避妊用ダイヤフラム(ペッサリー)ってどんな避妊具?
概要
避妊用ダイヤフラム(ペッサリー)は、シリコンやゴムでできたおわん型・ドーム型の避妊具です。性交の前に腟の奥へ入れて、子宮の入り口(子宮頸部)をフタのように覆い、精子が子宮の中へ入りにくくします。多くの国では、精子の動きを止めるゼリー(殺精子剤)と一緒に使います。コンドームのように装着するだけの道具ですが、自分に合ったサイズを医療機関で測ってもらう必要があり、正しく使えるようになるまで少し練習がいります。
重要な事実
- 性交のたびに腟の奥へ入れて使い、性交後もしばらく(一般に6〜8時間ほど)入れたままにしておく必要があります。
- サイズが合っているかどうかが大切で、初めて使うときは医療機関でフィッティング(サイズ合わせ)を受けます。出産後や体重が大きく変わったときも、測り直しが必要です。
- 性感染症(クラミジアやエイズウイルスなど)を防ぐ力はほとんどありません。コンドームの併用がすすめられます。
世界では昔から使われてきた避妊法のひとつですが、日本では入手できる場所が限られており、ふだん目にする機会は多くありません。日本ではコンドームや経口避妊薬(低用量ピル)のほうが一般的です。
妊娠を望まない成人女性が対象です。ホルモンを使う避妊法(ピルなど)が体に合わない人、ホルモンを使いたくない人、性交のたびに使うタイプの避妊を希望する人の選択肢になります。小児には使いません。
症状
- 高熱、吐き気・嘔吐、発疹、筋肉痛、下痢などが急に同時に現れた場合(腟内に長く入れたままにしたときのまれな感染症が疑われます)。救急車は119番へ連絡してください。
- 意識がもうろうとする、顔色が悪くぐったりするなど、急激に具合が悪くなった場合。
- ⚠強い下腹部の痛みや、腟からの出血が続くとき。
- ⚠悪臭のあるおりもの、かゆみ、痛みなどがあり、炎症が疑われるとき。
- ⚠腟の中に避妊具が入ったまま取り出せなくなったとき。
一般的な症状
- 使い始めは、腟に入れるときの違和感や、入っている感じが気になることがあります。
- 腟の奥に入れる練習が必要で、最初はうまく入らず不安になることがあります。
- おりものが少し増えたように感じることがあります。
- まれに、素材(シリコンやゴム)に刺激を感じたり、かゆみが出たりすることがあります。
子供の症状
- 小児には使用しません。10代で避妊について相談したい場合は、保護者や学校の保健室、産婦人科・婦人科に相談できます。
高齢者の症状
- 閉経後は腟の潤いが減り、装着時の違和感や痛みが出やすくなることがあります。潤滑剤を使う、医師に相談するなどの工夫ができます。妊娠の可能性がなくなった後は、避妊以外の目的(性感染症の予防など)がなければ必要ありません。
原因
主な原因
- この項目は「病気の原因」ではなく、避妊用ダイヤフラムが必要になる背景の説明です。妊娠を望まない性交渉があるときに、避妊の方法を選ぶ必要があります。
- ホルモンを使う避妊法が体に合わない、あるいは使いたくないという希望があるときに選ばれることがあります。
- コンドームだけでは不安がある人が、避妊法を増やしたいと考えて選ぶこともあります。
リスク要因
- サイズが合っていない、または装着がうまくできていないと、避妊の失敗が起こりやすくなります。
- 性交後すぐに(一般に6〜8時間以内に)取り出してしまうと、避妊の効果が下がります。
- 殺精子剤を一緒に使わない場合、避妊の失敗が増えるといわれています。
- 出産後や体重が大きく変化した後に、サイズを測り直していない場合。
- 性感染症を防ぐ力がほとんどないため、コンドームを使わないと感染のリスクが高まります。
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 強い下腹部の痛み、発熱、悪臭のあるおりもの、腟からの異常な出血があるとき。
- 避妊具が腟から取り出せなくなったとき。
- 高熱・発疹・吐き気などが同時に現れたとき(119番へ連絡してください)。
定期受診を予約すべき場合:
- 初めて避妊用ダイヤフラムを使いたいとき(サイズ合わせと使い方の指導を受けられます)。
- 出産した後、体重が大きく変わった後、または使用時の痛みや違和感が続くとき。
- 避妊の方法をどう選べばよいか迷っているとき、パートナーとの話し合いの前に相談したいとき。
- 性感染症が気になるとき、検査を受けたいとき。
- 性交後に避妊がうまくいかなかったかもしれないと不安なとき(できるだけ早く相談してください)。
診断
診断というより「フィッティング(サイズ合わせ)」と「使い方の確認」が中心です。医療機関で内診を受け、腟の大きさや子宮の位置に合ったサイズを選んでもらいます。あわせて、避妊の目的や体の状態、他の避妊法との比較について話し合います。
行われる可能性のある検査
- 内診(腟の中を診察して、サイズや形を確認します)。
- 装着の練習と、抜去(取り出し)の練習。
- 必要に応じて性感染症の検査。
- 年齢や希望に応じて、子宮頸がん検診などの婦人科検診。
診察で予想されること
診察は数分から十数分程度で終わることが多く、痛みは通常ほとんどありません。緊張する場合は、事前に「初めてで不安です」と伝えてかまいません。フィッティングの結果、別の避妊法が合っているとわかることもあります。
治療
避妊用ダイヤフラムは「治療」ではなく「避妊の方法」です。大切なのは、自分に合ったサイズを選び、正しく使えるようになること、そして自分に合う避妊法を無理なく続けられることです。
自宅でのセルフケア
- 使う前に、避妊具に傷や破れがないか光にかざして確認しましょう。
- 性交のたびに、腟の奥の正しい位置へ入れます。慣れるまでは鏡を使って練習すると安心です。
- 殺精子剤を使う方法を医師から説明された場合は、そのとおりに併用します。
- 性交後は、一般に6〜8時間ほど入れたままにします。その間に洗浄(腟内を洗うこと)はしないようにしましょう。
- 使い終わったら、やさしく洗ってよく乾かし、清潔なケースで保管します。
- 定期的に交換が必要です。傷みや変色があれば早めに相談しましょう。
- 性感染症を防ぐために、コンドームを併用しましょう。
- 体調がよくないとき、痛みやかゆみがあるときは使用をやめて相談しましょう。
医療治療
医療機関では、サイズ合わせと使い方の指導を行います。避妊の方法はひとつではなく、ホルモンを使う避妊法、子宮内に装着する避妊具、コンドームなど、いくつかの選択肢があります。体の状態や生活に合わせて、どの方法が合うかを医師や看護師、薬剤師と相談できます。使用時の痛みやかゆみがある場合は、原因を確認し、別の方法を検討することもあります。
この病気と共に生きる
慣れるまでは少し手間に感じるかもしれませんが、使う流れを決めておくと自然に続けられます。「ケースを枕元に置いておく」「使う前に必ず確認する」など、自分の習慣に組み込むのがコツです。
生活習慣のアドバイス
- パートナーと避妊の方針を前もって話し合っておくと、安心して過ごせます。
- 旅行や外出時は、清潔なケースに入れて持ち歩きましょう。
- 体調や体重に大きな変化があったときは、サイズの確認をしましょう。
- 腟の乾燥が気になるときは、潤滑剤の使用について医師や薬剤師に相談できます。
食事と運動
食事や運動に特別な制限はありません。ただし、体重が大きく変わると腟のサイズ感が変わり、合わなくなることがあります。気になるときは受診して測り直しましょう。
精神的健康と心の健康
避妊について話すことに抵抗を感じたり、パートナーとの温度差に不安を覚えたりすることはよくあります。「避妊は二人で考えること」と考え、無理に一人で抱え込まないようにしましょう。妊娠への不安が強いときは、医療機関や相談窓口で気持ちを話すだけでも楽になることがあります。つらい気持ちが続くときは、身近な相談窓口や医療機関に早めに相談してください。
予防
ここでいう「予防」は、望まない妊娠や性感染症を防ぐための工夫のことです。避妊用ダイヤフラムを正しく使うことに加えて、コンドームを併用すると、避妊と性感染症予防の両方の助けになります。避妊がうまくいかなかったかもしれないと不安なときは、一人で悩まず、できるだけ早く医療機関や薬局に相談してください。
検診プログラム
性感染症が気になるときは、症状がなくても検査を受けられます。また日本では、20歳以上の女性に子宮頸がん検診がすすめられており、自治体から無料の案内が届くことがあります。詳しくはお住まいの自治体の案内をご確認ください。
合併症
治療しない場合
- 正しく使えていないと、望まない妊娠につながる可能性があります。
- コンドームを併用しない場合、性感染症にかかるリスクが高まります。
- まれに、腟の中に長時間入れたままにすることで、急な発熱や発疹などを伴う感染症が起こることがあります(非常にまれです)。
- 素材に対するかゆみや刺激が出ることがあります。
長期的な見通し
避妊用ダイヤフラムは、自分に合っていれば無理なく続けられる方法のひとつです。うまく使えないと感じたときは、使い方の見直しや別の避妊法への変更で解決できることがほとんどです。合う方法は人それぞれなので、焦らず、医療機関と一緒に自分に合った選び方を見つけていけば大丈夫です。
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最終更新: 2026年10月22日
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