先天性心疾患とは?
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
先天性心疾患は、生まれたときから心臓の形や構造に異常がある病気です。心臓の壁に穴があいている、血管のつながりが通常と異なる、弁が狭い・閉じにくいなど、さまざまなタイプがあります。程度は軽いものから重いものまで幅広く、適切な治療や管理によって多くの人が元気に生活できます。
重要な事実
- 約100人に1人の割合で生まれる、比較的多い先天性の異常です。
- 治療の進歩により、中等症・重症でも多くの子どもが大人になり、仕事や子育てを楽しめるようになっています。
- 生涯にわたって定期的な心臓のチェックと、感染症予防が大切です。
はい。日本でも海外でも、生まれてくる赤ちゃんの約100人に1人に見られるといわれています。生まれつきの病気の中では最も多いグループのひとつです。
生まれつきの病気なので、胎児の時期から始まり、性別や人種を問わず誰にでも起こりえます。家族に心臓の病気を持つ人がいなくても生まれることがあります。
症状
- 急に意識を失った場合は、すぐに119番を呼んでください
- 呼吸が苦しく、息をすることができない
- 顔や唇の色が青紫色になった(チアノーゼ)
- 急な強い胸の痛みが出た
- 脈がとても速く乱れ、意識がもうろうとする
- ⚠発熱が続き、ぐったりしている
- ⚠いつもの息切れよりひどく、横になっていられない
- ⚠脚のむくみや体重が急に増えた
- ⚠胸の痛みや動悸が繰り返し出る
- ⚠食事や水分が取れず、体調が悪化している
一般的な症状
- 心雑音(心臓の音に、医師が聞き取れる異常な音が混じること)
- 息切れや呼吸が速くなる
- 顔色や唇の色が青っぽくなる(チアノーゼ)
- 疲れやすい、運動を嫌がる
- 体重が増えにくい、哺乳力が弱い
- 動悸や胸の痛みを感じることがある
子供の症状
- 母乳やミルクを飲むのが遅く、途中で休む
- 呼吸がゼーゼーする、特に授乳中に苦しそう
- 体重がなかなか増えない、成長がゆっくり
- 顔色が青白い、または灰色っぽく見える
- 遊んでいるとすぐにしゃがみ込み、休息をとる
高齢者の症状
- 階段や坂道で以前より息切れがする
- 動悸や胸の圧迫感を感じる
- 脚のむくみが出やすくなる
- 疲れやすく、横になりたくなることがある
原因
主な原因
- 心臓は妊娠のごく初期に作られますが、その形成過程で起こる一部の異常が原因と考えられています
- 染色体の異常や遺伝子の変化が関わることがあります
- 多くの場合、はっきりとした原因は特定できません
リスク要因
- 妊娠中の風疹などの感染症にかかること
- 妊娠中の飲酒や喫煙
- 妊娠前からある糖尿病
- 妊娠初期の特定の薬の使用
- 家族に先天性心疾患を持つ人がいること
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 同じ日に医師の診察を受けてください。かかりつけ医に電話で症状を伝え、指示を仰ぎましょう
- 症状が急に悪化した場合は、ためらわずに119番を呼んでください
- 乳児の場合は、母乳やミルクが飲めない、顔色が悪い、呼吸が速いなどの症状があれば、早めに受診してください
定期受診を予約すべき場合:
- 体調の変化や治療に不安があるとき
- 学校生活や仕事、運動などで注意点を確認したいとき
- 家族歴があり、心臓のことを一度調べてほしいとき
- 妊娠・出産を考えている成人の場合は、専門医に相談してください
診断
診察と問診に加えて、心エコー検査などで心臓の形・血流・弁の働きを詳しく調べます。胎児期には妊婦健診の超音波検査で見つかることもあります。新生児では、手足の血液中酸素濃度を測るパルスオキシメーター検査が行われることも増えています。
行われる可能性のある検査
- 心電図(心臓の電気的な働きを調べる検査)
- 心エコー(心臓の形や動き、血流の様子を映像で確認する検査)
- 胸部X線写真(心臓の大きさや肺の状態を確認する検査)
- パルスオキシメーター(指先で血液中の酸素濃度を測る検査)
- 心臓カテーテル検査(細い管を血管に入れ、心臓内部の圧力や血流を直接調べる検査)
診察で予想されること
初診では、気になる症状やこれまでの経過を聞かれ、聴診器で心音や心雑音を確認します。必要に応じて追加の検査を行い、結果をわかりやすい言葉で説明し、今後の治療方針を一緒に決めていきます。子どもの場合は、検査中に眠るためのお薬を使うこともあります。
治療
治療は、心臓の異常の種類や症状の重さによって異なります。軽症の場合は治療をせず、定期的な経過観察だけのこともあります。中等症から重症では、薬による治療、カテーテル治療、手術を組み合わせて行います。治療の計画は、小児循環器専門医や心臓外科医などがチームで話し合って決めます。
自宅でのセルフケア
- 医師から指示された通りの受診予定を守る
- 発熱、息切れ、むくみなど、気になる症状を日ごろから記録しておく
- 体調がすぐれないときは無理をせず、早めに医師に相談する
- 感染予防のため、手洗い・うがいを習慣にする
医療治療
薬では、心臓の働きを助ける薬、血液の流れを整える薬、体にたまった余分な水分を減らす薬などが、患者さんの年齢・体重・病状に合わせて使われます。薬の名前や量は医師が慎重に決めます。また、カテーテル治療では、足の付け根などから細い管を入れて、狭くなった血管を広げたり、穴を閉じたりする方法もあります。治療法は複数を組み合わせて行われることもあります。
手術が検討される場合
血流や心臓の働きが大きく損なわれる場合は、手術が必要になることがあります。生後すぐに手術を行うケースもあれば、成長してから手術するケースもあります。手術の時期や方法は一人ひとりの心臓の形態に合わせて決められます。術後も長期的なフォローが必要です。
この病気と共に生きる
先天性心疾患は、多くの場合、一生付き合っていく病気です。でも、それは「ずっと休んでいなければならない」ということではありません。学校や仕事、運動、妊娠などについて、主治医と相談しながら、自分に合ったペースを見つけましょう。成人になってからも定期的なフォローを受けることで、体調の変化に早く気づくことができます。
生活習慣のアドバイス
- たばこを吸わない、受動喫煙を避ける
- 飲酒は控えめにする
- 十分な睡眠と休養をとる
- 歯と歯茎の健康を保つ(口の中の細菌による感染を防ぐため)
- ストレスをため込まず、気分転換の方法をもつ
食事と運動
塩分の取りすぎに注意し、野菜・果物・たんぱく質をバランスよく食べましょう。運動は、医師の許可が出た範囲で、ウォーキングなどの軽い運動から始めるのが安心です。激しいスポーツを制限される場合もあるため、スポーツを始める前には必ず医師に確認してください。
精神的健康と心の健康
心臓の病気は、見た目にはわかりにくい分、周囲に理解してもらえず、孤独を感じることがあるかもしれません。気分の落ち込みや不安が続くときは、一人で抱え込まずに医師や家族、友人に話しましょう。自治体や医療機関の心の健康相談窓口も利用できます。もし自分や他の人の命に危険が及ぶような考えがある場合は、ためらわずに119番に連絡してください。
予防
先天性心疾患は、完全に予防することは難しいのが現状です。ただし、妊娠中の感染症、飲酒、喫煙など、リスクを減らすためにできることはあります。妊娠を考えている方や妊娠中の方は、妊娠初期から健康管理を心がけ、かかりつけ医や産婦人科医に相談しましょう。
ワクチン
先天性心疾患そのものを予防するワクチンはありません。ただし、妊娠中に風疹などの感染症にかかると赤ちゃんの心臓や他の臓器に影響が出ることがあるため、妊娠前に麻しん・風しんなどの予防接種を済ませておくことがすすめられています。
検診プログラム
日本では、厚生労働省の指針に基づいた妊婦健診や新生児の検査が行われています。妊婦健診の超音波検査で胎児の心臓の異常が疑われることもあれば、生まれた後の診察やパルスオキシメーター検査で見つかることもあります。早期発見・早期治療につながる大切な検査です。
合併症
治療しない場合
- 心不全(心臓のポンプの働きが弱くなり、体に必要な血液を送り出せなくなる状態)
- 不整脈(脈が速すぎたり遅すぎたり、乱れたりする状態)
- 肺高血圧症(肺の血管に高い圧力がかかる状態)
- 感染性心内膜炎(心臓の内側に細菌などが感染する病気)
- 発育の遅れや運動能力の低下
長期的な見通し
医療の進歩により、以前は難しいとされていた重症のタイプでも、多くの赤ちゃんが助かり、大人になるまで元気に過ごせるようになりました。病状に合わせて受診と治療を続ければ、学校生活や仕事、妊娠・出産を迎える方も少なくありません。心臓の状態には注意が必要ですが、希望を持って前向きに暮らせる病気です。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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