めまいがするときの対処法
概要
めまいとは、自分や周りの景色がぐるぐる回るように感じたり、体がふらふらして立っていられないように感じたりする状態のことです。「頭がくらくらする」「立ち上がると目の前が暗くなる」「足元がふわふわする」など、感じ方は人によってさまざまです。めまいは、耳の奥にある体のバランスをとる器官(平衡感覚の器官)の不調、血圧の変化、貧血、疲れやストレスなど、いろいろな原因で起こります。多くは命に関わるものではありませんが、ときには体からの大切なサインであることもあります。
重要な事実
- めまいの感じ方は、大きく3つに分けられます。ぐるぐる回る感じ(回転性めまい)、ふらふら・ふわふわする感じ、立ち上がったときの立ちくらみです。
- 原因は耳の奥の器官、血圧、心臓のリズム、貧血、脱水、睡眠不足、ストレスなどさまざまです。原因によって対処のしかたが変わります。
- 多くのめまいは数日から数週間で良くなりますが、転んでけがをしないように注意することが大切です。
めまいはとてもよくある症状で、病院を受診する人の多い訴えのひとつです。一度だけで終わる人もいれば、何度も繰り返す人もいます。特別な病気の人だけに起こるものではなく、健康な人にも起こります。
子どもから高齢者まで、誰にでも起こります。高齢になるほど起こりやすく、転倒のきっかけになることもあります。女性に多いタイプのめまいもあれば、年齢や性別に関係なく起こるタイプもあります。長時間立つ仕事の人、水分が足りないとき、寝不足のときにも起こりやすくなります。
症状
- 意識がない、呼びかけても反応が弱い、ぼんやりしている
- 顔の片側が下がる、腕や脚の片側が動かない、ろれつが回らない、突然の激しい頭痛(脳卒中のサインの可能性があります)
- けいれんが起こった
- 胸の痛み、息苦しさ、強い動悸が続く
- 大量の出血やひどいけががある
- これらの症状があるときは、すぐに119番に電話して救急車を呼んでください
- ⚠めまいが何度も繰り返し、日常生活が難しい
- ⚠耳鳴りや聞こえにくさを伴う
- ⚠嘔吐が続いて水分がとれない
- ⚠頭を打ったあとにめまいが出た
- ⚠発熱や耳の痛みを伴う
- ⚠支えがないと立てない、歩けない
- ⚠高齢者や子どもの場合で、元気がなくいつもと様子が違う
一般的な症状
- 自分や周りがぐるぐる回る感じ(回転性めまい)
- ふらふらする、ふわふわして足元がおぼつかない感じ
- 立ち上がったときに目の前が暗くなる、気が遠くなる感じ(立ちくらみ)
- 吐き気や嘔吐
- 冷や汗が出る
- 耳鳴り、耳が詰まった感じ、聞こえにくさ
- 動悸(心臓の鼓動が強く感じる)
- 不安な気持ち、落ち着かない感じ
- めまいのあとに強い疲れを感じる
子供の症状
- 自分で「めまい」と言葉にできず、ぐずる、元気がない、歩きたがらないといった形で現れることがあります
- 急に座り込む、壁や大人にしがみつく
- 吐き気や嘔吐、顔色が悪い
- 耳の痛みや発熱を伴う(耳の病気が関係していることがあります)
- 水分がとれない、ぐったりしている、意識がぼんやりしているときは早めに受診してください
高齢者の症状
- ふらつきから転びやすくなり、骨折やけがの危険が高まります
- 「年のせい」と思いがちですが、薬の影響や心臓のリズムの異常が隠れていることがあります
- 水分不足や暑い季節の脱水で起こりやすくなります
- 血圧の薬など、服用している薬が関係していることもあります
- 聞こえにくさや物忘れと重なって、めまいに気づきにくいことがあります
原因
主な原因
- 耳の奥の平衡感覚の器官の不調(寝返りや頭を動かしたときに起こる良性発作性頭位めまい症など)
- 耳の奥の神経の炎症(かぜのあとなどに起こる前庭神経炎)
- 耳鳴りや聞こえにくさを伴うめまい(メニエール病のようなタイプ)
- 血圧の変化(立ち上がったときの立ちくらみ、起立性低血圧)
- 心臓のリズムの異常(不整脈)
- 脱水、暑い季節の水分不足、長時間の立ち仕事
- 食事を抜いたときなどの血糖の低下
- 睡眠不足、疲れ、ストレス、不安
- 服用している薬の影響
- 中耳炎など耳の病気
リスク要因
- 高齢であること
- 水分不足、暑い環境にいること
- 長時間立っていること、急に立ち上がる習慣
- 睡眠不足や疲労、強いストレス
- 血圧や心臓の薬など、何らかの薬を服用していること
- 貧血や糖尿病などの持病があること
- 片頭痛の経験があること
- 以前にもめまいを経験したことがあること
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 意識がぼんやりする、反応が弱い
- ろれつが回らない、手足の片側が動かない、顔の片側が下がる
- 突然の激しい頭痛
- 胸の痛みや息苦しさを伴う
- 嘔吐が続いて水分がとれない
- 頭を打ったあとのめまい
- 支えがないと立てない、歩けない
定期受診を予約すべき場合:
- 軽いめまいが何度も繰り返す
- 動いたときや寝返りをうったときにふらつく
- 耳鳴りや聞こえにくさが気になる
- めまいのせいで外出や仕事に不安を感じる
- 服用している薬を変えてからめまいがする気がする
診断
めまいの診断では、まず話を聞くことがとても大切です。どんなふうにめまいがするのか(回る感じか、ふらつく感じか、立ちくらみか)、いつ起こるのか、どれくらい続くのか、どんなときに起こりやすいのか、耳鳴りや頭痛など他の症状はないかを確認します。そのうえで、血圧を測ったり、耳や目の動きを調べたりして、原因を絞っていきます。
行われる可能性のある検査
- 血圧測定(座ったときと立ったときの血圧を比べることがあります)
- 聴力検査
- 目の動きの検査(眼振といって、目が細かく揺れるかどうかを見ます)
- 頭の位置を変えてめまいが起こるか調べる検査(ベッドの上で頭を動かします)
- 血液検査(貧血や血糖などを調べます)
- 心電図(心臓のリズムを調べます)
- 必要に応じて頭の画像検査(MRIやCT)
診察で予想されること
診察は10〜30分ほどが目安です。検査の多くは痛みを伴わないもので、その日のうちに終わることがほとんどです。めまいが起こった状況をメモしておくと、診断の助けになります。原因がすぐに分からないこともありますが、その場合は症状を見ながら検査を進めていきます。
治療
めまいの治療は、原因によって変わります。まずは原因を確かめ、その原因に合わせた対処をすることが基本です。同時に、めまいや吐き気をやわらげながら、転ばないように安全を保つことも大切になります。
自宅でのセルフケア
- めまいがしたら、まず座るか横になって安静にする(倒れそうなときは、その場でしゃがむだけでも安全です)
- 急に立ち上がらず、ゆっくり体を起こす
- 水分を少しずつこまめにとる
- 暗く静かな場所で休むと楽になることがあります
- 転倒を防ぐため、家の中の段差や物の位置を確認し、手すりや滑りにくい靴を活用する
- めまいがした日時、状況、続いた時間をメモしておくと受診のときに役立ちます
- 睡眠をしっかりとる
- アルコールやカフェインのとりすぎに気をつける
- 車の運転は、めまいが落ち着くまで控える
医療治療
治療は原因に合わせて行われます。耳の奥の器官が関係するめまいでは、頭を特定の方向に動かすリハビリテーションの方法が行われることがあります。吐き気やめまいがつらいときは、医師の判断で症状をやわらげる薬が使われることがあります。血圧の調整、貧血の治療、脱水に対する点滴、バランスを整えるリハビリテーションなども、必要に応じて行われます。どの治療が合うかは人によって異なるため、自己判断で薬を始めたりやめたりせず、医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
手術が必要になることはまれです。ごく一部の原因(耳の奥の腫瘍や、治療で良くならない特定のめまいなど)で、専門医が手術を検討することがあります。
この病気と共に生きる
めまいがあると、外出や家事、仕事に不安を感じやすくなります。無理をせず、体調が良い時間帯に用事を済ませる、移動は座れる経路を選ぶなど、少しずつ工夫しながら生活のリズムを整えていくと安心です。調子が良い日と悪い日があるのは自然なことです。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい睡眠をとる
- こまめに水分をとる
- 急な動作を減らし、ゆっくり動く習慣をつける
- 無理のない範囲で体を動かす
- ストレスをためこまず、リラックスする時間をつくる
- 飲酒はほどほどにする
- 暑い季節は涼しい場所で過ごす
- 症状の記録をつけて、自分の傾向を知る
食事と運動
食事は3食をできるだけ規則正しくとり、水分と塩分をほどよくとることが基本です。極端な食事制限や食事を抜くことは、血糖の低下によるふらつきにつながることがあります。運動は、無理のない範囲で歩くことや軽いストレッチから始めるとよいでしょう。バランスを保つ力を育てる運動は、めまいの再発予防にも役立つことがあります。運動を始める前に、かかりつけ医に相談すると安心です。
精神的健康と心の健康
めまいが続くと、「また起こるのでは」という不安から、外出を控えたり気持ちが落ち込んだりすることがあります。これは珍しいことではなく、めまいのある方によく見られる気持ちの反応です。つらい気持ちが続くときは、一人で抱えこまず、かかりつけ医や地域の保健相談の窓口に話してみてください。気持ちがとてもつらいときや、自分を傷つけたい気持ちがわいたときは、すぐに医療機関や救急(119番)に助けを求めてください。
予防
すべてのめまいを防ぐことはできませんが、生活の工夫で起こりにくくすることはできます。水分をこまめにとる、急に立ち上がらない、睡眠を十分にとる、ストレスをためないといった基本的なことが、めまいの予防につながります。めまいを経験したことがある人は、自分の起こりやすいパターンを知っておくと役立ちます。
ワクチン
めまい自体を防ぐワクチンはありませんが、かぜやインフルエンザなどを予防することは、耳の炎症によるめまいを防ぐことにつながることがあります。ワクチンについては、かかりつけ医や地域の医療機関に相談してください。
検診プログラム
めまい専用の決まった健診はありませんが、血圧測定や血液検査(貧血や血糖など)は、日頃の健康チェックとして役立ちます。健診の結果で気になる点があれば、医師に相談してみましょう。
合併症
治療しない場合
- 転倒して骨折やけがをする危険が高まる
- 水分がとれず脱水になることがある
- 外出や運転を控えるようになり、生活の範囲が狭くなる
- 不安や落ち込みが続くことがある
- まれに、脳卒中や心臓の病気など、見逃せない原因が隠れていることがある
長期的な見通し
多くのめまいは、原因に合った対処をすることで良くなっていきます。繰り返すタイプでも、生活の工夫やリハビリテーションで症状を和らげられることが少なくありません。心配なときは早めに相談することが、安心して暮らす一番の近道です。
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最終更新: 2026年10月22日
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