
子供の症状
- 体重が増えない、身長が伸びにくい
- 食欲がない、食べても元気がない
- 腹痛、下痢、便秘
- むら気、イライラ
- 歯の表面に白い斑点や欠けがある
- 思春期の遅れ
高齢者の症状
- 下痢が目立たず、疲れや貧血で見つかることがある
- 骨が弱くなる、骨折しやすい
- 体重が減る、食欲が落ちる
- しびれや手足の違和感(栄養不足が関係することもある)
原因
主な原因
- グルテンに対する免疫の反応
- 遺伝的な体質と環境要因が重なって起こる
- 小腸の粘膜が傷つき、栄養の吸収が悪くなる
リスク要因
- 家族にセリアック病の人がいる
- 1型糖尿病、甲状腺の自己免疫疾患、ダウン症などがある
- 特定の遺伝子の型(HLA-DQ2/DQ8)を持つ
- 欧米系の祖先を持つ
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 血便や黒い便がある
- 強い腹痛が続く
- 何度も吐いて水分がとれない
- ひどい脱水のサインがある
- 急な体重減少と強い疲れがある
定期受診を予約すべき場合:
- 数週間以上、下痢や便秘、おなかの張りが続く
- 疲れやすさや息切れが続く
- 食事をしているのに体重が減る
- 口内炎や皮膚のかゆみが繰り返す
- 子どもの成長が気になる
- 家族にセリアック病の人がいて、自分も検査を考えたい
診断
問診、血液検査、必要に応じて内視鏡検査で小腸の粘膜を調べます。検査の前に自己判断でグルテンを完全にやめると、結果が分かりにくくなることがあるため、まず医師に相談してください。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(グルテンに対する抗体を調べる検査)
- 内視鏡検査(口や鼻から細い管を入れて小腸の粘膜を見る検査)と組織検査
- 栄養状態を調べる血液検査
- 遺伝子の検査(必要な場合)
診察で予想されること
検査の方法や準備は医療機関によって異なります。検査前の食事について必ず医師の指示に従い、結果が出るまで不安なときは遠慮なく質問しましょう。
治療
治療の中心は、生涯にわたってグルテンを避ける食事療法です。医師の診断と管理栄養士のサポートを受けながら、無理なく続けることが大切です。症状に応じて栄養不足のケアも行います。
自宅でのセルフケア
- 食品表示をよく確認し、小麦・大麦・ライ麦を含む食品を避ける
- しょうゆや調味料、加工食品にも小麦が使われていることがあるので確認する
- 外食時は事前に店に相談し、交差汚染の可能性を確認する
- 家族にも協力してもらい、調理器具や保存容器を分けるなどの工夫をする
- 決まった医療機関で定期的に栄養状態を確認する
- 新しい食品やサプリメントを始める前に医師や管理栄養士に相談する
医療治療
症状に合わせて、栄養不足を補うためのビタミンやミネラルの補充、下痢や便秘のケアなどを行います。グルテンへの反応を根本的に消す薬は限られており、治療の中心は食事療法です。薬が必要かどうかは医師が判断します。
手術が検討される場合
セリアック病そのものに対する手術は通常ありません。腸の合併症など、別の病気が疑われる場合は専門医と相談します。
この病気と共に生きる
毎日の食事でグルテンを避けることが中心になります。食品表示を確認し、外食のときは事前に店に相談すると安心です。完璧にできない日があっても、自分を責めすぎず、医師や管理栄養士に相談しながら続けましょう。
生活習慣のアドバイス
- 小麦・大麦・ライ麦を含む食品を避け、米やとうもろこし、そばなど表示を確認して選ぶ
- 調理器具やまな板、トースターなどからの交差汚染を防ぐ
- 管理栄養士に相談して、栄養バランスを整える
- 骨の健康のために、カルシウムやビタミンDを含む食品を意識する
- 定期的に通院し、貧血や栄養状態を確認する
- 無理のない範囲で運動を続ける
食事と運動
グルテンを避けながら、肉・魚・豆・野菜・果物・乳製品などをバランスよく食べます。運動は骨と筋力を保つ助けになります。食事制限で栄養が偏りやすいので、必要なら医師や管理栄養士に相談して補助を考えます。
精神的健康と心の健康
食事制限は毎日のことなので、負担や不便さ、孤独感を感じることがあります。不安や落ち込みが続くときは、一人で抱えずに医療機関や信頼できる人に話してください。自分を傷つけたい気持ちがあるときは、すぐに119番または医療機関に連絡してください。
予防
セリアック病は遺伝的な体質と免疫の反応が関係するため、確実に予防する方法は分かっていません。早期に見つけて食事を管理することで、症状や合併症を減らすことができます。
ワクチン
セリアック病を防ぐワクチンはありません。他の感染症のワクチンは、年齢や健康状態に合わせて医師と相談してください。
検診プログラム
日本ではセリアック病の公的な集団検診はありません。家族歴や症状がある場合は、かかりつけ医に検査が必要か相談してください。
合併症
治療しない場合
- 栄養不足による貧血や疲れ
- 骨が弱くなる(骨粗鬆症)
- 子どもの成長障害
- 妊娠しにくい、妊娠中のトラブル
- まれに、腸の重い病気のリスクが上がるといわれている
長期的な見通し
グルテンを避ける食事を続けることで、多くの人の症状は改善し、小腸の粘膜も回復していきます。回復には時間がかかることがありますが、医師や管理栄養士と一緒に続けることで、健康的な生活を送りやすくなります。
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最終更新: 2026年10月22日
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