妊娠中の下痢:原因と対処法
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
妊娠中に便がゆるくなったり、水っぽくなったりして、排便の回数が増える状態が下痢です。妊娠中の体の変化や食べ物、感染症など、さまざまな理由で起こります。
重要な事実
- 妊娠中の下痢は、多くの場合一時的なもので、赤ちゃんに直接影響することはほとんどありません。
- しかし、水分が失われやすいため、脱水(体の水分が不足する状態)に注意が必要です。
- 妊娠中は使えるお薬が限られるため、自己判断で市販薬を使わず、医師に相談することが大切です。
妊娠中の女性の約3人に1人が、妊娠中のどこかの時期に下痢を経験すると言われています。
妊娠中の女性ならどの時期でも起こり得ますが、特に妊娠初期(つわりがある時期)と妊娠後期に多いとされています。
症状
- 意識がもうろうとする・呼びかけに反応が弱い
- 倒れそうになるほどの強いめまいや失神
- 便に大量の血が混じる
- お腹の激しい痛みが続く
- 胎動(赤ちゃんの動き)をまったく感じない、またはいつもより明らかに少ない
- ⚠下痢が24時間以上続く
- ⚠38度以上の発熱がある
- ⚠水や食事がまったく取れない
- ⚠おしっこが8時間以上出ない
- ⚠吐き気や嘔吐がひどく、水分も保てない
- ⚠お腹の張りや痛みが強くなっている
一般的な症状
- 便がゆるい・水っぽい
- トイレに行く回数が増える
- お腹がゴロゴロする・張る
- 腹痛(お腹の痛み)
- 吐き気や嘔吐(おうと)を伴うことがある
- 軽い発熱を伴うことがある
子供の症状
- 妊娠中のあなたではなく、ご家族のお子さんに下痢が起こった場合の注意点です。子どもは脱水になりやすいため、ぐったりする・おしっこが少ない・泣いても涙が出ない・口の中が乾くといった様子があれば、すぐに小児科を受診してください。
- 生まれたばかりの赤ちゃんが下痢になった場合は、早めに医師に相談してください。
高齢者の症状
- 妊娠中のあなたではなく、ご家族の高齢者に下痢が起こった場合の注意点です。高齢者は脱水になりやすいため、食事や水分が取れない・意識がぼんやりする・尿の量が減っているなどがあれば、早めに医療機関を受診してください。
原因
主な原因
- 妊娠によるホルモンの変化(腸の動きが速くなることがある)
- 食事の変化(食べつわりで今までと違うものを食べるなど)
- ウイルスや細菌による感染(食中毒・胃腸炎など)
- 妊娠中に飲んでいるサプリメントや鉄剤(腸に影響することがある)
- ストレスや不安
- もともと持っている過敏性腸症候群(腸の働きの不調)
リスク要因
- 妊娠前から下痢をしやすい体質
- 食品の衛生管理が不十分な場所での食事
- 外食や生もの(生肉・生魚など)を多く食べる
- 大きなストレスや疲れ
- 妊娠中に便秘治療などで便をゆるくするお薬を使っている場合
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 下痢が24時間以上続く
- 血が混じる・黒い便が出る
- 高熱(38度以上)がある
- お腹の強い痛みがある
- 水分が取れず、めまいや立ちくらみがある
- 胎動が減った・感じない
- おしっこが普段よりかなり少ない
定期受診を予約すべき場合:
- 下痢が頻繁に起こる
- 下痢と便秘をくり返す
- 妊娠中の定期健診のときに、下痢のことを医師に伝える
診断
医師はまず、あなたの症状やいつから下痢が始まったか、食べたものなどを丁寧に聞きます。お腹をやさしく診察し、必要があれば便や血液の検査を行います。妊娠中でも安全な方法で調べます。
行われる可能性のある検査
- 便の検査(細菌やウイルスの有無を調べる)
- 血液検査(脱水や炎症の有無を調べる)
- 腹部のエコー(赤ちゃんの状態を確認する)
診察で予想されること
検査は妊娠中でも安心して受けられます。痛みを伴う検査はほとんどありません。理由を聞きながら進めてくれるので、不安なことは何でも医師に伝えましょう。
治療
妊娠中の下痢は、原因に合わせて治療します。多くの場合は、水分補給と安静で自然に良くなります。お薬が必要な場合は、妊娠中に安全なものを医師が選んで処方します。
自宅でのセルフケア
- ゆっくり休む
- 水や経口補水液などで、水分をこまめに少しずつ取る
- 消化の良い食べ物(お粥、うどん、すりおろしたリンゴなど)を少しずつ食べる
- 冷たい飲み物やカフェイン、脂っこいもの、辛いものは避ける
- 手洗いをしっかり行い、家族にうつさないようにする
医療治療
医師は、必要に応じて腸の動きを整えるお薬や、感染症の原因に合わせた治療を行います。妊娠中は使えるお薬が限られるため、自己判断で市販薬を飲まず、必ず医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
妊娠中の下痢そのもののために手術が必要になることはほとんどありません。ただし、重症の感染症や合併症が疑われる場合は、緊急の対応が必要になることもあるため、医師の説明をよく聞いてください。
この病気と共に生きる
下痢をしているときは、体を冷やさず安静にしましょう。トイレに行きやすい環境をつくり、長時間無理に我慢しないことも大切です。お腹を温めると楽になることがありますが、温めすぎには注意してください。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠と休息を取る
- 手洗いやうがいを習慣にする
- 水分補給用の飲みものをいつも持ち歩く
- ストレスをためないように、話しやすい人に気持ちを伝える
食事と運動
下痢のときは、消化の良いものを選び、一度にたくさん食べるのではなく、少しずつ何回かに分けて食べると良いでしょう。運動は体調が落ち着いてから、医師に相談して軽い散歩などから始めてください。
精神的健康と心の健康
妊娠中は体の変化や赤ちゃんのことが心配になり、下痢が続くとさらに不安や気分の落ち込みを感じることがあります。無理をせず、パートナーや家族、友人に話したり、産科医や保健師に相談したりしてください。
予防
下痢の多くは、手洗いや食品の衛生管理で予防できます。妊娠中は生ものを避け、しっかり加熱したものを食べるようにしましょう。
ワクチン
妊娠中の下痢を予防する特別なワクチンはありませんが、流行地への旅行や感染症が気になる場合は、事前に医師に相談してください。
検診プログラム
妊娠中の定期健診で体調の変化を伝えることで、下痢の原因となる病気を早く見つけたり、栄養や水分の状態を確認したりすることができます。
合併症
治療しない場合
- 脱水(体の水分不足)
- 電解質(体内のミネラル)のバランスが崩れる
- 疲労感や体調不良が長引く
- 重症の脱水になると、赤ちゃんへの栄養や酸素の供給に影響する可能性がある
長期的な見通し
ほとんどの場合、妊娠中の下痢は1〜3日で改善します。しっかり水分をとり、医師のアドバイスに従えば、赤ちゃんへの影響はほとんどありません。心配なことがあれば早期に相談することで、安心して妊娠期間を過ごすことができます。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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