ドライアイ(目の乾き)
概要
ドライアイは、涙の量や質のバランスがくずれて、目の表面がうるおいを保ちにくくなった状態です。涙はただの水ではなく、目の表面を薄い膜のように覆って、ゴミやばい菌から守り、ピントを合わせやすくする働きがあります。この膜が途切れやすくなると、目がゴロゴロしたり、しみたり、かすんだりします。「目そのものが病気」というより、「目の表面の健康が保ちにくい状態」と考えるとわかりやすいでしょう。
重要な事実
- ドライアイは「涙の量が足りない」だけでなく、涙の油分が足りずにすぐ蒸発してしまうタイプも多くみられます。
- スマートフォンやパソコンの画面を長く見ていると、まばたきの回数が減って涙が乾きやすくなります。
- 多くの場合はセルフケアと眼科での治療で楽になりますが、症状が続くときは早めに相談しましょう。
とても多い症状です。日本でも多くの人が悩んでいるとされ、パソコンやスマートフォンの長時間使用、空調の効いた室内での生活が増えたことで、より身近なものになっています。年齢を問わず起こります。
誰にでも起こりえますが、画面を長時間見る人、コンタクトレンズを使う人、高齢者、女性(妊娠や更年期などホルモンの変化があるとき)、乾燥した環境で過ごす人、喫煙する人、睡眠不足の人によくみられます。糖尿病や免疫の病気、まぶたの病気がある人、一部の薬を服用している人にも起こりやすくなります。
症状
- 突然の激しい目の痛み、または目の奥の強い痛み
- 急に見えにくくなった、視野が欠けた
- 薬品や異物が目に入った、目に突き刺さるけがをした(まず流水で洗いながら救急へ)
- 目が大きく腫れて開かない、顔やまぶたが急に腫れた
- 目の痛みに頭痛や吐き気・嘔吐を伴う
- ⚠がまんできないほどの痛み、痛みがどんどん強くなる
- ⚠光が異常にまぶしく、目を開けていられない
- ⚠急な充血と膿のような目やに(感染の疑い)
- ⚠コンタクトレンズをつけたまま痛みや充血が出た(角膜の傷や感染の恐れ)
- ⚠視力が落ちた、ものが二重に見える
- ⚠黒い点が急に増えた、光がちらついて見える
一般的な症状
- 目が乾いた感じがする、うるおいがない
- ゴロゴロする、砂が入ったような異物感
- しみる、軽い痛みがある
- 目が赤くなる
- 視界がかすむ(まばたきをすると一時的に良くなることが多い)
- 光がまぶしく感じる
- 目が疲れやすい、重たい感じがする
- かえって涙がたくさん出る(うるおいが足りないときに反射的に涙が出ることがあります)
- コンタクトレンズが合わない、はずしにくい
- 糸のような目やにが出る
子供の症状
- 目の乾きをうまく言葉にできず、よく目をこする
- まばたきが多くなる、または目をぎゅっと閉じる
- 画面をとても近くで見る、画面を見た後に目を痛がる
- 充血が続く、目やにが多い
- 学校で集中しにくい、読むのがつらいと言う
- 屋外でまぶしがる
高齢者の症状
- 加齢とともに涙の量や質が変わり、症状が長引きやすい
- まぶたの下垂やまぶたの縁の炎症で、涙が蒸発しやすくなることがある
- 白内障の手術の後や、一部の薬の影響で乾きを感じることがある
- かすみやまぶしさを「年のせい」と思わず、相談することが大切
- 目の不快感で読書や外出がおっくうになりやすい
原因
主な原因
- 涙の量が減る:加齢や体の病気、一部の薬の影響で涙を作る力が落ちることがあります。
- 涙の油分が足りない:涙は水の層の上を油の層が覆っていて、この油が足りないと涙がすぐ蒸発します。まぶたの縁にある油の出るところ(マイボーム腺)が詰まることが原因になることも多くみられます。
- まばたきが減る:画面を見つめているとまばたきが減り、涙が目の表面に行きわたりにくくなります。
- 目の表面の炎症やアレルギー:炎症があると涙のバランスがくずれます。
- まぶたやまつ毛の異常:まつ毛が内側に向く、まぶたの形の問題などで目が刺激されます。
リスク要因
- パソコン・スマートフォンの長時間使用
- コンタクトレンズの長時間装用
- エアコンや暖房、乾燥した空気、風、ほこり
- 妊娠・出産・更年期などホルモンの変化
- 睡眠不足、疲れ、ストレス
- 糖尿病や甲状腺の病気、免疫の病気(シェーグレン症候群など)
- 一部の薬(アレルギー症状を抑える薬、血圧やむくみのための薬など)※自己判断で中止せず、医師や薬剤師に相談を
- 白内障の手術を受けたことがある
- ビタミンAの不足
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の激しい目の痛み、急な視力低下
- 薬品や異物が目に入った、目に突き刺さるけがをした
- 目が大きく腫れて開かない
- 目の痛みに頭痛や吐き気を伴う
- コンタクトレンズをつけたまま強い痛みや充血が出た
定期受診を予約すべき場合:
- 目の乾きや異物感が2週間以上続く
- 市販の目薬を使っても良くならない、かえってしみる
- コンタクトレンズが使えなくなった
- かすみやまぶしさが続いて生活に支障がある
- 目やにや充血をくり返す
- 薬を飲み始めてから目が乾くようになった
診断
問診と、痛みの少ない目の検査で診断します。いつから、どんなときに症状が出るか、画面の使用時間、コンタクトレンズ、飲んでいる薬、他の病気などを聞いたうえで、涙の量や涙の膜の安定性、目の表面の状態を調べます。
行われる可能性のある検査
- 問診(症状の出方、生活習慣、薬、持病について)
- 涙の量を調べる検査(細い試験紙をまぶたの縁に当ててしばらく待つもの)
- 涙が乾くまでの時間を調べる検査(色のついた目薬を入れて、顕微鏡で観察します)
- 目の表面を染色して傷の有無を見る検査(しみることがありますが短時間です)
- まぶたの縁や油の出ぐあいを調べる検査
- 必要に応じて、他の病気が隠れていないかを調べる血液検査
診察で予想されること
検査は外来で10〜20分ほどで終わることが多く、痛みはほとんどありません。結果をもとに、うるおいを補う目薬やまぶたのケアなど、その人に合った組み合わせを考えます。症状は変化するので、定期的に通って調整することが大切です。
治療
ドライアイの治療の目的は、目の表面のうるおいを取り戻し、炎症をしずめて、傷つきにくい状態にすることです。原因は人によって違うため、目薬だけでなく、生活の工夫やまぶたのケアを組み合わせて続けていきます。
自宅でのセルフケア
- 部屋を加湿する(加湿器や洗濯物の室内干しも役立ちます)
- 画面を見るときは意識してまばたきをする。20分ごとに20秒ほど、遠くを見て目を休める
- エアコンの風が直接目に当たらないようにする
- 温かい蒸しタオルで目を温め、まぶたの縁をやさしく清潔に保つ
- コンタクトレンズの装用時間を減らし、眼科や購入先に相談する
- 十分な睡眠と水分補給を心がける
- 市販の目薬を使うときは、防腐剤の有無や使用回数を薬剤師に相談する
- 喫煙を控える
医療治療
眼科では、うるおいを補う目薬や、涙が蒸発しにくくなるタイプの目薬、炎症をしずめる目薬などを、症状や原因に合わせて組み合わせます。まぶたの油の出るところが詰まっている場合は、温める・マッサージするなどのケアや専用の処置を行うことがあります。涙がすぐ流れ出てしまう人には、涙の排出口を小さくする処置(小さな栓のようなもの)を検討することもあります。薬の種類や回数は医師の指示に従い、自己判断で量を増やしたり中止したりしないようにしてください。
手術が検討される場合
手術が必要になることは多くありません。まつ毛が内側に向いている、まぶたの形に問題があるなど、目の刺激の原因がまぶたにある場合は、手術が検討されることがあります。詳しくは眼科医に相談してください。
この病気と共に生きる
ドライアイの症状は日によって波があります。乾燥する季節、画面を長時間見た日、睡眠不足の日、疲れているときは悪化しやすくなります。自分の悪くなるパターンを知って、早めに対策すると楽になります。
生活習慣のアドバイス
- 1時間ごとに短い休憩をとる
- まばたきを意識する、ときどき目を閉じて休む
- 睡眠時間を確保する
- 部屋の湿度を保つ
- コンタクトレンズと眼鏡を上手に使い分ける
- 紫外線や風から目を守る(帽子やサングラス)
- ストレスをためない
食事と運動
特定の食べ物だけでドライアイが治るというわけではありませんが、バランスのよい食事は目の健康を支えます。緑黄色野菜などビタミンAを含む食品、青魚などに含まれる油を意識するとよいといわれます。サプリメントの効果についてはまだ議論があり、使う場合は主治医や薬剤師に相談してください。軽い運動は血行を良くし、ストレスや睡眠の改善にもつながります。屋外で運動するときは風や紫外線から目を守りましょう。
精神的健康と心の健康
目が乾く、しみるといった不快感が長く続くと、集中しにくい、眠りにくい、気分が落ち込むなど、生活の質に影響することがあります。これは「気のせい」ではなく、よくあることです。つらさを一人で抱え込まず、眼科で症状を伝えるとともに、気持ちの落ち込みが続くときは、医療機関やお住まいの自治体の相談窓口に相談してください。気持ちが追い詰められていると感じたら、ためらわずに周りの人や専門家、緊急の支援を頼ってください。
予防
完全に防ぐことは難しいですが、悪化を防ぎ、症状を軽くする工夫はできます。画面の使い方を見直す、部屋を加湿する、コンタクトレンズを長時間つけない、睡眠をとる、といった日々の習慣が役立ちます。
検診プログラム
ドライアイ専用の健診があるわけではありませんが、コンタクトレンズを使っている人、糖尿病や免疫の病気がある人、高齢の人は、症状がなくても眼科でときどき目の状態を確認してもらうと安心です。
合併症
治療しない場合
- 目の表面(角膜)に傷がつくことがある
- 傷からばい菌が入って感染しやすくなる
- 視界のかすみが続き、読書や運転がしにくくなる
- 炎症が長引き、症状が慢性化する
- 目の不快感から集中力や睡眠の質が下がり、生活の質が低下する
長期的な見通し
ドライアイは、多くの人にとってうまく付き合っていけるものです。セルフケアと眼科での治療を続けることで、症状はかなり軽くなることが多いです。体質や環境によっては長く続くこともありますが、あきらめずに定期的に相談しながら、自分に合った方法を見つけていきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康に関する案内は国や地域によって異なります。このページは一般的な教育情報であり、お住まいの地域の指針、薬、診療と一致しない場合があります。心配な点はご自身の医師または医療提供者に相談し、地域の案内がある場合はそれに従ってください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
このトピックを名指しする指針はありません
このページには、このトピックそのものを名指しする健康ガイドラインや臨床の章は引用されていません。このページは一般的な教育と情報のみを目的としています。診断、治療計画、個人への医学的助言ではありません。ご自身の医師に確認し、その指示に従ってください。症状が重い、突然である、または心配な場合は速やかに受診し、緊急時は地域の緊急番号に電話してください。Ruqelo LLC は、この情報に基づく判断から生じる医学上または法律上の結果について責任を負いません。
最終更新: 2026年10月23日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.