女性用コンドーム(腟内コンドーム)で避妊するということ
概要
女性用コンドーム(腟内コンドーム、内部コンドームとも呼ばれます)は、性交の前に腟の中へ入れて使う避妊具です。薄い袋のような形をしていて、射精された精液を袋の内側で受け止め、精子が腟の奥(子宮のほう)へ入りにくくします。男性用コンドームと同じ「バリア法」、つまり相手の体液と直接ふれないようにする方法のひとつです。腟の中に直接入れるタイプなので、腟の入り口と奥の両方をカバーできるつくりになっています。正しく使うことができれば、妊娠を防ぐ助けになります。また、コンドームが体液をせき止めることで、クラミジアやHIV(エイズウイルス)などの性感染症にかかるリスクを下げるのにも役立つと考えられています。ただし、すべての感染症を完全に防げるわけではありません。
重要な事実
- 腟の中に入れて使うバリア法の避妊具で、性交のたびに新しいものを1つ使います。男性用コンドームと一緒に使うことはできません(同時に使うと破れやすくなります)。
- 正しく使えば避妊の助けになりますが、破れる・外れる・ずれるといった失敗も起こります。最初の数回は特に失敗しやすいので、使い方に慣れることが大切です。
- 日本では、薬局などでいつでも手軽に買える状況とは限らず、入手できる場所が限られている場合があります。購入方法や避妊の相談は、医療機関や薬局の薬剤師に聞いてみてください。
世界全体では一定の普及がある避妊具ですが、日本国内では男性用コンドームに比べてなじみが薄く、実際に使っている人は多くありません。入手しにくいことや、使い方の情報が少ないことも一因だと考えられています。
妊娠を避けたい、性感染症のリスクも下げたいと考える成人が対象になります。年齢や出産の経験にかかわらず使えます。ホルモンを使う避妊法(経口避妊薬など)が体に合わない人、パートナーと避妊の方法を話し合っている人などが選択肢のひとつとして考える方法です。
症状
- ゴム(ラテックス)アレルギーによるアナフィラキシーの可能性がある症状:息苦しさ、のどの腫れ・詰まる感じ、全身のじんましん、めまい、意識がぼんやりする
- 腟に激しい痛みがあり、自分では対処できないほどつらい
- ⚠コンドームが破れた、外れた、腟の中に残ったままになった(妊娠の可能性がある場合は、緊急避妊の相談をできるだけ早く。目安として性交後72時間以内に医療機関へ)
- ⚠発熱、強い下腹部の痛み、いつもと違うおりもの(感染症の疑い)
- ⚠使用後に腟のかゆみや赤みが強く出た
一般的な症状
- 装着に時間がかかる、慣れるまで難しいと感じる
- 腟の中で違和感や異物感がある
- 使用中にずれる、よれる、破れることがある
- 潤滑(うるおい)が足りず、痛みや不快感を感じることがある
- ゴム(ラテックス)にアレルギーがある場合、かゆみ・赤み・ヒリヒリ感が出ることがある
- 使用後に腟の中に残っていることに気づかないことがある
子供の症状
- 大人向けの避妊具のため、子どもには使いません。
- 10代で性や避妊について不安がある場合は、学校の保健室の先生、若い人向けの相談窓口、医療機関など、話しやすい場所に相談できます。ひとりで抱えなくて大丈夫です。
高齢者の症状
- 閉経後は腟のうるおいが減り、装着しにくかったり痛みを感じたりすることがあります。水溶性の潤滑剤を一緒に使うと入れやすくなります。
- 年齢にかかわらず性感染症のリスクはあるため、検査を含めて医療機関に相談できます。
原因
主な原因
- 妊娠を避けたいという目的で、避妊法のひとつとして選ばれる
- 性感染症のリスクも下げたいという目的で使われることがある
- ホルモンを使う避妊法が合わない、ほかの避妊法が自分に合わないといった理由で選ばれることがある
- パートナーと避妊の役割を分け合いたい、という考えから選ばれることもある
リスク要因
- 使い方に慣れていない(最初の数回は失敗しやすい)
- 油性の潤滑剤(ワセリンやベビーオイルなど)を一緒に使うと、コンドームが傷みやすくなる
- 爪やアクセサリーで開封時・装着時に傷をつけてしまう
- 暑い場所(直射日光のあたる所、車の中など)での保管
- アルコールを飲んだ後など、使い方が雑になりやすい状況
- ゴム(ラテックス)アレルギーがあり、かゆみや赤みが出やすい
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- コンドームが破れた・外れた・腟内に残ったままで、妊娠の可能性がある(緊急避妊の相談は早いほどよい。目安として72時間以内)
- 発熱、強い下腹部痛、においのあるおりものなど、感染症を疑う症状がある
- アレルギーを疑う強いかゆみ・赤み・腫れがある
定期受診を予約すべき場合:
- 避妊の方法を相談したい、自分に合う方法を選びたい
- 装着がうまくいかない、痛みや不快感がある
- 性感染症が気になる、検査を受けたい
- 月経が予定より遅れている(妊娠検査の相談)
- パートナーとの避妊の話し合いをどう進めればよいか迷っている
診断
女性用コンドームを使っていること自体を「診断」するものはありません。医療機関では、避妊の方法の相談、使い方の確認、妊娠の有無の確認、性感染症の検査などを行います。問診では、使用の状況や気になっている症状、月経の周期などを聞かれます。
行われる可能性のある検査
- 問診(使い方、気になる症状、月経の状況など)
- 妊娠検査(月経が遅れている場合。尿検査や血液検査)
- 性感染症の検査(尿検査、腟の分泌物の検査、血液検査など)
- アレルギーが疑われる場合の相談・検査
診察で予想されること
診察は短時間で終わることが多く、内容によっては検査結果を後日聞きに行くこともあります。話しづらい内容もあるかもしれませんが、医師や看護師は慣れています。どう伝えればよいか迷うときは、「避妊について相談したい」と最初に伝えるだけで大丈夫です。
治療
女性用コンドームは「治療」ではなく、避妊のための方法です。大切なのは、自分とパートナーに合った避妊法を選び、安全に正しく使えるようになることです。うまく使えないときは、我慢せずに他の方法も含めて医療機関に相談してみてください。
自宅でのセルフケア
- 使用前に使用期限と袋の傷みを確認し、性交のたびに新しいものを1つ使う
- 開封するときは爪や歯を使わず、袋の端を指でそっとめくる
- 腟に入れるときは、内側のリングを親指と中指でつまんで細くし、奥まで押し入れる
- 必要に応じて水溶性の潤滑剤を使う(油性のものはコンドームを傷めるので避ける)
- 使用後は、抜く前に外側のリングをしっかり持って、精液がこぼれないように取り出す
- 破れた・外れた・残ったと気づいたら、早めに医療機関へ相談する(緊急避妊は早いほどよい)
- コンドームは涼しく乾燥した場所に保管し、財布や車の中に長く入れっぱなしにしない
医療治療
医療機関では、状況に合わせて他の避妊法も含めて相談できます。ホルモンを使う方法(経口避妊薬など)、子宮の中に装着する避妊器具、男性用コンドームとの使い分けなど、いくつかの選択肢があります。どの方法が合うかは、体の状態や生活、パートナーとの考え方によって変わるため、医師と一緒に決めていきます。緊急避妊については、性交後できるだけ早く(目安として72時間以内)相談することが大切です。具体的な方法や適しているかどうかは医師が判断します。
手術が検討される場合
将来の妊娠を希望しない場合には、外科的な避妊(卵管結紮など)という選択肢もあります。これは元に戻すのが難しい方法なので、パートナーとよく話し合い、医師と相談したうえで決めるものです。女性用コンドームを使うこと自体に手術は関係ありません。
この病気と共に生きる
最初は装着に手間取るかもしれませんが、何回か練習すると慣れてきます。性交の流れの中で自然に使えるよう、事前にパートナーと「今日はどうするか」を話しておくと、気持ちにも余裕が生まれます。使った後は、破れや外れがなかったかを確認する習慣をつけると安心です。
生活習慣のアドバイス
- コンドームは涼しく乾燥した場所に保管し、使用期限を確認する
- 1回ごとに新しいものを使い、開封時に爪で傷つけないようにする
- 潤滑が足りないと感じたら、水溶性の潤滑剤をためらわずに使う
- パートナーと避妊の方針や、性感染症の検査について話し合っておく
- 月経の記録をつけておくと、遅れに早く気づける
食事と運動
特別な食事制限や運動の制限はありません。ただし、急な体重の変化や体調の変化は、避妊法を選ぶときの参考になることがあります。気になるときは診察のときに伝えてください。
精神的健康と心の健康
避妊のことを考えるのは、ときに不安やストレスになります。うまく使えなかったときに自分を責めてしまう人も少なくありませんが、失敗は誰にでも起こることです。パートナーとの関係の中で避妊の話がしづらい、気持ちがつらいと感じる場合は、ひとりで抱えずに医療機関や相談窓口を頼ってください。つらい気持ちが続くときは、心の相談ができる窓口や医療機関につながることが大切です。
予防
避妊法の失敗は、正しい使い方を知り、事前に準備しておくことで減らせます。使う前に袋の傷みと期限を確認する、潤滑剤を適切に使う、破れたときの対処(緊急避妊の相談先)をあらかじめ決めておく、といった工夫が役立ちます。性感染症を防ぐためには、コンドームの使用に加えて、定期的な検査とパートナーとの話し合いが大切です。
ワクチン
HPVワクチンは、子宮頸がんなどの原因になるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を防ぐワクチンで、日本では定期接種の対象年齢が定められています。接種の対象や時期については、自治体の案内やかかりつけ医に確認してください。
検診プログラム
性感染症が気になる場合は、症状がなくても検査を受けられます。また、子宮頸がん検診は20歳以上で2年に1回が目安とされています(厚生労働省の指針)。自治体から届く検診の案内を確認してみてください。
合併症
治療しない場合
- 意図しない妊娠
- 性感染症にかかる、または気づかないまま相手にうつしてしまう
- 腟の中にコンドームが残り、不快感やおりものの増加につながる(感染のきっかけになることもある)
- 避妊への不安から性行為を楽しめない、パートナーとの関係にストレスがたまる
長期的な見通し
女性用コンドームは、使い方を身につければ心強い避妊の選択肢のひとつになります。最初はうまくいかなくても、練習と工夫でコツをつかめる人は多くいます。合わないと感じたときは、他の避妊法も含めて医療機関に相談できます。自分に合った方法を一緒に探していく、という前向きな気持ちで考えてみてください。
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最終更新: 2026年11月3日
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