合併症(がっぺいしょう)ってなに?
概要
合併症とは、ある病気やけが、またはその治療がきっかけで、体の別の部分に新しく起こる健康上の問題のことです。たとえば、糖尿病が長く続くと目や腎臓(じんぞう=おしっこを作るところ)に負担がかかることがあります。これは「ある病気が別の病気を引き起こす」という意味で、決してあなたの努力が足りないせいではありません。合併症は早く気づいて対処することで、起きにくくしたり、軽くしたりできるものが多くあります。
重要な事実
- 合併症は「もとの病気」と「新しく起こった問題」の組み合わせで、原因や現れ方はとてもさまざまです。
- 定期的な通院と検査、ふだんの生活の管理によって、起こる risk を下げられるものが多くあります。
- 体の変化に早く気づいて相談することが、重症化を防ぐ一番の近道になります。
とてもよくあることです。糖尿病や高血圧(血圧が高い状態が続くこと)などの長く続く病気、感染症(かんせんしょう=菌やウイルスによる病気)、手術のあとなどでは、合併症が起こることが珍しくありません。だからこそ、多くの医療機関では合併症を早く見つけるための検査がふだんから行われています。
年齢を問わず誰にでも起こる可能性があります。特に関わりが深いのは、糖尿病・高血圧・腎臓(じんぞう)の病気・心臓の病気などの持病がある方、高齢の方、免疫(めんえき=体を守る力)が弱っている方、長く入院や寝たきりの状態が続いた方、妊娠中の方などです。持病がない方でも、かぜやけがのあとに思わぬ問題が起きることがあります。
症状
- 胸の強い痛み、締めつけられる感じが続く
- 息が苦しい、話せないほど息が上がる
- 突然の顔のまひ、片方の手足が動かない、ろれつが回らない、急に見えにくい(脳の血管のトラブルのサインかもしれません)
- 意識がない、または呼びかけへの反応がおかしい
- 大量の出血が止まらない
- けいれんが続く
- アナフィラキシー(アレルギーによる急な全身の強い反応)を思わせる、息苦しさ+全身の発疹・腫れ
- ⚠38度以上の熱が3日以上続く
- ⚠手術やけがの傷が赤く腫れて広がる、痛みが増す、膿が出る
- ⚠片方の脚だけが腫れて痛い
- ⚠尿や便に血が混じる、または尿が出にくい
- ⚠嘔吐(おうと)が続いて水分がとれない
- ⚠急な見えにくさ、視野が欠ける感じ
- ⚠糖尿病のある方で、血糖の値がいつもと大きく違う状態が続く
一般的な症状
- 熱が続く、または急に高くなる
- 傷や手術のあとが赤く腫れる、痛みが強くなる、膿(うみ)のようなものが出る
- だるさが増す、食欲が落ちる、体重が減る
- 息切れや動悸(どうき=心臓の鼓動を強く感じること)がする
- 手足のむくみ、片側だけの脚の腫れや痛み
- しびれ、感覚がにぶい、傷ができても痛みを感じにくい(糖尿病の方によく見られます)
- 目のかすみ、見えにくさ
- おしっこの量や色の変化、尿や便に血が混じる
- 原因がはっきりしない痛みが続く
子供の症状
- かぜや下痢のあとに、ぐったりする、おしっこが減る、口の中が乾く(脱水=体の水分が足りない状態)
- 耳をよく触る、機嫌が悪い、熱が下がらない(中耳炎などの可能性)
- 呼吸が速い、息を吸うたびに肩や肋間(ろっかん=あばら骨の間)がへこむ
- 発疹(ほっしん)が広がる、元気がなくなる
- 母乳やミルクの飲みが急に減る
高齢者の症状
- 急にぼんやりする、会話がかみ合わない(脱水や感染が隠れていることがあります)
- 転びやすくなる、歩き方が急に変わった
- 食欲や水分をとる量が減り、半日以上おしっこが出ない
- 熱が出ていなくても肺炎などの感染が進むことがある
- 床ずれ(長く同じ姿勢でいることで皮膚が傷むこと)ができやすくなる
原因
主な原因
- もとの病気そのものが進むこと(例:血糖や血圧が高い状態が長く続く)
- 感染(かんせん)が広がること(例:かぜのあとの肺炎、傷からの細菌の侵入)
- 治療や手術、処置にともなって起こるもの(例:手術後の傷のトラブル、入院中の筋力低下)
- 使っている薬の影響や、薬どうしの飲み合わせ
- 長く動けない状態が続くことによる体力・筋力の低下や床ずれ
- 体を守る力(免疫)が弱っていること
リスク要因
- 糖尿病・高血圧・心臓病・腎臓(じんぞう)の病気などの持病がある
- 高齢である、またはとても低体重である
- 喫煙をしている
- 免疫を下げる治療を受けている、または免疫が弱い状態である
- 長期間の入院、寝たきり、車いす中心の生活
- 妊娠中、または出産後まもない時期
- ふだんの通院や検査が途切れている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 手術やけがのあとで、傷の赤み・腫れ・痛みがどんどん強くなる
- 高い熱と、ぐったりした感じが同時にある
- 片方の脚が急に腫れて痛い、または胸の痛みをともなう
- 水分がとれない、おしっこが半日出ない
- 持病の数値(血糖・血圧など)がいつもと大きく違う状態が続く
定期受診を予約すべき場合:
- 最近だるさが続く、体重が減ってきた
- 手足のしびれや感覚のにぶさが気になる
- 目のかすみが続く
- むくみがとれない
- 傷が治りにくい、繰り返す感染がある
- 持病の定期検査の時期が来ている、または受診がしばらく空いている
診断
まず、これまでの病気の経過、今の症状、飲んでいる薬、生活の様子を医師がくわしく聞き取ります。そのうえで診察を行い、必要に応じて血液検査や尿検査、画像検査などで体の状態を確かめます。合併症は「もとの病気」と「新しい症状」のつながりを見つけることが大切なので、ふだんの記録があるととても役立ちます。
行われる可能性のある検査
- 問診(もんしん=症状や生活の様子を聞くこと)と診察
- 血液検査(血糖・腎臓の働き・炎症の程度など)
- 尿検査(たんぱくや血が混じっていないか)
- 血圧・体重・体温などの測定
- 胸部レントゲン、心電図
- 超音波(エコー)検査、CT、MRI などの画像検査
- 目の検査(眼底検査など)、足の感覚や血の巡りの検査
- 必要に応じて専門の診療科への紹介
診察で予想されること
検査の内容や結果が出るまでの時間は、医療機関や検査の種類によって変わります。日帰りで終わるものも多く、結果は次の受診のときに説明されることが一般的です。わかりにくい言葉があったら、その場で「どういう意味ですか」と聞いてかまいません。メモを持参したり、家族や信頼できる人と一緒に受診したりすると安心です。
治療
合併症の治療は、どんな合併症かによって大きく変わります。大切なのは、①新しく起きた問題にきちんと対処すること、②もとの病気を安定させること、③生活のなかで無理なく続けられる工夫をすること、の3つです。担当の医師が、あなたの体の状態や生活に合わせて方針を一緒に考えてくれます。
自宅でのセルフケア
- 決まった時間に薬を飲み、自己判断でやめたり量を変えたりしない(飲み忘れが続くときは医師や薬剤師に相談)
- 毎日の体調(体温・体重・血圧・血糖・おしっこの回数など)を簡単に記録する
- 傷は清潔に保ち、赤みや腫れがないか毎日見る
- 足の裏や指の間を毎日チェックする(糖尿病のある方は特に大切)
- 水分をこまめにとる。食欲がないときは少量ずつ回数を分けて食べる
- 十分な睡眠と休息をとり、疲れをためない
- 禁煙する。受動喫煙(まわりのたばこの煙)も避ける
- 予防接種など、かかりつけ医がすすめる予防策を確認する
医療治療
治療は、もとの病気を安定させるための薬物療法や生活指導、新しく起きた問題に対する処置(感染に対する治療、傷の処置、点滴での水分補給など)、そして必要に応じたリハビリテーションを組み合わせて行われます。薬の種類や量は人によって異なるため、具体的な内容は必ず担当の医師や薬剤師から説明を受けてください。自己判断で市販薬を重ねて使うと、思わぬ影響が出ることがあるので、飲み合わせについても相談しましょう。
手術が検討される場合
手術が必要になるのは、合併症の種類によって異なります。たとえば、傷の奥に膿(うみ)がたまった場合の処置、血の巡りが悪くなった部分の治療、内臓にできた問題の修復などで、手術が選ばれることがあります。ただし、すべての合併症で手術が必要なわけではありません。必要性や時期、体への負担については、担当の医師から詳しい説明を受けたうえで、家族と一緒に納得して決めていくことが大切です。
この病気と共に生きる
合併症とつきあっていくうえで大事なのは、完璧を目指すことではなく、続けられる小さな習慣を持つことです。体調の記録を1行つける、受診の予定をカレンダーに書く、気になる症状をメモしておく。そうした小さな積み重ねが、変化に早く気づく力になります。体調がいい日も悪い日もあるのが自然なことです。
生活習慣のアドバイス
- 受診日を決まったリズムにし、予定を忘れないようにメモや通知を使う
- 薬は飲み忘れがないよう、いつもの場所に置くなどの工夫をする
- お酒はほどほどにし、医師から控えるよう言われている場合は従う
- 睡眠時間を確保し、できるだけ同じ時間に起きる
- 疲れやすい時期は、家事や仕事を小さく分けて休みながら行う
- 家族や友人に、体の状態や助けてほしいことを言葉で伝える
- 季節の変わり目や暑さ寒さの厳しい時期は、体調の変化に注意する
食事と運動
食事は、無理に我慢するのではなく、ふだんの食事を少しずつ整えることから始めましょう。野菜やたんぱく質(肉・魚・大豆製品・卵など)を意識してとり、塩分や甘い飲み物はほどほどに。かかりつけ医や管理栄養士に相談すると、あなたの体の状態や生活に合った具体的な提案がもらえます。運動は、ウォーキングや軽いストレッチなど、話しながらできる程度のものを、無理のない範囲で続けるのがおすすめです。持病がある方や合併症がある方は、始める前に必ず医師に相談してください。
精神的健康と心の健康
合併症がわかると、不安になったり、落ち込んだり、「なぜ自分が」と感じたりするのは自然なことです。先のことを考えすぎて眠れなくなることもあるかもしれません。そうした気持ちは弱さではなく、体の変化に向き合っている証拠です。もし気持ちのつらさが続く、何も楽しめない、眠れない日が何日も続くといった状態があれば、一人で抱えずに医療機関や地域の相談窓口に話してください。緊急に自分を守れないと感じたときは、ためらわず119番、またはお住まいの地域の救急相談窓口(#7119が使える地域もあります)に連絡してください。
予防
すべての合併症を完全に防ぐことはできませんが、多くの場合、起こる risk を下げたり、起きても軽くおさえたりすることができます。もとの病気を安定させること、定期的に検査を受けること、体の小さな変化に早く気づいて相談することが中心になります。
ワクチン
インフルエンザや肺炎などの感染症は、合併症のきっかけになることがあります。予防接種は、年齢や持病の有無によってすすめられる内容が変わります。どの接種が自分に合っているかは、かかりつけ医や地域の保健センター、薬局で相談してみてください。
検診プログラム
糖尿病や高血圧などの持病がある方は、眼底検査、尿検査、足のチェック、心電図など、合併症を早く見つけるための定期検査がすすめられます。自治体の健康診断や職場の健診も、変化に気づく大切な機会です。前回の受診から時間が空いているときは、次の予定を確認してみましょう。
合併症
治療しない場合
- 症状が進み、日常生活に制限が出ることがある
- 入院が長引いたり、治療の選択肢が変わったりすることがある
- 目・腎臓(じんぞう)・神経・心臓などの働きが低下することがある
- 感染が広がって、命に関わる状態になることがある(早期の受診で防げる場合が多い)
- 体力や筋力が落ち、動きにくくなる
長期的な見通し
合併症と聞くと不安になるかもしれませんが、今は早期発見と適切な管理の方法がずいぶん進んでいます。多くの方は、定期的な通院と生活の工夫によって、状態を安定させながらふだんの暮らしを続けています。良くなったり悪くなったりを繰り返すこともありますが、それは治療がうまくいっていない証拠とは限りません。気になることは一人で抱えず、かかりつけ医と一緒に一歩ずつ進んでいくことが、いちばん確かな道です。
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最終更新: 2026年10月22日
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