立ち耳と耳の形を整える手術(耳介形成術)
概要
耳介形成術(じかいけいせいじゅつ)は、耳の形や向きを整える手術です。いちばん多いのは「立ち耳」、つまり耳が頭から横に張り出している状態を、頭に近づけたり、耳のふちの折れ目を作ったりする手術です。生まれつきの耳の形が気になる場合や、けが・手術のあとの形を整えたい場合にも行われます。聞こえを良くするための手術ではなく、見た目と気持ちの面を助けるための手術です。
重要な事実
- 耳の形は生まれつき決まっていることが多く、病気ではありません
- 耳の大きさが大人に近づく6歳ごろ以降に手術が行われることが多いです
- 美容目的とみなされる場合は健康保険が使えず、自費になることが多いです
- 日帰り、または1泊程度で行われることが多い手術です
立ち耳は珍しいものではなく、耳が横に張り出している方は人口の数%程度いると言われています。耳介形成術も、形成外科(けいせいげか)ではよく行われる手術のひとつです。
生まれつき耳が張り出している方、耳の形や左右差が気になる方です。小児期から思春期に受けることが多いですが、大人になってから受ける方も多くいます。男女差はあまりありません。
症状
- 手術後に息が苦しい、唇や顔がはれる、じんましんが出る(麻酔や薬のアレルギーの可能性)
- 手術後に意識がもうろうとする、呼びかけへの反応が弱い
- 圧迫しても止まらない出血が続く
- ⚠手術後、耳が急に大きくはれて痛みが強い(血のかたまりができている可能性)
- ⚠傷から膿(うみ)のようなものが出る、熱が出る、赤みが広がる
- ⚠耳の皮膚の色が黒っぽく変わる
- ⚠耳が聞こえにくくなった、耳の感覚が大きく変わった
一般的な症状
- 耳が頭から横に張り出していて、正面から見ると目立つ
- 耳の上のふち(耳輪)の折れ目が浅い、または折れていない
- 耳の左右で大きさや形が違う
- 写真を撮られるときや、髪形を決めるときに耳が気になる
- 眼鏡やマスクのひもが耳に当たって気になる
子供の症状
- 友達に耳の形をからかわれる
- 髪を伸ばして耳を隠すようになる
- 写真を撮られるのをいやがる
- プールや体育など、耳が出る場面をいやがる
- 自分の耳を「大きい」「変」と言って気にする
高齢者の症状
- 子どものころから気になっていたが、時間や費用が整って手術を考える方がいます
- 加齢で皮膚の弾力が変わり、手術後の腫れが引くのに少し時間がかかることがあります
- けがや以前の手術のあとの耳の形を整えたいと考える方がいます
原因
主な原因
- 生まれつき耳の軟骨の折れ目が浅い、または耳のくぼみが深い
- 遺伝(家族に同じような耳の形の人がいることがあります)
- けがや手術のあとで耳の形が変わった
- まれに、生まれつきの耳の形の病気の一部として起こる
リスク要因
- 家族に立ち耳の人がいる
- 生まれたときから耳が横に張り出している
- 耳にけがをした、または手術を受けたことがある
- 耳の軟骨がやわらかい、または左右の形の差が大きい
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 手術後に耳が急にはれて強い痛みがある、出血が続く
- 傷から膿のようなものが出る、発熱がある、赤みが広がる
- 耳の皮膚の色が黒っぽく変わった
- 息苦しさやじんましんなど、アレルギーを思わせる症状が出た(この場合は119番へ)
定期受診を予約すべき場合:
- 自分の耳の形や左右差が気になるとき
- 子どもが耳の形をからかわれている、気にしているとき
- 写真や髪形、服装などで耳を隠すようになったとき
- 手術を考えているが、方法や費用、時期を知りたいとき
診断
診察で耳の形、軟骨の折れ目、皮膚の状態を確認し、写真を撮って左右差を記録します。聞こえや耳の病気がないかを確かめることもあります。そのうえで医師と「どこをどうしたいか」を話し合って方針を決めます。形成外科(けいせいげか)を受診するのが一般的です。
行われる可能性のある検査
- 視診と触診(耳の形や皮膚の状態を確かめる)
- 写真撮影(左右差や手術前の記録として)
- 聴力検査(聞こえに問題がないかの確認。必要に応じて)
- 血液検査など(手術前の体の状態の確認。必要に応じて)
診察で予想されること
手術の方法(軟骨を削る、糸で寄せる、皮膚を取るなど)、麻酔の種類、日帰りか入院か、費用、学校や仕事を休む期間について説明があります。子どもは診察や注射を怖がることがあるので、事前にやさしく説明しておくと安心です。納得できないときは、別の医師の意見(セカンドオピニオン)を聞くこともできます。
治療
耳介形成術は、耳の軟骨の形を整えて頭に近づける手術です。局所麻酔に鎮静を組み合わせる方法や、全身麻酔で行われることが多く、時間は1〜2時間程度です。手術後は包帯で固定し、数週間は保護用のバンドを使って耳を守ります。
自宅でのセルフケア
- 手術後は指示どおりに包帯や保護バンドを使う
- 傷は清潔に保ち、指示があるまで濡らさないようにする
- 数週間は激しい運動やぶつかりやすいスポーツを避ける
- 寝るときは耳を下にしない、保護バンドを使って圧迫を防ぐ
- 腫れや痛みが強いときは我慢せず、医療機関に連絡する
医療治療
治療の中心は手術です。生後数週間の赤ちゃんでは、軟骨がやわらかい時期に限って、耳の形を整える装具(イヤーモールディング)が使えることがあります。手術には、出血、感染、傷あと、左右差、感覚の変化、まれに再手術が必要になるなどの可能性があります。術後の痛みや感染予防のために薬が使われることがありますが、内容は医師が判断します。自分で薬を選んだり、市販薬を自己判断で使ったりせず、必ず医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
手術は「しなければならないもの」ではなく、選べる治療です。耳の大きさが大人に近づき、本人が希望を理解できるようになる6歳ごろ以降に行われることが多いです。大人になってから受けることもできます。耳の形が生活や気持ちの負担になっている場合に検討されます。成長期の子どもは軟骨がまだ育っているため、時期については医師とよく相談します。
この病気と共に生きる
手術後は1〜2週間ほど腫れや内出血があり、少しずつ落ち着いていきます。包帯は数日から1週間ほど、その後は数週間、夜間の保護バンドを使うことが多いです。学校や仕事は1週間前後で戻れることが多いですが、体育やスポーツは医師の許可が出るまで待ちます。傷あとは時間とともに目立たなくなっていきます。
生活習慣のアドバイス
- 手術後しばらくは、眼鏡やマスクのひもが耳に当たらないようにする
- 柔らかい枕を使い、寝ている間に耳を圧迫しないようにする
- 髪を洗うときは指示に従い、傷を濡らさないようにする
- 帽子やヘルメットは医師の許可が出てから使う
- 子どもの場合は、園や学校に手術のことを伝えておく
食事と運動
特別な食事制限はありません。バランスのよい食事と水分で回復を助けましょう。運動は腫れが落ち着くまで控え、許可が出たら少しずつ再開します。喫煙は傷の治りを悪くするため、手術の前後は控えるのがおすすめです。
精神的健康と心の健康
耳の形が気になって人と会うのがつらい、からかわれる、自分を責めてしまうことがあります。これは「わがまま」ではなく、誰にでも起こる自然な気持ちです。手術を受けるかどうかは本人の気持ちが大切で、周りが決めるものではありません。つらい気持ちが続くときは、一人で抱えずに、信頼できる人や学校のカウンセラー、医療機関の相談窓口に話してください。気持ちが追い詰められていると感じたら、ためらわずに地域のこころの相談窓口や医療機関に連絡してください。
予防
生まれつきの耳の形は予防できません。ただし、生後数週間の赤ちゃんであれば、耳の装具(イヤーモールディング)で形が整うことがあります。気になる場合は早めに小児科や形成外科に相談してください。大人の立ち耳は予防できませんが、手術で整えるという選択肢があります。
検診プログラム
立ち耳のための特別な検診はありません。耳の形が気になるときは、小児科や形成外科で相談できます。自治体の乳幼児健診での難聴の検査は、耳の健康を確かめるのに役立ちます。
合併症
治療しない場合
- 手術をしないこと自体が体の健康を害することはほとんどありません
- 聞こえや体の機能に問題が起きることは少ないです
- からかいや見た目の悩みが続き、自信が持てなくなることがあります
長期的な見通し
耳介形成術は長く行われてきた手術で、多くの方が満足しています。腫れや傷あとは時間とともに落ち着きます。出血や感染、傷あと、左右差、再手術などが起こる可能性はありますが、多くは対応できます。気になることは医師に確かめながら、自分に合った選択をしていきましょう。
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最終更新: 2026年10月23日
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