溺水(おぼれること)
概要
溺水とは、水の中で息ができなくなり、肺に水が入ったり、入りかけた状態をいいます。プールや海、川、お風呂、災害時の水害などで起こります。英語では「drowning」と呼ばれ、命に関わることがあるため、早い救助と医療の評価が大切です。
重要な事実
- 溺水は子どもにも大人にも起こり、多くの場合、静かに進むことがあります。
- 助かった後も、数時間から24時間ほどたって呼吸が苦しくなることがあります。
- 119番への通報と、安全な場所からの救助、必要なら心肺蘇生が大切です。
世界では毎年多くの人が溺水で亡くなっています。日本でも、海や川、プール、お風呂などで起こることがあります。正確な件数は年や地域で変わりますが、予防できる事故として重要です。
特に幼い子ども、10代の若者、高齢者が影響を受けやすいです。泳げない人、一人で水辺に行く人、飲酒する人、てんかんや心臓の病気がある人も注意が必要です。
症状
- 意識がない、呼びかけに反応がない
- 呼吸がない、またはあえぐような呼吸しかない
- 唇や顔色が青い
- けいれんが止まらない
- 強い息苦しさ、胸の痛み、会話ができないほどの呼吸困難
- 水から助けた後、ぐったりしている、反応がおかしい
- ⚠咳が続く、息が少し苦しい
- ⚠胸の不快感
- ⚠嘔吐や吐き気
- ⚠いつもより眠い、ぼんやりする
- ⚠子どもが元気なく、呼吸が速い、機嫌が悪い
一般的な症状
- 水から助け出された直後の激しい咳や、息苦しさ
- 胸の痛みや圧迫感
- ゼーゼーする呼吸、泡のような痰
- 気分が悪い、嘔吐
- ぼんやりする、眠気が強い、意識がはっきりしない
- 唇や指先が青白い、体が冷たい
子供の症状
- 子どもは音を立てずに沈むことがあり、手足をばたつかせないこともあります。
- 顔が水に浸かったまま、反応が鈍い
- 助けた後の咳、ぐったりする、機嫌が悪い、呼吸が速い
- 母乳やミルクを飲みたがらない、元気がない
高齢者の症状
- 水に入る前に心臓や脳の病気が起きていた可能性があります。
- 体温が下がりやすい(低体温)
- 混乱、ふらつき、力が入らない
- 持病や薬の影響で動きが悪くなることがあります。
原因
主な原因
- 泳げない、体力が足りない
- 子どもから目を離す、柵や覆いがない
- 飲酒や薬の影響
- 波や流れ、低温、疲労
- ボートや船からの転落、水害
- てんかん発作や心臓の病気など、水中での体調変化
リスク要因
- 5歳以下の子ども、特に1〜4歳
- 10代の若者、特に男子
- 高齢者、持病のある人
- 泳げない人、水に慣れていない人
- 一人で泳ぐ、監視者がいない
- 飲酒、違法薬物
- プールの柵がない、蓋のない井戸や水槽
- 洪水や津波の危険がある地域
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 水に浸かった後、咳、息苦しさ、胸の痛みがある
- 嘔吐、強い眠気、混乱、ふらつきがある
- 子どもがぐったり、呼吸が速い、顔色が悪い
- 溺水した可能性があるのに、本人が話さない、覚えていない
定期受診を予約すべき場合:
- 水難事故の後、症状はないが心配なとき
- 水辺での事故を防ぐために、家庭や学校での安全対策を相談したいとき
- 溺水の後遺症や不安について、かかりつけ医に相談したいとき
診断
医師は、どのくらい水に浸かったか、どのような水だったか、助けたときの様子、今の症状を聞きます。そして、意識、呼吸、心拍、体温、酸素の状態を調べます。必要に応じて検査を行い、肺や脳への影響を確認します。
行われる可能性のある検査
- パルスオキシメーターで酸素の量を測る
- 胸部X線検査
- 血液検査
- 動脈血ガス分析(呼吸の状態を詳しく見る検査)
- 必要に応じてCT検査や超音波検査
診察で予想されること
救急外来で観察され、症状が軽くても数時間は経過を見ることがあります。呼吸が苦しい場合や意識が戻りにくい場合は入院して治療することがあります。医師の指示に従い、帰宅後も変化に注意してください。
治療
溺水では、まず安全を確保して119番に通報し、必要なら心肺蘇生を行います。医療機関では、呼吸と酸素、体温、意識を安定させる治療が中心になります。助かった後も、肺の状態を観察することが大切です。
自宅でのセルフケア
- 医師の許可が出るまで、一人で水に入らない
- 帰宅後24時間は呼吸の変化、咳、眠気、嘔吐に注意する
- 水分と休息をとり、無理に運動しない
- 不安や恐怖が強いときは、一人で抱えず相談する
- 水辺では子どもから目を離さず、ライフジャケットを使う
医療治療
医療機関では、酸素吸入、呼吸を助ける処置、体を温める処置、点滴などを行いながら、肺や心臓、脳の状態を監視します。必要に応じて専門医と連携します。薬の名前や量は、症状や状態に応じて医療者が判断しますので、自己判断で薬を使わないでください。
手術が検討される場合
溺水そのものに対して手術が必要になることは通常ありません。合併症やけがの治療で、専門的な処置が必要になる場合があります。
この病気と共に生きる
助かった後は、疲れやすさ、咳、不安などが続くことがあります。医師の指示に従って徐々に日常に戻り、睡眠と休息を十分にとりましょう。水辺に戻るのは、体調と心の準備ができてから、安全な環境で少しずつ行います。
生活習慣のアドバイス
- 子どもや高齢者の水辺では、必ず大人が監視する
- 泳ぐときはライフジャケットや浮き具を使い、一人で行かない
- 飲酒後や体調が悪いときは水に入らない
- 家庭の風呂、井戸、水槽、プールに柵や蓋をつける
- 水害の警報が出たら早めに避難する
食事と運動
回復後は、バランスのよい食事と十分な睡眠をとり、医師の許可を得てから運動を再開します。息切れや疲れが強いときは無理をせず、段階的に体を慣らしましょう。
精神的健康と心の健康
溺水の体験は、恐怖、悪夢、フラッシュバック、水への不安として残ることがあります。これは珍しいことではありません。つらい気持ちが続くときは、家族や友人、医療機関、地域の相談窓口に話してください。自分や身近な人に緊急の危険がある場合は、ためらわず119番に通報してください。
予防
はい。溺水は多くの場合、予防できます。子どもから目を離さない、柵や蓋を使う、ライフジャケットを着る、飲酒後に水に入らない、心肺蘇生を学ぶことが役立ちます。厚生労働省や自治体の注意喚起も参考にしてください。
ワクチン
溺水を防ぐワクチンはありません。
検診プログラム
特別なスクリーニング検査はありませんが、水泳前の体調確認や、持病のある人は医師に相談することが大切です。
合併症
治療しない場合
- 脳への酸素が足りず、後遺症が残ることがある
- 肺のけがや肺炎
- 心臓が止まる、命に関わる
- 不安や心的外傷後ストレス症状
長期的な見通し
早く助け出され、心肺蘇生や医療ケアが早いほど、回復の可能性は高くなります。多くの人は回復して日常生活に戻りますが、後遺症が残る場合もあります。不安や体調の変化があれば、医療者に相談しながら一歩ずつ進みましょう。
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最終更新: 2026年10月23日
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