造影剤による急性腎障害
概要
造影剤関連急性腎障害(ぞうえいざいかんれんきゅうせいじんしょうがい)は、CTや血管の検査などで造影剤を使ったあとに、腎臓の働きが一時的に低下する状態です。腎臓は血液をきれいにし、尿をつくる器官です。造影剤が腎臓に負担をかけることがありますが、多くの場合は数日から数週間で回復します。
重要な事実
- 造影剤を使う検査のあとに、腎臓の働きが一時的に低下することがあります。
- 多くは数日から数週間で回復しますが、経過の確認が大切です。
- 事前に腎臓の状態を確認し、水分を適切にとるなどの対策でリスクを減らせます。
造影剤を使う検査を受ける人の多くには起こりません。ただし、もともと腎臓の働きが低い人などでは起こりやすくなります。
腎臓病がある人、糖尿病がある人、高齢者、脱水ぎみの人、心不全がある人、短い期間に何度も造影剤を使う人などが対象になります。子どもではまれですが、腎臓や心臓に病気がある場合は注意が必要です。
症状
- 尿がほとんど出ない
- 息が苦しい、胸が痛い
- 意識がもうろうとする、けいれんする
- 顔色が悪く、ぐったりしている
- 上のような症状があるときは、すぐに119番通報してください。
- ⚠尿の量が明らかに減った
- ⚠足や顔のむくみが急に出た
- ⚠強い吐き気や嘔吐が続く
- ⚠いつもより強くだるい、息切れがする
- ⚠これらがあるときは、当日中に医療機関に連絡してください。
一般的な症状
- 多くの場合、目立った症状はありません。
- 尿の量がいつもより減る
- 足や顔がむくむ
- だるさ、吐き気、食欲がない
- 息切れや疲れやすさ
子供の症状
- 子どもでは非常にまれですが、尿が少ない、むくみ、元気がない、吐くなどの変化に気づくことがあります。
- 腎臓や心臓の病気がある子どもは、検査の前後に医師の確認が必要です。
高齢者の症状
- 高齢者は脱水になりやすく、症状がはっきり出ないことがあります。
- 尿の量、むくみ、だるさ、意識の変化に注意し、家族も見守るとよいでしょう。
原因
主な原因
- 造影剤により腎臓への血流が一時的に減ったり、腎臓の細胞に負担がかかったりすることが考えられています。
- 脱水や血圧の低下、感染など、ほかの負担が重なると起こりやすくなります。
- 造影剤を使えば必ず起こるわけではありません。
リスク要因
- もともと腎臓の働きが低い
- 脱水(吐き気、下痢、食事がとれないなど)
- 血圧が低い
- 短い間に何度も造影剤を使う
- 医師に相談すべき薬を使っている(利尿薬や一部の痛み止めなど)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 造影剤を使ったあと、尿がほとんど出ない
- 息苦しさ、胸の痛み、意識の変化がある
- 足や顔のむくみが急に強い
- 強い吐き気や嘔吐が続き、水分がとれない
定期受診を予約すべき場合:
- 造影剤を使う前に、腎臓の働きを血液検査で確認したい
- 検査後にだるさやむくみが続く
- もともと腎臓病や糖尿病があり、造影剤を使う予定がある
- 造影剤を使ったあとの尿の量が気になる
診断
造影剤を使う前と後で血液検査を行い、腎臓の働きを比べて診断します。尿の量や体のむくみ、水分の状態も確認し、ほかの原因がないか調べます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(クレアチニン、推算糸球体ろ過量(eGFR)など)
- 尿検査(尿の量、たんぱく尿など)
- 血圧と水分状態の確認
- 必要に応じて超音波検査などの画像検査
診察で予想されること
検査の前後に採血をすることがあります。結果によっては、数日おきに採血を繰り返し、腎臓の回復を見守ります。痛みはほとんどなく、外来で行えることが多いです。
治療
治療の中心は、腎臓を休ませながら回復を待つことです。水分や血圧を整え、腎臓に負担をかける要因を取り除きます。多くの場合は数日から数週間で改善します。
自宅でのセルフケア
- 医師や看護師に指示された水分量を守る
- 尿の量と色を気にかける
- むくみや息苦しさがないか毎日確認する
- 勝手に薬を飲み始めたりやめたりしない
- 検査後の予約や採血を忘れずに受ける
医療治療
脱水があるときは点滴で水分を補うことがあります。血圧を整え、腎臓に負担をかける薬を一時的に調整することがあります。尿が出にくい、息苦しいなど重い症状があるときは、入院して観察したり、まれに腎臓の働きを助ける治療(透析)が必要になったりすることがあります。薬の名前や量は医師が個別に判断します。
手術が検討される場合
通常は手術ではなく、腎臓を守る内科的な治療が中心です。造影剤を使う検査や処置が必要な場合は、事前に腎臓の状態を確認し、必要性をよく話し合って行います。
この病気と共に生きる
検査のあとは、尿の量、むくみ、体重の変化を見ながら、医師の指示どおりに通院してください。腎臓の働きが戻るまでは、無理をせず水分と休養をとることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 脱水を避ける(暑い日、発熱、下痢、嘔吐のときは特に注意)
- 医師に確認せずに新しい薬やサプリメントを始めない
- 血圧や血糖をできるだけ安定させる
- 禁煙を考える
- 予約した検査や診察を続ける
食事と運動
バランスのよい食事をとり、塩分はとりすぎないようにします。腎臓の状態によって水分やたんぱく質の量が変わるため、指示がある場合はそれに従ってください。散歩など軽い運動は体調に合わせて行い、疲れを感じたら休みましょう。
精神的健康と心の健康
腎臓のことを心配するのは自然なことです。不安が強いときは、一人で抱えずに医師や看護師、家族に話してください。必要に応じて心理的な支援も相談できます。
予防
すべてを防ぐことはできませんが、リスクを減らすことはできます。造影剤を使う前に腎臓の働きを確認し、脱水を避け、必要最小限の造影剤で検査を行うことが大切です。
ワクチン
この状態に直接効くワクチンはありません。感染症を防ぎ、体調を整えることは腎臓への負担を減らす助けになります。
検診プログラム
造影剤を使う予定があるときは、事前の血液検査で腎臓の働きを確認します。腎臓病や糖尿病がある人は、医師に伝えてください。
合併症
治療しない場合
- 腎臓の働きの低下が長引くことがある
- むくみや息苦しさなど、水分がたまる症状が続く
- 電解質(体の中のミネラルのバランス)が乱れることがある
- まれに透析が必要になることがある
長期的な見通し
多くの人は数日から数週間で腎臓の働きが回復します。腎臓の状態を定期的に確認し、必要な対策を続けることで、安心して生活できることが多いです。心配なときは早めに医療者に相談してください。
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最終更新: 2026年10月22日
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