歯のけが(歯の外傷)
概要
歯のけが(歯の外傷)とは、転んだり、ぶつかったり、スポーツや事故の衝撃などで、歯・歯ぐき・唇・舌、ときにはあごの骨を傷つけてしまうことです。歯が欠ける、折れる、ぐらぐらする、抜ける、押し込まれるなど、けがの形はいろいろあります。見た目が小さなけがでも、歯の根や神経、あごの骨に影響が及んでいることがあるので、自己判断せずに歯科で診てもらうことが大切です。
重要な事実
- 永久歯が完全に抜け落ちたときは、早く受診するほど元に戻せる可能性が高くなります。目安として1時間以内に歯科を受診できるとよいとされています。
- 乳歯(子どもの最初の歯)と永久歯では対応が違います。乳歯は自分で戻そうとせず、歯科で診てもらいましょう。
- けがをした歯は、時間がたってから色が変わったり、痛みが出たりすることがあります。すぐに症状がなくても診てもらい、しばらく経過を見ることが大切です。
はい、珍しいけがではありません。特に子どもが走り回る時期や、スポーツの場面でよく起こります。大人でも転倒や事故で起こることがあります。
子ども(転倒や遊び中の事故が多い)、スポーツをする人(接触のある競技など)、高齢者(転びやすい、歯ぐきや歯が弱くなっている)、虫歯や治療済みの歯がある人、矯正治療中の人などに起こりやすいけがです。
症状
- 意識がない、ぼんやりしている、繰り返し吐くなど頭を打った可能性がある
- 呼吸が苦しい、歯や異物が気道(空気の通り道)に入った可能性がある
- 口の中の出血が15分以上強く押さえても止まらない
- あごが変形している、口が大きく開かない、かみ合わない(あごの骨折が疑われる)
- 顔や首が大きく腫れている、飲み込めない、声が出しにくい
- ⚠永久歯が完全に抜け落ちた
- ⚠歯が深く折れて神経が見えている、痛みが強い
- ⚠歯が骨の中に押し込まれた、大きく動く
- ⚠かみ合わせが明らかに変わった
- ⚠歯の色が灰色などに変わってきた
- ⚠口の中の傷が深く、縫う必要がありそう
一般的な症状
- 歯が痛む、触ると痛い、かむと痛い
- 歯が欠けた、折れた、角がとがっている
- 歯がぐらぐらする、押すと動く
- 歯が抜けた、または周りより低く押し込まれたように見える
- 歯ぐき、唇、舌からの出血
- 歯の色がピンクや灰色っぽく変わった
- かみ合わせがずれた、上下の歯がうまく合わない
- 口の周りの腫れやあざ、痛みで口を開けにくい
子供の症状
- 乳歯が抜けた、押し込まれた、ぐらぐらしている
- 痛みで泣き止まない、口の周りを触られるのを嫌がる
- 唇や舌を切って出血している
- 食事のときに痛がる、かみにくそうにする
- 永久歯が生えかわる時期のけがは、その後の生え方に影響することがある
高齢者の症状
- 転倒による歯やあごのけが
- 入れ歯が壊れた、合わなくなった、はずれやすい
- 歯ぐきが下がって歯の根元が出ており、傷つきやすい、しみる
- あごの骨が弱くなっていると骨折しやすい
- 薬の影響などで出血が止まりにくいことがある
原因
主な原因
- 転倒、段差や階段でのつまずき
- スポーツ中の接触(ボール、相手の体、地面への衝突)
- 人や物にぶつかった、ぶつかられた
- 自転車や車の事故
- 硬いものを強い力でかんだ(びんのふたを歯で開けるなど)
- 食事中の硬い骨や種などをかんだ
リスク要因
- 走り回る時期の子ども
- 接触のあるスポーツをしている
- マウスガード(口を守る防具)などを使っていない
- 歯ぐきが下がっている、歯周病がある
- 転びやすい(高齢、めまい、筋力の低下、薬の影響など)
- 虫歯や治療した歯は弱くなっていることがある
- 矯正治療中で歯が動きやすい状態
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 永久歯が抜けた、押し込まれた、大きく動く
- 歯が折れて痛みが強い、神経が見えている
- 口の中の出血が続く
- かみ合わせが変わった、あごが動かしにくい
- 顔や口の周りが大きく腫れている、熱がある
定期受診を予約すべき場合:
- 歯が少し欠けた、角がとがって舌に当たる
- 軽いぐらつきや違和感が続く
- 歯の色が以前と違う
- かむと少し痛む、冷たいものがしみる
- けがをした自覚はないが、気になる変化がある
診断
歯科医が口の中をよく見て、歯を軽く触って動きや痛みの場所を確かめます。歯の神経が生きているかどうかを調べるために、冷たいものや弱い電気刺激への反応を見る検査を行うことがあります。あごの骨の骨折や、押し込まれた歯の位置を確認するために画像検査を行うこともあります。
行われる可能性のある検査
- 視診・触診(見る、触る、動きを確かめる)
- レントゲン写真(歯の根や骨の状態を見る)
- 冷たいものや弱い電気刺激への反応を見る検査(歯の神経の状態を確かめる)
- CT検査(あごの骨の骨折や、押し込まれた歯の位置を詳しく見る)
- 必要に応じて他の検査(けがの範囲が広い場合など)
診察で予想されること
診察は数分から十数分ほどで、痛みがある場合は先に痛みをやわらげる処置をしてから検査を進めることが多いです。子どもは保護者の方と一緒に受診すると安心です。治療の後も、歯の状態を確認するために通院をお願いされることがあります。
治療
治療はけがの種類によって変わります。欠けた歯は元の形に近づけるように修復し、ぐらぐらする歯は隣の歯と固定して安静を保ちます。永久歯が抜けた場合は、戻して固定する処置を行うことがあります。神経まで傷ついている場合は歯の根の治療が必要になることがあり、状態によっては抜歯を選ぶこともあります。あごの骨折が疑われる場合は、専門の医療機関での治療が必要です。
自宅でのセルフケア
- 抜けた永久歯は乾かさないことが大切です。牛乳や生理食塩水、または口の中(ほおと歯ぐきの間)に入れて歯科へ持って行きましょう。持つときはかみ合う白い部分を持ち、根元には触らないようにします。
- 出血は清潔なガーゼやハンカチで10〜15分ほど押さえます。うがいを何度もすると血が止まりにくくなることがあります。
- 腫れがあるときは冷やします。ただし長時間直接冷やし続けないようにしましょう。
- 治療後は歯科医の指示に従い、硬いものや刺激の強い食べ物、激しい運動は控えめにします。
- 乳歯が抜けた場合や、意識がもうろうとしている場合は、自分で無理に歯を戻さないでください。
- 市販の痛み止めを使う前に、歯科医や薬剤師に相談してください。
医療治療
歯科では、けがの状態に合わせて、欠けた部分を埋めて形を整える処置、動く歯を隣の歯とつないで固定する処置、抜けた永久歯を戻して固定する処置、神経や根の状態に応じた治療、口の中の傷の処置などが行われます。必要に応じて画像検査を追加し、経過を定期的に確認します。あごの骨折など範囲の広いけがは、口腔外科などの専門の医療機関で治療します。
手術が検討される場合
あごの骨が折れている場合、歯の根が深く折れている場合、歯が骨に深く押し込まれている場合、感染が広がっている場合などは、手術や専門的な処置が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
治療のあとは、指示された通院を続けて歯の状態を確認することが大切です。口の中を清潔に保ち、かみ合わせや痛みの変化に気を配りましょう。スポーツに戻る時期は、歯科医に相談してから決めると安心です。
生活習慣のアドバイス
- スポーツではマウスガード(口を守る防具)を使う
- 自転車ではヘルメット、車ではシートベルトを着用する
- 家の中の段差やコード、浴室の滑りやすさを片付けて整える
- 歯を道具代わりにしない(ふたを開ける、袋を破るなど)
- かかりつけの歯科を持ち、定期的に検診を受ける
- 歯ぐきの健康のため、喫煙を控えることを検討する
食事と運動
治療の直後は、柔らかく刺激の少ない食事を選び、熱すぎるもの・冷たすぎるもの・硬いものは控えめにしましょう。運動は、歯科医から許可が出てから少しずつ再開します。接触のあるスポーツでは、防具の使用を続けることが大切です。
精神的健康と心の健康
歯の見た目の変化や痛みは、笑うことへの不安、人と会うことへのためらい、食事のストレスにつながることがあります。子どもでは、歯科への恐怖心が残ることもあります。気持ちがつらくて眠れない、不安の強い日が続くときは、ひとりで抱えず、かかりつけ医や地域の相談窓口に相談してください。緊急のときは119番に連絡してください。
予防
多くは予防できます。スポーツ時の防具、転倒しにくい環境づくり、歯を道具にしない習慣、定期的な歯科検診が役立ちます。
ワクチン
歯のけがを防ぐワクチンはありません。ただし、傷の状況によっては破傷風などについて医師に相談してください。
検診プログラム
かかりつけの歯科を持ち、定期的な検診を受けることがすすめられます。検診の頻度は歯の状態に合わせて歯科医と相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 歯を失うことがある
- 歯の色が灰色などに変わることがある
- 歯の根や歯ぐきの感染、腫れ、膿が出ることがある
- 歯ぐきやあごの骨がやせて、かみ合わせが変わる
- あごの骨折の治りが悪くなる、かみ合わせがずれたままになる
- 子どもの場合は、永久歯の生え方に影響することがある
- 食べにくさや見た目の悩みが続くことがある
長期的な見通し
歯のけがは、早めに受診して適切な対応をすれば、多くの場合で歯を残したり、かみ合わせを整えたりすることが期待できます。時間がたつと治療の選択肢が減ることがあるため、迷ったら早めに歯科へ相談してください。治療後の定期的な確認も、よい状態を保つ助けになります。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康に関する案内は国や地域によって異なります。このページは一般的な教育情報であり、お住まいの地域の指針、薬、診療と一致しない場合があります。心配な点はご自身の医師または医療提供者に相談し、地域の案内がある場合はそれに従ってください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
このトピックを名指しする指針はありません
このページには、このトピックそのものを名指しする健康ガイドラインや臨床の章は引用されていません。このページは一般的な教育と情報のみを目的としています。診断、治療計画、個人への医学的助言ではありません。ご自身の医師に確認し、その指示に従ってください。症状が重い、突然である、または心配な場合は速やかに受診し、緊急時は地域の緊急番号に電話してください。Ruqelo LLC は、この情報に基づく判断から生じる医学上または法律上の結果について責任を負いません。
最終更新: 2026年11月3日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.