Diabetes insipidus
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
尿崩症(にょうほうしょう)は、体の中で水分のバランスを調節するホルモン(抗利尿ホルモン、バソプレシン)がうまく働かず、腎臓(じんぞう)が尿を濃縮できなくなる病気です。その結果、大量の薄い尿が出て、のどが異常に乾きます。これは血糖値(とうけつち)が高くなる糖尿病(とうにょうびょう)とは全く別の病気です。
重要な事実
- 尿崩症は、のどが渇いてたくさん水を飲んでも、体に水分が足りなくなる病気です。
- 原因によって2種類あります:抗利尿ホルモンが出なくなる中枢性(ちゅうすうせい)尿崩症と、腎臓がホルモンに反応しなくなる腎性(じんせい)尿崩症です。
- 治療により症状はうまくコントロールでき、普通の生活を送ることができます。
尿崩症はまれな病気です。一般の人にどのくらい多いかは正確にはわかっていませんが、年間数万人に1人程度とされています。
大人でも子どもでも発症する可能性があります。特に中枢性尿崩症はどの年齢でも起こりえます。腎性尿崩症は遺伝による場合もあり、子どものうちに見つかることが多いです。
症状
- 急に意識がもうろうとしたり、呼びかけに反応しなくなる
- ひどい脱水で、立っていられない、ふらふらする
- けいれん(ひきつけ)が起こる
- ⚠いくら水を飲んでものどが渇きが治まらず、尿が大量に出続ける
- ⚠体重が急に減った(数日で何キロも)
- ⚠めまいや立ちくらみが続く
一般的な症状
- のどが異常に渇く(いつも水を飲みたくなる)
- 大量の薄い尿が出る(1日に3~20リットル以上になることも)
- 夜中に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)
- 脱水症状(だっすいしょうじょう:水分不足)が起こりやすい
子供の症状
- おねしょ(夜尿)が続く
- 機嫌が悪い、ぐずる
- 体重が増えない、発育が遅れる
- 熱が出やすい(特に乳幼児)
高齢者の症状
- 脱水症状が現れやすい(めまい、立ちくらみ)
- 意識がぼんやりする、混乱する
- 尿の量が増えて夜中に何度も起きる
- 高齢者は喉の渇きを感じにくいため、さらにリスクが高まります
原因
主な原因
- 中枢性尿崩症:脳の視床下部(ししょうかぶ)や下垂体(かすいたい)という部分の障害で、抗利尿ホルモン(バソプレシン)が十分に分泌されなくなる。原因は頭部外傷、脳腫瘍、脳外科手術、感染症、自己免疫疾患など。
- 腎性尿崩症:腎臓が抗利尿ホルモンに反応しなくなる。原因は遺伝や、一部の薬(例:リチウム製剤などの一部の気分安定薬)の副作用、電解質バランスの乱れ(高カルシウム血症、低カリウム血症)など。
リスク要因
- 頭部への強い衝撃(交通事故など)
- 脳の手術を受けたことがある
- 脳腫瘍や頭蓋咽頭腫(ずがいいんとうしゅ)などの病気
- リチウムなどの特定の薬を長期間服用している
- 家族に尿崩症の人がいる(遺伝性の腎性尿崩症)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状がある場合(意識障害、けいれんなど)はすぐに119番に電話してください。
- 突然、大量の尿と激しいのどの渇きが始まった場合
定期受診を予約すべき場合:
- 何週間も続くのどの渇きや尿の量の増加がある
- 夜中に何度もトイレに起きて睡眠が妨げられる
- 子どもがおねしょを続ける、または体重増加が悪い
診断
医師は、まずあなたの症状や病歴を詳しく聞きます。その上で、のどの渇きや尿の量、血液や尿の検査をもとに診断します。確認のために「水制限試験(みずせいげんしけん)」と呼ばれる検査を行うこともあります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査:ナトリウム(塩分)や電解質のバランス、抗利尿ホルモンの値
- 尿検査:尿の濃さ(浸透圧)や量を調べる
- 水制限試験:数時間水分をとらずに、尿や血液の変化を調べる(安全性に注意しながら病院で行います)
- 画像検査:脳のMRI(磁気共鳴画像)で、視床下部や下垂体の異常がないか確認する
診察で予想されること
診断には数日かかることがあります。水制限試験では、医師や看護師が常にあなたの状態を観察します。のどが渇くかもしれませんが、安全に行われます。原因がはっきりすれば、治療方針が決まります。
治療
治療は尿崩症の種類によって異なります。主な目標は、水分不足を防ぎ、尿の量を減らして日常生活に支障が出ないようにすることです。
自宅でのセルフケア
- 常に水やお茶などを携帯し、のどが渇いたらすぐに飲む(脱水を防ぐため)
- 尿の量や体重を記録して、変化に気づく
- カフェインやアルコールは利尿作用(尿を増やす)があるため、控えめにする
- 暑い日や運動時は特に水分補給をこまめに行う
医療治療
治療法は原因に応じて異なります。中枢性尿崩症では、不足している抗利尿ホルモンを人工的に補うホルモン補充療法が行われます(経鼻スプレーや錠剤など)。腎性尿崩症では、ホルモン補充は効かないため、特定の利尿薬や食事療法で尿の量を抑える方法があります。また、原因となる薬を変更するなど、根本的な原因を取り除く治療も行われます。詳しくは医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
尿崩症自体に手術は行いません。ただし、脳腫瘍などが原因で中枢性尿崩症が起きている場合は、その腫瘍に対して手術が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
毎日、十分な水分をとることが基本です。のどの渇きを感じたらすぐに飲めるように、常に飲み物を持ち歩きましょう。尿の量や体重の変化を記録すると、自分の状態を把握しやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 水分をこまめにとる(特に外出時や運動時)
- カフェインやアルコールは控えめにする
- 高温の場所(サウナ、炎天下)での長居は避ける
- 旅行や長時間の外出時は、トイレの場所を事前に確認しておく
食事と運動
特別な食事制限はありませんが、塩分のとりすぎはのどの渇きを強めることがあるため注意しましょう。運動前後には水分補給をしっかり行ってください。
精神的健康と心の健康
のどの渇きや頻尿(ひんにょう)が続くと、疲れやストレスを感じることがあります。また、夜中に何度も起きることで睡眠不足になり、気分が落ち込むこともあります。無理せず、家族や医師に相談しましょう。
予防
尿崩症のすべてを予防することはできません。しかし、頭部外傷を予防する(自転車や車でのヘルメット着用など)ことや、原因となる薬を適切に管理することでリスクを減らせる場合があります。
検診プログラム
一般的な健康診断で尿崩症が偶然見つかることはまれです。しかし、のどの渇きや尿の増加を気にしている人は、早めに医療機関を受診することで早期発見につながります。
合併症
治療しない場合
- 重度の脱水(だっすい)で、意識を失ったり、腎臓や脳に障害が出る
- 血液中のナトリウム濃度が異常に高くなる(高ナトリウム血症)
- 乳幼児や高齢者では命に関わることもある
- 腎臓に負担がかかり、慢性腎臓病のリスクが高まる可能性がある
長期的な見通し
尿崩症は適切な治療を受ければ、症状はうまくコントロールでき、ほとんどの人が普通の暮らしを送ることができます。治療を続ければ合併症を防げるので、不安に感じたら医師に相談しながら、前向きに治療に取り組みましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月16日
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