食物繊維(しょくもつせんい)でおなかを整えよう
概要
食物繊維は、野菜や果物、豆、海藻、きのこ、玄米や全粒粉のパンなどに含まれる、人の体では消化しきれない成分です。消化されないまま腸まで届き、便のかさを増して出しやすくしたり、腸内の細菌のえさになったりして、おなかの調子を整えてくれます。食物繊維は「病気」ではありませんが、足りないと便秘などの困りごとが起きやすくなります。
重要な事実
- 食物繊維には「水に溶けやすいタイプ(水溶性)」と「水に溶けにくいタイプ(不溶性)」があり、それぞれ働き方がちがいます。両方をいろいろな食品からとるとバランスよくとれます。
- 野菜・果物・豆・海藻・きのこ・全粒穀物などを組み合わせると、自然に増やせます。特別な健康食品を買わなくても大丈夫です。
- 急にたくさん増やすとおなかが張ることがあります。少しずつ、水分と一緒に増やすのがコツです。
日本人の多くは、食物繊維が目標に届いていないといわれています。厚生労働省の食事の目安では、成人で1日およそ18〜21グラム前後が目標として示されていますが、実際の平均的な摂取量はそれより少なめです。つまり多くの人にとって「もうちょっと増やしたい栄養素」です。
子どもから高齢者まで、すべての人に関係があります。とくに、野菜や果物が少ない食事が続いている人、外食や加工食品が多い人、一人暮らしで食事が簡単になりがちな人、ダイエット中で食事量が減っている人、噛む力が弱くなってきた高齢者では不足しやすくなります。
症状
- おなかが板のように硬く、激しく痛んで動けない
- 何度も嘔吐し、水分もとれない
- 便もガスもまったく出ず、おなかが大きく張っている(腸閉塞の疑い)
- 大量の血便が出た、または黒い便が続いている
- ⚠便に血が混じる、血便がある
- ⚠3日以上排便がなく、腹痛や吐き気をともなう
- ⚠発熱とおなかの痛みが同時にある
- ⚠便が細くなった、残便感が強い状態が続く
一般的な症状
- 便が硬く、出しにくい(便秘)
- 排便の回数が少ない、または不規則
- おなかが張る、ガスがたまりやすい
- おなかにすっきりしない感じが続く
- 痔(いぼ痔・きれ痔)になりやすい、痛みがある
子供の症状
- うんちが硬くて痛く、トイレを嫌がる
- 排便の回数が少ない
- おなかが張って食欲が落ちる
- 野菜や果物をあまり食べない、好き嫌いが多い
高齢者の症状
- 便秘がちになり、いきんでも出にくい
- 水分が足りず便が硬くなりやすい
- 食欲が落ちて、食事の量や種類が減る
- 飲んでいる薬の影響で便の状態が変わることがある(気になるときは医師・薬剤師に相談)
原因
主な原因
- 野菜・果物・豆・海藻・きのこ・全粒穀物の摂取が少ない
- 白いごはん、パン、麺類など精製された食品が中心になっている
- 外食や加工食品(惣菜、菓子、清涼飲料)が多い
- 水分をあまりとらない
- 食事の量そのものが少ない(ダイエット、食欲低下)
- 運動不足で腸の動きが低下している
リスク要因
- 高齢である
- 一人暮らしで食事づくりが難しい
- 噛む力・飲み込む力が弱い
- 偏食や好き嫌いが多い
- 過敏性腸症候群など、おなかの症状が出やすい体質
- 仕事や介護で忙しく、食事が不規則
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 血便がある、または便が黒い
- 激しい腹痛、繰り返す嘔吐、強いおなかの張りがある
- 3日以上排便がなく、痛みや吐き気をともなう
- 発熱がある
- 便が細くなった、急に体重が減った
定期受診を予約すべき場合:
- 便秘やおなかの張りが2週間以上続いている
- 自分で食事を変えてみても改善しない
- 市販の便秘薬をよく使うようになった(使い方について相談したい)
- 痔の症状がつらい
- 食事の内容をどう変えればよいか相談したい
診断
食物繊維そのものを測る検査はありません。ふだんの食事の内容、排便の回数や便の硬さ、おなかの症状を聞き取る「問診」が中心になります。必要に応じて、貧血や甲状腺の働きなどを調べる血液検査、便の検査、大腸の内視鏡(大腸カメラ)などが行われることがあります。これは、便秘の裏に別の病気がかくれていないかを確かめるためです。
行われる可能性のある検査
- 問診(食事内容、排便の回数、便の硬さ、生活リズム)
- 腹部の診察(おなかを触って張りや痛みをみる)
- 血液検査(貧血や甲状腺の働きなど)
- 便の検査(出血がないかなど)
- 必要に応じて大腸カメラ(内視鏡)や画像検査
診察で予想されること
診察は短時間で終わることが多く、痛みはほとんどありません。ふだんの食事や排便の記録があると役立ちます。1〜2週間、何を食べたか、いつトイレに行ったか、便の形を簡単にメモしておくと、相談がスムーズになります。
治療
基本は、ふだんの食事で食物繊維を少しずつ増やし、水分と運動をあわせて整えることです。急に大量にとるとおなかが張ることがあるので、1〜2週間かけてゆっくり増やします。それでもつらい症状が続くときは、医療機関で相談しながら、症状に合わせた対処を考えます。
自宅でのセルフケア
- 野菜・果物・豆・海藻・きのこ・全粒穀物のどれかを、毎食1品プラスする
- 水分をこまめにとる(のどが渇く前に)
- 朝食を抜かず、毎日ほぼ同じ時間に食べる
- 軽い運動(散歩、体操)を毎日少しずつ続ける
- 排便はがまんせず、トイレの時間をゆっくりとる
- 少しずつ増やし、おなかが張るときは量を調整する
- よく噛んで食べる
医療治療
医療機関では、まず食事と生活の見直しについて相談します。それでも改善しないときは、便を柔らかくしたり腸の動きを整えたりする種類の薬が使われることがあります。薬は症状や体質に合わせて選ばれるので、自己判断で市販薬を長く使い続ける前に、医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
食物繊維が足りないこと自体に対して手術が必要になることはありません。ただし、まれに便秘が重くなって腸閉塞などを起こした場合は、外科的な治療が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
食物繊維は「特別な健康食品」ではなく、毎日の食事の組み立て方で自然に増やせます。たとえば、白いごはんを半分だけ玄米や雑穀に変える、味噌汁にわかめやきのこを足す、おやつに果物を選ぶ。そんな小さな工夫の積み重ねが、おなかの調子を整える近道です。
生活習慣のアドバイス
- 毎日ほぼ同じ時間に食事と排便のリズムをつくる
- 水分を1日を通してこまめにとる
- 歩く時間を少しずつ増やす
- ストレスや睡眠不足は腸の動きに影響することがあるので、休息も大切にする
食事と運動
食物繊維は、水溶性(オーツ麦、豆、果物、海藻など)と不溶性(野菜、全粒穀物、きのこなど)の両方を、いろいろな食品からとるとバランスよくとれます。水分が足りないとかえって便が硬くなることがあるので、食物繊維と水分はセットで考えましょう。運動は腸の動きを助け、ストレスを軽くする効果も期待できます。ウォーキングや軽い体操など、続けられるものを選んでください。
精神的健康と心の健康
おなかの調子が悪いと、外出や人づきあいを控えたくなったり、イライラしたりして、気持ちが沈みやすくなることがあります。反対に、強いストレスや不安は腸の動きを乱し、便秘や下痢を悪化させることもあります。おなかと心はつながっています。つらい状態が続き、気持ちが追い込まれていると感じたら、早めに医療機関に相談してください。気持ちがとてもつらいときは、地域のこころの相談窓口やかかりつけ医に連絡し、急を要するときは救急(119)をためらわずに利用してください。
予防
食物繊維が足りないことによる便秘などは、日々の食事と生活を少しずつ見直すことで予防しやすくなります。特別なことをする必要はありません。「毎食、野菜か果物を1品」「水分をこまめに」「よく噛む」——この3つを続けるだけでも大きな違いが出ます。
ワクチン
食物繊維の不足を防ぐワクチンはありません。
検診プログラム
食物繊維の不足そのものを調べる検査はありませんが、日本では自治体による大腸がん検診(便潜血検査)などが行われています。年齢に応じた健診・検診については、かかりつけ医やお住まいの自治体の案内を確認してください。
合併症
治療しない場合
- 便秘が長引き、痔や切れ痔になりやすくなる
- おなかの張りや痛みで日常生活がつらくなる
- まれに、硬い便が腸をつまらせる腸閉塞を起こすことがある
- 食物繊維の多い食事は心臓や血管の病気などのリスクを下げる可能性が報告されており、不足が続くとその恩恵を受けにくくなる
長期的な見通し
食物繊維は、毎日の食事を少し変えるだけで無理なく増やせる栄養素です。1〜2週間ほどでお通じの変化を感じる人も多く、続けるほど腸内環境が整っていきます。思うようにいかない日があっても大丈夫。あせらず、できることから始めてみましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康に関する案内は国や地域によって異なります。このページは一般的な教育情報であり、お住まいの地域の指針、薬、診療と一致しない場合があります。心配な点はご自身の医師または医療提供者に相談し、地域の案内がある場合はそれに従ってください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
このトピックを名指しする指針はありません
このページには、このトピックそのものを名指しする健康ガイドラインや臨床の章は引用されていません。このページは一般的な教育と情報のみを目的としています。診断、治療計画、個人への医学的助言ではありません。ご自身の医師に確認し、その指示に従ってください。症状が重い、突然である、または心配な場合は速やかに受診し、緊急時は地域の緊急番号に電話してください。Ruqelo LLC は、この情報に基づく判断から生じる医学上または法律上の結果について責任を負いません。
最終更新: 2026年10月23日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.