めまいと立ちくらみ(回転性めまい・ふらつき)
概要
めまいとは、体のバランスがうまく取れない、ふらふらする、自分や周りが回っているように感じるといった症状の総称です。大きく分けると、自分や周りがぐるぐる回る「回転性めまい(医学用語で『眩暈(げんうん)』、英語ではvertigo)」、足元がふわふわして歩きにくい「浮動性(ふどうせい)めまい」、立ち上がったときに目の前が暗くなる「立ちくらみ」があります。めまいは耳の奥(内耳)の平衡感覚の器官、脳、血圧、心臓、貧血など、さまざまな原因で起こります。原因によって対処法がまったく違うので、まずは「どんなふうに、いつ、どれくらい続くか」を医師に伝えることが大切です。
重要な事実
- めまいはとても多い症状で、多くの人が一度は経験します。命に関わらない原因がほとんどですが、まれに脳卒中のサインのことがあるため、危険なサインを知っておくことが重要です。
- 原因は耳の奥(内耳)のことが多い一方、血圧の低下、貧血、脱水、薬の影響、ストレスなども関係します。原因を特定することが治療の第一歩です。
- 多くは適切な診断と対処で数日から数週間のうちに良くなります。年齢を重ねてふらつきが続く場合も、リハビリや生活の工夫で改善が期待できます。
めまいは外来でよく相談される症状のひとつで、決して珍しいものではありません。特に中高年以降に増えますが、若い人や子どもでも起こります。
どの年代でも起こりますが、年齢を重ねるほど経験する人が増えます。耳の奥が原因のめまいは女性に多いタイプもあり、片頭痛のある人、血圧の薬や睡眠薬を使っている人、脱水や睡眠不足になりやすい人も注意が必要です。
症状
- 突然の激しいめまいに加えて、ろれつが回らない、言葉が出にくい
- 顔の片側が下がる、手足の片側に力が入らない、しびれる
- まっすぐ歩けない、立っていられない状態が急に起こった
- 意識がもうろうとしている、けいれんが起きた
- これまでに経験したことのない激しい頭痛が突然起こった
- 胸の痛み、息苦しさ、動悸が強く、冷や汗を伴う
- 何度も嘔吐して水分がとれない、顔色がひどく悪い
- ⚠急に聞こえが悪くなった、耳鳴りが急に始まった
- ⚠発熱や耳の痛み、耳だれを伴う
- ⚠頭を打ったあとからめまいが出た
- ⚠初めての激しいめまいで、症状が良くならない
- ⚠糖尿病や心臓病、高血圧などの持病がある人の新たなめまい
- ⚠妊娠中で、強いめまいや嘔吐がある
一般的な症状
- 自分や周りがぐるぐる回る感じがする
- 足元がふわふわして、まっすぐ歩きにくい
- 立ち上がったときや急に動いたときにふらつく、目の前が暗くなる
- 頭を動かしたり、寝返りをうったりするとめまいが強くなる
- 気持ちが悪い、吐き気がする、嘔吐(おうと)する
- 耳鳴りがする、聞こえにくい、耳がつまった感じがする
- 冷や汗が出る、顔色が悪くなる、動悸(どうき)がする
- めまいに伴って軽い頭痛や肩こりがある
子供の症状
- 「気持ちが悪い」「頭がふらふらする」と訴える、または元気がなくなる
- 歩きたがらない、ふらついて壁や人につかまる
- 急に顔色が悪くなり、吐くことがある
- 耳の痛みや聞こえの違和感を伴うことがある
- 片頭痛(ずきずきする頭痛)のある子どもでは、頭痛と一緒に、または頭痛の代わりにめまいが出ることがある
高齢者の症状
- ふらつきによって転びやすくなる、転倒によるけがの危険が高まる
- 血圧の変動や起立性低血圧(立ち上がったときに血圧が下がる状態)による立ちくらみが増える
- 複数の薬を飲んでいる場合、薬の影響や飲み合わせが関係することがある
- 水分不足や食事量の減少、暑さ・寒さの影響を受けやすい
- めまいがきっかけで外出を控え、体力や筋力が落ちることがある
原因
主な原因
- 耳の奥(内耳)の平衡感覚の器官が関係するもの:寝返りや頭の動きで起こる良性発作性頭位(りょうせいほっさせいとうい)めまい症、前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)、メニエール病、突発性難聴(とっぱつせいなんちょう)に伴うめまいなど
- 血圧の変化:立ち上がったときに血圧が下がる起立性低血圧、脱水や出血による血圧低下
- 脳や神経の病気:脳卒中(のうそっちゅう)、片頭痛に関連するめまい、神経の病気による平衡障害
- 全身の状態:貧血、脱水、血糖値の変動、発熱、疲れ、睡眠不足
- 薬の影響:血圧を下げる薬、睡眠薬、抗うつ薬などでめまいが出ることがある
- 心の状態:強い不安やストレス、過換気(かかんき、息を吸いすぎる状態)でふらつくことがある
- 加齢による変化:平衡感覚や筋力の低下でふらつきやすくなる
リスク要因
- 年齢を重ねていること
- 片頭痛の既往がある
- 耳の病気(中耳炎や難聴など)の既往がある
- 血圧の薬、睡眠薬、抗うつ薬などを服用している
- 水分不足になりやすい、暑い場所に長時間いる
- 長時間の立ち仕事、急に立ち上がる習慣
- 貧血、糖尿病、心臓病、甲状腺の病気などの持病がある
- 睡眠不足、強いストレス、過労
- 頭を打った経験がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急に聞こえが悪くなった、または耳鳴りが急に始まった
- 発熱、耳の強い痛み、耳だれがある
- 頭を打ったあとにめまいが出た
- 初めての激しいめまいが続き、自分では対処できない
- 持病(糖尿病、心臓病、高血圧など)があり、新たにめまいが出た
- めまいのため水分や食事がとれない
定期受診を予約すべき場合:
- めまいを繰り返す、または何度も再発する
- 頭を動かすと決まってめまいがする
- ふらつきが続き、歩くのが不安になった
- 耳鳴りや聞こえにくさを感じる
- めまいのせいで外出や仕事を控えるようになった
- 市販の薬を試しても良くならない、症状の理由を知りたい
診断
まず問診で「どんなふうにめまいがするか(回る/ふらつく/立ちくらみ)」「いつ、どれくらい続くか」「きっかけ(頭を動かしたとき、立ち上がったときなど)」「耳の症状や頭痛、持病、飲んでいる薬」を確認します。そのうえで診察、血圧測定(座ったときと立ったときの両方)、目の動きやバランスの検査、聴力検査などを行います。必要に応じて血液検査や画像検査(MRIやCT)を行い、耳鼻咽喉科や神経内科と連携して原因を絞り込みます。
行われる可能性のある検査
- 問診と診察(症状の詳しい聞き取りと体の診察)
- 血圧測定(座ったときと立ったときの血圧の比較)
- 目の動き(眼振:がんしん)の観察や平衡機能の検査
- 聴力検査、耳の診察
- 血液検査(貧血、血糖、甲状腺ホルモンなどを確認)
- 必要に応じて頭部の画像検査(MRI・CT)
- 必要に応じて心電図やホルター心電図(心臓の不整脈を調べる)
- 頭を動かしてめまいを誘発する体位検査
診察で予想されること
診断は一度で確定できないこともあり、症状の経過を見ながら進めることがあります。受診の前に「めまい日記」をつけておくと役立ちます。いつ、どんな姿勢で、どれくらい続いたか、一緒にあった症状(耳鳴り、頭痛、吐き気など)をメモしておくと、診断の助けになります。
治療
治療は原因によって大きく変わります。まず原因を特定し、それに合わせて対処します。命に関わる原因(脳卒中など)が否定されたうえで、症状を和らげる治療と生活の工夫を組み合わせていきます。
自宅でのセルフケア
- めまいを感じたら、すぐに座る、つかまれるものに手を置くなどして転倒を防ぐ
- 急に立ち上がらず、ゆっくり体を起こす
- 水分をこまめにとる(一度にたくさんより、少しずつ)
- めまいが強いときは運転や高所作業を控える
- 部屋を明るくし、夜間は足元を照らすなど転倒しにくい環境を整える
- 症状と対処を記録し、受診時に医師に見せる
- アルコールやカフェインは症状を悪化させることがあるため、とりすぎに注意する
- 無理をせず、十分な睡眠と休息をとる
医療治療
原因に応じて、めまいや吐き気をやわらげる治療、耳の奥の状態に合わせた治療、血圧の調整、貧血や脱水の改善などを行います。良性発作性頭位めまい症では、頭や体の位置を変えることで耳石(じせき)の位置を戻す運動療法がよく効きます。長く続くふらつきには、理学療法士らと一緒に行う前庭(ぜんてい)リハビリテーション(バランス感覚を鍛える訓練)が役立ちます。不安が強い場合には、心の面からのサポートも行われます。薬の名前や量は医師の指示に従い、自己判断で中止したり調整したりしないでください。
手術が検討される場合
手術が必要になることはまれです。メニエール病などで治療を続けても症状が強く生活に支障がある場合に、耳鼻咽喉科の専門医と相談して検討されることがありますが、多くの場合は手術以外の方法で対処します。
この病気と共に生きる
めまいがあると、外出や仕事、家事に不安を感じやすくなります。症状が落ち着いているときは無理のない範囲で動き、めまいが強いときは座って休むなど、その日の状態に合わせて予定を調整しましょう。転倒を防ぐために、家の中の段差やコードを片づけ、手すりや夜間の照明を活用することが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい睡眠と休息をとる
- ストレスをためないよう、自分のペースで休む時間をつくる
- 急な立ち上がりや急な首の動きを避ける
- 塩分やカフェイン、アルコールのとりすぎに気をつける(特にメニエール病が疑われる場合)
- 水分をこまめにとる
- ウォーキングなど無理のない運動を続ける
- 医師の指示があれば、バランス訓練を日常生活に取り入れる
- 飲んでいる薬の副作用が心配なときは、自己判断せず医師や薬剤師に相談する
食事と運動
バランスのよい食事を心がけ、必要に応じて塩分を控えめにします。水分はこまめにとり、脱水を避けましょう。運動は無理のない範囲で、歩行や軽い体操がおすすめです。ふらつきが続く場合は、医師や理学療法士の指導のもとでバランス訓練を行うと安心です。
精神的健康と心の健康
めまいが続くと「また倒れたらどうしよう」という不安や、外出を控えることによる気分の落ち込みが起こることがあります。これは決して珍しいことではありません。不安が強いときや、眠れない、気分が沈む状態が続くときは、かかりつけ医や心の相談窓口に早めに相談してください。つらい気持ちが強いときは、一人で抱え込まず、信頼できる人や専門家に話しましょう。
予防
すべてのめまいを防ぐことはできませんが、脱水を避ける、急に立ち上がらない、睡眠と休息をとる、ストレスをためない、薬の影響を確認するなどの工夫で、症状を減らせる場合があります。
検診プログラム
特別な検診はありませんが、健康診断での血圧測定や血液検査、気になる場合は聴力検査を受けることが役立ちます。高齢者では転倒予防のための体力や住環境の確認も大切です。
合併症
治療しない場合
- 転倒して骨折やけがをする危険が高まる
- 車の運転や高所作業中の事故につながるおそれがある
- 嘔吐や水分不足から脱水になることがある
- 外出を控えることで体力や筋力が落ち、生活の範囲が狭くなることがある
- 不安や気分の落ち込みが続くことがある
- まれに脳卒中などの重大な病気が隠れている場合がある
長期的な見通し
めまいの多くは、原因が分かれば適切な対処で改善します。良性発作性頭位めまい症は治療で比較的早く良くなることが多く、前庭神経炎も時間とともに落ち着くことが多いです。メニエール病のように長く付き合う必要がある場合でも、生活の工夫と治療で症状をコントロールできることがほとんどです。心配なときは早めに相談し、あせらず一歩ずつ進めていきましょう。
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最終更新: 2026年10月23日
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