下痢のときの食事のポイント
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
下痢(げり)とは、水分の多い便が1日に何度も出る状態のことです。食べ物やウイルス、ストレスなど、さまざまな原因で起こります。多くの下痢は、水分補給と食事の調整で数日から1週間ほどでよくなります。
重要な事実
- 下痢のときは、水分と塩分(えんぶん)をこまめに補うことが何より大切です。
- 消化のよい食べ物を、温かくして少しずつ食べると胃や腸の負担が少なくなります。
- 下痢が長く続くときや、血が混じるときは、ためらわずに医療機関へ相談しましょう。
下痢はとてもありふれた症状で、健康な人でも年に数回経験するといわれています。特別な病気でなくても、食べ過ぎや冷え、ストレスで起こることがあります。
乳幼児から高齢者まで、どの年齢でも起こります。特に小さな子どもと高齢者は脱水(体の水分が不足した状態)になりやすいため、注意深く見守ることが大切です。
症状
- 呼びかけても反応が弱い、意識がもうろうとする(すぐに119番へ)
- 便に大量の血が混じる、黒い便が出る(すぐに119番へ)
- 激しい腹痛が続き、じっとしていられない(すぐに119番へ)
- ぐったりして、まったく動かない(すぐに119番へ)
- ⚠高熱がある(39度以上など)
- ⚠水やお茶など、水分がまったく取れない
- ⚠めまい、ふらつき、尿がほとんど出ないなど脱水のサインがある
- ⚠下痢が48時間以上続いている
- ⚠赤ちゃんや高齢者がぐったりしている
一般的な症状
- 水のような便が頻繁に出る
- おなかがゴロゴロと鳴る、痛む
- 吐き気や嘔吐(おうと)
- 発熱(ねつ)
- おなかが張って苦しい
子供の症状
- ぐったりして元気がない
- おしっこの量が減る
- 唇や口の中が乾く
- 泣いても涙があまり出ない
- ミルクや水分を飲みたがらない
高齢者の症状
- めまいやふらつきがある
- 立ち上がったとき、ふらつく
- 口の渇きが強い
- おしっこの量が減る
- 食欲がなく、元気がない
原因
主な原因
- ウイルスや細菌の感染(ノロウイルス、ロタウイルス、食中毒など)
- 腐った食べ物や、体に合わない食べ物・飲み物をとったとき
- 強いストレスや不安、緊張
- 薬の副作用(抗生物質など)
- 食物アレルギーや乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)など体質によるもの
リスク要因
- 疲れや睡眠不足で免疫力が低下しているとき
- 乳幼児や高齢者など、脱水になりやすい年齢
- 海外旅行など、いつもと違う環境で食事をするとき
- 食品の保存や加熱が十分でない環境
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 便に血が混じる、または黒い便が出る
- 高熱が続く
- 激しい腹痛がある
- 水分が取れず、脱水のサインがある
- 下痢が48時間以上続く
定期受診を予約すべき場合:
- 下痢が1〜2週間以上続く、または何度も繰り返す
- 体重が減ってきた
- 慢性的におなかの調子が悪い
- 原因がわからないまま下痢が続く
診断
医師は、症状の始まりや便の状態、最近食べたもの、渡航歴、服用中の薬などを詳しく聞き、おなかを触って確認します。必要に応じて、便や血液の検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 便の検査(ウイルスや細菌が原因かどうかを調べます)
- 血液検査(脱水や炎症の程度を調べます)
- 腹部エコー(おなかの中の状態を画像で確認します)
診察で予想されること
診察では、いつから下痢が始まったか、便の回数や状態、熱の有無、食事の内容、最近の旅行や薬の使用状況などを聞かれます。状況に応じて検査が行われ、結果をもとに、食事や水分補給の具体的なアドバイスが受けられます。
治療
下痢の治療の基本は、失われた水分と塩分を補うことと、胃や腸に負担をかけずに休ませることです。原因となる病気がはっきりしている場合は、その原因に合わせた治療も行われます。
自宅でのセルフケア
- 水やお茶、経口補水液(けいこうほすいえき)などを、冷やしすぎずに少しずつ何度も飲む
- 消化のよい食べ物(おかゆ、うどん、すりおろしたリンゴ、バナナなど)を温かくして、少量ずつ食べる
- 脂っこいもの、辛いもの、冷たいもの、刺激の強いものは控える
- 食欲がないときは無理に食べず、体を休める
- 体を冷やさないようにし、十分な睡眠をとる
医療治療
脱水が強い場合には、点滴や経口補水液(けいこうほすいえき)による水分補給が行われます。細菌感染が疑われる場合には抗生物質が使われることもありますが、すべての下痢に効くわけではありません。ウイルスが原因の下痢には抗生物質は効かないため、薬は自己判断で使わず、必ず医師の指示に従いましょう。
手術が検討される場合
下痢そのものに対して手術が行われることはほとんどありません。ただし、まれに虫垂炎(ちゅうすいえん)や腸閉塞(ちょうへいそく)など、手術が必要な病気が原因で下痢のような症状が出ることがあるため、強い腹痛や血便がある場合はすぐに医療機関を受診してください。
この病気と共に生きる
下痢の間は、無理をせず体を休めることを第一にしましょう。排便の後や食事の前には必ず手を洗い、家族など周りの人へのうつらないように気をつけることも大切です。
生活習慣のアドバイス
- トイレの後や食事の前には、石けんと流水でていねいに手を洗う
- 下痢が続く間は、アルコールやカフェインの多い飲み物、炭酸飲料は控える
- 下着や衣類を清潔に保つ
- 十分な睡眠と休息をとり、ストレスをため込まない
食事と運動
食事は、温かくて消化のよいものを、少量ずつゆっくり食べるのが基本です。症状が落ち着くまで、激しい運動や長時間の外出は控え、家で安静に過ごしましょう。食欲が戻ってきたら、ふだんの食事へ少しずつ戻していきます。
精神的健康と心の健康
下痢が長く続くと、「また出てしまうのでは」という不安や、気分の落ち込みを感じることがあります。ストレスは腸の動きに影響するため、つらい気持ちを一人で抱えず、家族や友人に話したり、医師や看護師に相談してみましょう。
予防
手洗いの徹底、食品の十分な加熱、調理器具の清潔さを保つことなど、基本的な衛生習慣で予防できることが多くあります。特に、生の食品や加熱が不十分な食品は注意が必要です。
ワクチン
乳幼児の場合、ロタウイルスによる重症な下痢を防ぐワクチンがあります。接種の時期や回数には決まりがあるため、かかりつけ医に相談してみてください。
合併症
治療しない場合
- 脱水症状(めまい、ふらつき、尿量の減少、口の渇きなど)
- 体内の塩分やカリウムなどのバランスの乱れ
- 栄養が十分にとれず、体力が低下する
- まれに、重い感染症や合併症を引き起こすことがある
長期的な見通し
多くの下痢は、水分補給と食事の調整、安静で数日から1週間ほどで回復します。適切なタイミングで医療機関のサポートを受けられれば、ほとんどの場合、あとを残さずよくなります。心配なときは、遠慮なく相談しましょう。
サポートを探す
地域の団体
- 厚生労働省 ↗ · 日本
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。