痛みやつらい症状をうまくコントロールするために
概要
痛みやつらい症状のコントロールとは、病気やけがにともなう痛み、だるさ、息苦しさ、吐き気、かゆみ、しびれ、眠りにくさといった症状を、薬や生活の工夫、リハビリ、こころのケアなどを組み合わせて和らげ、自分らしい毎日をできるだけ保つことです。痛みを完全にゼロにすることだけを目指すのではなく、「自分がしたいことができる状態に近づける」ことを大切にします。これはがんの人だけのものではなく、慢性の病気や長く続く痛みがある人にも役立つ考え方です。
重要な事実
- 症状のコントロールは、痛みの強さだけでなく、眠り・食欲・気分・日常生活のしやすさを一緒に整えていく取り組みです。
- 痛みは「体の状態」だけでなく、不安、ストレス、睡眠不足、孤独感でも強く感じられます。こころと体の両方から近づくことが大切です。
- 症状は我慢せずに伝えることが第一歩です。痛みの強さ、場所、いつ起きるかをメモしておくと、医療者に相談しやすくなります。
とてもよくある悩みです。日本でも長く続く痛み(慢性痛)を抱える人は少なくないといわれ、痛みやだるさで眠れない、仕事や家事が思うようにできないという経験をする人は多くいます。我慢すればよいと考えず、相談してよい症状です。
子どもから高齢者まで、年齢を問わず誰にでも起こります。けがや手術のあとの人、関節の病気や糖尿病などの慢性の病気がある人、神経の障害がある人、がんの治療中の人などが対象になります。高齢者や、不安や気分の落ち込みが強い人、睡眠が足りていない人では、痛みを強く感じやすいことが知られています。
症状
- 突然の激しい胸の痛み、または胸が締めつけられる感じが続く
- 息ができない、話せないほどの息苦しさ
- 意識がもうろうとしている、反応がない、けいれんが起きた
- 突然の激しい頭痛で、これまで経験したことのない痛み
- 顔の片側がゆがむ、ろれつが回らない、片方の手足が動かない(脳卒中のサインかもしれません)
- 大量の出血が止まらない
- 激しい痛みで体を動かせない、立てない
- ⚠痛みがどんどん強くなっていく
- ⚠発熱と強い痛みが一緒にある
- ⚠いつもの薬を使っても痛みがまったく変わらない
- ⚠嘔吐が続いて水分がとれない、尿が出ない
- ⚠痛みで眠れない日が何日も続いている
- ⚠新しい場所に痛みが出てきた、しびれや力の入りにくさが広がってきた
一般的な症状
- 痛み(ズキズキする、刺すような、焼けるような、しびれるような、重い感じなど、いろいろな種類があります)
- だるさ・疲れやすさが続く
- よく眠れない、夜中に目が覚める
- 食欲がない、食べると気持ちが悪くなる
- 息苦しさ、動くと息が上がる
- 便秘やおなかの張り
- かゆみ、皮膚の違和感
- しびれ、手足の動かしにくさ
- 気分の落ち込み、不安、イライラ
- 物事への興味がわかない、人と会うのがおっくうになる
子供の症状
- 痛みをうまく言葉にできず、泣く・ぐずる・機嫌が悪いといった形で表れることがあります
- いつもは好きな遊びをしない、動きたがらない
- 食欲が落ちる、飲みたがらない
- 痛い場所を言えないときは、おなか全体や足全体など広くを指さすことがあります
- 夜中に何度も起きる、眠りが浅い
- 表情が乏しい、ぼんやりしているように見える
高齢者の症状
- 「大丈夫です」「平気です」と我慢してしまい、痛みが強いのに訴えが少ないことがあります
- 認知症があると、痛みを言葉で伝えにくく、表情のこわばり、体を動かしたがらない、食欲低下などで表れることがあります
- 複数の病気や薬が重なり、症状の出方がわかりにくくなることがあります
- 痛みで動くのがおっくうになり、筋力が落ちたり、転びやすくなったりすることがあります
- 水分不足や便秘が症状を悪化させることがあります
原因
主な原因
- けが、炎症、やけどなどによる組織の傷つき
- 手術や処置のあとの痛み
- 神経が傷ついたり圧迫されたりすることで起きる痛み(糖尿病による神経の障害、帯状疱疹のあとの痛みなど)
- 関節の病気や脊椎の病気など、骨や関節の慢性的な障害
- がんやその治療にともなう痛み
- はっきりした原因が見つかりにくい慢性の痛み(体の検査では大きな異常が出ないのに痛みが続くことがあります)
- 不安、ストレス、睡眠不足、孤独感などが痛みの感じ方を強めることがある
リスク要因
- 高齢であること
- 複数の病気を抱えていること
- 不安や気分の落ち込みが強いこと
- 睡眠が十分にとれていないこと
- 体を動かす機会が少ないこと
- 痛みに対する強い不安や恐怖があること
- 人とのつながりが少なく、相談相手がいないこと
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の激しい痛み、胸の痛み、息苦しさがある(緊急時は119番へ)
- 発熱をともなう強い痛みがある
- 頭をぶつけたあとの痛みや吐き気がある
- 痛みで水分もとれない、尿が出ない
- 手足の力が急に入りにくくなった、言葉が出にくい
定期受診を予約すべき場合:
- 痛みが数週間以上続いている
- 痛みで眠れない日がある
- 痛み止めをよく使うようになった
- 痛みのために仕事・家事・外出を控えることが増えた
- 気分の落ち込みや不安が続いている
- 症状の記録をつけても、パターンがわからなくなってきた
診断
まずは問診が中心になります。どんな痛みか、どこが痛むか、いつ・どんなときに強くなるか、日常生活で何が困っているかを丁寧に聞き取ります。痛みの強さは0〜10の数字で表したり、顔の表情を使った尺度で伝えたりする方法がよく使われます。そのうえで、必要に応じて体の診察や検査を行い、症状の背景にある原因を探していきます。原因が見つかりにくい場合も、症状を和らげる方法を一緒に考えることが診療の目的になります。
行われる可能性のある検査
- 診察(痛む場所を触る、動かしてみる、しびれや力の入り具合を確かめる)
- 血液検査
- レントゲン検査
- CT検査やMRI検査
- 超音波(エコー)検査
- 神経の働きを調べる検査
- 痛みや睡眠、気分の状態を記録する症状日記
診察で予想されること
診察では、痛みの強さを0〜10で尋ねられたり、「どんなときに悪くなるか」「どんなときに楽になるか」を聞かれたりします。症状日記をつけて持参すると話が早く進みます。一度の診察ですべてが決まるとは限らず、何回か通いながら治療を調整していくことが多いです。原因がはっきりしない場合でも、症状を和らげる方法はいろいろあります。あせらず一緒に考えていきましょう。
治療
症状のコントロールは、ひとつの方法だけでなく、いくつかを組み合わせて行います。薬によるケア、体の動かし方や姿勢の工夫、リハビリ、こころのケア、睡眠や食事の整え方などを、その人の生活に合わせて組み立てていきます。目標は「痛みを完全になくすこと」ではなく、「自分が大切にしたいことができる状態に近づくこと」です。痛みが少し減った、眠れるようになった、外に出やすくなった、といった小さな変化も大切な成果です。
自宅でのセルフケア
- 痛む場所を温めるか冷やすかを試して、自分に合うほうを見つける
- 長時間同じ姿勢を続けず、こまめに姿勢を変える
- 活動と休息のバランスをとる(調子がよい日に頑張りすぎない)
- ゆっくりとした腹式呼吸や、軽いストレッチで体の力をゆるめる
- 寝る前のスマートフォンや明るい光を控え、眠る環境を整える
- 症状日記をつけて、痛みと生活の関係を把握する
- 痛みが強い日は、大切な用事を小さく分けて行う
- 一人で抱え込まず、家族や友人に今の状態を伝える
医療治療
医療機関では、症状の種類や原因に応じて、いくつかの方法を組み合わせます。痛みをやわらげる薬は症状や体の状態に合わせて選ばれるため、市販薬も含めて今飲んでいる薬をすべて医師・薬剤師に伝えることが大切です(薬の種類や量は自己判断で変えないでください)。神経の痛みには別のタイプの薬が使われることがあります。リハビリや理学療法、痛む場所への注射、心理面を支える認知行動療法などの方法が組み合わされることもあります。症状が複雑なときは、緩和ケアや痛みの専門チームが加わって支えることがあります。治療は一度で決まらず、効果と副作用を見ながら少しずつ調整していきます。
手術が検討される場合
症状の原因によっては、手術が選択肢になることがあります(骨折の固定、神経の圧迫をとる処置、胆のうや関節の病気など)。ただし、痛みを和らげることだけを目的に手術が選ばれることは多くありません。手術が向いているかどうかは、症状の原因、体の状態、生活への影響をふまえて、担当医とよく相談して決めていきます。
この病気と共に生きる
症状とうまく付き合うには、その日の状態に合わせて予定を調整する「ゆるめる工夫」が役立ちます。調子のよい日と悪い日の波があることを前提に、予定を詰め込みすぎない、休む時間を先に確保する、といった準備をしておくと、気持ちが楽になります。痛みが強い日があること自体を「失敗」と考えないようにしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 毎日の睡眠時間をできるだけ確保し、起床・就寝の時刻をそろえる
- 軽い散歩やストレッチなど、無理のない範囲で体を動かす
- 一人で抱え込まず、家族や友人、同じ悩みを持つ人の集まりとつながる
- アルコールやカフェインのとりすぎに気をつける
- 入浴や温める工夫で、体をゆるめる時間をつくる
- つらいことを書き出して気持ちを整理する時間をもつ
食事と運動
食事は、決まった特別なものを食べる必要はありません。主食・主菜・副菜をそろえて、バランスよくとることを心がけましょう。便秘は痛みやおなかの張りを強めることがあるので、水分と食物繊維を意識してとるとよいです。運動は、痛みが強いときは無理をせず、散歩や軽いストレッチなど「話しながらできる程度」から始めます。動かしたほうがよいか休めたほうがよいかは症状によって違うため、主治医や理学療法士に相談しながら進めてください。
精神的健康と心の健康
長く続く痛みやつらい症状は、気分の落ち込み、不安、いらいら、眠れないことにつながりやすく、それがまた痛みを強く感じさせるという悪循環になることがあります。これは弱さではなく、よくある反応です。気持ちがつらい時期があることは自然なことで、相談してよいことです。もし自分を傷つけたい気持ちが浮かんだり、生きていたくないと感じたりしたときは、一人で抱えず、すぐにかかりつけ医、地域の相談窓口、いのちの電話などの相談サービスに連絡してください。緊急の危険があると感じたら119番に電話してください。
予防
すべての痛みを防ぐことはできませんが、症状が悪化しにくいように工夫することはできます。痛みを我慢し続けないこと、早めに相談すること、睡眠や食事、体の動かし方を整えることが、長くつらい状態が続くのを防ぐ助けになります。
ワクチン
帯状疱疹は、治ったあとに長く続く神経の痛みの原因になることがあります。帯状疱疹にはワクチンがあり、対象年齢や接種の時期についてはかかりつけ医に相談できます。そのほかのワクチンについては、年齢や持病に応じて医師に相談してください。
検診プログラム
定期的な健康診断や、年齢に応じたがん検診を受けることは、病気を早く見つけて症状が重くなる前にケアを始める助けになります。自治体の検診案内を確認し、気になる症状があるときは検診を待たずに医療機関へ相談してください。
合併症
治療しない場合
- 痛みで眠れない状態が続き、疲れや集中力の低下が進む
- 体を動かさないことで筋力が落ち、動きにくくなる
- 食欲が落ちて栄養が不足し、体力が低下する
- 不安や気分の落ち込みが強まり、日常生活が狭くなる
- 仕事や家事、人づきあいを控えるようになり、孤立しやすくなる
長期的な見通し
痛みやつらい症状は、多くの場合、いくつかの方法を組み合わせることで和らげることができます。すぐに大きく変わらなくても、睡眠、気分、動きやすさなど、少しずつ改善していくことはよくあります。合う方法を見つけるまでに時間がかかることもありますが、あきらめる必要はありません。遠慮なく医疗者に状況を伝え、一緒に調整していきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康に関する案内は国や地域によって異なります。このページは一般的な教育情報であり、お住まいの地域の指針、薬、診療と一致しない場合があります。心配な点はご自身の医師または医療提供者に相談し、地域の案内がある場合はそれに従ってください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
このトピックを名指しする指針はありません
このページには、このトピックそのものを名指しする健康ガイドラインや臨床の章は引用されていません。このページは一般的な教育と情報のみを目的としています。診断、治療計画、個人への医学的助言ではありません。ご自身の医師に確認し、その指示に従ってください。症状が重い、突然である、または心配な場合は速やかに受診し、緊急時は地域の緊急番号に電話してください。Ruqelo LLC は、この情報に基づく判断から生じる医学上または法律上の結果について責任を負いません。
最終更新: 2026年11月3日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.