ネットで買う健康食品・サプリメントのリスク
概要
「補完代替医療(ほかんせんたいいりょう)」とは、病院の標準的な治療の代わりや、その補助として使われる、サプリメント・ハーブ・健康食品・民間療法などのことです。ここでは、そうした製品をインターネットで個人輸入したり、通信販売で買ったりすることにどんなリスクがあるかを説明します。ネット通販は便利で安く、口コミも見られますが、店頭で買う場合とちがって、中身の確認がしにくいという特徴があります。日本では、すべての健康食品が国のお墨付きを得ているわけではなく、「食品」として売られているものも多くあります。
重要な事実
- ネットで売られている健康食品やサプリメントの中には、表示と実際の中身が違うもの、医薬品の成分がこっそり入っているものが見つかることがあります。
- 「よく効く」「治る」とうたう広告や、SNSだけで広がっている商品は、いったん立ち止まって考えるのが安全です。
- 持病がある人、薬を飲んでいる人、妊娠中・授乳中の人、子どもや高齢者は、思わぬ体調の変化が起きやすいので特に注意が必要です。
サプリメントや健康食品を使うことは、日本でもとても一般的です。ドラッグストアや通販で手軽に買え、健康を意識する人ほど利用することが多いといわれています。一方で、ネット通販や個人輸入をきっかけに体調をくずし、病院を受診する人も少なくありません。珍しい話ではなく、身近なところで起きている問題です。
誰にでも起こりえますが、とくに注意が必要なのは、持病のある人(肝臓・腎臓・心臓の病気など)、ふだんから薬を飲んでいる人、妊娠中・授乳中の人、小さな子ども、高齢者です。また、ダイエットや美容のために短い期間でたくさん使いたい人、SNSの情報だけで商品を選んでいる人も、リスクが高くなりやすいといえます。
症状
- 息が苦しい、のどが腫れた感じがする、声が出にくい(アナフィラキシーの可能性)
- 顔や唇、まぶたが急に大きく腫れる
- 意識がもうろうとしている、返事がおかしい、けいれんが起きた
- 激しい胸の痛み、脈がとても速い・不規則でふらつく
- 皮膚や白目が黄色くなる(黄疸:おうだん)と同時に、ぐったりしている
- 自分で自傷してしまいそうな強い衝動や切迫した気持ちがある
- ⚠発疹が広がる、かゆみが強い、じんましんが出た
- ⚠吐き気や嘔吐、下痢が続いて水分がとれない
- ⚠鼻血や歯茎の出血が止まりにくい、あざが増えた
- ⚠尿の色がとても濃い、尿の量が少ない、足がむくむ
- ⚠強いだるさ、発熱、体の痛みが数日続く
一般的な症状
- 胃のむかつき、胃痛、下痢や便秘などおなかの不快感
- 頭痛、だるさ、眠気、めまい
- 皮膚のかゆみ、発疹(ほっしん:皮膚にできる赤いぶつぶつ)、湿疹
- 動悸(どうき:心臓がドキドキする感じ)や息苦しさ
- 食欲がなくなる、体重が急に減る
- 薬を飲んでいる場合、いつもと違う効き方や副反応が出る
子供の症状
- ぐったりして元気がない、機嫌が悪い
- 吐く、下痢が続く、おしっこの量が減る
- 発疹、顔やまぶたの腫れ
- 夜眠れない、落ち着きがない、など普段と違う様子
- 子どもは体重が軽いため、大人なら問題ない量でも影響が出やすいことがあります
高齢者の症状
- ふらつき、転びやすくなる
- 食欲低下、体重減少、脱水(だっすい:体の水分が足りなくなること)
- 今飲んでいる薬との飲み合わせによる体調変化
- 物忘れや意識のぼんやり感が急に強くなる
- 肝臓や腎臓の働きが低下していると、成分が体にたまりやすいことがあります
原因
主な原因
- 表示と中身の不一致:パッケージに書かれた成分と、実際に入っているものが違う製品がある
- 医薬品成分の無表示の混入:医薬品として承認されていないのに、薬の成分が入っている製品がある(いわゆる「無承認医薬品」)
- 有害物質の混入:重金属や農薬、細菌などが混ざっていることがある
- 品質管理の問題:保管や製造の環境が整っていないと、品質が安定しないことがある
- 飲み合わせの悪さ:処方薬や市販薬と一緒に使うことで、効き方が強すぎたり弱すぎたりすることがある
- 用法・用量がわからない:外国語の表示や大まかな説明だけで、どれくらい使ってよいか分からないことがある
- 個人輸入のルール:日本では、個人が輸入できる医薬品などに決まりごとがあり、違法な製品も出回っている
リスク要因
- 肝臓・腎臓・心臓などの持病がある
- 複数の薬を飲んでいる、あるいは治療中の病気がある
- 妊娠中・授乳中である
- 小さな子どもや高齢者に使う
- 「必ずやせる」「病気が治る」など強い効果をうたう広告に惹かれた
- 海外のサイトやSNSの個人売買で購入した
- 価格が極端に安い、口コミだけで選んだ
- 使用量や使用期間を決めずに自己判断で続けている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 息苦しさ、のどの腫れ、顔の腫れがある(すぐに119番へ)
- 意識がはっきりしない、けいれん、激しい胸の痛みがある(すぐに119番へ)
- 強い吐き気・嘔吐・下痢で水分がとれない
- 皮膚や白目が黄色い、尿の色が異常に濃い
- 原因の分からない出血が続く、あざが急に増えた
定期受診を予約すべき場合:
- 製品を使い始めてから、体調がなんとなくすぐれない
- 発疹やかゆみ、胃の不快感が続いている
- 飲んでいる薬と一緒に使ってよいか不安がある
- 妊娠を考えている、または妊娠中・授乳中で使用を続けてよいか知りたい
- 子どもや高齢の家族に使わせてよいか迷っている
診断
病院では、まず「どんな製品を、いつから、どれくらい使ったか」を聞きます。症状と使用のタイミングが合っているか、ほかに飲んでいる薬がないか、持病はないかを確認します。そのうえで、体の状態を調べる検査を行います。製品そのものの成分分析が必要な場合は、保健所や自治体の相談窓口が関わることがあります。
行われる可能性のある検査
- 問診(製品の名前、購入先、使い始めた時期、量、やめた時期を確認)
- 血液検査(肝臓・腎臓の働き、炎症の有無など)
- アレルギーに関係する検査
- 心電図や胸のレントゲン(動悸や息苦しさがあるとき)
- 必要に応じて、製品の成分分析(保健所・自治体の窓口を通じて)
診察で予想されること
診察では、恥ずかしいことではありませんので、使った製品について正直に話すことが大切です。製品の箱や瓶、写真、購入したサイトの画面、飲んでいる薬のリストがあると役立ちます。原因がはっきりしないこともありますが、使用をやめて体の状態を観察しながら、必要な検査を進めていくのが一般的です。
治療
まず大切なのは、気になる製品の使用を中止することです。そのうえで、症状に合わせた対応を行います。多くの場合は、使用をやめることで体調が落ち着いていきますが、症状の強さによっては検査や入院が必要になることもあります。具体的な治療方針は、医師が体の状態をみて決めます。
自宅でのセルフケア
- 気になる製品の使用をやめ、体調の変化を記録する
- 製品は捨てずに保管しておく(箱・瓶・説明書・購入記録も一緒に)
- 水分をこまめにとり、無理に食事をせずに体を休める
- 市販薬を含め、ほかの薬を自己判断で追加しない
- かかりつけ医や薬剤師に、使った製品と症状を伝える
- 消費者トラブルとして相談したいときは、地域の消費生活センターなどの公的な相談窓口を利用する
医療治療
医師は、症状の原因をみきわめながら、体の機能を支える治療を行います。アレルギー反応に対しては、その反応をしずめる治療や、呼吸を楽にする対応がとられることがあります。肝臓や腎臓に負担がかかっている場合は、機能を定期的に確認しながら、水分や食事の管理を含めた治療を進めます。症状が重いときは、経過を観察するために入院が必要になることもあります。使用した製品の成分が分からない場合は、症状にあわせて慎重に対応します。
手術が検討される場合
このテーマでは、手術が必要になることは通常ありません。
この病気と共に生きる
不安が続く時期は、つい情報を集めすぎてしまいがちです。SNSや広告の情報は、一度にたくさん見ず、信頼できる相談先(かかりつけ医、薬剤師、公的な相談窓口)に絞ると気持ちが楽になります。体調の変化をメモしておくと、受診のときにも役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 商品を買う前に、成分表示と販売元を確認する習慣をつける
- 「治る」「必ず効く」といった強い表現の広告は、いったん疑ってみる
- 海外サイトや個人売買での購入は避け、相談できる販売元を選ぶ
- 新しい製品を試すときは、一度にいくつも始めない
- 妊娠中・授乳中、通院中は、自己判断で始めずに必ず相談する
- 睡眠や食事、適度な運動など、基本の生活リズムを整える
食事と運動
健康を保つ近道は、特別な製品よりも、毎日の食事と体を動かす習慣です。主食・主菜・副菜をそろえた食事、塩分や糖分のとりすぎへの注意、無理のない範囲の散歩やストレッチが役立ちます。病気の治療中や食事制限がある場合は、必ず主治医や管理栄養士に相談してください。
精神的健康と心の健康
体調がすぐれないと、不安や落ち込み、イライラが強くなることがあります。「だまされたかもしれない」と自分を責めてしまう人もいますが、あなたのせいではありません。気持ちがつらいときは、一人で抱えずに、かかりつけ医や公的な相談窓口、信頼できる人に話してみてください。もし自分を傷つけたい気持ちが強くなったら、ためらわずに救急(119番)や地域の相談窓口に連絡してください。
予防
すべてを防ぐことは難しいですが、買う前のひと手間でリスクを大きく減らせます。表示・販売元・購入経路を確認する、効果をうたいすぎる広告を信じすぎない、通院中や妊娠中は必ず相談する。この3つを習慣にするだけでも違います。
検診プログラム
健康食品やサプリメントは、病気を見つけるための検査ではありません。ただし、持病のある人や薬を飲んでいる人は、定期的な健康診断や通院先での血液検査などで体の状態を確認しておくと安心です。気になる症状があれば、自己判断で様子を見続けずに受診してください。
合併症
治療しない場合
- 肝臓や腎臓の働きが悪くなり、治療に時間がかかることがある
- アレルギー反応が強い形で出て、呼吸が苦しくなることがある
- 飲んでいる薬との飲み合わせで、薬の効き方が変わってしまう
- 症状の原因が分からず、別の病気の発見が遅れることがある
- 不安や落ち込みが強くなり、日常生活に影響することがある
長期的な見通し
多くの場合は、使用をやめて早めに相談することで、症状は落ち着いていきます。体調の変化に気づいて行動できたこと自体が、大切な一歩です。心配なことがあれば、かかりつけ医や薬剤師に相談しながら、あせらず進めていきましょう。
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最終更新: 2026年10月22日
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