赤ちゃんのおしゃぶり(ダミー)の上手な使い方
概要
おしゃぶり(英語では「ダミー」と呼ばれます)は、赤ちゃんが口に含んで吸うための、ゴムやシリコンでできた道具です。赤ちゃんは吸うことで安心するため、泣き止みやすくなったり、寝つきが良くなったりすることがあります。一方で、使い方や使い続ける期間によっては、母乳育児や歯並びに影響が出ることもあります。病気ではなく、使うかどうかは家族が考えて決めてよいものです。
重要な事実
- おしゃぶりは赤ちゃんの「吸いたい」気持ちを満たすための道具で、薬や治療ではありません。
- 眠るときに使うと、乳幼児突然死症候群(SIDS:赤ちゃんが睡眠中に亡くなる原因のわからない病気)のリスクが下がるという報告があります。
- 母乳をしっかり飲めるようになる生後1か月ごろまでは、使わないほうがよいとされています。
- 長く使い続けると、歯並びや発音への影響が気になることがあります。
おしゃぶりは日本でも海外でも、とてもよく使われています。使う家庭も使わない家庭もあり、どちらが正しいというものではありません。家族の生活スタイルや赤ちゃんの様子に合わせて選んでよいものです。
症状
- おしゃぶりを飲み込んでしまい(誤嚥:ごえん)、息が苦しそう、顔色が悪い、泣き声が出ない
- おしゃぶりやその部品がのどに詰まり、窒息しているように見える(唇が紫色になる、反応がない)
- おしゃぶりを加えたまま転んで口の中を強く切り、血が止まらない
- ⚠おしゃぶりの接触で口のまわりやあごに赤み・かゆみ・ただれが出ている
- ⚠中耳炎(ちゅうじえん:耳の奥の炎症)を繰り返している
- ⚠母乳やミルクを飲む量が減った、体重の増えが悪いと感じる
- ⚠口の中に傷や白いできものができて、痛がる様子がある
一般的な症状
- おしゃぶりがないと泣き止みにくい、落ち着きにくい
- 寝つくときや昼寝のときに、いつも欲しがる
- 吸っているときは機嫌がよいが、外すとすぐにぐずる
- おしゃぶりを口から落とすと、また入れてほしがる
子供の症状
- 指しゃぶりと同じように、吸うことで安心している様子が見られる
- 眠いときや不安なときほど、強く欲しがることがある
- 1歳を過ぎても手放せず、遊びの途中でも口に入れたがる
- 長く使っていると、前歯のかみ合わせが気になることがある
高齢者の症状
- おしゃぶり自体は赤ちゃんのためのものなので、大人が使う場面はありません。
- ただし、祖父母などまわりの大人が使い方のルールを知っておくと、家族で方針をそろえやすくなります。
- 長く使っているお子さんでは、歯並びや発音の育ちが気になることがあり、見守る大人の気づきが大切です。
原因
主な原因
- 赤ちゃんにもともと備わっている「吸いたい」という欲求を満たすため
- 眠いときや不安なときに、自分で落ち着くための助けとして
- 保護者が少し休む時間をつくるために、泣き止ませる手段として使われることがある
- 指しゃぶりをやめさせたいときに、代わりの方法として選ばれることがある
リスク要因
- 母乳がしっかり確立する前(生後1か月ごろまで)から使い始める
- 1歳を過ぎても、一日中ずっと使っている
- 清潔に保たれていない、または部品が傷んだものを使っている
- 甘い飲み物やはちみつなどに付けてから加えさせている
- ひも付きのおしゃぶりを使っている(首に巻きつくおそれがあります)
- 寝ている間に、口から外れてもそのままにしている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- おしゃぶりを飲み込んだ、または部品が取れて口に入った可能性がある
- 息が苦しそう、顔色が悪い、反応がいつもと違う
- 口の中をけがして出血が続いている
定期受診を予約すべき場合:
- 1歳を過ぎても手放せず、卒業のしかたに悩んでいる
- 歯並びやかみ合わせが気になってきた
- 発音や言葉の育ちが気になる
- おしゃぶりによる肌荒れが続いている
- 中耳炎を繰り返している、母乳やミルクの飲みが減っている
診断
おしゃぶりは病気ではないため、「診断」はありません。気になることがあるときに、小児科医や歯科医、地域の保健師・助産師に相談し、使い方や卒業の時期について一緒に考えることになります。
行われる可能性のある検査
- 口の中の診察(歯並びやかみ合わせ、口内の傷の確認)
- 成長の確認(身長・体重の伸び、飲み方の様子)
- 言葉や発音の育ちについての相談
- 耳の診察(中耳炎を繰り返す場合)
- 肌の状態の観察(おしゃぶりによるかぶれがある場合)
診察で予想されること
相談では、ふだんどのくらいの時間使っているか、いつから使い始めたか、眠るときだけか一日中かを聞かれます。そのうえで、今のままでよい点と、少しずつ変えていくとよい点を教えてもらえます。特別な検査が必要になることはほとんどありません。
治療
おしゃぶりは治療の対象ではなく、使い方を見直すことが中心になります。赤ちゃんの発達に合わせて、安全に使う期間を整え、ゆっくり卒業を目指していくのが一般的です。
自宅でのセルフケア
- 清潔な状態を保ち、定期的に洗って消毒する(煮沸消毒など、製品の説明に従ってください)
- ひも付きのものは使わず、部品がゆるんでいないか毎回確認する
- 甘い飲み物や食べ物に付けてから加えさせない
- 寝ついたら口からそっと外す(眠っている間は外しておくと安心です)
- 昼間はできるだけ使わず、眠るときや強い不安のときなどに限っていく
- 1歳ごろから少しずつ使う場面を減らし、1歳半から2歳ごろまでの卒業を目指す
- 卒業は一度にやめようとせず、声かけや遊びで気をそらしながら進める
- 傷んだもの、サイズの合わないものは新しいものに替える
医療治療
おしゃぶりをやめるための薬はありません。気になる点があるときは、小児科医、歯科医、保健師、助産師などの専門職に相談し、卒業の進め方や歯並び・発音の様子について助言をもらうことが中心になります。必要に応じて、地域の子育て支援の場や健診の機会も活用できます。
手術が検討される場合
通常、おしゃぶりの使用そのものに対して手術が必要になることはありません。歯並びへの影響が強い場合には、成長に合わせて歯科で矯正などの相談をすることがありますが、それは歯科医が個別に判断するものです。
この病気と共に生きる
おしゃぶりは、赤ちゃんが落ち着くための道具のひとつです。使う時間や場面を家族で決めておくと、生活のリズムをつくりやすくなります。たとえば「眠るときだけ」「外出先では使わない」など、無理のないルールを決めてみましょう。
生活習慣のアドバイス
- 家族みんなで同じルールを共有し、まわりの大人にも伝えておく
- 眠るときの習慣を、絵本や歌など別の落ち着く方法と組み合わせる
- お出かけのときは、清潔な予備を1つ持っておく
- おしゃぶり以外の「安心できるもの」(ぬいぐるみ、タオルなど)も取り入れてみる
- 健診や予防接種のときに、使い方についても相談しておく
食事と運動
食事の面では、おしゃぶりを長く使い続けることで、いろいろな食感や食べ方を学ぶ機会が減ることがあります。離乳食が始まったら、食べる練習の時間はおしゃぶりを外して、口やあごを動かす経験を大切にしましょう。体を動かして遊ぶ時間も、気分転換や卒業の助けになります。
精神的健康と心の健康
おしゃぶりをめぐっては、保護者の方が「早くやめさせなければ」と焦ったり、まわりから言われてつらくなったりすることがあります。卒業の時期は子どもによって大きく違います。うまくいかない日が続いても、それは保護者の責任ではありません。産後の疲れや不安が強いとき、気持ちが落ち込み続くときは、一人で抱え込まず、地域の保健センターやかかりつけの医療機関に相談してください。つらい気持ちが強いときや、自分や赤ちゃんを傷つけてしまいそうな気持ちになったときは、すぐに救急(119番)や地域の相談窓口を利用してください。
予防
おしゃぶりは病気ではないので「予防する」という考え方にはなじみませんが、使い方を工夫することで、歯並びや肌トラブル、事故などの困りごとを減らすことができます。
検診プログラム
乳幼児健診や歯科健診の機会に、使い方や歯並び、言葉の育ちについて確認してもらいましょう。気になることがあれば、健診を待たずに相談してかまいません。
合併症
治療しない場合
- 長期間使い続けることで、前歯のかみ合わせや歯並びに影響が出ることがある
- 発音や言葉の育ちに影響が及ぶことがある
- 中耳炎を繰り返しやすくなると言われることがある
- 不潔なまま使うことで、口の中や肌のトラブルにつながることがある
- ひも付きのものを使用すると、思わぬ事故につながるおそれがある
長期的な見通し
おしゃぶりは、ほとんどのお子さんが成長とともに自然に手放していきます。使い方に少し気を配り、まわりの大人が見守ることで、心配な影響は十分に減らせます。卒業の時期は一人ひとり違うので、あせらず、お子さんのペースに合わせて進めていけば大丈夫です。
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最終更新: 2026年10月23日
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