眼鏡をかけると起こるめまい
概要
眼鏡をかけ始めたときや、新しい眼鏡に変えたときに、ふらつき・頭が重い感じ・気持ち悪さなどを感じることをいいます。眼鏡で見える像と、体のバランスを感じる仕組み(耳の奥や筋肉の感覚)が一時的にずれることで起こると考えられています。多くは体が新しい見え方に慣れるまでの、一時的な反応です。
重要な事実
- 眼鏡によるめまいは、目から入る情報と体のバランス感覚が一時的にちぐはぐになることで起こることが多いです。
- 多くの場合は数日から2週間ほどで脳が新しい見え方に慣れ、症状は軽くなっていきます。
- 強い頭痛、ろれつが回らない、手足の動きの左右差などがあるときは、眼鏡とは別の原因も考えられるため、すぐに医療機関へ相談してください。
とてもよくある症状です。特に、初めて眼鏡をかけるとき、度が大きく変わる場合、遠近両用レンズ(累進レンズ:遠くと近くで見え方が変わるレンズ)にしたとき、乱視の補正を強くしたときによくみられます。眼鏡店で「慣れるまで少し時間がかかります」と説明されるのはこのためです。
年齢を問わず起こります。眼鏡が初めての子ども、進学や仕事で長時間使うようになった人、左右の度数の差が大きい人、乱視が強い人、乗り物酔いをしやすい人、高齢になって度が大きく変わった人などで起こりやすいとされています。
症状
- 突然の激しいめまいで立てない、歩けない
- ろれつが回らない、言葉が出てこない
- 顔や手足の片側が動かない、しびれる
- 急に見えにくくなった、視野の一部が見えなくなった
- 意識がもうろうとしている、けがをして意識がない
- けいれんが起きた
- 頭を打ったあとにめまいや嘔吐が続く
- ⚠めまいが数日以上続き、よくならない
- ⚠吐き気が強く、水分がとれない
- ⚠がまんできないほどの頭痛をともなう
- ⚠新しい眼鏡をかけてから、ものが二重に見え続ける
- ⚠眼鏡をかけても視界がぼやける、かすむ
- ⚠耳鳴りや聞こえにくさをともなう
一般的な症状
- ふらふらする、足元が安定しない感じがする
- 頭が重い、締めつけられるような頭痛がする
- 軽い吐き気や、食欲がわかない感じがする
- 目の奥が痛い、目が疲れやすい
- 床や壁が少し傾いて見える、まっすぐ歩きにくい
- 階段の上り下りがこわい、段差がつかみにくい
- 視界の端(レンズの周辺部)がゆがむ、にじむ
- 集中しづらい、本を読むと気分が悪くなる
- 肩こりや首のこりが強くなる
子供の症状
- 眼鏡をかけたがらない、すぐ外したがる
- 「気持ち悪い」「頭が痛い」と訴えるが、理由をうまく説明できない
- 授業に集中できない、ぼんやりしているように見える
- 黒板を見るときに首をかしげる、姿勢が悪くなる
- 目をこする、まばたきが増える
- 歩くときに手すりを求める、走るのをいやがる
高齢者の症状
- 転びやすくなる、歩くのが不安になる
- 段差や階段で足が止まる
- 読書や手元の作業のあとに気分が悪くなる
- ものが二重に見える感じが続く
- めまいが原因で外出を控えるようになる
- もともとの耳や血圧の病気の症状と重なってわかりにくいことがある
原因
主な原因
- 度数の変化:近視・遠視・乱視の補正が強くなると、見え方が大きく変わり、体がとまどうことがあります。
- 遠近両用レンズ(累進レンズ):レンズの場所によって見え方が変わるため、視線の動かし方に慣れるまで時間がかかります。
- 左右の度数の差が大きい(不同視):左右で見え方の大きさが変わり、脑が像をまとめるのに疲れることがあります。
- 瞳孔間距離(左右の目の中心の間隔)やレンズの位置が合っていない。
- フレームのフィッティング(かけ具合):ずれていたり締めつけが強すぎたりすると、見え方や首肩の緊張に影響します。
- 視界のゆがみ:レンズの周辺部で物がゆがんで見えるため、慣れるまで気分が悪くなることがあります。
- もともとの体の状態:耳の奥のバランス機能、血圧、貧血、睡眠不足などが関係していることもあります。
リスク要因
- 初めて眼鏡をかける
- 度数を大きく変えた、久しぶりに新しい眼鏡にした
- 遠近両用・累進レンズを使い始めた
- 乱視が強い、左右の度数の差が大きい
- 乗り物酔いをしやすい体質
- 睡眠不足、疲労、ストレスが強い時期
- 高齢で、転びやすさや平衡感覚の変化がある
- 耳の病気、血圧の変化、貧血などの既往がある
- めまいを起こしやすい薬を服用している(気になる場合は医師や薬剤師に相談してください)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- めまいに加えて、ろれつが回らない・手足の麻痺・顔のゆがみがある(すぐに119番へ)
- 視力が急に低下した、視野が欠けた
- ものが二重に見え続ける
- がまんできない頭痛、繰り返す嘔吐がある
- 水分がとれないほどの吐き気がある
- 耳が聞こえにくい、耳鳴りが強い
定期受診を予約すべき場合:
- 新しい眼鏡にしてから2週間以上たってもふらつきが続く
- 眼鏡をかけると毎回頭痛や吐き気がする
- 眼鏡を外すと症状が消える、を繰り返している
- 眼鏡をかけても見え方がしっくりこない、ぼやける
- 子どもが眼鏡を嫌がり、学校生活に支障が出ている
- 高齢者で、めまいのため転倒が心配になる
- 眼鏡の調整や再検査をしてもらいたい
診断
まず問診で、いつからか、どの眼鏡で起こるか、どんなときに強くなるか、吐き気や耳の症状があるかを確認します。そのうえで、視力検査や度数の検査、眼鏡のフィッティングの確認を行い、眼鏡が原因かどうかを見ていきます。必要に応じて、耳や血圧など別の原因がないかを調べることもあります。
行われる可能性のある検査
- 問診(症状の出方、使っている眼鏡、生活状況の確認)
- 視力検査と屈折検査(度数が合っているかの確認)
- 眼鏡レンズの度数・瞳孔間距離・装用位置の確認
- 眼位検査・両眼視機能検査(左右の目の協調の確認)
- 眼圧検査・眼底検査(目の病気がないかの確認)
- 必要に応じて耳鼻咽喉科でのめまいの検査
- 必要に応じて血圧測定や血液検査
診察で予想されること
検査は痛みがほとんどなく、外来で短時間で行えるものが多いです。眼鏡が原因と考えられる場合は、度数やフィッティングの調整、慣れるための過ごし方の説明が中心になります。症状の理由が眼鏡だけではないと判断された場合は、耳鼻咽喉科や内科など、より適した診療科を紹介されることがあります。
治療
眼鏡によるめまいの多くは、特別な治療をしなくても、使う時間を工夫しながら徐々に慣れていくことで落ち着きます。まずは眼鏡の度数やかけ具合が合っているかを確かめ、生活の中で無理なく慣れていく方法を試します。つらさが強いときは、原因に合わせた対応を医師と相談します。
自宅でのセルフケア
- いきなり長時間かけず、1日に少しずつ装用時間を増やす
- 最初は座って過ごせる場面(読書やテレビなど)で慣らす
- 階段や自転車、車の運転など、転倒や事故の危険がある場面では無理をしない
- 遠近両用レンズは、視線を動かす練習をしながら慣れていく
- レンズの端ではなく、なるべく中心で見るように意識する
- つらいときは眼鏡を外して短時間休む
- 睡眠を十分にとり、疲れをためない
- 眼鏡のズレや締めつけが気になるときは、購入した眼鏡店で調整を相談する
医療治療
治療の中心は、眼鏡そのものの見直しです。眼科や眼鏡店で度数・瞳孔間距離・フレームのフィッティングを再確認し、必要であれば作り直しや調整を行います。症状の出方によっては、装用時間の増やし方を具体的に指導してもらえます。めまいの原因が眼鏡以外(耳の奥の平衡機能、血圧、貧血など)と考えられる場合は、その原因に応じた診察や対応が行われます。薬が必要かどうかは医師が判断することであり、自己判断で市販薬を使ったり、使用中の薬をやめたりせず、医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
眼鏡によるめまいそのものに対して手術が必要になることは、通常はありません。ただし、目の位置のずれ(斜視)など別の病気が背景にあるとわかった場合は、専門医から別の治療の選択肢が説明されることがあります。
この病気と共に生きる
眼鏡とのつきあい方でいちばん大切なのは、あせらず少しずつ慣れることです。新しい眼鏡は「体が覚えるまでの期間」があると考えると気が楽になります。つらい日は無理をせず、使う場面を選びながら、生活のリズムを大きく崩さないようにしてください。
生活習慣のアドバイス
- 装用時間を記録して、少しずつ伸びていることを確認する
- 夜ふかしを避け、規則正しい睡眠をとる
- 長時間の画面作業では、こまめに休憩と遠くを見る時間をとる
- 首や肩を温め、軽いストレッチでこりをほぐす
- 飲酒はめまい感を強めることがあるため、ほどほどにする
- 転倒が心配なときは、室内の段差やコードを片づけ、手すりや照明を整える
- 家族や同僚に「慣れるまで少しふらつくかもしれない」と伝えておく
食事と運動
特別な食事制限が必要なわけではありませんが、バランスのよい食事と水分は体の調子を整える基本です。脱水や極端な食事制限はふらつきを強めることがあるため避けましょう。運動は、無理のない範囲の散歩や軽いストレッチがおすすめです。めまいが強いときは転倒しないよう、支えのある場所で行うか、一緒に歩く人と行ってください。
精神的健康と心の健康
「また気分が悪くなるかもしれない」という不安から、外出や人との約束を控えてしまうことがあります。これは自然な反応ですが、長く続くと気分が落ち込みやすくなります。症状は多くの場合よくなっていくものだと知っておくこと、そして一人で抱えこまずに話せる相手を持つことが助けになります。つらさが続くときは、医療機関で相談してください。
予防
完全に防ぐことは難しいですが、負担を減らす工夫はできます。度数を一度に大きく変えない、新しい眼鏡は慣らす期間をとる、購入後も定期的にフィッティングを調整してもらう、といったことが役立ちます。遠近両用レンズに変更するときは、事前に慣れるまで時間がかかることを知っておくと不安が軽くなります。
検診プログラム
定期的な視力検査と眼鏡の点検が大切です。見えにくさを感じたら、我慢せずに眼科や眼鏡店で度数を確認しましょう。日本では健康診査や学校健診などで視力の確認が行われる機会があります。高齢の方は、転倒予防の観点からも定期的な目の検査がすすめられます。
合併症
治療しない場合
- つらい状態が続き、眼鏡をかけるのをやめてしまい、見えにくいまま生活することになる
- 肩こりや頭痛が慢性化する
- 集中力が落ち、勉強や仕事に支障が出る
- 高齢者の場合、ふらつきによる転倒・けがの危険が高まる
- 車の運転などで危険を感じる場面が増える
- 「また気分が悪くなるかも」という不安から外出が減り、気分が落ち込みやすくなる
- 眼鏡以外の病気(耳や血圧など)が隠れていて、気づくのが遅れる
長期的な見通し
眼鏡によるめまいは、多くは数日から2週間ほどで体が慣れて軽くなっていきます。合わないまま我慢する必要はなく、調整や作り直しで改善することもよくあります。症状が続く場合も、眼科やかかりつけ医に相談しながら一つずつ確かめていくことで、快適に過ごせる方法が見つかっていきます。
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最終更新: 2026年10月23日
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