「めまい」を正しく知ろう — ふらつき・くらくらとの付き合い方
概要
めまいとは、自分や周りの景色がぐるぐる回るように感じたり、ふらふらして体が安定しないように感じたりする状態のことです。大きく分けると、①頭を動かしたときに景色が回る「回転性(かいてんせい)めまい」、②体がふわふわ浮いているように感じる「浮動性(ふどうせい)めまい」、③立ち上がったときに目の前が暗くなる「立ちくらみ」があります。めまいは耳の奥にある「平衡感覚(へいこうかんかく)を感じる部分」、脳、血圧、心臓など、いろいろな場所の働きが関係しておこります。めまいの多くは命に関わるものではありませんが、転倒(てんとう)につながったり、まれに脳の病気が隠れていたりするため、症状の出方を見極めることが大切です。
重要な事実
- めまいはとても多い症状で、多くの人が一生のうちに一度は経験します。
- 原因は耳の病気、血圧の変化、貧血、脱水、ストレスなどさまざまで、原因によって対処法が変わります。
- 突然の激しい頭痛や、ろれつが回らない・体の片側が動かないなどを伴うめまいは、すぐに救急車(119)を呼ぶサインです。
はい、とてもよくある症状です。外来を受診する人の多い理由のひとつで、年齢を問わず起こります。多くの場合は命に関わるものではなく、原因に合った対処で良くなっていきます。
子どもから高齢者まで、どの年代でも起こります。高齢になるほど増え、特に転倒のリスクが高まります。女性にやや多い傾向がありますが、男性にもよく見られます。
症状
- 突然おこった激しい頭痛を伴うめまい
- ろれつが回らない、言葉が出にくい
- 顔や体の片側が動かない・しびれる
- ものが二重に見える、視界が急に欠ける
- 意識がもうろうとする、返事がおかしい、けいれんする
- 胸の痛みや強い息苦しさを伴う
- 突然倒れて意識を失った、または意識が戻らない
- ⚠聞こえにくさや耳鳴りを伴うめまいが急に出た
- ⚠歩けないほどのめまいが続き、嘔吐(おうと)が止まらない
- ⚠発熱や耳の痛み、耳だれを伴う
- ⚠めまいを繰り返し、だんだん強くなっている
- ⚠頭を打ったあとにめまいが出た
一般的な症状
- 景色や自分がぐるぐる回るように感じる
- ふらふらして体が安定せず、歩くのが不安になる
- 立ち上がったとき、目の前が暗くなる・くらっとする
- 気持ちが悪い、吐き気がする、嘔吐(おうと)する
- 冷や汗が出る、顔色が悪くなる
- 耳鳴り(耳の中でキーン・ジーと音がする)や聞こえにくさを伴うことがある
- 頭を動かしたときだけ短時間めまいがする
- 集中しづらい、ぼんやりする
子供の症状
- 「気持ち悪い」「頭が変」「歩きたくない」など、自分の言葉でうまく伝えられないことがあります
- 急に座り込む、壁につかまる、顔色が悪くなる
- 耳の病気や、立ちくらみを起こしやすい体質(起立性調節障害=たちくらみが起こりやすい状態)が関係することがある
- 脱水(体の水分が足りない状態)や睡眠不足、朝ごはんを抜いたときにも起こりやすい
高齢者の症状
- 「足元がふらつく」「まっすぐ歩けない」という形で現れやすい
- 転倒(てんとう)や骨折につながりやすいので注意が必要
- 血圧の薬など、飲んでいる薬の影響で起こることがある
- のどの渇きを感じにくく、気づかないうちに脱水になっていることがある
- 加齢により平衡感覚の調整が難しくなり、めまいが長引くことがある
原因
主な原因
- 良性発作性頭位めまい症(りょうせいほっさせい・とういめまいしょう)=耳の奥の小さな石のようなものがずれて、頭を動かしたときだけ短時間めまいがする状態。めまいの原因としてとても多いです。
- メニエール病=耳の奥に水分がたまることで、回転するめまいと耳鳴り・聞こえにくさを繰り返す病気
- 前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)=耳の奥の神経が炎症を起こし、急に強いめまいが続く状態
- 起立性低血圧(きりつせいていけつあつ)=立ち上がったときに血圧が下がり、くらっとする
- 貧血(ひんけつ)や脱水、低血糖(血の糖分が足りない状態)
- 不整脈(ふせいみゃく)など心臓のリズムの乱れ
- 飲んでいる薬の副作用
- 強いストレス、不安、睡眠不足
- 首や肩のこり、長時間の同じ姿勢
- 脳の病気(脳卒中など)=めまいの原因としては多くありませんが、見逃せない重要な原因です
リスク要因
- 高齢であること
- 水分不足、暑い場所での長時間の活動
- 急に立ち上がる習慣、長時間の立ちっぱなし
- 睡眠不足、疲労、強いストレス
- アルコールの飲みすぎ
- 片頭痛(へんずつう)の既往
- 耳の病気の既往
- 高血圧、糖尿病、心臓の病気などの持病
- 複数の薬を飲んでいる(薬の相互作用でふらつくことがあります)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急に強いめまいが起こり、歩けない
- 聞こえにくさや耳鳴りを伴うめまいが急に出た
- 嘔吐(おうと)が続き、水分がとれない
- 発熱、耳の痛み、耳だれがある
- 頭を打ったあとにめまいが出た
- めまいが繰り返し起こり、回数や強さが増している
定期受診を予約すべき場合:
- ときどき軽いふらつきがあるが、日常生活は送れている
- 頭を動かしたときだけ短時間めまいがする
- 立ち上がると毎回くらっとする
- めまいが何度も繰り返す
- めまいのせいで不安になり、外出を控えるようになった
診断
めまいの診断は、まず「どんなふうに」「どんなときに」「どのくらい続くか」をくわしく聞くことから始まります。これは問診(もんしん)といい、原因を絞り込むうえでとても大切です。そのうえで、血圧を測ったり、耳や神経の様子を診たりします。必要に応じて耳鼻咽喉科(じびいんこうか)や脳神経内科などの専門の科を紹介してもらうことがあります。
行われる可能性のある検査
- 血圧測定(座ったときと立ったときの両方で測ることがあります)
- 血液検査(貧血や脱水、血糖などを調べる)
- 心電図(心臓のリズムの乱れを調べる)
- 聴力検査(聞こえの状態を調べる)
- 眼振検査(がんしんけんさ:目の細かな揺れを見て、耳の平衡感覚を調べる)
- 頭位変換検査(とういへんかんけんさ:頭の向きを変えてめまいが誘発されるかを見る)
- 頭の画像検査(CT・MRI):脳の病気が疑われるときに行います
診察で予想されること
検査は痛みの少ないものがほとんどで、外来で行えるものが中心です。めまいの症状は検査のときに落ち着いていることもあるため、「いつ・どんなときに・どれくらい続いたか」をメモしておくと診断の助けになります。一度の受診で原因がはっきりしないこともあり、経過を見ながら調べていくこともあります。
治療
めまいの治療は、原因によって変わります。耳の奥の石のようなものがずれて起こるめまい(良性発作性頭位めまい症)では、頭や体を決まった方向に動かす方法(耳石置換法=じせきちかんほう)がよく効きます。メニエール病では生活の調整と治療を組み合わせます。血圧や脱水、薬の影響が関係している場合は、その原因への対処が中心になります。
自宅でのセルフケア
- 動くときはゆっくりと。特に立ち上がるときは、いったん座ってから時間をかけて立つ
- めまいが強いときは、静かで暗めの場所で横になって休む
- こまめに水分をとる。暑い日や運動のあとは特に意識して
- 睡眠をしっかりとり、疲れをためない
- アルコールやカフェインのとりすぎに気をつける
- 転倒予防のために、家の中の段差や物の配置を見直し、夜間の照明を明るくする
- めまいが起きた日時・状況・続いた時間を「めまい日記」に記録する
- 車の運転や高所作業は、症状が落ち着くまで控える
医療治療
治療は原因に合わせて組み立てられます。耳の奥の平衡感覚を鍛えるリハビリテーション(前庭リハビリテーション)が行われることもあります。症状に応じて薬が使われることもありますが、どの薬をどのくらい使うかは、原因や体の状態によって医師が判断します。自己判断で薬を飲んだり中止したりせず、必ず医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
めまいそのもののために手術が必要になることは、ほとんどありません。ただし、メニエール病などの症状が長く続き、生活に大きな支障がある場合など、ごく限られた状況で手術が検討されることがあります。手術が必要かどうかは、専門の医師が詳しい検査をもとに判断します。
この病気と共に生きる
めまいがあると、外出や仕事、家事が不安になることがあります。まずは「どんなときに起こりやすいか」を把握し、無理のない範囲で生活の工夫をしていきましょう。症状が落ち着いている日は、軽い散歩などで体を動かすことが、平衡感覚の回復につながることがあります。
生活習慣のアドバイス
- 立ち上がるときは「ゆっくり」を合言葉にする
- 寝不足をためない。毎日の睡眠時間をできるだけ一定に
- 食事は3食を規則正しくとり、脱水を避ける
- ストレスをためず、自分に合ったリラックス方法を見つける
- 家の中に手すりやマットを置くなど、転倒しにくい環境を整える
- 症状が強い日は無理をせず、予定を調整する
- めまい日記をつけて、受診のときに見せられるようにする
食事と運動
食事は、水分をこまめにとり、塩分やアルコール、カフェインのとりすぎに気をつけることが基本です。メニエール病と診断された場合は、医師の指示に沿って塩分の調整をすることがあります。運動は、症状が落ち着いているときに、無理のない範囲で行いましょう。バランスを保つ運動や軽いウォーキングが役立つことがありますが、めまいが強いときは休むことが優先です。
精神的健康と心の健康
めまいが続くと、「またなるのではないか」という不安が生まれ、外出を控えたり、気分が落ち込んだりすることがあります。これは特別なことではなく、よくある反応です。一人で抱え込まず、家族や友人、医療機関に話してみてください。つらい気持ちが続くときは、こころの健康の相談窓口やかかりつけ医に相談することが大切です。もし自分を傷つけたい気持ちがわいてきたら、すぐに地域の救急(119)や医療機関に連絡してください。
予防
すべてのめまいを防ぐことはできませんが、生活の工夫で起こりにくくすることはできます。水分をこまめにとる、立ち上がるときはゆっくり動く、睡眠をしっかりとる、ストレスをためない、といった基本的なことが大切です。飲んでいる薬が関係している場合は、自己判断でやめずに医師や薬剤師に相談してください。
検診プログラム
めまいそのものを早期に見つける検査はありませんが、高血圧や糖尿病などの持病がある方は、定期的な健康診断を受けることで、関連する変化に気づきやすくなります。気になる症状があれば、健診を待たずに医療機関に相談してください。
合併症
治療しない場合
- 転倒して骨折やけがをするリスクが高まる
- 車の運転や高所作業中の事故につながることがある
- 外出を控えるようになり、体力や筋力が落ちる
- 不安や気分の落ち込みが強くなることがある
- まれに、脳の病気など見逃せない原因が隠れていることがある
長期的な見通し
めまいの多くは、原因に合った対処で数日から数週間のうちに良くなっていきます。繰り返す場合でも、生活の工夫やリハビリテーションで症状をコントロールできることが少なくありません。心配な症状があるときは早めに相談し、あせらず一歩ずつ進んでいきましょう。
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最終更新: 2026年10月23日
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