喘息(ぜんそく)はどうやって診断される?
概要
喘息は、空気の通り道である「気道(きどう)」に、慢性的な炎症(体の中で長く続く、熱を持ったような反応)が起きている状態です。炎症があると気道が敏感になり、ほこりや冷たい空気、風邪などをきっかけに気道がせまくなって、息苦しさや咳、ゼーゼーという音が出ます。診断は、症状の出方の聞き取りと、息の通り具合を測る検査を組み合わせて行います。「一度の検査で決まる」というより、症状の記録と検査を重ねて確認していく病気です。
重要な事実
- 診断の中心は「問診」です。どんなときに、どんなふうに息苦しくなるのかをくわしく聞き取ります。
- 息を思い切り吐いて空気の通り具合を測る検査(スパイロメトリー)がよく使われます。
- 症状が落ち着いているときは検査の数値が正常になることもあり、何回か通って確認することがあります。
喘息は日本でもとてもよくみられる病気です。子どもだけでなく、大人になってから初めて症状が出る方も少なくありません。決してめずらしい病気ではありません。
赤ちゃんから高齢者まで、どの年代でも起こります。アレルギー体質の方、家族に喘息やアレルギー性鼻炎の方がいる方、受動喫煙(まわりの人のタバコの煙を吸うこと)のある環境で育った方などで多くみられます。
症状
- 会話ができないほど息苦しい、話すと息が続かない
- 唇や爪の色が青白い、または紫色になっている
- 肩で息をしている、呼吸がとても速く浅い
- 発作止めの吸入薬を使っても改善しない、または効き目が長く続かない
- 意識がぼんやりしている、反応が弱い、ぐったりしている
- 胸が強く痛む、脈がとても速い
- ⚠夜中に咳や息苦しさで何度も目が覚める
- ⚠発作が増えている、回数が多くなっている
- ⚠発作止めの吸入薬を使う回数が増えている
- ⚠少し動いただけで息が苦しくなる
- ⚠かぜをひいてから息苦しさが続いている
一般的な症状
- 息苦しさ、息が吸いにくい・吐きにくい感じ
- ゼーゼー、ヒューヒューという息の音(喘鳴:ぜんめい)
- 夜や明け方に強くなる咳
- 運動したあとや、冷たい空気を吸ったあとの咳・息切れ
- 胸のつかえ、締めつけられる感じ
- 痰がからみやすい、長引く乾いた咳
子供の症状
- 夜中や明け方に続く咳、咳き込んで吐いてしまう
- 遊んでいるとすぐ息が切れる、走るのをいやがる
- ミルクを飲むときに息苦しそう、途中でやめてしまう
- 泣き続ける、ぐずる、機嫌が悪い
- 息をするたびに胸の下や肋骨の間がへこむ(陥没呼吸)
- 「ゼーゼー」という音をおうちの人が気づく
高齢者の症状
- 咳だけが長く続き、息苦しさは目立たない
- 階段や買い物のあとの息切れを「年のせい」と思い込みやすい
- 心臓の病気や、たばこが原因の別の肺の病気(COPD)と見分けが必要になることがある
- かぜをひいたあとに、なかなか咳がおさまらない
原因
主な原因
- 気道の慢性的な炎症と、気道が敏感になっていること(体質によるものが大きい)
- アレルギー反応:ダニ、ほこり、カビ、ペットの毛やフケ、花粉など
- かぜやインフルエンザなどのウイルス感染
- タバコの煙(本人が吸う場合も、まわりの煙を吸う場合も)
- 気温や気圧の変化、冷たい空気、湿度の高い空気
- 運動、強い香りやスプレー、線香の煙などの刺激
- 強いストレスや疲れ、睡眠不足
リスク要因
- アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーがある
- 家族に喘息やアレルギーの人がいる
- まわりに喫煙者がいる、または本人が喫煙している
- 小さいころに重いウイルス感染をしたことがある
- 肥満(体重が多いこと)がある
- 空気の汚れた場所での生活や、職業上の粉じん・化学物質への曝露(ばくろ:体に触れること)
- 強い心理的ストレスが続いている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 息苦しさが急に強くなった、会話が途切れる
- 発作止めの吸入薬を使っても楽にならない
- 唇の色が悪い、意識がぼんやりする(この場合はためらわず救急車を呼んでください)
定期受診を予約すべき場合:
- ゼーゼー・ヒューヒューという音が何度も出る
- 夜や明け方の咳が2週間以上続く
- 運動したあとだけ息苦しくなる、ということが繰り返す
- かぜをひくたびに咳が長引く
- 季節の変わり目に咳や息苦しさが出やすい
- 子どもが夜中に咳き込んで吐くことが続く
診断
喘息の診断は、検査の数値だけで決まるものではありません。まず、どんなときに・どんなふうに症状が出るのかを、医師がくわしく聞き取ります(問診)。そのうえで、息の通り具合を測る検査や、アレルギーの検査を行い、他の病気ではないことを確かめながら、総合的に判断します。医師は「症状のパターン」と「検査の結果」の2つを重ねて見ています。
行われる可能性のある検査
- スパイロメトリー:思い切り息を吸って、思い切り吐き出し、空気の通り具合と量を測る検査。痛みはありません。
- 気管支拡張薬を使ったあとの再検査:気管を広げる吸入薬を使って、息の通り具合が良くなるかを見る検査(可逆性=元に戻りやすいかを見ます)。
- ピークフロー測定:息を吐く勢いを測る小さな器具を、家で毎日記録する検査。症状と数値の関係がわかります。
- アレルギー検査(血液検査):ダニや花粉などに対するアレルギーの体質があるかを調べます。
- 呼気一酸化窒素(FeNO)検査:息に含まれるガスを測り、気道の炎症の程度を推測します。
- 胸部レントゲンやCT:肺炎や他の肺の病気ではないかを確かめます。
- 喀痰(かくたん)検査:痰を調べ、感染や他の病気がないかを見ます。
診察で予想されること
診断までに時間がかかることがあります。症状が落ち着いている時期は検査の結果が正常になることもあるため、「症状が出ているとき」と「落ち着いているとき」の両方の情報が役立ちます。診察の前に、症状が出た日時・きっかけ・どのくらい続いたかをメモしておくと、医師に伝わりやすくなります。治療を始めながら経過を見て、診断を確かめていくこともよくあります。慌てず、一緒に整理していくつもりで通院してください。
治療
喘息の治療は「炎症をおさえること」と「発作をしずめること」の2本柱です。診断の途中であっても、症状が強いときは治療を始めながら経過をみることがあります。治療は長く続けることが多く、症状が落ち着いても自己判断でやめずに、医師と相談しながら調整していきます。
自宅でのセルフケア
- 症状日記をつける:発作のあった日時、きっかけ、どのくらい続いたかを記録する
- きっかけ(トリガー)を避ける:ほこり、ダニ、ペット、タバコの煙、強い香りなど
- 禁煙する。家族も含めて、家の中を煙のない環境にする
- 吸入器の正しい使い方を、医師や薬剤師に一度確認してもらう(使い方が違うと効果が半減します)
- かぜをひかないように、手洗い・うがい・睡眠をしっかりとる
- 季節の変わり目や寒い日は、マスクや服装で冷たい空気を防ぐ
- 適正体重を保つ
- 症状が悪化したときの連絡先と受診の目安を、家族と共有しておく
医療治療
治療では、大きく分けて2種類の吸入薬を組み合わせることが多くなります。ひとつは、気道の炎症をしずめて発作を起きにくくする「毎日使う薬」。もうひとつは、発作が出たときに気道を広げて息を楽にする「頓服(とんぷく)で使う薬」です。最近は、両方の役割をひとつの吸入器でまかなう方法が選ばれることもあります。どの薬を、どのくらいの期間、どう使うかは、症状の頻度や検査の結果を見て医師が決めます。薬の名前や量については、必ず処方した医師・薬剤師の説明を確認してください。飲み薬や、アレルギー体質に対する治療が追加されることもあります。
手術が検討される場合
喘息は手術で治す病気ではありません。治療の中心は、薬による炎症のコントロールと、生活の中でのきっかけ対策です。ごく一部の方で別の治療法が検討されることがありますが、それは専門医のもとで判断されます。
この病気と共に生きる
喘息は、上手につきあっていける病気です。調子がいい日が続くと「もう治ったのでは」と思いたくなりますが、炎症は目に見えないところで続いていることがあります。症状がない日も、決められた薬と記録を続けることが、発作を防ぐ近道です。反対に、調子が悪い日が続くときは、我慢せずに早めに受診してください。
生活習慣のアドバイス
- 寝室をこまめに掃除し、ほこりやダニを減らす。布団は干して乾かす
- ペットがいる場合は寝室に入れないなどの工夫をする
- タバコの煙を避ける(本人も家族も)
- 寒い日はマスクを使い、急に冷たい空気を吸わないようにする
- 運動は制限せず、医師と相談しながら無理のない範囲で続ける
- 睡眠を十分にとり、疲れをためない
- 風邪やインフルエンザの流行期は人混みを避ける
- 旅行や引っ越しの前には、薬と受診先を確認しておく
食事と運動
特別な「喘息用の食事」があるわけではありません。バランスのよい食事と、適正体重を保つことが、体調を安定させる助けになります。運動は、発作のきっかけになることもありますが、体を動かすこと自体は大切です。ウォーキングや水泳など、自分のペースで続けられる運動から始め、運動前の準備や薬の使い方を医師と相談しておくと安心です。
精神的健康と心の健康
咳や息苦しさが続くと、眠れない、仕事や学校に集中できない、外出が不安になるなど、こころへの負担が大きくなることがあります。また、強いストレスは発作のきっかけにもなります。「息苦しさへの不安」そのものがつらい場合は、遠慮なく医師に話してください。こころの不調が続くときは、かかりつけ医や地域の健康相談窓口、専門の相談機関につながることも大切です。つらい気持ちが強いとき、自分を傷つけたい気持ちがわいたときは、一人で抱えず、すぐに医療機関や地域の緊急の相談先に連絡してください。
予防
喘息そのものを完全に防ぐことは難しいですが、「発作を起こさないようにする」ことは十分にできます。きっかけを避けること、決められた薬をきちんと使うこと、症状を記録して早めに受診することが、いちばんの予防になります。
ワクチン
かぜやインフルエンザなどの感染は、喘息の発作のきっかけになります。インフルエンザや肺炎の予防接種などについて、主治医と相談しておくとよいでしょう。
検診プログラム
喘息のための特別な健診があるわけではありません。咳や息苦しさが続く、ゼーゼーする、といった症状があれば、早めにかかりつけ医に相談することがいちばんの早期発見になります。
合併症
治療しない場合
- 発作が頻繁に起き、夜眠れない、学校や仕事に支障が出る
- 気道の炎症が長く続き、通り道が狭いまま戻りにくくなる
- 重い発作(発作重積:はっさくじゅうせき)で、救急受診や入院が必要になる
- かぜなどの感染をきっかけに、急に悪化することがある
- 息苦しさへの不安から、外出や運動を控えるようになる
長期的な見通し
喘息は、適切な治療と生活の工夫で、ほとんどの方が症状をコントロールしながら、ふだんと変わらない生活を送れるようになります。発作を起こさない日が続くことも珍しくありません。一方で、自己判断で薬をやめてしまうと悪化することもあります。医師と相談しながら、自分に合った付き合い方を見つけていってください。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康に関する案内は国や地域によって異なります。このページは一般的な教育情報であり、お住まいの地域の指針、薬、診療と一致しない場合があります。心配な点はご自身の医師または医療提供者に相談し、地域の案内がある場合はそれに従ってください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
このトピックを名指しする指針はありません
このページには、このトピックそのものを名指しする健康ガイドラインや臨床の章は引用されていません。このページは一般的な教育と情報のみを目的としています。診断、治療計画、個人への医学的助言ではありません。ご自身の医師に確認し、その指示に従ってください。症状が重い、突然である、または心配な場合は速やかに受診し、緊急時は地域の緊急番号に電話してください。Ruqelo LLC は、この情報に基づく判断から生じる医学上または法律上の結果について責任を負いません。
最終更新: 2026年10月23日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.