手根管症候群の治療を遅らせないで
概要
手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)は、手首の手のひら側にある「手根管」という狭いトンネルの中を、正中神経(せいちゅうしんけい)という神経が通っている病気です。この神経が圧迫されると、親指から薬指の一部にかけてしびれや痛みが出ます。手の使いすぎだけが原因とは限りません。
重要な事実
- 手のしびれや痛みが長引くことがあります。
- 早めに相談すると、生活の工夫や治療で良くなりやすいです。
- 放っておくと、親指の力が入りにくくなることがあります。
よくある病気です。特に中年以降の女性に多いですが、若い人や男性にも起こります。
手をよく使う人、妊娠中の人、糖尿病や甲状腺の病気がある人、手首のけがをした人などに起こりやすいです。年齢を問わず起こります。
症状
- 突然の強い手の痛みや腫れ、変形があり、手を動かせないときは119番に連絡してください。
- 手のしびれに加えて、顔のまひ、ろれつが回らない、急な手足の力の低下があるときは119番に連絡してください。
- 胸の強い痛みや息苦しさなど、手の症状以外の緊急症状があるときは119番に連絡してください。
- ⚠手のしびれや力の低下が急に強くなった
- ⚠手首のけがのあと、腫れや痛みが強い
- ⚠手がほとんど動かせない
- ⚠糖尿病があり、手のしびれが急に悪化した
一般的な症状
- 親指・人差し指・中指・薬指の一部がしびれる
- 夜中や朝方に手がしびれて目が覚める
- 手を振ると少し楽になる
- 物を落としやすい、ボタンを留めにくい
- 手のひらから手首にかけて痛みがある
- 親指の付け根の筋肉がやせて見えることがある
子供の症状
- 子どもではまれですが、起こることがあります。
- 手のしびれをうまく説明できず、物を握りにくい、手を振るなどの様子で気づくことがあります。
- 小児では別の原因のこともあるので、気になるときは小児科や整形外科に相談してください。
高齢者の症状
- 年齢とともに増えやすいです。
- 糖尿病や関節の病気がある人は、症状に気づきにくいことがあります。
- 手の力が弱くなった、細かい作業がしにくくなったと感じたら相談してください。
原因
主な原因
- 手根管の中で正中神経が圧迫されることで起こります。
- 手首のけが、腫れ、関節の病気でトンネルが狭くなることがあります。
- 妊娠やホルモンの変化で、手がむくみやすくなることがあります。
- 長時間の手の使い方や、振動する工具の使用が関係することがあります。
- はっきりした原因がないことも多いです。
リスク要因
- 中年以降の女性
- 甲状腺の病気
- 関節リウマチなどの関節の病気
- 手首の骨折やけが
- 手をよく使う仕事や振動工具の使用
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 手のしびれや力の低下が急に強くなった
- 手首のけがのあと、腫れや痛みが強い
- 手がほとんど動かせない
- 糖尿病があり、手のしびれが急に悪化した
定期受診を予約すべき場合:
- しびれが数日以上続く
- 夜中にしびれで目が覚める
- 物を落とす、細かい作業がしにくい
- 親指の付け根がやせてきた
- 両手に症状がある
診断
医師が症状の場所や夜間のしびれを聞き、手の診察をします。必要に応じて、神経の電気の流れを調べる検査や超音波検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 問診と診察
- 手首を軽くたたくとしびれが走るかを見る検査(ティネル徴候)
- 手首を曲げてしびれが出るかを見る検査(ファレン徴候)
- 神経伝導検査(神経の電気の流れを調べる検査)
- 超音波検査
- 血液検査(糖尿病や甲状腺の病気などを調べる)
- レントゲン検査(けがや関節の状態を調べる)
診察で予想されること
検査は痛みが少ないものが多いです。結果を待つ間に、手首に負担をかけない生活の工夫を始めるとよいでしょう。医師と相談しながら進めてください。
治療
治療は症状の程度に合わせて選びます。早期は手首を休めることや装具、生活の工夫が中心です。良くならない場合は、炎症をしずめる注射や手術を検討します。
自宅でのセルフケア
- 手首を休め、長時間同じ姿勢を避ける
- 作業の合間に手を休める
- 医師や薬剤師に相談して、夜間に手首をまっすぐ保つ装具を使う
- パソコン作業で手首を反らし続けないようにする
- 腫れがあるときは冷やす
- 寝る姿勢や枕を工夫する
- 痛みのない範囲で手を動かす
医療治療
装具、生活指導、炎症をしずめる注射、神経の圧迫を取る手術などがあります。薬の名前や量はここでは紹介しません。医師が症状に合わせて選びます。
手術が検討される場合
しびれが強く続く、親指の筋肉がやせてきた、生活に大きな支障がある場合は、手根管を広げる手術を検討します。手術は日帰りや短期入院で行われることが多いです。医師とよく相談してください。
この病気と共に生きる
日常生活で手首に負担をかけすぎないことが大切です。仕事や家事の合間に休憩を取り、装具を医師の指示で使いましょう。症状の変化をメモしておくと、診察のときに役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 作業の合間に手を休める
- 手首をまっすぐ保つ
- 糖尿病がある人は、医師と相談して血糖を安定させる
- 禁煙を心がける
- 十分な睡眠をとる
- 適度に体を動かす
食事と運動
バランスの良い食事と適度な運動を心がけましょう。糖尿病がある人は血糖を安定させることが大切です。手首に負担の少ない歩行などの運動がおすすめです。ストレッチは痛みのない範囲で行ってください。
精神的健康と心の健康
しびれや痛みで眠れない、仕事や家事がしにくいと、ストレスを感じることがあります。不安が強いときは、かかりつけ医や地域の相談窓口に相談してください。緊急に自分を傷つけたい気持ちがあるときは、119番に連絡するか、地域の救急相談窓口に相談してください。
予防
完全には防げませんが、手首の負担を減らす工夫でリスクを下げられることがあります。
ワクチン
この病気にワクチンはありません。
検診プログラム
特別な検診はありません。手のしびれが続くときは、早めに整形外科やかかりつけ医に相談してください。
合併症
治療しない場合
- しびれが長引き、眠れないことがある
- 親指の力が弱くなり、物をつまみにくくなる
- 親指の付け根の筋肉がやせることがある
- 仕事や家事に支障が出ることがある
- 回復に時間がかかることがある
長期的な見通し
多くは、早めに相談して治療を始めることで改善します。手術が必要な場合でも、多くの人が日常生活を取り戻しています。希望を持って、医師と相談しながら進めてください。
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最終更新: 2026年10月23日
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