日帰り手術(デイサージャリー)
概要
日帰り手術とは、朝に病院へ行き、手術を受けて、その日のうちに家へ帰れる手術のことです。英語では「デイサージャリー」と呼ばれます。入院して受ける手術と比べて、回復が早く、自分の家のベッドで休めるのが特ちょうです。小さな手術だけでなく、全身麻酔を使う手術でも、医師が「入院しなくても安全に回復できる」と判断した場合に行われます。入院しないぶん、費用が抑えられることが多く、仕事や家事の予定も立てやすくなります。
重要な事実
- 手術を受けたその日のうちに帰宅します。多くは手術後に数時間ベッドで休み、水分がとれて、トイレに立てるなどを確認してから帰ります。
- 白内障、そけいヘルニア、胆のうのポリープ、皮膚のできもの、内視鏡を使った検査や治療など、さまざまな場面で行われています。
- 自宅での回復を支えるために、付き添いの人や、帰宅後に体調が悪くなったときの連絡先を、事前に決めておくことが大切です。
はい、とてもよく行われています。入院の期間を短くして、患者さんの生活への負担を減らす流れの中で、日帰りでできる手術の数は年々ふえています。日本でも、厚生労働省が入院医療から在宅医療への移行を進める中で、日帰り手術は身近な選択肢になっています。
子どもから高齢者まで、幅広い年代の人が受けます。ただし、持病の状態や年齢、住まいの環境によっては、入院したほうが安全と判断されることもあります。日帰りにするか入院にするかは、手術の内容と体の状態をあわせて医師が判断します。
症状
- 息が苦しい、呼吸が速くて浅い、顔や唇が青白い
- 胸が痛い、強く締めつけられる感じがする
- 意識がない、呼びかけても反応がうすい、けいれんが起きた
- 傷から血がふき出るように出て、押さえても止まらない
- 急にぐったりして、顔色が悪い
- ⚠38度以上の発熱、または寒けがして震える
- ⚠傷の赤み・腫れ・痛みが日ごとに強くなる、膿のようなものが出る
- ⚠処方された痛み止めを使っても、がまんできないほどの痛みがある
- ⚠水が飲めないほどの吐き気や嘔吐が続く
- ⚠尿が出ない、おなかが張って痛い
- ⚠めまいやふらつきで、立っていられない
一般的な症状
- 手術のあとに感じる、傷口の痛みや張り(多くの場合、数日でやわらぎます)
- 麻酔の眠気や、ぼんやりした感じ(当日は特に強く出ることがあります)
- 軽い吐き気や食欲のなさ
- のどの違和感や声のかすれ(全身麻酔で管を使ったときに起こることがあります)
- だるさや、いつもより疲れやすい感じ
- 傷のまわりが少し赤くなったり、腫れたりすること
子供の症状
- 麻酔からさめたあとに、不機嫌になったり、泣き続けたりすることがあります
- 吐いたり、飲みものがとりにくかったりすることがあります
- 痛みをうまく言葉で伝えられないため、ぐずる・眠れないといった形で表れることがあります
- 帰宅後しばらくは、ふだんより甘えたり、そばにいたがったりすることがあります
高齢者の症状
- 立ちくらみやふらつきが出やすく、転びやすくなることがあります
- 麻酔のあとに、一時的に頭がぼんやりしたり、日時や場所がわからなくなることがあります
- 水分がとれずに脱水になりやすい
- トイレに行きたいのに出にくい、といった排尿のトラブルが起こることがあります
- 持病の薬を飲む時間がずれて、体調が変わることもあります
原因
主な原因
- 白内障など目の病気で、レンズを入れかえる手術が必要なとき
- そけいヘルニアなど、おなかの筋肉のすき間から内臓が出てくる状態
- 胆のうのポリープや結石などで、胆のうをとる手術が必要なとき
- 皮膚や皮下にできた、しこりやできものの切除
- 内視鏡を使って、検査と一緒にポリープをとったり止血したりする処置
- 手や足、関節の小さな手術や、けがのあとの処置
- いびきや睡眠時無呼吸に対する、のどの手術など
リスク要因
- 心臓・肺・腎臓などの持病がある(手術中の管理に配慮が必要になります)
- 糖尿病の血糖コントロールがよくない
- 睡眠時無呼吸がある
- 喫煙をしている(傷の治りが遅くなることがあります)
- 肥満がある
- 血液を固まりにくくする薬を飲んでいる
- 過去に麻酔で具合が悪くなった経験がある
- ひとり暮らしで、帰宅後に付き添ってくれる人がいない
- 妊娠している、またはその可能性がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 発熱、傷の強い赤みや腫れ、膿が出るなど、感染を思わせる症状がある
- 痛みがどんどん強くなる、痛み止めが効かない
- 水分がとれない、吐き気が続く、尿が出ない
- ふらついて立てない、転んで頭を打った
定期受診を予約すべき場合:
- 手術前の説明や術前外来の予約があるときは、必ず予定どおり受診しましょう
- 手術後の診察は、指示された日に必ず受けましょう(傷の治り具合を確認します)
- 傷の違和感や、気になることがあるときは、次の診察を待たずに病院の相談窓口に電話してよいのです
診断
日帰り手術ができるかどうかは、手術そのものの内容と、あなたの体の状態をあわせて判断します。手術が決まると「術前外来(手術前の診察)」で、持病や飲んでいる薬、生活の様子、帰宅後の付き添いの有無などをくわしく確認します。これは「あなたに合わせた安全な計画を立てるため」の大切な時間です。
行われる可能性のある検査
- 血液検査・尿検査(貧血や内臓の働き、感染の有無をみます)
- 心電図(心臓のリズムや働きを確認します)
- 胸部レントゲン(肺の状態を確認します)
- 必要に応じて、CT・MRI・超音波などの画像検査
- 麻酔科の医師による診察(麻酔の方法を相談します)
- 飲んでいる薬やサプリメントの確認(中止が必要なものがないか確認します)
診察で予想されること
手術の数日前から、飲食の制限(何時間前から食べない・飲まないか)について説明があります。当日は、受付、着替え、点滴、麻酔、手術、そして回復室での休憩という流れが一般的です。帰宅のめやすは、意識がはっきりしている、水分がとれる、痛みが落ち着いている、トイレに立てる、などが確認できたときです。付き添いの人と一緒に帰ることをおすすめします。
治療
日帰り手術は「手術そのもの」と「手術前後の準備とケア」を組み合わせて成り立ちます。手術の方法は、病状や体の状態に合わせて医師が選びます。麻酔には、部分だけをしびれさせる局所麻酔、うとうとする鎮静、全身を眠らせる全身麻酔があり、手術の内容によって使い分けられます。
自宅でのセルフケア
- 手術後24時間ほどは、車の運転、飲酒、機械の操作、契約など重要な判断をともなうことをさけましょう(麻酔の影響が残ることがあります)
- 当日はできるだけ一人にならず、家族や友人にそばにいてもらいましょう
- 傷口は、指示されたとおりに清潔に保ちます。ぬらさないようにする期間や、絆創膏の交換のしかたを確認しましょう
- 痛み止めは、処方されたとおりに使いましょう。市販薬を追加する前には、必ず薬剤師や医師に相談してください
- 水分を少しずつとり、無理のない範囲で食事を再開します
- 入浴やシャワーは、いつから可能かを事前に確認しておきましょう
- 手術を受けた日の夜は、誰かに連絡がとれるようにしておきましょう
医療治療
手術の方法は、病状によって異なります。内視鏡を使って体の負担を小さくする方法、小さく切開する方法、レーザーや超音波を使う方法などがあり、医師があなたの状態に合わせて選びます。麻酔の種類も、手術の内容と持病に合わせて決められます。手術後の痛みや吐き気に対しては、症状をやわらげるお薬が使われることがあります。具体的な薬の名前や量は、担当の医師・薬剤師から説明を受けてください。
手術が検討される場合
手術が必要かどうかは、症状の強さ、病気の進み具合、日常生活への影響、そして体の状態をあわせて判断します。すぐに手術をしないで様子をみる選択肢もあるため、急かされることなく、納得いくまで相談してから決めてよいのです。
この病気と共に生きる
手術のあと数日は、いつもより体力が落ちていると感じることが多いです。予定を詰めこまず、休む時間を先に確保しておくと安心です。傷の痛みや腫れは少しずつやわらぎますが、治り方には個人差があります。仕事や家事に戻る時期は、体の声を聞きながら少しずつ決めていきましょう。
生活習慣のアドバイス
- 手術のあとは、こまめに休憩をとる
- 傷を守るため、激しい運動や重いものを持つのは、指示があるまで控える
- 飲酒や喫煙は、医師の指示があるまで控える(治りを助けます)
- 帰宅後しばらくは、連絡がとれる人を決めておく
- 傷の変化を毎日チェックする(赤み・腫れ・膿・痛みの強まり)
- 睡眠をしっかりとる
食事と運動
食事は、手術後は消化のよいものから少しずつ始め、水分をこまめにとりましょう。便秘は傷に負担をかけることがあるため、食物繊維や水分を意識するとよいです。運動は、散歩のような軽い活動から再開し、医師に許可された範囲で少しずつ増やしていきます。痛みが出る場合は無理をせず、次の診察で相談してください。
精神的健康と心の健康
手術の前は「ちゃんと帰れるだろうか」「家で具合が悪くなったらどうしよう」と不安になるのが自然です。手術のあとも、麻酔の影響で気分が落ち着かなかったり、涙が出たりすることがあります。多くは一時的なものですが、不安や気分の落ち込みが続くときは、一人で抱えこまずに、医療者や身近な人に話してください。つらい気持ちが強いときは、地域の相談窓口やかかりつけ医に相談しましょう。緊急に気持ちが追いこまれたときは、迷わず救急(119)や地域の救急相談に連絡してください。
予防
日帰り手術そのものを「防ぐ」という考え方よりも、「安全に終えて、安心して家に帰るための準備」を整えることが大切です。持病を安定させておくこと、飲んでいる薬を正確に伝えること、禁煙や体重管理に取り組むこと、付き添いの予定を立てておくことが、回復を助けます。
検診プログラム
健康診断を定期的に受けることで、白内障やヘルニア、ポリープなど、手術で対応できる状態に早く気づけることがあります。気になる症状があるときは、自己判断せずにかかりつけ医に相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 手術をしないことで症状が進み、日常生活がつらくなることがあります(例:痛みが強くなる、見えにくさが増す)
- ヘルニアなどでは、内臓が戻りにくい状態になることがあります
- ポリープなどをそのままにすると、変化を見逃す可能性があります
- 一方で、すぐに手術をしないで経過をみる選択が適切な場合も多くあります
長期的な見通し
日帰り手術は、多くの人にとって安全で負担の少ない方法です。回復の速さには個人差がありますが、大半の方は数日から数週間で日常生活に戻っていきます。気になる症状があれば早めに相談すること、指示された診察を受けることが、安心への一番の近道です。
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最終更新: 2026年10月22日
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