クリミア・コンゴ出血熱(CCHF)
概要
クリミア・コンゴ出血熱は、ウイルスによって起こる重い感染症です。発熱やだるさから始まり、出血などの症状が出ることがあります。主にマダニにかまれることや、感染した動物の血・体液に触れることでうつります。日本ではふだん見られない病気ですが、流行地域への旅行や輸入例に関連して知っておきたい病気です。
重要な事実
- 主な感染経路は、マダニの咬傷と、感染した動物の血液・体液との接触です。
- 人から人へは、患者の血液や体液に触れた場合にうつることがあります。
- 早期に医療機関へ相談し、適切な感染対策を行うことが大切です。
日本では一般的ではありません。世界ではアフリカ、中東、アジアの一部、バルカン半島などで報告されています。
農畜産業に携わる人、獣医師、野外作業者、流行地域への旅行者、医療従事者など、動物やマダニに触れる機会が多い人がかかりやすいとされています。
症状
- 出血が止まらない、鼻血や歯ぐきの出血が続く、あざや点状出血が急に広がる(すぐに119番へ)
- 意識がもうろうとする、けいれん、強い頭痛、首の硬さ(すぐに119番へ)
- 呼吸が苦しい、胸の痛み、冷汗、顔色が悪くぐったりしている(すぐに119番へ)
- 流行地域から戻った後14日以内に高熱が出て、急速に具合が悪くなる(すぐに119番へ)
- ⚠流行地域への旅行後やマダニ咬傷後に発熱した
- ⚠高熱、強い倦怠感、嘔吐、下痢がある
- ⚠感染が疑われる動物の血液・体液に触れた後に発熱した
- ⚠患者の血液・体液に触れた医療従事者などで、その後発熱した
一般的な症状
- 突然の高熱、さむけ、強いだるさ
- 頭痛、めまい、首の痛みや硬さ
- 筋肉痛、関節痛
- 吐き気、嘔吐、下痢、腹痛
- 目が赤くなる、のどの痛み
- 出血しやすい、鼻血、歯ぐきの出血、あざ、皮膚の点状出血
子供の症状
- 発熱、不機嫌、元気がない
- 食欲低下、吐き気、嘔吐、下痢
- 重症の場合は出血や意識の変化
高齢者の症状
- 高熱と強い倦怠感
- 出血倾向やあざが広がる
- 意識がもうろうとする、混乱
- 肝臓や腎臓の働きが悪くなるなど、重症化しやすい
原因
主な原因
- クリミア・コンゴ出血熱ウイルスを持ったマダニに咬まれること
- 感染した動物(家畜など)の血液や組織、体液に触れること
- 患者の血液や体液に触れること(医療・介護の場など)
- 汚染された針などによる針刺し事故
リスク要因
- 流行地域に住んでいる、または旅行する
- 野外活動や農作業などでマダニに触れる機会が多い
- 家畜の屠殺、畜産、獣医業務に携わる
- 防護具を十分に使わずに患者の体液に触れる
- 感染が疑われる動物や患者に近い環境で過ごす
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- マダニにかまれた後、数日以内に発熱した
- 流行地域から戻って14日以内に発熱した
- 感染が疑われる動物や患者の血液・体液に触れた後、発熱した
- 出血倾向、意識の変化、呼吸の苦しさがある
定期受診を予約すべき場合:
- 流行地域へ行く予定があり、予防や注意点を相談したい
- 野外活動後のマダニ対策について知りたい
- 動物の血液・体液を扱う仕事で、感染予防を相談したい
診断
症状、渡航歴、マダニ咬傷、動物や患者との接触歴を聞いたうえで、血液検査などを組み合わせて調べます。クリミア・コンゴ出血熱が疑われる場合は感染対策が必要なため、受診前に医療機関へ電話で相談することが大切です。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(血球の数や肝臓・腎臓の働きを調べる)
- ウイルスの遺伝子を調べるPCR検査
- ウイルスに対する抗体を調べる検査
- 専門の安全な施設で行うウイルス分離検査
診察で予想されること
検査は保健所や専門医療機関と連携して行われます。結果を待つ間は、感染対策のため個室で管理されることがあります。結果まで数日かかることがあり、入院して経過を見る場合もあります。
治療
クリミア・コンゴ出血熱は重くなることがあるため、入院して集中的に管理します。特定の治療薬は限られており、水分や電解質の補正、酸素、血圧管理、出血への対応など、体を支える治療が中心になります。
自宅でのセルフケア
- 疑いがあるときは自己判断で自宅療養せず、医療機関の指示に従う
- 回復期は安静と水分補給を心がける
- 出血しやすいときは、けがや激しい運動を避ける
- 発熱や出血の変化を記録し、医療者に伝える
- 家族も医師の指示に従い、タオルや食器の共用を避けるなどの感染対策を行う
医療治療
入院による経過観察、輸液、酸素投与、血圧の管理、必要に応じた輸血、合併症への対応などが行われます。抗ウイルス薬は限られており、研究段階の治療も含めて、担当医が状態に応じて判断します。感染症指定医療機関などで、感染対策を徹底しながら治療します。
手術が検討される場合
クリミア・コンゴ出血熱そのものに対する手術は通常ありません。出血や臓器の合併症に対して外科的な対応が必要になる場合はありますが、担当医が状態を見て判断します。
この病気と共に生きる
回復期は疲れやすく、体力が戻るまで時間がかかることがあります。医療機関の指示に従って、少しずつ日常生活を取り戻していきましょう。感染が疑われる期間は、医師の指示に従って人との接触を控えることがあります。
生活習慣のアドバイス
- 流行地域では長袖・長ズボン、虫よけ、マダニの確認などの対策をとる
- 動物の血液や体液に素手で触れない
- 手洗いをこまめに行う
- 必要な場面では手袋や防護具を使う
- 渡航前後に厚生労働省の検疫情報や外務省の渡航情報を確認する
食事と運動
回復期はバランスのよい食事と十分な水分をとり、無理のない範囲で歩くなど軽い活動から始めましょう。出血倾向があるときや体調がすぐれないときは運動を控え、医師に相談してください。
精神的健康と心の健康
重い感染症と診断されると、不安や恐怖、孤立感が強くなることがあります。一人で抱え込まず、医療者や信頼できる人に話してください。自分や他人を傷つける危険がある場合や、差し迫った危機がある場合は、すぐに119番や地域の救急・相談窓口へ連絡してください。
予防
できる範囲で予防できます。流行地域ではマダニに咬まれない対策をとり、動物の血液や体液に素手で触れないようにしましょう。医療や介護の場では、患者の血液・体液に触れるときの標準予防策と追加の感染対策が重要です。
ワクチン
日本では一般に接種できるワクチンはありません。研究は進められていますが、日常的に使えるワクチンは限られています。
検診プログラム
流行地域への渡航歴や症状、マダニ咬傷、動物との接触歴を問診で確認します。必要に応じて検査が行われます。献血では渡航歴の確認が行われることがあります。
合併症
治療しない場合
- 重い出血や貧血
- 血圧が下がるショック
- 肝臓や腎臓の働きが悪くなる
- 呼吸不全
- 二次感染
- 重症の場合は命に関わることがある
長期的な見通し
クリミア・コンゴ出血熱は重症化しうる病気ですが、早期に医療機関を受診し、支持療法と感染管理を受けることで回復する方もいます。流行地域への渡航歴があるときは、症状を医師に伝えることが大切です。
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最終更新: 2026年10月22日
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