ネットいじめ(サイバーいじめ)
概要
ネットいじめ(サイバーいじめ)とは、スマートフォンやパソコン、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス=インターネット上の交流サイト)、メッセージアプリ、オンラインゲームなどを使って、人を傷つける行為のことです。悪口やからかいのメッセージを送る、写真やうわさを勝手に広める、グループから仲間はずれにする、本人になりすまして書き込む、などが含まれます。ふつうのいじめと違い、家に帰っても続き、一度広まったものはなかなか消えないところが特徴です。
重要な事実
- ネットいじめは「顔が見えない」「24時間続く」「広がるのが速い」「消えにくい」という4つの点で、対面のいじめと違います。
- 国の調査では、小中学生・高校生の多くが何らかのネット上のいやがらせやトラブルを経験したと答えています。
- 一人で抱え込まず、証拠を残して信頼できる大人や相談先に伝えることが、最初でいちばん大切な一歩です。
決してめずらしいことではありません。インターネットを使う子どもたちの相当数が、何らかの形でネット上のいやがらせやトラブルを経験したと答えています。大人の職場や地域でも起こります。「自分だけがおかしい」と感じる必要はありません。
中心は小学生・中学生・高校生などの子どもと若者ですが、大学生や大人、職場でも起こります。スマートフォンを長時間使う人、SNSで自分の情報を多く公開している人、孤立しやすい立場にある人が狙われやすい傾向があります。誰にでも起こりうることです。
症状
- 自分を傷つけたい気持ちや「消えたい」という気持ちがある(119番に電話するか、すぐに救急を受診してください)
- 「殺す」など具体的な脅迫を受けている、身の危険を感じる(110番に電話してください)
- 裸の写真などを送るよう脅されている、送ってしまい拡散すると脅されている(110番、または警察の相談窓口へ)
- 自傷行為をした、薬を大量に飲んだなど、体の危険がある(すぐ119番)
- ⚠数日以上ほとんど眠れない、食べられない
- ⚠強い不安やパニック発作(急に動悸がして息苦しくなる)が繰り返す
- ⚠学校や仕事に行けない状態が続いている
- ⚠誰かへの暴力を考えてしまう、または暴力を受けている
- ⚠ネット上のやりとりでお金を要求されている
一般的な症状
- 送られてきたメッセージを見て、強い不安・恐怖・悲しみを感じる
- スマートフォンやパソコンを見るのを極端に嫌がる、触るとつらくなる
- 夜眠れない、食欲がない、頭痛や腹痛などの体の不調がある
- 学校や仕事に行きたくない、行けなくなる
- 友人や家族から距離を置く、部屋にこもる
- 感情の起伏が激しくなる、急に怒る、涙が出る
- 「自分は価値がない」と口にする、自分を責める
- オンラインの利用を隠す、通知を消す、画面をすぐ閉じる
子供の症状
- 学校の話をしなくなる、友だちの名前を出さない
- 「スマホをなくした」「壊れた」と言う、充電しない
- 登校しぶり、保健室登校、不登校
- 成績の急な低下、集中できない様子
- いらいらして攻撃的になる、または急におとなしくなる
- 腹痛・頭痛・吐き気などの体の不調をよく訴える
- 自分を傷つける行動(リストカットなど)のサイン
高齢者の症状
- 職場や地域のグループ連絡網での無視や仲間はずれ
- SNS上のトラブルを「自分のせいだ」と思い込みやすい
- 眠れない、食欲低下、気力の低下
- 人との交流を避ける、外出を控える
- 個人情報やお金をめぐる詐欺的なやりとりに巻き込まれる
- 「年のせい」「大げさだ」と相談をためらう
原因
主な原因
- 顔が見えず相手の反応も見えないため、心理的なブレーキが働きにくいこと
- 一度の投稿が一瞬で広がり、消すのが難しい仕組みになっていること
- グループ内の力関係や同調圧力(「みんながやっているから」と加わってしまう)
- スマートフォンの普及で、学校や家の外でもつながりが続くこと
- 相手がどれほど傷つくかを想像しにくいこと
- 画面の中だけで起きるため、大人が気づきにくいこと
リスク要因
- 自分の写真や連絡先、学校名などを公開している
- 友人関係が狭い、孤立しやすい
- 発達の特性や、LGBTQ+ など、目立つ立場にある
- これまでいじめの被害や加害の経験がある
- 家庭や学校での見守りが少ない、相談しにくい雰囲気がある
- 長時間の利用、夜遅くまでの利用がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 自分を傷つけたい気持ちがある、消えたいと思っている
- 眠れない・食べられない状態が続き、体調が悪化している
- パニック発作が繰り返す
- 強い不安で外に出られない
- 脅迫や画像の拡散など、犯罪にあたる可能性がある(警察への相談も検討してください)
定期受診を予約すべき場合:
- 気分の落ち込みが2週間以上続く
- イライラが続く、集中できない、成績が下がった
- 学校や仕事への行きしぶりがある
- 頭痛、腹痛、食欲の変化が続く
- 保護者として、子どもの様子の変化が気になる
診断
ネットいじめそのものを判定する血液検査や画像検査はありません。医師や心理の専門家(公認心理師、臨床心理士など)が、これまでの出来事と気持ち、睡眠や食欲、学校や職場の様子をていねいに聞き取り、からだと心の状態を確認します。必要に応じて、学校の先生や養護教諭、家族からも話を聞きます。
行われる可能性のある検査
- 問診(話を聞くこと)が中心です
- 気分や不安のチェックリスト(質問票)
- 睡眠や食欲、生活リズムの確認
- うつ病や不安症などのスクリーニング
- 体の不調の原因を調べるための一般的な検査(血液検査など)
診察で予想されること
話したくないことは話さなくて大丈夫です。少しずつで構いません。診察は、あなたの味方として一緒に考えるための場で、責めるための場ではありません。
治療
大切なのは、まず「安全を確保すること」と「一人にしないこと」です。ネット上のやりとりから距離を置く工夫をしながら、信頼できる大人や専門家と一緒に、気持ちと生活を立て直していきます。多くの場合、カウンセリングと周囲のサポートで少しずつ改善していきます。
自宅でのセルフケア
- 証拠を残す(画面のスクリーンショットを撮る、日時をメモする)
- 相手をブロック・ミュートし、通報する(無理に返信しない)
- 信頼できる人に打ち明ける(家族、先生、友人、相談窓口)
- 夜は通知を切り、画面から離れる時間をつくる
- 睡眠と食事をできるだけ整える
- 自分を責めない。「いやがらせをする側に問題がある」と知っておく
- 好きなことや体を動かす時間を意識してつくる
医療治療
治療は「話すこと」が中心です。カウンセリング(認知行動療法など、考え方と行動のパターンを見直す方法)や、家族・学校と連携した支援が行われます。つらい気持ちが続き、うつ病や不安症、不眠などの状態が重なっている場合は、医師が治療の方針を一緒に考えます。薬が必要と判断されることもありますが、使うかどうか、どのくらい続けるかは、医師とよく相談して決めます。この記事では具体的な薬の名前や量はお伝えしません。
手術が検討される場合
手術が必要になる問題ではありません。
この病気と共に生きる
毎日の過ごし方は、少しずつ整えていけば大丈夫です。画面を開く時間を決める、通知を切る、食事と睡眠のリズムを守る。この3つだけでも気持ちはずいぶん楽になります。つらい日があっても、それは回復していない証拠ではなく、回復の途中でよくあることです。
生活習慣のアドバイス
- 1日の画面時間を決め、寝る1時間前は端末を置く
- 朝起きる時間をできるだけ一定にする
- 外に出て光を浴びる、軽く体を動かす
- 信頼できる人と、週に一度でも顔を合わせて話す
- SNSのアカウントを整理する(見るだけでつらくなるものは外す)
食事と運動
特別な食事法は必要ありません。三食をできるだけ同じ時間にとり、水分をとることを心がけてください。食欲がないときは、食べやすいものを少量ずつで構いません。散歩やストレッチなど、息が少しはずむ程度の運動は、気分と睡眠の安定に役立ちます。無理のない範囲で続けましょう。
精神的健康と心の健康
ネットいじめは、不安、落ち込み、眠れない、自分を責める気持ちなど、心に大きな影響を与えることがあります。これはあなたの弱さではなく、つらい出来事に対する自然な反応です。つらい気持ちが強いときや、自分を傷つけたい気持ちが出てきたときは、一人で抱えず、すぐに119番に電話する、救急を受診する、または信頼できる人や地域の相談窓口に連絡してください。助けを求めることは、とても大切な自己防衛です。
予防
完全に防ぐことは難しいですが、家庭・学校・職場での小さな工夫で、起こりにくくし、起きたときに早く止められるようになります。子どもの頃から、相手の気持ちを想像する力と、困ったときに大人に伝える練習を重ねることが役立ちます。
ワクチン
ネットいじめにワクチンはありません。
検診プログラム
決まった検査はありませんが、学校でのアンケートや家庭での日々の声かけが、早期発見の助けになります。
合併症
治療しない場合
- 不安症やうつ病につながることがある
- 不眠や食欲低下など、体の不調が続く
- 不登校や退職など、学校・仕事とのつながりが切れる
- 自尊心が傷つき、「自分はだめだ」という考えが強くなる
- 自分を傷つける行動や、消えたいという気持ちが生じる
長期的な見通し
ネットいじめは、適切な支援と周囲の理解があれば、多くの人が少しずつ回復していきます。時間はかかることがありますが、話せる相手が一人いるだけで、道は大きく変わります。あせらず、あなたのペースで進んでいきましょう。
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最終更新: 2026年10月22日
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