新型コロナの後に続く肺の症状(いわゆる「コロナ肺」)について
概要
「コロナ肺」は、テレビやインターネットで使われるようになった通称で、正式な病名ではありません。主に、新型コロナウイルス感染症にかかったあと、肺や呼吸の調子が長く戻らない状態を指して使われています。感染中に肺が炎症を起こし、元の状態に戻るまで時間がかかること、咳や息切れが続くこと、だるさが抜けないことなどが含まれます。 WHO(世界保健機関)などでは、感染後3か月以上続く症状を「post COVID-19 condition(罹患後症状、いわゆる後遺症)」と呼んでいます。肺の症状はその一部です。多くの方は時間とともに良くなっていきますが、回復には個人差があります。
重要な事実
- 「コロナ肺」は通称で、正式な診断名ではありません。長引く咳・息切れ・疲れやすさなどをまとめた呼び方です。
- 症状の多くは数週間から数か月かけて少しずつ良くなっていきます。焦らず段階的に回復を待つことが大切です。
- 息苦しさが強いとき、唇や爪の色が悪いときなどは、すぐに救急(119)へ連絡してください。
よくある相談です。新型コロナにかかった方のうち、少なくとも一部の方に咳や息切れ、だるさが数週間以上続くことが知られています。軽症だった方でも続くことがあり、症状の重さと長引くかどうかは必ずしも一致しません。
新型コロナにかかった方なら誰でも起こる可能性があります。特に、感染中に肺炎が強かった方、入院が必要だった方、もともと喘息(ぜんそく)やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの肺の病気がある方、喫煙習慣のある方、高齢の方では症状が残りやすい傾向があります。ただし、健康な若い方でも長引くことはあります。
症状
- 息が苦しくて話せない、文章が言えない
- 唇や爪の色が青白い・紫色に見える
- 胸に強い痛みがある
- 意識がぼんやりしている、反応がおかしい
- 家にパルスオキシメーター(血中の酸素を測る機械)がある場合、値が著しく低い状態が続く
- ⚠発熱が続く、または繰り返す
- ⚠咳や息切れが日ごとに強くなっている
- ⚠痰に血が混じる
- ⚠胸の痛みが新しく出てきた
- ⚠食事や水分がとりにくく、尿の量が減っている
一般的な症状
- 続く咳(から咳が多い)、痰がからむこともある
- 息切れ、階段や坂道で息が上がる
- 胸の違和感や軽い痛み
- だるさ、疲れやすさ、集中しにくさ
- 動悸(どうき)や、深く息を吸いにくい感じ
- 声のかすれ、のどの違和感
子供の症状
- 長引く咳や鼻水
- 走ったり遊んだりすると息が上がりやすい
- 疲れやすく、元気が出にくい
- 胸の痛みを「なんとなく変」と表現することがある
- 子どもは言葉でうまく伝えられないことがあるので、様子の変化に気をつけてあげてください
高齢者の症状
- 少し動いただけで息切れする
- 食欲が落ちて体力が低下する
- 咳が長引き、痰がからみやすい
- 疲れやすく、寝ている時間が増える
- 息苦しさを「年だから」と我慢してしまいがちなので、周囲の観察が大切です
原因
主な原因
- 新型コロナウイルス感染による肺の炎症が、治りきるまでに時間がかかることがあります。
- 感染のあと、肺の組織が修復される過程で咳や息切れが続くことがあります。
- 重症の肺炎のあとに、肺が硬くなる(線維化)変化が残ることがあります。
- 体力や筋力が落ちたことで、息切れしやすくなっている場合もあります。
- 不安や緊張、睡眠不足などが息苦しさの感じ方を強めることもあります。
リスク要因
- 感染中に肺炎が強かった、入院や酸素投与が必要だった
- もともと喘息、COPD、間質性肺炎などの肺の病気がある
- 喫煙習慣がある
- 高齢である
- 肥満、糖尿病、心臓病などの持病がある
- 感染後に無理をして活動を急激に増やした
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 息苦しさが強い、または急に悪化した
- 唇や爪の色が悪い、意識がぼんやりする(この場合は救急119へ)
- 発熱が続く、痰に血が混じる
- 胸の痛みが続く
定期受診を予約すべき場合:
- 咳や息切れが3〜4週間以上続いている
- 階段で息が上がるなど、日常生活に支障がある
- だるさが抜けず、仕事や家事が難しい
- 症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す
- 不安や気分の落ち込みが続いている
診断
まず問診で、いつ感染したか、どんな症状がいつから続いているかを確認します。そのうえで胸の音を聴き、必要に応じて検査を行います。肺の病気が隠れていないかを確認することが目的です。原因が見つからないことも多く、その場合は「罹患後症状」として経過を見ながら支援していくことになります。
行われる可能性のある検査
- 診察と問診(症状の経過、生活への影響を確認)
- パルスオキシメーターで血中の酸素の量を測る
- 胸部レントゲン検査
- 胸部CT検査(詳しく肺の状態を見たいとき)
- 血液検査(炎症や貧血などを確認)
- 呼吸機能検査(息を思いきり吐けるかなどを測る)
- 必要に応じて心電図や心臓の検査
診察で予想されること
検査は痛みの少ないものがほとんどです。結果が出るまで数日かかることがあります。検査で異常が見つからないことも珍しくなく、その場合も「問題ない」ことを確認する意味があります。症状の経過を記録しておくと、診察のときに役立ちます。
治療
治療の中心は、症状に合わせて体を休めながら、少しずつ体力と呼吸の機能を取り戻していくことです。咳や息切れに対しては、症状をやわらげる工夫やリハビリ的なアプローチが行われます。原因となる別の病気が見つかれば、その治療を優先します。
自宅でのセルフケア
- こまめに休憩をとり、活動と休息のバランスを保つ
- 息苦しさを感じたら、無理をせず動作をゆっくりにする
- 部屋の湿度を保ち、こまめに換気する
- 禁煙する(受動喫煙も避ける)
- 水分をとり、栄養バランスのよい食事を心がける
- 症状と活動量をメモして、回復の傾向を自分で確認する
- 息苦しさが強い日は、活動量を落として体を休める
医療治療
医師は症状に合わせて、咳や痰をやわらげるお薬、気道の炎症を落ち着かせるお薬などを用いることがあります。酸素の値が低い場合には酸素療法が検討されます。呼吸のリハビリ(呼吸の仕方や体力の戻し方を学ぶプログラム)や、必要に応じて専門の医療機関への紹介も行われます。具体的な薬や量は、症状や持病に合わせて医師が判断します。自己判断で市販薬を重ねて使う場合は、薬剤師や医師に相談してください。
手術が検討される場合
通常は手術は必要ありません。まれに、肺に穴が開く気胸(ききょう)や、肺の変化が強い場合などに、専門医による処置や手術が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
回復は一直線ではなく、良い日と悪い日を繰り返しながら進むことが多いです。「今日は調子が良いから」と一気に活動を増やすと、翌日に強い疲れや息切れが出ることがあります。活動量を少しずつ増やし、疲れを感じる前に休むのがコツです。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を続ける。家族や周囲にも受動喫煙を避けてもらう
- 睡眠を十分にとり、生活リズムを整える
- 体調の記録をつけ、無理のない範囲で活動量を調整する
- かぜやインフルエンザなどの感染予防を心がける
- ストレスをためず、話せる相手や相談先を持つ
食事と運動
食事は、たんぱく質・野菜・果物をバランスよくとり、塩分をとりすぎないようにしましょう。運動は、散歩など軽い活動から始め、息が上がりすぎない程度にとどめます。「話しながらできる」くらいの強さが目安です。調子の良い日に急に運動量を増やさず、少しずつ延ばしていきましょう。必要なら呼吸リハビリの指導を受けると安心です。
精神的健康と心の健康
長引く症状は、不安、いらいら、気分の落ち込み、眠りにくさにつながることがあります。これは珍しいことではありません。症状が続くと「また悪くなったらどうしよう」と感じるのも自然なことです。一人で抱え込まず、家族や友人、医療者に気持ちを話してみてください。つらい気持ちが続くときは、早めに医療機関に相談を。気持ちが深く沈み、自分を傷つけたい気持ちがわいたときは、すぐに地域の相談窓口や医療機関、救急(119)に連絡してください。
予防
新型コロナウイルス感染症そのものを完全に防ぐことは難しいですが、感染を防ぎ、重症化を防ぐことは、結果として肺の症状が長引くリスクを下げることにつながります。手洗い、換気、体調が悪いときの外出控え、人混みでの配慮などが基本です。
ワクチン
ワクチンは、感染そのものを完全に防ぐものではありませんが、重症化を防ぐ効果が知られています。接種の時期や回数については、厚生労働省の情報や、かかりつけ医・自治体の案内を確認してください。持病がある方や高齢の方は、特に医師と相談しておくと安心です。
検診プログラム
特定の決まった検査で「コロナ肺」を見つけるスクリーニングはありません。感染後に息切れや咳が長く続く場合は、医療機関で相談することが大切です。
合併症
治療しない場合
- 息切れが続くことで、体力や筋力が落ちる
- 咳が長引き、睡眠や日常生活の質が下がる
- 肺の炎症が長引き、肺が硬くなる変化が残ることがある(線維化)
- 不安や気分の落ち込みが強くなり、社会生活に影響する
- まれに気胸や、肺の血管の病気などの合併症が起こる
長期的な見通し
多くの方は、時間をかけて少しずつ良くなっていきます。回復の速さには大きな個人差があり、数か月かかることもあります。症状が残っていても、適切な支援を受けながら生活の質を取り戻していくことは十分可能です。心配な症状があれば早めに相談し、あきらめずに経過を見ていきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康に関する案内は国や地域によって異なります。このページは一般的な教育情報であり、お住まいの地域の指針、薬、診療と一致しない場合があります。心配な点はご自身の医師または医療提供者に相談し、地域の案内がある場合はそれに従ってください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
このトピックを名指しする指針はありません
このページには、このトピックそのものを名指しする健康ガイドラインや臨床の章は引用されていません。このページは一般的な教育と情報のみを目的としています。診断、治療計画、個人への医学的助言ではありません。ご自身の医師に確認し、その指示に従ってください。症状が重い、突然である、または心配な場合は速やかに受診し、緊急時は地域の緊急番号に電話してください。Ruqelo LLC は、この情報に基づく判断から生じる医学上または法律上の結果について責任を負いません。
最終更新: 2026年10月22日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.