終末期の病気と向き合う
概要
終末期(しゅうまつき)の病気とは、治すことが難しい段階に進み、余命が限られていると考えられる状態を指します。病名そのものではなく、さまざまな病気の「進行した段階」を表す言葉です。大切なのは、残された時間をできるだけ快適に、その人らしく過ごすことです。
重要な事実
- 終末期は特定の病気の名前ではなく、病気が進んだ状態を表します。
- 痛みや息苦しさ、不安などは、緩和ケア(かんわケア:症状を和らげるケア)で軽くできることがあります。
- 一人で抱え込まず、家族や医療・福祉のチームに相談することが大切です。
人生の最期には、多くの人が何らかの病気の進行した段階を経験します。決して珍しいことではありません。
がん、心臓の病気、肺の病気、腎臓の病気、認知症、神経の病気など、さまざまな病気の人と、その家族や身近な人に影響します。
症状
- 息が苦しくて話せない、唇や顔色が青い
- 意識がない、呼びかけに反応しない
- けいれんが止まない
- 大量の出血がある
- 突然の激しい胸の痛みや呼吸困難
- ⚠痛みが強くなり、今のケアでは抑えられない
- ⚠熱が出て、ぐったりしている
- ⚠水分が飲めず、尿がほとんど出ない
- ⚠新しい混乱や強い眠気が急に出た
- ⚠強い不安やパニックで日常生活が難しい
- ⚠自分を傷つけたい気持ちがある
一般的な症状
- 疲れやすさ、だるさ
- 息苦しさ
- 食欲がない、食べられない
- 眠れない
- 不安や悲しみ、いらいら
- 物忘れや混乱
子供の症状
- 親から離れたがらない、甘えることが増える
- 不安や恐怖を言葉にできないことがある
- 頭痛やお腹の痛みなど体の不調として表れる
- 赤ちゃん返り(おねしょ、指しゃぶりなど)
- 怒りっぽくなる、静かになるなど態度が変わる
高齢者の症状
- 複数の病気が重なり、症状が出やすい
- 痛みや息苦しさを我慢して言わないことがある
- 食欲低下や脱水が進みやすい
- せん妄(意識がぼんやりし、混乱する状態)が起きやすい
- 人とのつながりが減り、孤独を感じやすい
原因
主な原因
- 進行したがん
- 重症の心臓病
- 重症の肺の病気
- 腎臓の機能が大きく落ちた状態
- 認知症や神経の病気の進行
- その他、治すことが難しいさまざまな病気
リスク要因
- 高齢であること
- 長年の喫煙や生活習慣病などが病気の進行に関わること
- すでに重い病気があること
- 家族や周囲のサポートが少ないこと(生活の質に影響します)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 痛みや息苦しさが急に強くなった
- 発熱や感染の疑いがある
- 食べたり飲んだりできない状態が続く
- 新しい混乱、強い眠気、けいれんがある
- 強い不安、孤立感、自傷の考えがある
定期受診を予約すべき場合:
- 症状の変化や新しい悩みがある
- これからの治療や過ごし方について話したい
- 家族や介護者としての負担が大きい
- 気持ちの落ち込みや不安が続く
- 緩和ケアや在宅ケアの相談をしたい
診断
終末期かどうかは、病歴、体の診察、検査の結果、病気の進み具合、そして本人の希望をふまえて、医師が総合的に判断します。一度で決まるものではなく、時間をかけて話し合います。
行われる可能性のある検査
- 血液検査
- 画像検査(レントゲン、CT、MRI、超音波など)
- 体の診察と症状の評価
- 日常生活の状態や心の状態の確認
- 必要に応じて、かかりつけ医以外の専門医の意見
診察で予想されること
医師から病状とこれからの見通しについて説明があります。治療の目標、どこで過ごしたいか、何を大切にしたいかを話し合う時間です。遠慮なく質問し、家族や信頼できる人に同席してもらうとよいでしょう。
治療
終末期のケアでは、病気を治すことよりも、痛みや息苦しさ、不安などの症状を和らげ、その人らしく過ごせることを大切にします。緩和ケアは、診断された早い段階から利用できます。
自宅でのセルフケア
- 疲れたら休み、活動と休息のバランスをとる
- 食べられる量でよいので、少量ずつ回数を分ける
- 好きなことや小さな楽しみを大切にする
- 不安や希望を書き留め、医療者に伝える
- 家族や友人に助けを求める
- 気持ちがつらいときは、一人で抱えず話す
医療治療
症状に合わせて、痛み、息苦しさ、吐き気、便秘、不眠、不安などを和らげる治療を行います。酸素や点滴などが必要なこともあります。治療の内容は、本人の希望と状態に合わせて医療チームと相談して決めます。薬の名前や量は、必ず医療者に確認してください。
この病気と共に生きる
その日の体調に合わせて予定を立て、大切な人と過ごす時間や、静かに休む時間を確保しましょう。できるだけ自分で決められることを残すことも、安心につながります。
生活習慣のアドバイス
- 人と会う、話すなど、つながりを保つ
- 静かな環境で休む時間をつくる
- 深呼吸や軽いストレッチなど、無理のない範囲で体を動かす
- 睡眠をできるだけ確保する
- お金や介護、仕事などの心配は、早めに相談する
食事と運動
食欲がないときは、少量ずつ、やわらかいものや食べやすいものを選びましょう。水分はこまめに。体を動かせる日は、屋内を歩く、椅子に座って手足を動かすなど、無理のない範囲で行います。食事や運動の内容は、医師や管理栄養士、理学療法士に相談してください。
精神的健康と心の健康
終末期と告げられると、不安、悲しみ、怒り、孤独、将来への心配など、さまざまな気持ちがわきます。それは自然な反応です。気持ちを話すだけでも楽になることがあります。自分を傷つけたい気持ちがあるときは、すぐに医療者や地域の緊急窓口に連絡してください。緊急時は119番を呼んでください。
予防
終末期という状態そのものを防ぐことはできませんが、病気の進行を遅らせるための生活習慣や、早めの相談、これからの医療やケアについて話し合っておくことは役立ちます。予防よりも、安心して過ごす準備に焦点を当てましょう。
合併症
治療しない場合
- 痛みや息苦しさが強くなり、日常生活が難しくなることがある
- 食欲や水分が取れず、体力が落ちる
- 不安やうつ、孤立感が深まることがある
- 家族や介護者の負担が大きくなる
- 混乱やせん妄が起きやすくなる
長期的な見通し
終末期と告げられても、過ごし方は人それぞれです。症状を和らげるケアを受けながら、大切な人と穏やかな時間を過ごすことは十分に可能です。医療・福祉のチームが、あなたと家族の希望に沿えるよう支援します。
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最終更新: 2026年10月22日
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