子どもと若者の摂食障害
概要
摂食障害は、食べることや体重、体型へのこだわりが強くなり、心と体の健康に影響が出る病気です。単なる「好き嫌い」や「わがまま」ではなく、本人もコントロールが難しいことがあります。拒食症、過食症、過食性障害、回避・制限性食物摂取症など、いくつかのタイプがあります。
重要な事実
- 思春期前後から若い年代に多くみられますが、子どもでも発症します。
- 見た目や体重だけで判断できず、普通体重でも摂食障害のことがあります。
- 早く支援につながると、回復しやすくなります。
決してめずらしい病気ではありません。学校や家庭で気づかれにくいこともありますが、支援を求めることは大切です。
症状
- 意識がもうろうとしている、呼びかけに反応しにくい
- けいれんが起きた
- 胸の痛みや強い動悸がある
- 吐血している
- 自分を傷つけたい気持ちが強く、命を守ることが難しいと感じる(119番や地域の緊急相談へ)
- ⚠水分も食べ物もとれない状態が続く
- ⚠何度も嘔吐している
- ⚠急に体重が減った
- ⚠立ちくらみやふらつきが強い
- ⚠脈がとても遅い、または不整脈のように感じる
- ⚠強い気分の落ち込みで日常生活が難しい
一般的な症状
- 食べる量を極端に減らす、または食べることを避ける
- 過食(一度に大量に食べる)と、その後の嘔吐や下剤使用などの代償行動
- 体重や体型への強いこだわり、鏡で何度も確認する
- 食べ物を隠す、食事を抜く、一人で食べる
- 体重の急な変化、疲れやすさ、冷え、めまい
- 気分の落ち込み、いらいら、不安、人との交流を避ける
- 月経の停止や不順、便秘、胃の不快感
子供の症状
- 体重が増えない、成長曲線から外れる
- 身長の伸びが悪くなる、思春期の始まりが遅れる
- 特定の食べ物だけを極端に避ける、食べる量が少ない
- 食べることに強い恐怖やこだわりがある
- 食事のたびに家族と衝突する、学校に行きづらくなる
- 元気がなくなる、遊びや運動を嫌がる
高齢者の症状
- この記事は主に子どもと若者向けですが、成人期以降も続くことがあります。
- 大人では、慢性的なダイエット、体重減少、孤立、うつ的な気分として気づかれることがあります。
- 年齢にかかわらず、食べることへの強い不安やこだわりが続くときは相談してください。
原因
主な原因
- 性格や気質、不安の持ちやすさなど、心の面の要因
- 遺伝や体質など、生物学的な要因
- ダイエット、体重への指摘、体型を気にする環境などの社会的な要因
- 思春期の体の変化や、学校・友人関係などのストレス
リスク要因
- 極端な食事制限や不規則な食事
- 体重や体型についての強いいじめやからかい
- 完璧主義、不安が強い、自己評価が低いなど
- 家族や周囲のダイエット志向、体型を重視する雰囲気
- スポーツや芸能など、体重管理が重視される環境
- つらい出来事やトラウマ、うつや不安の症状
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 水分がとれない、嘔吐が続く、ぐったりしている
- 急な体重減少や成長の停滞がある
- めまい、動悸、胸の痛み、意識が遠のく感じがある
- 自分を傷つけたい気持ちがある
定期受診を予約すべき場合:
- 食べる量や体重へのこだわりが続いている
- 食事を隠す、抜く、一人で食べるなどが増えた
- 体重が増えない、身長の伸びが悪い
- 気分の落ち込みや不安で、学校生活や日常生活がつらい
- 家族がどう支えればよいかわからない
診断
医師は、食べることや体重、体型への考え方、生活の様子、成長の記録などをていねいに聞きます。体の状態を確認し、必要に応じて心の面の評価も行います。ひとつの検査だけで決まるものではありません。
行われる可能性のある検査
- 身長・体重の測定と成長曲線の確認
- 血液検査や尿検査
- 必要に応じて骨密度の検査
- 食事や栄養についての聞き取り
- 心理面や気分についての質問
診察で予想されること
診察では、責めたり決めつけたりせず、本人のつらさを理解するところから始めます。家族が一緒に話を聞くことも大切です。必要に応じて、小児科、精神科、栄養士などがチームで関わります。
治療
治療は、体の安全を守ること、栄養を回復すること、心のつらさを支えることを組み合わせて進めます。早期に支援につながるほど、回復しやすいといわれています。本人だけでなく、家族も一緒に支えることが大切です。
自宅でのセルフケア
- 決まった時間に食事や間食をとるなど、生活のリズムを整える
- 体重や体型についての会話を減らし、安心できる雰囲気をつくる
- 一人で抱え込まず、信頼できる大人や医療者に話す
- 食事を監視するのではなく、本人の気持ちを聞くようにする
- SNSの体型比較を避けるなど、つらい刺激から距離を置く
医療治療
治療では、認知行動療法などの心理療法、家族を交えた支援、栄養相談、体の状態の定期的な確認などが行われます。必要に応じて、医師が薬を検討することもありますが、薬だけで治すものではありません。入院が必要な場合もあります。
手術が検討される場合
通常、摂食障害は手術で治す病気ではありません。体の合併症に対して外科的な治療が必要になることはありますが、まずは内科的・心理的な支援が中心になります。
この病気と共に生きる
回復には時間がかかることがあり、良くなったり悪くなったりを繰り返すこともあります。小さな変化を一緒に喜び、できていないことだけを責めないことが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 食事の時間を決めて、無理のない範囲で続ける
- 家族や友だちと過ごす時間をつくる
- 体重測定の頻度など、本人がつらくならないルールを話し合う
- 学校や部活動と相談し、負担を調整する
- 医療者との約束を定期的に持ち、変化を相談する
食事と運動
極端な食事制限や「埋め合わせ」のための運動は避け、栄養バランスのよい食事を少しずつ取り戻すことが大切です。運動は楽しむためのものとして、量や内容を医療者や栄養士と相談しながら決めましょう。
精神的健康と心の健康
摂食障害は、不安、うつ、孤立感、自己評価の低下と深く関わることがあります。つらい気持ちが強いときは、一人で抱えず、地域の精神保健福祉センターや医療機関に相談してください。命を守るのが難しいと感じるときは、ためらわず119番へ連絡してください。
予防
すべてを防ぐことは難しいですが、体型や体重をからかわないこと、極端なダイエットを勧めないこと、食事を楽しむ雰囲気をつくることが大切です。思春期の体の変化について、やさしく話せる関係を育てましょう。
ワクチン
摂食障害を防ぐワクチンはありません。
検診プログラム
決まった検査だけで見つけることはできません。学校検診や成長曲線の確認、食事や気分についての定期的な声かけが役立ちます。
合併症
治療しない場合
- 身長の伸びや思春期の発達が遅れる
- 骨が弱くなる
- 心臓や脈の異常、脱水、電解質の乱れ
- 胃腸の不調、便秘
- 月経の停止やホルモンの乱れ
- 不安やうつ、孤立、学校生活の困難
- 重症になると命に関わることがある
長期的な見通し
摂食障害は回復できる病気です。早く支援につながり、本人と家族が一緒に取り組むことで、少しずつ良くなっていくことが期待できます。回復の途中で波があっても、助けを求め続けることが大切です。
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最終更新: 2026年10月23日
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